【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空を有し、平均繊維径50〜500nm、平均アスペクト比が50〜1000である炭素繊維1〜30質量%と樹脂99〜70質量%とからなり、樹脂中の炭素繊維凝集体とそれを構成する炭素繊維1本の体積比(炭素繊維凝集体/炭素繊維単体)が1500以下であることを特徴とする導電性樹脂組成物。
【請求項2】
炭素繊維のBET比表面積が3〜50m2/gであり、平均面間隔d002が0.345nm以下であり、かつラマン散乱スペクトルの1341〜1349cm-1のバンドのピーク高さ(Id)と1570〜1578cm-1のバンドのピーク高さ(Ig)の比(Id/Ig)が0.1〜1.4である請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
【請求項3】
炭素繊維表面から分岐する繊維が5個/本以下である請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
【請求項4】
樹脂が、熱可塑性樹脂、熱熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂である請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
【請求項5】
樹脂組成物中の炭素繊維凝集体の平均径が0.2〜10μmである請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
【請求項6】
樹脂組成物の任意断面における炭素繊維凝集体の面積率が5%以下である請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
【請求項7】
体積固有抵抗が1010Ωcm以下である請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
【請求項8】
導電性樹脂組成物と原料樹脂のアイゾッドノッチ付き衝撃値の比(導電性樹脂組成物/原料樹脂)が0.9以上である請求項7に記載の導電性樹脂組成物。
【請求項9】
溶融した熱可塑性樹脂99〜70質量%に、中空を有し、平均繊維径が50〜500nm、平均アスペクト比が50〜1000である炭素繊維1〜30質量%を混合し、混合するときのエネルギーが1000MJ/m3以下であることを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
【請求項10】
液状の熱硬化性樹脂前駆体99〜70質量%に、中空を有し、平均繊維径50〜500nm、平均アスペクト比が50〜1000である炭素繊維1〜30質量%を混合し、混合するときのエネルギーが1000MJ/m3以下であることを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
【請求項11】
液状の光硬化性樹脂前駆体99〜70質量%に、中空を有し、平均繊維径50〜500nm、平均アスペクト比が50〜1000である炭素繊維1〜30質量%を混合し、混合するときのエネルギーが1000MJ/m3以下であることを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
【請求項12】
混練機のホッパーからペレット状の熱可塑性樹脂99〜70質量%を投入し、中空を有し、平均繊維径50〜500nm、平均アスペクト比が50〜1000である炭素繊維1〜30質量%をサイドフィードすることを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
【請求項13】
パウダー状の熱可塑性樹脂99〜70質量%と中空を有し、平均繊維径50〜500nm、平均アスペクト比が50〜1000である炭素繊維1〜30質量%を混合し、次いでこの混合物を溶融混練することを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
【請求項14】
熱硬化性樹脂99〜70質量%と中空を有し、平均繊維径50〜500nm、平均アスペクト比が50〜1000である炭素繊維1〜30質量%を混合し、次いでこの混合物を加熱し硬化させることを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物を用いた帯電防止材料。
【請求項16】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物を用いた導電性塗料。
【請求項17】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物を用いた導電性接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などの樹脂マトリックス中に導電性フィラーの凝集体を形成することなく、均一かつ単分散することができる導電性樹脂組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
