【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図1および2を参照しながら説明する。
【0019】
図2は、本発明の芳香コーヒーオイルの製造方法に用いる抽出済みコーヒー豆からオイルを搾油する装置の一例である。
【0020】
コーヒー炒り豆は、通常15〜16重量%程度のオイル分を含んでいる。缶コーヒーなどの製造用に、前記コーヒー炒り豆を100℃以下の水で抽出した後のコーヒー豆には、約8〜12重量%程度のオイル分が残存している。
【0021】
このような抽出済みのコーヒー豆を乾燥させて水分を除去した後、例えば図2の搾油装置に、入口14から投入し、80℃程度に加温し、エキスペラー17で搾油する。搾油されたコーヒーオイルは、出口15から排出される。得られたオイルは、ほとんど味香を呈しない。搾油後の残滓は、出口16から排出される。
【0022】
図1は、本発明の工程(1)〜(3)で使用される装置の一例を示す。密閉され外界と遮断された粉砕機1と、ガス捕集装置2と、送ガスポンプ3とからなり、その間はシリコン製、テフロン(登録商標)製またはステンレス製等の配管10で接続されている。粉砕機1にはガス入口4が設けてあり、三方コック5により不活性ガス6または送ガスポンプ3通過後の粉砕ガスを導入したり、循環させることができる。
【0023】
密閉された粉砕機としては、粉砕中に発生するガスが装置外に放出されない構造を有するものであれば特に制限されるものではない。たとえば、金属製またはプラスチック製の密封容器の胴体下部に回転式のステンレス製等のカッター9を備え、胴体横にガス入口4、上部にガス出口8を設けたもの(大型機としてはスカニマ社製、混合粉砕装置ターボミキサSRB-50)、あるいは通常のロール型の粉砕機(ビュラー社製SKV1250 )等を外界と遮断されたハウジング内(ハウジングにはガス入口とガス出口を設けている)に設置したもの等が挙げられる。
【0024】
粉砕機1にコーヒー豆7を充填し、所定の時間、所定の回転数で粉砕する(工程1)。
【0025】
粉砕時ならびに粉砕後に発生するコーヒー粉砕ガスを、ガス出口8からガス捕集装置2に導入する(工程2)。
【0026】
このとき、粉砕と同時または粉砕後に粉砕機1内にガス入口4から不活性ガス6を導入し、発生したコーヒー粉砕ガスを搬送させることが好ましい。
【0027】
前記不活性ガスは特に制限されるものではないが、扱いやすさや費用の点から窒素ガスまたは炭酸ガスであることが好ましく、窒素ガスがより好ましい。
【0028】
粉砕機1のガス出口8は、ガス捕集装置2の配管10と接続しており、配管10は、ガス捕集装置2内の下方部で開口している。粉砕ガスは、ガス出口8から配管10を通って配管10の先端の開口部からガス捕集装置2内のコーヒーオイル中に導入される。
【0029】
ガス捕集装置2は、ガラスまたはステンレス製の密封容器で、内部にコーヒーオイルを充填でき、コーヒーオイル充填後に埋没される位置に小孔径の開口部を有する配管10を配置する。必要に応じて、ガス捕集装置2は複数個連結することができる。
【0030】
ガス捕集装置2内のコーヒーオイルに導入された粉砕ガスは、コーヒーオイルとの接触中にガスに含まれるアロマ成分がコーヒーオイルに捕集される(工程3)。
【0031】
アロマ成分が捕集された粉砕ガスは、コーヒーオイルを通過し、当該装置上部に設けられたガス捕集装置出口11から送ガスポンプ3により搬出され、三方コック12により装置外に排出されるか、または粉砕機のガス入口4に再度導入され、粉砕コーヒー豆を通過して再度コーヒーオイルに導入される。
【0032】
また、ガス捕集装置2は、所定の温度に設定された恒温槽13中に設置することにより、捕集オイルの温度を一定範囲内に調節することができる。
【0033】
ここで得られた捕集オイルは、本発明の芳香コーヒーオイルとなる。
【0034】
次に、本発明の工程(1)〜(3)について説明する。
【0035】
工程(1)について
