【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に、内燃機関30、内燃機関30に接続する吸気経路を構成する吸気配管22、そこに適用した吸気音制御装置その他の概略構成図を示す。
上記吸気音制御装置は、制御音発生部2、流体通路10、流量調整装置3、および制御装置4を備える。
【0007】
上記制御音発生部2は、図2に示すように、上下が開口した本体ケース9と、本体ケース9内を上下の室2A、2Bに区画する平板状の弾性体8とからなる。弾性体8は、薄板状の可動板8aが水平に配置され、その可動板8aが支持バネ8bによって本体ケース9内に支持されて構成されることで、上記可動板8aが面外方向(上下方向)に変位可能となっている。
【0008】
上記流体通路10は、上記吸気経路を形成する吸気配管22をバイパスしたバイパス路によって形成され、上記制御音発生部2を設置する位置を挟んだ前後を連通する。その流体通路10の途中に、流量調節弁からなる流量調整装置3が介装され、その流量調整装置3を境として、下流側(エンジン側)の負圧通路6と大気圧通路7とに分離され、負圧通路6に対し吸気配管22から所定圧の流体が付与されることとなる。
【0009】
そして、上記負圧通路6と吸気配管22を接続するように上記制御音発生部2を配置する。つまり、本体ケース9の下室2Aを負圧通路6に連通し、本体ケース9の上室2Bを吸気配管22に連通する。これによって、上記弾性体8の上面が、吸気配管22に臨むと共に、弾性体8の下面が、負圧通路6に連通する。これによって、流量調整装置3により流体通路10から開放する流量を制御することで、負圧通路6の負圧つまり弾性体8の下面に掛かる圧が制御されて、当該弾性体8が面外方向(図では上下方向)に変位するように振動し、その振動による制御音が吸気配管22内に伝達されて吸気音に干渉して、吸気音を消音したり所望の特性に変更したりする。
【0010】
図3に本実施形態の流量調整装置3を示す。この装置では、弁棒3aが電磁ソレノイド3bで変位して大気通路側のポートに形成した弁座3cの開口量を調整する。上記電磁ソレノイド3bは、制御装置4からの駆動信号によって駆動され、同電磁ソレノイド3bに対する印加電圧の有無に応じてオン/オフ作動する。すなわち、初期状態(オフ状態)では、不図示のバネによって弁棒3aは閉じ方向に付勢されており、電磁ソレノイド3bのコイルに対して電圧が印加されて弁棒3aがオン作動したときに、流体通路105と吸気配管22とが連通されるようになる。このとき、制御音発生部2の下室2Aからは、吸入空気の負圧によって空気が排出され、その容積が縮小するようになる。
【0011】
このように、制御音発生部2の特性は、下室2Aに対する空気の給排に基づきその容積を変更することで可変とされるようになる。本実施形態の制御音発生部2では、流量調整装置3をオン作動した状態に保持することで、下室2A内の空気量は最小となり、流量調整装置3をオフ作動した状態に保持することで、下室2A内の空気量は最大となる。このオン/オフ作動を連続的に行うことにより圧力変動を発生することが可能である。このように制御音発生部2の特性を、脈動の発生状態に応じて適宜可変とすることで、吸気音を所望の特性を持つ音に加工ための制御音を発生することができる。
【0012】
つまり、流量調整装置3のオン時間およびオフ時間の比率を変えることにより、下室2Aから吸引される空気量が変化するため、前述の比率を調整することにより任意の圧力変動を薄板状の弾性体8に発生することが可能である。
なお、流量調整装置3を構成する流量調節弁の構成はこれに限定されない。
また、クランク角センサからクランク角信号40が制御装置4に出力される。ここで、吸入空気の脈動発生は、各気筒のシリンダ33内部への空気流入が間欠的に発生することにより起こる。したがって、脈動の周波数成分は内燃機関30の回転速度により変化し、その脈動の変動レベルは、例えば4気筒の内燃機関30なら2次成分が最も大きくなる。発生する脈動の周波数は内燃機関30に備えられるクランク角信号40により把握することができる。また、脈動発生タイミングは吸気弁31の開弁に同期するため、脈動の位相はクランク角信号40により把握できる。