更に詳しくは、原料組成および反応時における原料濃度を調整して製造した分岐の少ない炭素繊維を用いることにより、樹脂混合時に繊維の破断を起こさず容易に凝集体が解れ、かつ少量で三次元のネットワーク構造を形成することのできる導電性樹脂組成物およびその製造方法に関する。
【0003】
また、本発明は、機械的強度の低下を招くことなく導電性を付与するフィラー材として、あるいはFED(フィールドエミッションディスプレー)用の電子放出素材として、透明電極、電磁遮蔽、帯電防止材料、導電性塗料、導電性接着剤、二次電池などに有用な導電性樹脂組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0004】
炭素繊維は、その高強度、高弾性率、高導電性等の優れた特性から各種の複合材料に使用されている。近年のエレクトロニクス技術の発展に伴い、電磁波遮蔽材、静電防止材用の導電性フィラーとして、あるいは樹脂への静電塗装のためのフィラーや、透明導電性樹脂用のフィラーとしての用途が期待されている。また、摺動性及び耐磨耗性が高い材料として電気ブラシ、可変抵抗器などの応用にも期待されている。さらに、高導電性、熱伝導性、耐エレクトロマイグレーションを有するため、LSI等のデバイスの配線材料としても注目を浴びている。
【0005】
従来の有機繊維を不活性雰囲気中で熱処理して、炭化することにより製造されているポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、セルロース炭素繊維などは繊維径が5〜10μmと比較的太く、導電性があまりよくないため、主に樹脂やセラミックス等の補強材料として広く用いられてきた。
有機繊維由来の炭素繊維が主として補強用フィラーとして用いられてきた理由は、繊維が剛直であるため樹脂との混練時に繊維の破断が進行し、通常30質量%程度添加しなければ所望の導電性が得られなかったことや、繊維が剛直でかつ太いため、成形体中で繊維が配向しやすかったことも挙げられる。この結果、収縮率の異方性に起因する成形体の反りが生じ、また炭素繊維が成形体表面に現れて成形体の表面粗さが大きくなるという問題があった。
このような理由で有機繊維由来の炭素繊維を含む樹脂組成物は、静電気を散逸させるために絶縁性の高い樹脂に導電性を付与し、かつ寸法精度が要求される精密成形や、電子機器部品などのように容器との接触によりスクラッチング傷を発生させてはならない良好な表面平滑性が要求される成形には不向きとされてきた。
【0006】
1980年代に遷移金属触媒の存在下で炭化水素等のガスを熱分解によって生成する気相法炭素繊維の研究がされるようになり、繊維径が0.1〜0.2μm(100〜200nm)程度の炭素繊維が得られるようになった。
【0007】
近年では気相成長炭素繊維より繊維径の細いカーボンナノチューブの研究が盛んである。カーボンナノチューブの製造方法には、アーク放電法やレーザー蒸発法、化学的気相成長法などがある。例えば、アーク放電法では、触媒金属を練り込んだ電極間でアーク放電し、3000℃以上の高温とすることによりカーボンおよび触媒を蒸発させ、それらの冷却過程において触媒金属粒子表面からカーボンナノチューブを生成させるというものである。
【0008】
通常、生成した気相成長炭素繊維やカーボンナノチューブの大部分は互いに絡まりあっており、シート状あるいは塊状の堆積物として回収される。この堆積物は樹脂等に分散させることが困難であり(特許文献1)、(1)前処理としてボールミルやビーズミル(特許文献2)などによる粉砕を行った後、樹脂に混ぜたり、(2)最近では樹脂と堆積物を混練する際、トライボロジー的粉砕(固相剪断)により堆積物を破壊しながら樹脂へ分散する手法(特許文献3)が提案されている。
【0009】
前者(1)は大きな凝集塊を粉砕し、凝集塊を小さくさせ、樹脂に分散させやすくするものである。しかし、通常の押出機による混練では、凝集塊をさらに微細化させることができず、多量のフィラーを添加しなければ導電ネットワークを形成することができない。このとき導電のネットワークを構成しているものは微小凝集塊である。
【0010】
後者(2)は樹脂混練時に高剪断力をかけるものであり、凝集塊の破壊と同時にフィラーの粉砕を進行させ、導電性フィラーの均一、単分散を図るものである。しかし、導電性付与の観点から見れば樹脂に導電性フィラーを添加した場合、アスペクト比の大きな粒子を入れた方がより少量で導電性が得られると報告されており、この凝集塊の破壊と同時にフィラーの粉砕を伴う方法では気相成長炭素繊維またはカーボンナノチューブの長所・利点を半減させてしまい、理想(繊維の粉砕が起きず、樹脂中に均一分散した)系よりも多量のフィラーを添加しなければ導電ネットワークを形成することができない。
【0011】
【特許文献1】特開2002−129023号公報
【特許文献2】特開2003−308734号公報
【特許文献3】特開2002−347020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、従来の方法より少ない導電性フィラー配合量で、従来と同等もしくはそれ以上の導電性を得るために、炭素繊維一本一本を出来るだけ均一に単分散させ、効率よく導電ネットワークを形成することができる導電性樹脂およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
