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書誌情報  要約  特許請求の範囲  発明の詳細な説明  図面の簡単な説明  図面

 【書誌情報】

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2008-248108(P2008-248108A)
(43)【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
(54)【発明の名称】樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00     (2006.01)
   C08K   9/06     (2006.01)
【FI】
   C08L 101/00    
   C08K   9/06    
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2007-91798(P2007-91798)
(22)【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人科学技術振興機構、地域イノベーション創出総合支援事業「シーズ発掘試験」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000225142
【氏名又は名称】奈良県
【住所又は居所】奈良県奈良市登大路町30番地
(72)【発明者】
【氏名】安田 則彦
【住所又は居所】奈良県奈良市柏木町129番地の1奈良県工業技術センター内
(72)【発明者】
【氏名】西村 敬一
【住所又は居所】奈良県奈良市柏木町129番地の1奈良県工業技術センター内
(72)【発明者】
【氏名】植村 哲
【住所又は居所】奈良県奈良市柏木町129番地の1奈良県工業技術センター内
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB031
4J002BB051
4J002BB061
4J002BB081
4J002BB121
4J002BB141
4J002BP021
4J002DJ006
4J002FA016
4J002FB096
4J002FB106
4J002FD016

 要約

(57)【要約】
【要 約】
【課 題】
従来の方法では、フィラーとして使う層状珪酸塩を水等で膨潤させシラン処理することにより層状珪酸塩の層間隔を広げ、樹脂中への分散をし易くしている。 ところが、処理後、乾燥させると、再凝集し、粉砕、微粉末化する必要がある。 この乾燥の際、膨潤状態が壊れ、再凝集、層間隔の狭小化が行われることにより樹脂に混合した際、分散しにくくなってしまい、本来発揮すべき物性の向上が行われなくなる。
【解決手段】
膨潤、シラン処理後、水分除去の際、完全乾燥を行わないで、水分含有量が50%以上の状態で溶融樹脂に投入、混練することにより、層間隔が処理前の層状珪酸塩の層間隔に比べ、20%以上広がった状態で、樹脂に混練することが出来る。 その結果、フィラーの再凝集、層間の再構築が少なくなり高い弾性率を示す樹脂組成物を得ることが出来る。

【選択図】 なし

 特許請求の範囲


【特許請求の範囲】
【請求項1】
層状珪酸塩と反応可能な1〜3個の反応基を有するシラン化合物により処理され、処理後含水量50%以上の湿潤状態を保った層状珪酸塩を溶融状態の樹脂に投入、混合することで得られる、シラン処理層状珪酸塩の層間隔がシラン処理前に比べ20%以上増加した樹脂組成物。
【請求項2】
シラン化合物として、一般式(1)で表される化合物である請求項1に記載の樹脂組成物。
一般式
R 4-m-n2 m Si Xn (1)
(式中、R1はヘテロ原子を含まないアルキル基を示し、同一でも異なっていてもよい。
2は、水素原子、またはヘテロ原子を含まないアルキル基もしくはアリール基を示し、同一でも異なっていてもよい。 Xはハロゲン、または珪素と直接結合する元素が窒素、もしくは酸素である基を示し、Xが複数ある場合は、Xは同一でも異なっていてもよい。 mは0〜3の整数、nは1〜4の整数、4-m-nが0〜3の整数である)
【請求項3】
シラン化合物として、シリコン原子に塩素が1〜3個付いたシラン化合物を用いた請求項1の樹脂組成物。
【請求項4】
樹脂にポリオレフィン系樹脂を用いた請求項1、2あるいは3の樹脂組成物。



