【0013】
さらに、スロットルバルブ開度信号41が制御装置4に供給される。スロットルバルブ23の上流側における吸入空気の圧力変動レベルはスロットルバルブ23の開弁率により変化するため、スロットルバルブ開度信号41を参照することにより吸入空気の圧力変動レベルを把握可能である。
そして、制御装置4は、クランク角信号40やスロットル開度信号41その他の吸気に関する情報を入力し、入力情報に基づき吸気音に干渉させる制御音を演算し、その制御音とする駆動信号42を生成して、上記電磁ソレノイド3bに出力する。
【0014】
次に、上記制御装置4の処理(制御装置4による流量調整装置3の具体的な駆動制御手順)の例について説明する。
まず、制御装置4には、クランクシャフト34に設けられた図示されてないロータの信号歯を検出し、そのパルス信号を出力する図示されていないクランク角センサの出力信号であるクランク角信号40、及びスロットルバルブ23の開度を検出しその開度に応じた電圧信号を出力するスロットルバルブ開度信号41が入力される。
【0015】
上記クランク角信号40は、図4に示すように、クランクシャフト34の回転角10° CA間隔でパルスが存在し、クランクシャフト34の回転位置を把握するために180°CA毎に歯抜けが設けられた信号であるため、この信号より内燃機関30の回転速度Ne、クランクシャフト34の回転位置が把握できる信号となっている。また、図4に示すスロットルバルブ開度信号41は、吸気配管22の経路上に設置されたスロットルバルブ23の開度を検出し出力される信号であり、その特性は図5に示すように出力電圧が高いほどスロットルバルブ23の開度が大きいことを示している。
【0016】
そして、制御装置4は、このクランク角信号40およびスロットルバルブ開度信号41を用いて負圧切換弁駆動信号42を生成、出力する。
これを図6に示すフローを参照して説明すると、所定サンプリング時間毎に、次の処理が行われ、まずSTEP10にて、クランク角信号40、スロットルバルブ開度信号41の信号を入力する。
次に、STEPS20にて、クランク角信号40のクランク回転角180° CA毎にある歯抜け部分を検出し、歯抜け後1パルス目の立下りを負圧切換弁駆動信号42の位相基準とする。さらに歯抜け発生の周期を算出し、これより内燃機関30の回転速度NEを算出する。また、スロットルバルブ開度信号41の電圧値Vsvを検知する。
【0017】
次に、STEPS30及び40にて、上記内燃機関30回転速度NEとスロットルバルブ開度信号41の電圧値Vsvを用いて、図7に示すような弁3のDuty比制御マッブおよび位相制御マップに基づき、Duty比と位相の値を選定する。本マップは内燃機関30の回転速度NEとスロットルバルブ開度信号41の電圧値vsvの値を軸としたマップでそれぞれには流量調整装置3駆動信号42の特性を決めるDuty比と前述の位相基準を基とした位相が記憶されており、これらの値に基づき流量調整装置3駆動信号42を生成、出力する。
【0018】
図4では、Duty比は(A/B)、位相はCとなる。
ここで、制御マップに記されるDuty比と位相は、評価点における吸入空気の脈動、または、この脈動を元に発生する放射音などの騒音について、図8のように(エンジン基本次数×N成分)は増音、その他の周波数成分は消音するように実験などにより求めた値を用いる。
【0019】
上記評価点は、脈動の大きさを評価する場合は、内燃機関30への空気の吸入経路上の任意の点、また騒音レベルの大きさを評価する場合は、吸気配管22の空気取り入れ口21の近接音や車室内の騒音レベルであり、内燃機関30の回転速度NEに応じて、つまりは脈動の発生周波数に応じて評価点を使い分けたり、複数の評価点を重み付けし、和をとったものを用いても良い。