従来より少ない導電性フィラー配合量で従来と同等、もしくはそれ以上の導電性を得るためには、フィラー面においては、合成時における原料組成、原料濃度、さらには生成時の気相成長炭素繊維濃度をコントロールし、繊維同士の三次元的絡み合いを出来るだけ防止することが重要である。他方、樹脂混合時においては、(1)樹脂と導電性フィラーを混合する際の剪断力を抑制し、フィラーの切断を可及的に抑えること、(2)混練による導電性フィラーのマトリックス樹脂への過分散を抑え、導電性を発現させるために必要なネットワーク構造を形成・維持することが重要であることを見出した。
【0014】
これらフィラーの性質、および混練方法の検討により、導電性樹脂組成物中に導電性フィラーの凝集体を可及的に残存させず効率よく導電ネットワークを形成することにより、少量のフィラー添加で高い導電性を樹脂に付与することができることを見出した。また、炭素繊維の配合量低減、及び均一分散は、樹脂本来の機械的強度の低下の抑制につながることも確認した。
【0015】
本発明によれば以下の導電性樹脂組成物およびその製造方法が提供される。
[1]中空を有し、平均繊維径50〜500nm、平均アスペクト比が50〜1000である炭素繊維1〜30質量%と樹脂99〜70質量%とからなり、樹脂中の炭素繊維凝集体とそれを構成する炭素繊維1本の体積比(炭素繊維凝集体/炭素繊維単体)が1500以下であることを特徴とする導電性樹脂組成物。
[2]炭素繊維のBET比表面積が3〜50m
2/gであり、平均面間隔d
002が0.345nm以下であり、かつラマン散乱スペクトルの1341〜1349cm
-1のバンドのピーク高さ(Id)と1570〜1578cm
-1のバンドのピーク高さ(Ig)の比(Id/Ig)が0.1〜1.4である前記1に記載の導電性樹脂組成物。
[3]炭素繊維表面から分岐する繊維が5個/本以下であることを特徴とする前記1に記載の導電性樹脂組成物。
[4]樹脂が、熱可塑性樹脂、熱熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂である前記1に記載の導電性樹脂組成物。
[5]樹脂組成物中の炭素繊維凝集体の平均径が0.2〜10μmである前記1に記載の導電性樹脂組成物。
[6]樹脂組成物の任意断面における炭素繊維凝集体の面積率が5%以下である前記1に記載の導電性樹脂組成物。
[7]体積固有抵抗が10
10Ωcm以下である前記1に記載の導電性樹脂組成物。
[8]導電性樹脂組成物と原料樹脂のアイゾッドノッチ付き衝撃値の比(導電性樹脂組成物/原料樹脂)が0.9以上である前記7に記載の導電性樹脂組成物。
[9]溶融した熱可塑性樹脂99〜70質量%に、中空を有し、平均繊維径が50〜500nm、平均アスペクト比が50〜1000である炭素繊維1〜30質量%を混合し、混合するときのエネルギーが1000MJ/m
3以下であることを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
[10]液状の熱硬化性樹脂前駆体99〜70質量%に、中空を有し、平均繊維径50〜500nm、平均アスペクト比が50〜1000である炭素繊維1〜30質量%を混合し、混合するときのエネルギーが1000MJ/m
3以下であることを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
[11]液状の光硬化性樹脂前駆体99〜70質量%に、中空を有し、平均繊維径50〜500nm、平均アスペクト比が50〜1000である炭素繊維1〜30質量%を混合し、混合するときのエネルギーが1000MJ/m
3以下であることを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
[12]混練機のホッパーからペレット状の熱可塑性樹脂99〜70質量%を投入し、中空を有し、平均繊維径50〜500nm、平均アスペクト比が50〜1000である炭素繊維1〜30質量%をサイドフィードすることを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
[13]パウダー状の熱可塑性樹脂99〜70質量%と中空を有し、平均繊維径50〜500nm、平均アスペクト比が50〜1000である炭素繊維1〜30質量%を混合し、次いでこの混合物を溶融混練することを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
[14]熱硬化性樹脂99〜70質量%と中空を有し、平均繊維径50〜500nm、平均アスペクト比が50〜1000である炭素繊維1〜30質量%を混合し、次いでこの混合物を加熱し硬化させることを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
[15]前記1〜8のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物を用いた帯電防止材料。