焙煎コーヒー豆の粉砕サイズは、粒度を細かくするにつれて、単位時間当たりのコーヒーオイルに対するアロマ成分の捕集量は多くなる。しかしながら、アロマ成分を捕集した後の粉砕コーヒー豆から抽出液を採取する場合は、あまりに細かい粒度では通常のドリップ型やカラム型の抽出器を用いて抽出したときに、粉砕コーヒー豆が抽出液の通過を閉塞させて抽出品質に問題を発生させることがある。そこで、粉砕ガスの発生量と抽出操作を考慮し、最適な条件を決めることが好ましい。一般的な工業用ドリップ抽出機を用いた場合、粉砕コーヒー豆の粒度は、1.7mm(10mesh)以上が4〜60%、好ましくは5〜50%が適している。コーヒー豆の粒度は、標準ふるいを用いて測定した値である。なお、粉砕コーヒー豆から抽出液を採取しない場合は、できる限り細かい粒度に粉砕することが好ましい。
【0036】
粉砕時の温度は、アロマ成分を含むコーヒー粉砕ガスの発生量に影響を与える。一般的には、雰囲気温度の上昇により気体の拡散速度は増加するため、粉砕ガス発生量は増加し、短時間で捕集量を稼ぐことができる。ただし、粉砕コーヒー豆から抽出液を採取する場合は、80℃以上の温度で行うと当該コーヒー豆から抽出されるコーヒー液の品質を劣化させる可能性があり、80℃未満の温度で最適な条件を決めることが好ましい。
【0037】
工程(2)について
放出されたコーヒー粉砕ガスは、ガス捕集装置内のコーヒーオイルに導入・接触させる。コーヒーオイルは、前記したように抽出済み粉砕コーヒー豆から搾油したものを100%使用することができる。また、本発明の効果を損なわない程度に従来法で得られたコーヒーオイルを混合してもよい。ただし、混合する場合は、従来法で得られたコーヒーオイルの割合は、50%以下程度に押えることが好ましい。
【0038】
アロマ成分のコーヒーオイルに対する溶解量は、一般にコーヒーオイルを低温にすることにより増加するが、低温下でのコーヒーオイルの物性と捕集されるアロマ成分の量と質を考慮し、5℃〜50℃、好ましくは5℃〜25℃、より好ましくは5℃〜10℃に調整する。
【0039】
粉砕コーヒー豆への不活性ガスの流速ならびに循環される粉砕ガスの流速は、コーヒー粒子の内部からのコーヒー表面へのアロマ成分の拡散速度を促す目的で適宜設定することができる。通常、粉砕コーヒー豆100g当たり0.1〜0.4L/分程度であれば、粉砕ガスの発生効率に影響を与えず、実際的な範囲である。
【0040】
また、粉砕コーヒー豆への不活性ガスおよび循環される粉砕ガスの流量または送風期間の増加は、粉砕コーヒー豆から新たな粉砕ガスの放散を増大させるが、一定の流量または送風期間を超えると次第に減少し、効果は低くなる。
【0041】
実際的には、粉砕コーヒー豆の粒子が1.7mm(10mesh)以上の粒径を4%〜60%程度含む場合、粉砕コーヒー豆100g当たり3.5〜30L送風することが好ましく、10〜25Lがより好ましい。
【0042】
工程(3)について
粉砕ガスの捕集に要するコーヒーオイルの量は、粉砕時に発生するアロマ量およびアロマ成分の溶解度等に応じて適宜設定されるものであり、特に限定されるものでない。
【0043】
アロマ成分とコーヒーオイルとの接触は、ガス分散型の気泡塔もしくは泡鐘塔等または液分散型のスクラバーもしくは多管式濡れ壁塔等を用いることが好ましいが、効率的な接触を可能にする装置であれば、特に限定されるものではない。
【0044】
コーヒー粉砕ガスを搬送させてコーヒーオイルと接触させた後、接触後のコーヒー粉砕ガスを再度粉砕機に導入し、粉砕コーヒー豆とコーヒーオイルとの間を循環させることが好ましい。循環させることにより、粉砕ガスのコーヒーオイルに対する接触効率やアロマ成分の捕集効率を高めると同時に、コーヒーオイルに吸収されなかった粉砕ガス中のアロマ成分は、再度粉砕コーヒー豆に吸着されるため、その後に行う抽出において抽出液の品質の向上に効果的である。
【0045】
このようにして粉砕ガスを捕集したコーヒーオイルは、本発明の芳香コーヒーオイルとなり、本発明の芳香食品の製造方法で使用される。
【0046】
本発明の芳香食品の製造方法は、前記芳香コーヒーオイルを食品に添加することを特徴とする。