また、上記説明では、上記制御装置4への入力信号してクランク角信号40及びスロットル開度信号41を例示しているがこれに限定されない。例えば、エアフローメータからの信号や負圧センサからの信号を使用しても良い。
【0020】
エアフローメータは、内燃機関30の制御のため吸気配管22の経路上に設けられる。エアフローメータは、吸気配管22に流入する空気量を逐次計測するものであるため、エアフローメータからの信号によって、脈動による流入空気量の変動も検知できる。よってこのエアフローメータの出力信号により、その場所における脈動の変動レベルおよび位相が把握可能である。
また、負圧センサは、内燃機関30の制御のため吸入空気の経路上に設けられる。負圧センサは、流入空気の圧力を逐次計測するものであるから、脈動による流入空気の圧力変動も検知する。これによって、このセンサ出力によりその場所における脈動の変動レベルおよび位相が把握可能である。
【0021】
次に、上記構成の作用・効果について説明する。
内燃機関30の空気の吸入経路上に圧力発生装置2を設け、それによって発生する圧力の振幅、位相を、吸入空気の脈動、もしくはこれに起因する振動、騒音が所望の特性になるように調整することで、脈動により発生する吸気音による振動、騒音を所望の特性にすることが可能となる。
また、従来では、制御音発生のために重量物であるスピーカ及びそれに付随する装置が必要であったが、本実施形態では、重量が軽く、新たなマイクロフォン等の検出センサを用いず廉価であり、スピーカ、アンプ等を用いないため小さい消費電力で実現可能である、等の利点を有する。すなわち、制御音を発生させるエネルギーとして、既存の流路を流れる流体を利用するために、流量調整装置3の駆動に要するエネルギーだけで制御音を発生させることが出来る。
【0022】
また、既設の流路として吸気配管22を使用することで、加速時のみ流体の流れ、つまり加速時のみ弾性体8に負圧を付与して制御音を発生出来ることから、吸気音を聞かせたい加速時のみ音を発生させることが出来る。
また、上述のように、吸気音の周波数成分のうち、エンジン基本次数×N成分の音を強調して、他の周波数成分を打ち消すようにすると、加速時の吸気音を運転操作する運転者にとって心地よい音にすることが出来る。もっとも、発生する制御音は、これに限定されず、加工後の吸気音に応じて適宜制御すればよい。
【0023】
また、上記制御音発生部2の設定位置を、車幅方向において、車両中心よりも運転者側に偏心して配置すると良い。この場合には、運転操作する運転者が、運転操作と吸気音との変化の関係を把握しやすくなるため、吸気音の効果を最もよく体感することができる。
ここで、本実施形態では、内燃機関30によって発生する吸入負圧と大気圧との圧力差を用いて圧力発生装置2を駆動する方法を用いて説明したが、過給機による過給圧と大気圧の圧力差等を用いても構わない。
【0024】
また、バイパスする既存の既存流路として吸気配管22を使用する場合を例示したが、図9に示すように、ラジエータとラジエータポンプとを結ぶ流路、図10に示すように、ステアリングラックとステアリングポンプとを結ぶ流路を、既存流路として使用し、それぞれをバイパスした場合においてもシステムの動作は同じである。
また、上記実施形態として、平板状の弾性として、可動板8aとバネ8bからなるものを例示したが、弾性膜で構成しても良い。
【0025】
また、流量調整装置3として流量調節弁を例示したが、圧力調節弁を使用して流体通路10に付与されている流体の開放量を調整しても良い。
また、上記実施形態では、制御音発生部2を1つ用いた例で説明を行ったが、複数個設けても構わない。
また、流量調整装置3として電磁式の弁を用いているが、機械式の切換弁を用いても良い。
また、駆動信号42を生成するために制御マップを用いる制御方法を示したが、他の制御方法で各信号を生成しても構わない。
また、吸気音制御装置1の制御装置4を個別に設置する場合を例示したが、内燃機関30の制御装置等の別の制御装置内部に本制御プログラムを内蔵しても構わない。