[16]前記1〜8のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物を用いた導電性塗料。
[17]前記1〜8のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物を用いた導電性接着剤。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、少量の炭素繊維の添加により導電性を発現させることができるため、マトリックス樹脂の機械的特性を損なうことなく、さらに樹脂の流動性を維持することができるため、良好な表面平滑性、寸法精度、光沢を有する導電性樹脂組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を更に詳細に説明する。本発明で使用する中空を有する炭素繊維は、有機遷移金属化合物を用いて有機化合物を熱分解することにより得ることができる。
【0018】
炭素繊維の原料となる有機化合物としては、トルエン、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素や、エチレン、アセチレン、エタン、天然ガス、一酸化炭素等のガス及びそれらの混合物が可能である。中でもトルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素が好ましい。
【0019】
有機遷移金属化合物は、触媒となる遷移金属を含むものである。遷移金属としては、周期律表第4〜10族の金属が挙げられる。好ましい有機遷移金属化合物としては、フェロセン、ニッケロセン等の化合物が挙げられる。
反応・合成雰囲気中において遷移金属触媒粒子表面に吸着した水素などのガスを効率的に除去し、触媒活性を高める助触媒として、硫黄、チオフェンなどの硫黄化合物を用いることができる。
【0020】
水素などの還元性ガスをキャリアガスに用い、上記有機化合物、有機遷移金属化合物、及び任意成分としての硫黄化合物を800〜1300℃に加熱した反応炉へ供給し、反応させて炭素繊維を得る。
原料の形態としては、原料としての芳香族炭化水素に有機遷移金属化合物および硫黄化合物を溶解させたものや、それを500℃以下で気化させたものが挙げられる。しかし、原料が液体の場合、反応炉(反応管)の壁において原料の気化及び分解が起き、反応管内で局所的に原料濃度が高くなるなど不均一な原料濃度分布が生じるため、生成した炭素繊維同士が凝集しやすい傾向を示す。したがって、原料の形態としては、反応管中における原料濃度を一定化するために予め気化させた原料が好ましい。
【0021】
遷移金属触媒と硫黄化合物助触媒比(遷移金属/遷移金属+硫黄(原子換算比))としては15〜35質量%が好ましい。15質量%未満の場合、触媒活性が高くなりすぎ、繊維の分岐数が増大したり、繊維が放射状に生成したりし、繊維同士の相互作用が増加し、強固な凝集体を形成するため好ましくない。また、35質量%を超えると、触媒に吸着した水素等のガスを十分除去できないため、触媒への炭素源供給が阻害され生成物が粒状化するため好ましくない。
【0022】
炭素繊維の分岐数および凝集体の解れ具合は、反応時の原料濃度に依存する。つまり、気相中の原料濃度が高いと、生成した炭素繊維表面に触媒粒子が不均一核発生し、炭素繊維表面からさらに炭素繊維が生成し、樹氷状の炭素繊維が形成される。また、高濃度で生成した炭素繊維は、互いに絡み合い易く、また容易に解すことができない。したがって、反応管中の原料供給量(g)とキャリアガス流量(リットル)の比は、1g/リットル以下が好ましく、より好ましくは0.5g/リットル、さらに好ましくは0.2g/リットルである。
【0023】
炭素繊維は、樹脂との密着性を向上させるために、不活性雰囲気中で900〜1300℃で熱処理を行い、炭素繊維の表面に付着したタールなどの有機物を除去することが好ましい。さらに炭素繊維は、その導電率を向上させるために不活性雰囲気下で2000〜3500℃で熱処理を行い、結晶を発達させることが好ましい。
結晶を発達させるために使用する熱処理炉は2000℃以上、好ましくは2300℃以上の目的とする温度が保持できる炉であればよく、例えばアチソン炉、抵抗炉、高周波炉が使用できる。また、熱処理は、場合によっては、粉体または成形体に直接通電して行うこともできる。
【0024】
熱処理の雰囲気は非酸化性の雰囲気、好ましくはアルゴン、ヘリウム、ネオン等の1種もしくは2種以上の不活性ガス雰囲気がよい。熱処理の時間は、生産性の面からは出来るだけ短い方が好ましく、通常1時間以下で十分である。
【0025】
炭素繊維の結晶をさらに発達させ、導電性を向上させるために、不活性雰囲気下で2000〜3500℃で熱処理を行う際に炭化ホウ素(B
4C)、酸化ホウ素(B
2O
3)、元素状ホウ素、ホウ酸(H
3BO
3)、ホウ酸塩等のホウ素化合物を炭素繊維に混合してもよい。
【0026】
ホウ素化合物の添加量は、用いるホウ素化合物の化学的特性、物理的特性に依存するために限定されないが、例えば炭化ホウ素(B