 発明の詳細な説明

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂にフィラーを混合して成る樹脂組成物に関し、詳しくはシラン化合物により処理された層状珪酸塩をポリオレフィン樹脂に混合、分散させてなる樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の高分散型ナノフィラー樹脂組成物においては、従来から、層状珪酸塩(モンモリロナイト等ベントナイトクレーを主体とする)に有機アンモニウムイオンを作用させ、層状珪酸塩の層間のイオンを有機イオンとイオン交換したいわゆる有機化層状珪酸塩を樹脂と混合、高分散させることで樹脂の機械的特性を改良する方法が知られている。(例えば特許文献1参照)
有機化処理を行わないで、層状珪酸塩(雲母等)をシラン化合物で処理して層状珪酸塩の層間距離を拡大した後、樹脂原料に分散した後、重合し複合化することで樹脂の機械的特性、耐熱性を向上させる方法が知られている(例えば特許文献2参照)
【0003】
また、層状珪酸塩を水等の溶媒で膨潤させた後、シラン化合物で処理し、更にポリシロキサン等の分散安定剤を混合した後、分散媒を除去して得られた粘土複合層状化合物を樹脂と複合化することにより、樹脂の機械的特性や耐熱変形性を改良する方法も知られている。(例えば特許文献3参照)
あるいは、有機化処理を行った層状珪酸塩(有機化層状珪酸塩)にシラン化合物を作用させ、結晶端面処理を施し、極性基を含むポリオレフィンと極性基を含まないポリオオレフィン樹脂の混合樹脂に混合分散させて樹脂の機械的特性を向上させる方法も知られている(例えば特許文献4参照)
しかし、これらは、いずれも、樹脂原料に分散させた後重合した樹脂を用いるか、有機化処理を必要とするか、極性基含有ポリオレフィンや基材と異なるポリオレフィンを混合して溶融混練する方法があり、いずれも分散性、弾性率等は向上するものの十分とは言えない。
【特許文献1】特開2005−60592号 公報
【特許文献2】特開平9−301713号 公報
【特許文献3】特開平10−259017号 公報
【特許文献4】特開2005−68262号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、水等により膨潤、層間距離を拡大さ
れた層状珪酸塩の状態をシラン化合物処理によって維持しつつ、結晶端面処理が施された状態で、樹脂に混合することにより、高分散かつ高弾性を保ち、高強度樹脂組成物を作成する方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決する為に鋭意研究を重ねた結果、従来から処理に利用されている水等の溶媒による層状珪酸塩の膨潤を行い、層間距離を拡大させると同時に、シラン化合物による処理をおこない、乾燥工程を経ることなく、直接樹脂に混入することで、層状珪酸塩の膨潤状態が維持でき、樹脂中の分散が良く高弾性をもつ樹脂組成物を製造出来ることを見いだした。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)層状珪酸塩を水等により膨潤させ、同時に1〜3個の加水分解により層状珪酸塩のSi−OHと反応する反応基を有するシラン化合物による処理を行い、端面および層間処理が行われた後、水分量を少なくとも50%以上に保った層状珪酸塩を、溶融状態の樹脂に投入し、混合することで、シラン処理層状珪酸塩の層間隔がシラン処理前の層間隔にくらべ20%以上増加した状態で樹脂中に分散した樹脂組成物である。
(2)シラン処理剤として、シリコン原子にクロル基が1〜3個付いたシラン化合物を用いた(1)に記載した樹脂組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、層状珪酸塩を処理後、水分を50%以上に保った状態で樹脂に混合することにより、従来の製造法では達成できなかった層状珪酸塩の高分散、高弾性の樹脂組成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の樹脂としては、特に限定されないが、特に従来製造が困難であったポリオレフィン系樹脂についても利用できる。
