【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、電動二輪車においては、外気と直接接しているため、運転者が風を気にかける度合いが、四輪車に比べて大きい。そのため、風に関する情報(例えば、風速や風向に関する情報)を運転者に適切に伝えることができれば、電動二輪車の操作性が増し、運転者の運転状態を良好にすることができる。また、電動二輪車を運転する際に、適度な風は、運転者に心地良さを与えるので、運転状態を良好なものにすることができる。
【0004】
このように、風は電動二輪車の操作性や走行フィーリングに大きな影響を与えるにもかかわらず、風に関する情報を用いて運転者の運転状態を良好にするシステムは、今まで電動二輪車において全く提案されていなかった。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、風に関する情報を用いて運転者の運転状態を良好にすることができる電動二輪車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る電動二輪車は、風速又は風向に応じた複数の音を記憶する記憶手段と、風速又は風向を測定する測定手段と、前記測定手段の測定結果に応じた音を、前記記憶手段から選択的に読み出して発生する発音手段と、を具備する構成を採る。
【0007】
この構成によれば、風速又は風向の測定結果に応じた音を、記憶手段から読み出して発することにより、運転者は風に関する情報を知り又は感じることができ、この風に関する情報により、二輪車の操作性や走行フィーリングが向上し、運転者の運転状態を良好にすることができる。
【0008】
請求項2に係る電動二輪車は、請求項1記載の電動二輪車において、前記記憶手段に記憶された複数の音は、エンジンの負荷状態又は走行の状態の程度に応じた複数の音を含む構成を採る。
【0009】
この構成によれば、音によりエンジンの負荷状態又は走行の安全状態の程度を知ることができるため、二輪車の操作性や走行フィーリングが向上し、運転者の運転状態を良好にすることができる。
【0010】
請求項3に係る電動二輪車は、請求項1又は請求項2記載の電動二輪車において、車速度を検出する車速検出手段をさらに具備し、前記発音手段は、検出した前記車速度に応じて前記記憶手段から読み出す音を選択する構成を採る。
【0011】
この構成によれば、走行の安全状態に影響を及ぼす車速度に応じた音を発することにより、搭乗者に走行の状態を知らせることができる。
【0012】
請求項4に係る電動二輪車は、請求項3記載の電動二輪車において、前記風速及び前記車速度に基づいて絶対風速を算出する算出手段をさらに具備し、前記発音手段は、算出した前記絶対風速に応じて、前記記憶手段から読み出す音を選択する構成を採る。
【0013】
この構成によれば、絶対風速に応じた音を発することにより、絶対風速に包含される1/Fのゆらぎに起因して、搭乗者に心地よさを感じさせることができ、運転者の運転状態をさらに良好にすることができる。
【0014】
請求項5に係る電動二輪車は、請求項4記載の電動二輪車において、前記記憶手段に記憶された複数の音は、相対風速が所定値以下の場合に、ゆらぎを有する構成を採る。
【0015】
この構成によれば、所定値以下の相対風速に対応して記憶された音がゆらぎを有するので、運転者の走行フィーリングが良い状態を一層快適にすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電動二輪車において、風に関する情報を用いて運転者の運転状態を良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の骨子は、走行中に電動二輪車が受ける風に関する情報(具体的には、風速又は風向)に応じた音を発生することである。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電動二輪車を示す全体図である。
【0020】