4C)を使用した場合には、炭素繊維に対して0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がさらに好ましい。
【0027】
ホウ素化合物との熱処理により、炭素繊維の炭素の結晶性が向上し、導電性が向上する。炭素繊維の結晶内あるいは結晶表面に含まれるホウ素量としては0.01〜5質量%がよい。炭素繊維の導電性や樹脂との親和性を改善するにはホウ素量は0.1質量%以上がより好ましい。また、グラフェンシートに置換し得るホウ素量は3質量%程度であるので、それ以上、特に5質量%を超えるホウ素はホウ素炭化物やホウ素酸化物として存在し、導電性の低下の要因となるので好ましくない。
【0028】
炭素繊維と樹脂との親和性を向上させるために、炭素繊維を酸化処理して繊維表面にフェノール性水酸基、カルボキシル基、キノン基、ラクトン基を導入することもできる。
【0029】
さらに、炭素繊維はシラン系あるいはチタネート系、アルミニウム系、リン酸エステル系のカップリング剤等により、表面処理を施したものであってもよい。
【0030】
気相法炭素繊維は強固な凝集体を形成しない範囲において、分岐状の気相法炭素繊維であってもよい。一本の繊維から分岐の繊維の数としては5個/本以下、好ましくは3個/本以下が好ましい。
【0031】
本発明に用いる気相法炭素繊維は、繊維外径が50〜500nmであり、好ましくは90〜250nmであり、より好ましくは100〜200nmである。繊維外径が50nmより細くなり過ぎると表面エネルギーが指数関数的に大きくなり、繊維同士の凝集力が急激に増大する。樹脂と凝集した気相法炭素繊維を単純に混練した場合、十分な分散が得られず、樹脂マトリックス中に凝集物が点在し、導電ネットワークを形成することができない。分散を得るために混練時に大きな剪断力を加えると、凝集物が破壊され、マトリックス中に拡散することができる。しかし、凝集物が破壊するときに繊維の破断が進行し、所望の導電性を得ることができなくなる。
【0032】
気相法炭素繊維のアスペクト比は、50〜1000、好ましくは55〜800、より好ましくは60〜500である。アスペクト比が大きくなる、すなわち繊維長が長くなると、繊維同士が絡まりあい容易に解すことができなくなり、十分な分散が得られなくなる。一方、アスペクト比が50以下になると、導電性の連結骨格構造を形成するためには配合量を増加しなければならず、樹脂の流動性や引張強度の低下が顕著になるので好ましくない。
【0033】
気相法炭素繊維のBET比表面積は、好ましくは3〜50m
2/g、より好ましくは8〜30m
2/g、さらに好ましくは11〜25m
2/gである。BET比表面積が大きくなると表面エネルギーが大きくなり、樹脂中への分散が困難になるだけでなく、樹脂が十分に繊維を被覆することができなくなる。その結果、複合体を作製した場合、電気伝導性、機械的強度の劣化を招くので好ましくない。
【0034】
気相法炭素繊維のX線回折法のd
002は、好ましくは0.345nm以下、より好ましくは0.343nm以下、さらに好ましくは0.340nm以下である。
気相法炭素繊維のラマン散乱スペクトルの1341〜1349cm
-1のバンドのピーク高さ(Id)と1570〜1578cm
-1のバンドのピーク高さ(Ig)の比(Id/Ig)は、好ましくは0.1〜1.4、より好ましくは0.15〜1.3、さらに好ましくは0.2〜1.2である。
【0035】
導電性を得るためには、気相法炭素繊維の積層方向及び面内方向の結晶性は高い方が好ましい。ただし、繊維外径が小さ過ぎると、曲率の影響により面間隔が小さくならない場合がある。すなわち、樹脂に導電性を付与するために必要な導電性の連結骨格構造を形成するためには、気相法炭素繊維の分散性および結晶性のバランスが重要であり、繊維外径、アスペクト比、BET比表面積、X線回折法のd
002、ラマン散乱スペクトルの(Id/Ig)が定められる。
【0036】
本発明に用いる樹脂としては、特に限定されるものではないが、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂もしくは熱可塑性樹脂から選ばれ、単独もしくは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
熱硬化性樹脂としては、例えばユリア樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フラン樹脂、ポリブタジエン、ポリウレタン、メラミンフェノール樹脂、けい素樹脂、ポリアミドイミド、シリコーン樹脂等を挙げることが出来る。
【0037】