層状珪酸塩としては、粘土及び粘土鉱物が挙げられる。粘土とは、粒子径2μm以下の含水珪酸鉱物の集合体であって、適当量の水を混ぜてこねると可塑性を生じ、乾けば剛性を示し、高温で焼けば焼結するような物質である。 また、粘土鉱物とは粘土の主成分をなす含水珪酸塩である。 これらは、天然産のものに限らず、人工合成したものであってもよい。 イオン交換性層状化合物とは、イオン結合等によって構成される結晶面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。 粘土鉱物の中には、イオン交換性層状化合物である例がある。 粘土鉱物としてはフィロケイ酸や、フィロケイ酸塩がある。 フィロケイ酸塩としては、天然物として、スメクタイト族に属すモンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、雲母族に属すイセライト、セイサイト及びスメクタイト族と雲母族または雲母族とバーミキュライト族との混合層鉱物が挙げられる。 本発明においては、層電荷0.05〜0.8、特に0.1〜0.7を有する2:1型層状化合物を用いることが望ましく、さらにヘクトライト、サポナイト、モンモリロナイトあるは、合成雲母が好ましく、とくに合成雲母が好ましい。
【0009】
上記の層状珪酸塩の結晶端面の水酸基をシラン化合物で処理するに際し、まず、層状珪酸塩を水等の層状珪酸塩を膨潤させる溶媒による膨潤、層間を拡張しておくことが行われる。
膨潤に使われる溶媒は、層状珪酸塩を十分膨潤させることができる溶媒であれば、特に限定されることはないが、好ましくは水が使用される。
水等の溶媒により膨潤された、層状珪酸塩は、層間隔が十分広がり、ナノ分散に近くなるものと期待される。
【0010】
溶媒により十分膨潤、層間隔が十分広がった状態の層状珪酸塩にシラン化合物を添加し、結晶端面の水酸基と反応させることで、広げられた層状珪酸塩の層間隔が保持されやすくなる。 ここで用いられる、シラン化合物は、分散に利用した溶媒に溶解するものであれば、特に制限されることはないが、結晶端面の水酸基と反応する反応基を有する必要がある。 反応性の高い、イオン性をもつようなハロゲンをもった化合物が反応のしやすさが期待され好ましい。
【0011】
本発明で用いられるシラン化合物は、1〜3個のアルキル置換基を有するシラン化合物であり、一般式
R1 4-m-n2 m Si Xn (1)
(式中、R1はヘテロ原子を含まないアルキル基を示し、同一でも異なっていてもよい。
2は、水素原子、またはヘテロ原子を含まないアルキル基もしくはアリール基を示し、同一でも異なっていてもよい。 Xはハロゲン、または珪素と直接結合する元素が窒素、もしくは酸素である基を示し、Xが複数ある場合は、Xは同一でも異なっていてもよい。 mは0〜3の整数、nは1〜4の整数、4-m-nが0〜3の整数である)
で表される有機シラン化合物である。
【0012】
一般式(1)におけるアルキル基としては、炭素数が1〜18であることが好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、ビニル基、プロピル基、オソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ヘキシル基、デシル基などが挙げられる。 ヘテロ原子を含まないアリール基としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。
Xは、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、ヨウ素が挙げられ、本発明においては塩素が好ましい。 珪素と直接結合する元素が酸素である基としては、アルコシキ基や、アリールオキシ基などが挙げられる。 珪素と直接結合する元素が窒素である基としては、アミノ基、アルキルアミノ基、トリアゾイル基、イミダゾリル基などが挙げられる。
【0013】
一般式(1)で表される有機シラン化合物の具体的な化合物としては、例えば、メチルビニルジクロロシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、tert—ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ジエチルメトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシッシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジヘキシルジメトキシシランなどが挙げられる。 なお、上記化合物のメトキシの部分をエトキシあるいはハロゲン元素で置換したものも利用することが出来る。
【0014】
このようなシラン化合物を用いる層状珪酸塩の結晶端面処理は、例えば、次の様に行われる。