図1に示す電動二輪車10は、バッテリによって駆動されるモータによって運転される二輪車(電動二輪車)であって、前輪11、フロントフォーク12、フロントフェンダ13、ステップ部14、コントロールボックス15、シート16、バッテリ17、モータ18、後輪19、リヤフェンダ20、ハンドルポスト21、ハンドル22、風情報計測部23、車速計測部24及びスピーカ25を有する。フロントフェンダ13は、泥除けとしての機能に加えて、ステップ部14から延びるフレームとしての機能も有している。コントロールボックス15には、後述する音発生部140の一部を構成するスピーカが内蔵されている。コントロールボックス15は、シート16の下方に設けられている。動力源であるバッテリ17は、例えば、リチウムイオンバッテリである。モータ18は、バッテリ17の後方に設けられている。モータ18の駆動力は、図示しないシャフトドライブ機構により後輪19に伝達される。リヤフェンダ20は、シート16の後方の、後輪19と挟まれる位置に設けられている。ハンドルポスト21は、フロントフォーク12の上方に設けられ、さらにハンドル22がやや後方に向かって伸びている。ハンドル22には、後述する音発生部140の一部を構成するスピーカ25が内蔵されている。ここで言う電動二輪車には、補助動力として電気モータを用いるものを含む。
【0021】
本実施の形態の電動二輪車は、風速計測部23及び車速計測部24により計測される風速、風向及び車速度の情報に応じた音を、後述する音発生部140において発するようになっている。この音発生部140は、コントロールボックス15内のスピーカ及びハンドル22に設けられたスピーカ25で構成されている。
【0022】
図2は、実施の形態1に係る電動二輪車の機能を示すブロック図である。
【0023】
風情報計測部23は、図1に示すように、フロントフォーク12の上方のハンドルポスト21に車両の前方方向に向けて設けられている。これは、前輪11が回転することによって引き起こされる風の乱れの影響が、風情報計測部23の計測結果に出ないようにするためである。風情報計測部23は、風速及び風向を計測して、データ形式変換部110に与える。
【0024】
車速計測部24は、図1に示すように、フロントフォーク12に設けられている。車速計測部24は、電動二輪車10の車速度を検出し、データ形式変換部110に与える。
【0025】
データ形式変換部110は、風情報計測部23からの風速及び風向並びに車速計測部24からの車速度のデータをMIDI形式のデータに変換し、音出力制御部130に与える。
【0026】
音データ記憶部120は、風速、風向及び車速度に対応させて、音データを記憶している。
【0027】
音出力制御部130は、データ形式変換部110からMIDI形式の風速、風向及び車速度のデータを受け取り、これらに対応する音データを音データ記憶部120から読み出して、音発生部140に与える。
【0028】
音発生部140は、音出力制御部130から受け取る音データを音波として発生する。
【0029】
図3は、音出力制御部130の構成を示すブロック図である。音出力制御部130は、MIDI信号受信部131、音選択制御部132、インタバル制御部133及び出力制御部134を有する。以下、各構成の動作について説明する。
【0030】
MIDI信号受信部131は、風速、風向及び車速度に関するMIDI形式のデータを、データ形式変換部110から受け取り、音選択制御部132及びインタバル制御部133に与える。
【0031】
音選択制御部132は、後述するインタバル制御部133から受け取るトリガに応じて、MIDI信号受信部131から受け取った風速、風向及び車速度に対応する音データの出力を命令する信号を、音データ記憶部120に与える。
【0032】
インタバル制御部133は、MIDI信号受信部131から風速、風向及び車速度に関する情報を受け取る。インタバル制御部133は、それらの情報に対応した音の発音間隔を予め記憶しており、その発音間隔に応じて音選択制御部132にトリガを与える。
【0033】
出力制御部134は、音データ記憶部120からの音データを、音発生部140に与える。
【0034】
以上の流れに関する実施例を具体的に説明する。
【0035】
音データ記憶部120には、予め3種類(例えば、高音、中温、低音)の音が群として記憶されており、これらの群の中から出力される音が単調にならないように適宜選択して出力される。インタバル制御部133で記憶されている発音間隔は、例えば、風情報計測部23で計測される相対風速が遅い場合には、3秒に1回であるとか、相対風速が速い場合には、1秒に1回である等の形で記憶されている。また、例えば、相対風速はモータの負荷状態に対応するので、車速度に比べて検出された風速が小さい場合(相対風速が遅い場合)には、比較的速い追い風によって軽快に走行していると判断されるので、軽快な音を記憶しておき、逆に、車速度に比べて検出された風速が大きい場合(相対風速が速い場合)には、向かい風が強く無理な運転をしていると判断されるので、重そうな音を記憶しておくことも可能である。このようにすることで、電動二輪車の操作性及び電力の消費量に大きな影響を及ぼす相対風速を計測し、運転者に適切に伝えることにより、運転者の運転状態を良好にすることができる。