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、セルロースアセテート、ジアリルフタレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル樹脂、アイオノマー、塩素化ポリエーテル、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン、アクリル塩化ビニル共重合樹脂、AAS樹脂、ACS樹脂、ポリアセタール、ポリメチレンペンテン、ポリフェニレンオキシド、変性PPO、ポリフェニレンスルフィド、ブタジエンスチレン樹脂、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミノビスマレイミド、ポリスルフォン、ポリブチレン、けい素樹脂、MBS樹脂、メタクリル−スチレン共重合樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリアリルスルフォン、ポリブタジェン、ポリカーボネートメタクリレート複合樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフタルアミド、ポリメチルペンテン、四フッ化エチレン樹脂、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体、ポリビニルフルオライド、液晶ポリマー等を挙げることが出来る。
【0038】
本発明の導電性樹脂組成物を製造する方法としては、樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合は、一般的な押出機やニーダーなどで各成分を混練する方法が挙げられる。繊維の破断を抑えるため、溶融状態にある樹脂に炭素繊維を供給することが望ましい。このとき、混練機のスクリュー回転数を低速にし(低剪断速度)、コンパウンド粘度を低く(高温)した方が高い導電性を得られやすくなる。樹脂ペレットを用いる場合は、炭素繊維の供給はホッパーから行うよりもサイドフィードすることが望ましい。樹脂パウダーを用いる場合は、ヘンシェルミキサー等により炭素繊維と事前混合してホッパーからフィードしてもいい。
【0039】
熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂の場合、これらの樹脂は固体の場合(反応性希釈剤や溶剤などの使用、あるいは加熱することにより液体化して使用する。)も稀にあるが、通常は常温で粘調な液体(単量体もしくは一部重合)であるので、混練は熱可塑性樹脂に比して容易であり、要求される混合エネルギーは熱可塑性樹脂に比して遙かに少なくて済むので好ましい材料である。しかし、硬化条件(熱硬化性樹脂なら硬化温度以上の熱エネルギーを与える、光硬化性樹脂なら光エネルギーを与える)にすることで、樹脂が重合及び架橋して成形物に硬化し成形体、フィルム(塗料)、接着剤などにすることができる。
混練に際しては、例えば熱硬化性樹脂の場合、常温〜硬化温度以下の温度で熱可塑性樹脂と同様の装置を用い、スクリュー回転数を低速にし、コンパウンド粘度を低く(硬化温度以下)すると、高い導電性を得られやすくなる。
【0040】
本発明で用いる炭素繊維は、それ自身きわめて高い分散性を示すため、混練機のミキシングエレメントを強くする必要はない。スクリュー回転数は、コンパウンド生産性に依るが、可能な範囲で低回転数にした方が繊維の破断および炭素繊維の過分散を抑えられ、高導電性を発現させることができる。
混練温度は樹脂の劣化が起きない範囲において、高い方がよい。高温にすることで樹脂の粘度を低下させ、ミキシング時の剪断力を抑えることができ、繊維の破断および炭素繊維の過分散を抑えられるからである。樹脂の種類、分子量、樹脂と炭素繊維の配合比などにより変わるが、混合するときのエネルギーは少なければ少ないほど良く、1000MJ/m
3以下が好ましく、さらに好ましくは900MJ/m
3以下である。
成形法としては、プレス成形、押し出し成形、真空成形、ブロー成形、射出成形などを挙げることができる。
【0041】
樹脂中の炭素繊維の凝集程度は、炭素繊維凝集体とそれを構成する炭素繊維1本の体積比により規定することができる。本発明の導電性樹脂組成物では、その体積比(炭素繊維凝集体/炭素繊維単体)が1500以下であり、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下、さらに好ましくは100以下である。
粒子の場合、一般に凝集体径は、構成する一次粒子の粒径が小さいほど、小さくなる。しかし、一次粒子の粒径がサブミクロン以下になると凝集力及び付着力が大きくなるため、凝集体径はある値以下にならない。このことを凝集体体積/一次粒子体積で表わすと、ある一次粒径(サブミクロン)までは凝集体体積/一次粒子体積は一定を示すが、ある一次粒径以下になると、凝集体径が変わらず一次粒径が小さくなるので、凝集体体積/一次粒子体積は増大する。つまり、一次粒子の粒径がある値以下になると凝集程度が大きくなる。
【0042】
炭素繊維についても同様のことが言える。例えば、アスペクト比が同程度であり繊維経が異なる炭素繊維の場合、凝集程度が同じ凝集体であれば、両者の凝集体径は異なるが、炭素繊維凝集体とそれを構成する炭素繊維1本の体積比は同一になる。そして、炭素繊維1本の大きさがある値以下になると前記体積比は増大し、つまり凝集程度が大きくなる。
凝集程度が大きくなると、炭素繊維が樹脂中に均一に分散されないため、導電性ネットワーク効率的に形成されず、また凝集体内部など樹脂に被覆されない箇所が増大するため複合体の機械特性が低下する。