【0047】
添加対象の食品は、コーヒーのアロマを付与して芳香に富む食品を製造することを目的とするものであれば特に限定されるものではないが、例えば、コーヒー製品、菓子、パンが好ましい。
前記コーヒー製品は、インスタントコーヒー、レギュラーコーヒー、コーヒー飲料、コーヒーゼリーなどが好適な例としてあげられ、製造過程でアロマの損失が大きいインスタントコーヒーがより好ましい。
【0048】
前記菓子は、ケーキ、ムース、プディング、クッキー、ビスケット、キャンディー等の洋菓子、寒天、羊羹、饅頭などの和菓子が好適な例としてあげられる。
【0049】
前記パンは、食パン、フランスパン、コッペパン、ベーグル、菓子パン等が好適な例としてあげられる。
【0050】
コーヒーオイルの添加方法は特に限定されないが、食品の製造過程で原材料と直接混合する方法、食品の完成品に注射針のようなノズルで直接添加する方法、流動層にスプレー装置を備えた造粒コーティング装置を用いて添加する方法などがあげられる。
【0051】
インスタントコーヒーに添加する場合、スプレーノズル等を用いてインスタントコーヒーに直接噴霧する方法や、流動層にスプレー装置を備えた造粒コーティング装置を用いて添加する方法などがあげられる。
【0052】
また、本発明は、前記芳香食品の製造方法により得られた芳香食品に関する。
【0053】
芳香食品としては、前記した食品にコーヒーのアロマを付与したものがあげられるが、製造過程でアロマの損失が大きいインスタントコーヒーを芳香化して得られる芳香インスタントコーヒーが特に好ましい。
【0054】
インスタントコーヒーは、その製法上、特に低沸点から中沸点の香気成分が失われている。焙煎コーヒー豆から圧搾等により得られる従来のコーヒーオイルは、2−メチルフラン、フラン、イソバレルアルデヒドなどの低沸点の香気成分、ジアセチル、2,3−ペンタンジオン、ピリジン、ピラジン等の中沸点成分が含まれるが、フルフラール、酢酸などの高沸点成分が多く含まれる。このようなコーヒーオイルをインスタントコーヒーに添加した場合、添加量を増やすにつれて高沸点の香気成分の割合が増加し、香りのバランスを崩す傾向がある。本発明の芳香コーヒーオイルは、実施例に示すように、従来品に比べて低沸点および中沸点の香気成分の割合が高く、不足する香気成分を補って香りバランスの優れたインスタントコーヒーを製造するための芳香剤として特に有用である。
【0055】
[実施例]
以下、実施例等により本発明を詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例等により何ら限定されるものではない。
【0056】
[製造例1]
コーヒーオイルの調製
本発明の芳香コーヒーオイルを製造するための原料となるコーヒーオイルの調製を、以下のように行った。
【0057】
工業用に抽出された後のコーヒー豆を、130℃の乾燥機で約2時間加熱乾燥(コーヒー豆の温度は80℃程度)し、水分量を8.5重量%程度にまで減少させた。
【0058】
前記加熱乾燥したコーヒー豆を、1軸のエキスペラー搾油装置(スエヒロEPM株式会社製、V−01)に投入し、ゲージバースリット0.3mm、シャフト回転数12.5rpmの条件で搾油した。得られたコーヒーオイルは、コーヒー豆約1kgで0.075kgであった。
【0059】
[製造例2]
従来法によるコーヒーオイルの調製
コーヒーテクノロジー(Coffee Technology),Sivets & Desrosier,AVI Publishing, 1979,第2章にもあるように、焙煎したアラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種のコーヒー豆を、2軸のエクスペラー搾油装置(例えば、V.D.Anderson社製)に投入し、ゲージバースリットを2〜3/1000インチ幅に調整し、シャフト回転数20rpmの条件で搾油する。得られたコーヒーオイルは、コーヒー豆約1kgで0.07kg程度である。
【0060】
[実施例1]