まず、層状珪酸塩(粘土等)を水等の層状珪酸塩を十分膨潤させることの出来る溶媒中に分散、させる。 続いて、この粘土等の溶媒分散液にシラン化合物を添加・混合することで、層状珪酸塩の層間隔が開いたまま結晶端面処理が行われる。 続いて、余分な水分等の溶媒を除去する為に、遠心分離を行う。 シラン処理層状珪酸塩と溶媒とを分離し、その際、層間隔が十分開いた状態を保つ程度の溶媒含有状態に保つ。
【0015】
この状態では、シラン処理層状珪酸塩の層間隔は、もとの層状珪酸塩の層間隔の数倍の層間隔に開いている。 この状態で、溶融樹脂に混合することで、本発明の樹脂組成物を得ることが出来る。 この樹脂組成物に分散された層状珪酸塩の層間隔は、もとの層状珪酸塩の層間隔の少なくとも50%以上拡大した状態で保持される。
溶媒含有シラン処理層状珪酸塩を樹脂に混合する場合、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール、プラストミル等を使用することができるが、含まれた溶媒を除去することの出来る機構を有する混合設備であれば良い。
【0016】
本発明で用いられる樹脂は、特に制限はないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリフェニレンサルフィド、ポリカーボネートなどがあり、特に、極性基のないポリオレフィン系樹脂などでも効果が上げられる。 ポリプロピレンとしては、プロピレンホモ重合体、プロピレンブロック共重合体、プロピレンランダム共重合体のいずれも用いることが出来る。 また、プロピレンブロック共重合体およびプロピレンランダム共重合体において、コモノマーとしては、エチレンが用いられる。 また、ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレンから低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン・α-オレフィンランダム共重合体の他、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸メチル等との共重合体も用いることが出来る。
【実施例】
【0017】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例における物性の測定は、以下の方法に従って測定した。
(1)貯蔵弾性率(MPa)
測定は、セイコー電子工業株式会社製粘弾性測定装置 DMS110Uにより測定した。
(2)層間隔(nm)
測定は、マックサイエンス社製 X線回折システム、M18XCEを用い、対陰極は、
Cu。 40KV、100mAで測定により測定した。
【0018】
実施例1
(1)シラン処理層状珪酸塩の調整
水1リットルに層状珪酸塩(コープケミカル社製 ソマシフME-100)50gを投入し、スターラーにより攪拌し、十分膨潤させた。 その後、メチルビニルジクロロシラン(信越化学製) 2mlと投入し、90℃に過熱後4時間攪拌し層状珪酸塩にシラン処理を行った。 その溶液を、遠心分離機によりシラン処理層状珪酸塩と水層を分離し、上層の水を除去し、のこった多量の水分を含むシラン処理層状珪酸塩のスラリーを得た。含水量は52%だった。層間距離を測定すると、1.89nmから、2.7nm以上あった。
【0019】
・ ポリオレフィン系層状珪酸塩分散樹脂組成物の製造
ポリプロピレン(三菱化学社製ノバテックMA−3)40gをラボプラストミルに投入210℃で混練を行い溶融した状態のところへ、少しずつ、水分を蒸発させながら、上記(1)で調整したシラン処理層状珪酸塩を乾燥量で2.1gを投入混練をおこない、ポリオレフィン系層状珪酸塩分散樹脂組成物を得た。
さらに、スルホンジェット容器に上記樹脂組成物を8g投入、230℃に十分過熱溶融した後、成形金型に射出し、試料片を作成した。 この試料の粘弾性率を測定すると貯蔵弾性率で1、910MPa、層間隔は、1.56nmに狭くなっていた。
この試料の測定結果を表にまとめる。
【0020】
実施例2
実施例1において、含水量を81%に増加させた以外は、実施例1と同様の方法により作成した。
【0021】
比較例1
比較のため、使用したポリプロピレンのみ、成形したものを比較例1とした。
【0022】
比較例2
ポリプロピレンに処理を行っていないソマシフME−100のみ5重量%添加したものを比較例2とした。
【0023】
比較例3
実施例1において、含水シラン処理層状珪酸塩の代わりに、濾過後120℃で真空乾燥し、乳鉢ですりつぶして得たシラン処理層状珪酸塩乾燥微粉末を使用した。