本発明で規定する炭素繊維凝集体とそれを構成する炭素繊維1本の体積比が1500を超えると、複合体の機械的特性を著しく低下させるので好ましくない。
【0043】
樹脂組成物中の炭素繊維凝集体の平均径は0.2〜10μm、好ましくは0.4〜8μm、より好ましくは0.8〜5μmである。
結晶性の高い(黒鉛化した)炭素繊維は表面官能基量が少ないため、樹脂との接着力は小さい。凝集体径が大きいと樹脂との界面積が大きくなり、界面での剥離、クラックが発生しやすくなる。凝集体の平均径が10μmを超えると機械的強度が樹脂単独の強度に対して半減してしまうので好ましくない。
【0044】
樹脂組成物中の任意断面における炭素繊維凝集体の面積率は5%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下である。
凝集体の面積率、すなわち凝集体の存在・占有率は前述の凝集体径同様、界面剥離、クラック発生率と関連する。炭素繊維の配合比においては面積率が5%を超えると導電経路が形成しにくくなり、樹脂組成物の導電性及び機械的強度の物性を満足することができなくなる。したがって、機械的強度の低下を抑え、導電性を得るためには、凝集体径の減少及び存在率の減少を図らなければならない。
【実施例】
【0045】
以下、本発明について代表的な例を示し、さらに具体的に説明する。なお、これらは説明のための単なる例示であって、本発明はこれらに何等制限されるものでない。
【0046】
炭素繊維の形状パラメーターの測定方法を以下に述べる。
・平均径は走査型電子顕微鏡の3万倍像を30視野分撮影し、画像解析装置(ニレコ社製LUZEX−AP)により300本の繊維径を計測して求めた。
・平均繊維長は走査型電子顕微鏡の3千倍像を連続的にパノラマ状に30視野分撮影し、画像解析装置により300本の繊維長を計測して求めた。
・アスペクト比は平均繊維長/平均直径により求めた。
・繊維の分岐度は、前記繊維長の観察において、繊維300本中の総分岐数を計測した繊維300本で割り返し、分岐数/一本の繊維を求めた。
【0047】
炭素繊維の諸物性の測定方法を以下に述べる。
・BET比表面積は、窒素ガス吸着法(ユアサアイオニクス社製NOVA1000)により測定した。
・平均面間隔d
002はSiを内部標準とし粉末X線回折(理学社製Geigerflex)により計測した。
・ラマン散乱スペクトルの1341〜1349cm
-1のバンドのピーク高さ(Id)と1570〜1578cm
-1のバンドのピーク高さ(Ig)の比(Id/Ig)はラマン分光測定装置(Jobin Yvon社製 LabRam HR)で測定した。
【0048】
樹脂複合体中の凝集体の分析方法を以下に述べる。
・観察用試料の調製方法:成形体を光学顕微鏡用ミクロトームで厚さ0.8〜1.0μmの薄片に切削した。薄片は成形体の厚み方向20μm間隔で10片切り出した。切り出した薄片を流動パラフィンにて封入し、観察用試料とした。
・観察方法:透過型光学顕微鏡(ニコン社製 ECLIPSE ME600L)にて明視野 倍率1000倍で1試料につき視野写真撮影した。観察した写真を画像解析装置(ニレコ社製LUZEX−AP)により二値化し、凝集体の円相当径および視野中の凝集体総面積を計測した。
【0049】
・炭素繊維凝集体とそれを構成する炭素繊維1本の体積比は、画像解析により求めた凝集体の平均円相当径により算出した球形仮定した平均凝集体体積と、同じく画像解析により求めた平均繊維径および平均繊維長を用い、円柱体仮定した平均炭素繊維体積の比により求めた。
・面積率は、観察10視野中の凝集体総面積と観察・測定視野総面積の比率とした。
【0050】
・樹脂複合体の体積固有抵抗測定は、10
8Ωcm未満は四探針法(三菱化学社製Loresta HP MCP−T410)にて行った。10
8Ωcm以上は絶縁抵抗計(アドバンテスト社製 高抵抗計R8340)にて行った。
【0051】
・アイゾット衝撃強度はアイゾットインパクトテスター(東洋精機工業社製)を使用し、JIS K−7110の方法に準じて実施した。試験片の形状は、長さ64mm、厚み12.7mm、幅3.2mm。ノッチサイズは、先端半径0.25mm、切欠き深さは2.54mmとした。
【0052】
炭素繊維1の作製方法:
ベンゼンとフェロセンと硫黄を質量比96:3:1の割合で混合し、原料液を調製した。この原料液をキャリア水素ガスにより1250℃に加熱したSiC製反応炉(内径120mmφ、高さ2000mm)に噴霧角度75°で供給した。このときの原料供給量は12g/min、水素流量は60リットル/minとした。
上記方法で得られた反応生成物100gを黒鉛製坩堝(内径100mmφ、高さ150mm)に充填し、アルゴン雰囲気中1000℃で1時間焼成した後、アルゴン雰囲気中2800℃で1時間黒鉛化した。
【0053】
炭素繊維2の作製方法:
ベンゼンとフェロセンとチオフェンを質量比92:7:1の割合で混合し、原料液を調製した。この原料液を300℃に設定した蒸発器に供給し、気化させた。この気化させた原料ガスをキャリア水素ガスにより1200℃に加熱したSiC製反応炉(内径120mmφ、高さ2000mm)に供給した。このときの原料供給量は10g/min、水素流量は60リットル/minとした。