芳香コーヒーオイルの調製
製造例1で得られたコーヒーオイル200gを、図1に示す装置(ガス捕集装置2を1個連結して使用)のガス捕集装置2に充填した。工業用コーヒー炒り豆コロンビア210gを粉砕機1に投入し、粉砕した。粉砕と同時に500ml/分の速度で粉砕機1のガス入口4から窒素ガスを送り、粉砕アロマとともにガス出口8から出て、配管10を通り、前記コーヒーオイルを充填したガス捕集装置2に導入した後、ガス捕集装置出口11から出て、粉砕機1のガス入口4に再循環させた。この循環を43.5分繰り返し、最終的に三方コック12からガスを排出した。前記粉砕したコーヒー炒り豆を、新しい炒り豆と交換して粉砕し、窒素ガスによる循環を繰り返した。この操作を8回繰り返し、芳香コーヒーオイルを得た。
【0061】
[比較例1]
芳香コーヒーオイルの調製
実施例1において、コーヒーオイルとして製造例2で得られた従来法によるコーヒーオイルを200g使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例の芳香コーヒーオイルを得た。
【0062】
[コーヒーオイルの評価]
製造例1、2、実施例1および比較例1で得たコーヒーオイルについて、ガスクロマトグラフィーによる香気量の測定と専門パネルによる官能評価を行った。参考のため、粉砕したレギュラーコーヒーおよびインスタントコーヒーの粉末についても、ガスクロマトグラフィーによる香気量を測定した。
【0063】
各試料を一定量バイアル瓶に採取し、密栓した。密栓したバイアル瓶を、Tekmar社製ガスクロマトグラフィー用オートサンプラ(Tekmer−7000)にて80℃で20分間加温した後ヘッドスペース部の揮発ガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析した。
【0064】
測定条件
測定装置:日立製ガスクロマトグラフィーG−3000
カラム:ジーエルサイエンス(株)製TC−WAX 0.53mm×30m
キャリヤーガス:ヘリウム
キャリヤーガス流量:1ml/分
カラム温度:40℃(5分)→220℃(5℃/分で昇温)
検出器:FID。
【0065】
ガスクロマトグラフィー分析によるピークの総面積を、総香気量として算出した。また、各ピークを分析時のカラム温度を基に下記のように4つのエリアに分類し、各エリア別のピーク面積を算出し、総香気面積を100%として比較した。
高沸点エリア:カラム温度101℃〜220℃
中沸点2エリア:カラム温度76℃〜100℃
中沸点1エリア:カラム温度41℃〜75℃
低沸点エリア:カラム温度40℃。
結果を表1および2に示す。官能評価は専門パネル6名により、各試料の加熱風味の強さ、甘い香の強さ、酸臭の強さを、絶対評価にて、非常に強い、強い、弱い、なしの4段階で評価した。
【0066】
【表1】

表1より、インスタントコーヒーの香りは、粉砕したレギュラーコーヒー豆に較べ、香り量が少なく、低沸点成分の構成比が低く高沸点成分の構成比が高い。また、インスタントコーヒーの香気成分は、加熱により生成する成分であるフルフラールと酢酸のピーク(B)に対して、粉砕時の香りの主要成分である2−メチルフランのピーク(A)の割合(A/B)が小さいことが特徴である。
【0067】
【表2】

表2より、製造例2で得られた従来法のコーヒーオイルの香りは、一般的な粉砕コーヒー炒り豆に較べ、低沸点の構成比が低く、高沸点の構成比が高い。また、フルフラールと酢酸に対する2−メチルフランの割合(A/B)が小さく、官能的にも刺激的な酸味を伴った。製造例2のコーヒーオイルを用いた比較例1の芳香コーヒーオイルは、総香気量とA/B値が増加した。
【0068】
一方、製造例1で得られた抽出済みコーヒー豆から搾油したコーヒーオイルは総香気量が低く、官能的にも殆ど無臭であった。このオイルを用いた実施例1の芳香コーヒーオイルは、低沸点成分を中心にして総香気量の増加が認められ、A/B値が非常に大きくなった。また、官能的にも粉砕時の甘い、芳ばしい香りがした。
【0069】
[実施例2]