【0036】
ここで言う相対風速とは、車両又は運転者が受ける風の速さであり、車両のスピードと自然界で発生している風の速さとの和である。一方、絶対風速とは、自然界に発生している風のみを意味し、走行によって発生する風を含まない概念である。
【0037】
音出力制御部130は、インタバル制御部133から受け取る上記のようなトリガに応じて、データ形式変換部110から受け取る風速、風向及び車速度に応じた音を音データ記憶部120から読み取って音発生部140に与える。
【0038】
この結果、音声などのように正確に聞き取って初めて理解することができる伝達手段よりも、単なる音を伝達手段とすることで、二輪車特有の問題点を解決することができる。その二輪車特有の問題とは、例えば、運転者は外気と直接接しているため、音声などは聞き取りにくいという問題である。また、二輪車は、四輪車などの車両に比べて風の影響を受けやすく、さらに、四輪車の運転者にくらべると二輪の運転者は視野角が狭くなるため、視覚による情報の伝達などは適さないという問題である。
【0039】
図4は、車速度、風速、風向等の測定データの一例を示す図である。これを見て分かるように、少なくとも速度と風速との間には、比例的な関係は完全にはなく、風速の変化にはゆらぎが含まれていることがわかる。よって、この相対風速の変化を音に反映させることにより、発生する音は1/Fゆらぎを含む。相対風速の変化の中に包含される1/Fのゆらぎを加えた音を発することにより、運転者に心地良さを感じさせることができる。
【0040】
このように、本実施の形態によれば、電動二輪車の操作性や走行フィーリングへの影響が大きい風に関する情報を用いて、運転者の運転状態を良好にすることができる。
【0041】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係る電動二輪車の機能を示すブロック図である。なお、実施の形態2に係る電動二輪車においては、実施の形態1に係る電動二輪車と同じ構成要素について同じ符号が付され、その説明が省略される。
【0042】
音出力制御部220は、データ形式変換部110からMIDI形式の風速、風向及び車速度のデータを受け取り、これらから風の絶対速度(絶対風速)を計算する。なお、この絶対風速は、車両が止まっている時に計測される風速と同じであるので、その中にも1/Fのゆらぎが含まれる。音出力制御部220は、この風の絶対速度に対応づけて予め記憶している間隔で、音データを音データ記憶部210から読み出して、音発生部140に与える。
【0043】
音データ記憶部210は、風の絶対速度に対応させて、音データを記憶している。
【0044】
図6は、音出力制御部220の構成を示すブロック図である。音出力制御部220は、MIDI信号受信部131、絶対速度計算部221、音選択制御部222、インタバル制御部223及び出力制御部224を有する。以下、各構成の動作について説明する。
【0045】
絶対速度計算部221は、MIDI信号受信部131から受け取る風速、風向及び車速度を用いて風の絶対速度を計算し、その絶対速度を音選択制御部222、インタバル制御部223及び出力制御部224に与える。
【0046】
インタバル制御部223は、発する音の発音間隔を、風の絶対速度に対応させて予め記憶しており、その発音間隔に応じて音選択制御部222にトリガを与える。
【0047】
音選択制御部222は、インタバル制御部223から受け取るトリガに応じて、絶対速度計算部221から受け取る風の絶対速度に対応した音データの出力を命令する信号を、音データ記憶部210に与える。
【0048】
出力制御部224は、音データ記憶部210から受け取る音データに絶対風速の値に応じた増幅を施した音データを、音発生部140に与える。
【0049】
このように、本実施の形態によれば、風の絶対速度に包含される1/Fのゆらぎは、搭乗者に心地よさを感じさせるため、このゆらぎを加えた音を発することにより、運転者の運転状態をさらに良好にすることができる。