上記方法で得られた反応生成物80gを黒鉛製坩堝(内径100mmφ、高さ150mm)に充填し、アルゴン雰囲気中1000℃で1時間焼成した後、アルゴン雰囲気中2800℃で30分黒鉛化した。
【0054】
炭素繊維3の作製方法:
炭素繊維1と同様の反応、焼成処理を施した炭素繊維98gとB
4Cの2gをヘンシェルミキサーで混合した。前記混合物100gを黒鉛製坩堝(内径100mmφ、高さ150mm)に充填し、アルゴン雰囲気中2800℃で30分黒鉛化した。
【0055】
炭素繊維4の作製方法:
ベンゼンとフェロセンとチオフェンを質量比92:7:1の割合で混合し、原料液を調製した。この原料液を300℃に設定した蒸発器に供給し、気化させた。この気化させた原料ガスをキャリア水素ガスにより1200℃に加熱したSiC製反応炉(内径120mmφ、高さ2000mm)に供給した。このときの原料供給量は8g/min、水素流量は80リットル/minとした。
上記方法で得られた反応生成物80gを黒鉛製坩堝(内径100mmφ、高さ150mm)に充填し、アルゴン雰囲気中1000℃で1時間焼成した後、アルゴン雰囲気中2800℃で30分黒鉛化した。
【0056】
炭素繊維5の作製方法:
ベンゼンとフェロセンと硫黄を質量比96:3:1の割合で混合し、原料液を調製した。この原料液をキャリア水素ガスにより1250℃に加熱したSiC製反応炉(内径120mmφ、高さ2000mm)に噴霧角度80°で供給した。このときの原料供給量は70g/min、水素流量は60リットル/minとした。
上記方法で得られた反応生成物80gを黒鉛製坩堝(内径100mmφ、高さ150mm)に充填し、アルゴン雰囲気中1000℃で1時間焼成した後、アルゴン雰囲気中2800℃で30分黒鉛化した。
【0057】
炭素繊維6の作製方法:
エチレンガスと水素の混合ガスと直径約2nmの鉄を担持したアルミナを800℃に加熱した石英製反応管(内径60mmφ、高さ1000mm)に供給した。このときのエチレンガスと水素の流量はそれぞれ2リットル/minおよび1リットル/minとした。
【0058】
実施例1
ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学社製 ユーピロンH4000)90質量%と炭素繊維1 10質量%をラボプラストミル(東洋精機製)にて240℃、80回転、10分溶融混練(混合エネルギー:850MJ/m
3)した後、50トン熱成形機(ニッポーエンジニアリング社製)にて250℃、200kgf/cm
2、30秒の条件で10mm×10mm×2mmtの平板を成形し複合体1を得た。該平板の切断面の光学顕微鏡像を図1に示すと共に、該顕微鏡像の凝集体径の解析結果を図2に示す。
【0059】
実施例2
ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学社製 ユーピロンH4000)と炭素繊維2を実施例1の方法で混練(混合エネルギー:950MJ/m
3)、成形し複合体2を得た。
【0060】
実施例3
ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学社製 ユーピロンH4000)と炭素繊維3を実施例1の方法で混練(混合エネルギー:820MJ/m
3)、成形し複合体3を得た。
【0061】
実施例4
ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学社製 ユーピロンH4000)と炭素繊維4を実施例1の方法で混練(混合エネルギー:980MJ/m
3)、成形し複合体4を得た。
【0062】
比較例1
ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学社製 ユーピロンH4000)と炭素繊維5を実施例1の方法で混練(混合エネルギー:800MJ/m
3)、成形し複合体5を得た。
【0063】
比較例2
ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学社製 ユーピロンH4000)と炭素繊維6を実施例1の方法で混練(混合エネルギー:1120MJ/m
3)、成形し複合体6を得た。
【0064】
表1に炭素繊維1〜6の物性を示す。
【表1】
【0065】
実施例1,2,3,4,比較例1,2で得られた複合体1〜6の物性を表2に示す。
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の導電性樹脂組成物は、炭素繊維が凝集体を形成することなく均一に分散しているため、少量の添加量で機械的物性の低下を招くことなく良好な導電性を得ることができる。
また、本発明の導電性樹脂組成物は、乾電池、Pb蓄電池、キャパシタや最近のLiイオン2次電池をはじめとする各種二次電池の電極、透明電極、電磁遮蔽、帯電防止材料、導電性塗料、導電性接着剤等に広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施例1で作成した平板の切断面の光学顕微鏡像(倍率1000倍)。
【図2】図1に示された顕微鏡像の凝集体径の解析結果。