インスタントコーヒーとして、ブラジル産のコーヒー豆を焙煎し、抽出、濃縮、凍結乾燥した工業用インスタントコーヒーを使用し、実施例1で得られた芳香コーヒーオイルを噴霧コーティングした。噴霧量は、インスタントコーヒーの重量に対して0.2重量%とした。噴霧コーティングは、ヤマト科学株式会社製流動造粒装置パルビスミニベットGA−21で行った。噴霧コーティングしたインスタントコーヒー100gをガラス瓶に充填し、紙・アルミ・プラスチックからなる蓋材でシールした。
【0070】
[実施例3]
実施例2において、芳香コーヒーオイルの噴霧量を0.5重量%としたこと以外は実施例2と同様にして、瓶詰の噴霧コーティングしたインスタントコーヒーを得た。
【0071】
[比較例2]
実施例2において、比較例1の芳香コーヒーオイルを0.2重量%用いたこと以外は実施例2と同様にして、瓶詰の噴霧コーティングしたインスタントコーヒーを得た。
【0072】
[比較例3]
実施例2において、比較例1の芳香コーヒーオイルを0.5重量%としたこと以外は実施例2と同様にして、瓶詰の噴霧コーティングしたインスタントコーヒーを得た。
【0073】
[インスタントコーヒーの評価]
1)ガスクロマトグラフィーによる分析方法
実施例2、3および比較例2、3で得た瓶詰試料は、そのヘッドスペース部の香気成分をガスクロマトグラフィーにて分析した。対照として、未コーティングのインスタントコーヒーを瓶詰した試料も同様に評価した。
【0074】
前記瓶詰試料の蓋にゴム製シートを貼り、スペルコ製SPMCサンプラーシリンジ(固定相:Carboxen/PDMS)を注入し、吸着ファイバーを暴露し、ヘッドスペース部の香気成分を30分間吸着させた後、吸着ファイバーをGC注入口に挿入し、加熱脱着した。
【0075】
ガスクロマトグラフィー測定条件
測定装置:(株)島津製作所製 ガスクロマトグラフィー GC−14A
カラム:ジーエルサイエンス(株)製 TC−WAX 0.53mm× 30m
キャリヤーガス:ヘリウム
キャリヤーガス流量:1ml/分
カラム温度:40℃・5分 → 220℃(5℃/分で昇温)
検出器:FID
注入口温度:180℃
スプリット比:設定比1:2
ガスクロマトグラフィー分析によるピークの総面積を、総香気量として算出した。また、各ピークを分析時のカラム温度を基に下記のように4つのエリアに分類し、各エリア別のピーク面積を算出し、総香気面積を100%として比較した。
高沸点エリア:カラム温度101℃〜220℃
中沸点2エリア:カラム温度76℃〜100℃
中沸点1エリア:カラム温度41℃〜75℃
低沸点エリア:カラム温度40℃
結果を表3に示す。
【0076】
2)瓶開封時の香りの官能評価
瓶詰された各インスタントコーヒーを6名の専門パネルが各自開封し、その直後の瓶ヘッドスペースの香りの特徴を評価した。官能評価は専門パネル6名により、各試料の加熱風味の強さ、甘い香の強さ、酸臭の強さを、絶対評価にて、非常に強い、強い、弱い、なしの4段階で評価した。結果を表4に示す。
【0077】
【表3】

表3より、コーヒーオイルを噴霧した実施例品および比較例品は全て、未コーティングのインスタントコーヒーに較べ、総香気量が増加し、また、フルフラールと酢酸(B)に対する2−メチルフラン(A)の割合(A/B)が大きくなった。次に、実施例品と比較例品とで同じコーティング率の品を比較すると、実施例品の方がA/B値が大きく、インスタントコーヒー特有の加熱風味が軽減されるとともに、レギュラーコーヒーの香気構成(表1を参照のこと)に近づいており、香気バランスの良いインスタントコーヒーが得られたことがわかる。
【0078】
【表4】

表4より、未コーティングのインスタントコーヒーは加熱臭、刺激的な酸臭が非常に強いものであり、実施例1および比較例1で得たコーヒーオイルをコーティングすることで加熱臭の軽減が認められた。次に、実施例品と比較例品とで同じコーティング率の品を比較すると、実施例品の方が加熱臭と刺激的な酸臭が軽減するとともに、甘い香りが強くなり、より好ましい香気を有するインスタントコーヒーが得られたことがわかる。