【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、全体が100で表される、本実施の形態にかかる半導体装置の斜視図である。また、図2は、図1の半導体装置100の裏面図、図3は、図1の半導体装置100の、I−I方向に見た断面図である。更に、図4は、図1の半導体装置100の内部の一部分を示す斜視図である。
【0011】
図1に示すように、半導体装置100は、樹脂モールド型パッケージ構造からなり、複数の金属製のフレーム1が両側に設けられたモールド樹脂2を含む。モールド樹脂2は、好適にはエポキシ樹脂からなる。
【0012】
図2に示すように、モールド樹脂2の裏面には、例えば銅からなる金属箔4が裏面に取り付けられた絶縁性の樹脂シート3が設けられている。樹脂シート3は、好適には、フィラーを含むエポキシ樹脂からなる。フィラーは、好適には、SiO
2、Al
2O
3、AlN、Si
3N
4、及びBNから選択される1又は複数の材料からなる。樹脂シート3の熱伝導率は、モールド樹脂2の熱伝導率より大きくなっている。
【0013】
図3に示すように、半導体装置100は、複数のフレーム1を含む。図4に、更に詳しく示すように、一のフレーム1には、ロジックチップのようなICチップ7が載置されている。また、他方のフレーム1は、ダイパッド部1aと段差部1bとを含み、ダイパッド部1aの上に、IGBT5aやFWDiode5bのようなパワーチップ5が載置されている。パワーチップ5、ICチップ7、及びフレーム1の間は、例えば金やアルミニウムからなるボンディボンディングワイヤ6、8で接続され、ICチップ7により、パワーチップ5の動作が制御される。
一般に、パワーチップ5やICチップ7は、はんだや銀ペーストを用いてフレーム1に固定される。また、パワーチップ5の接続にはアルミニウムのボンディングワイヤ8が用いられ、ICチップ7の接続には、これより直径の小さな金のボンディングワイヤ6が用いられる。
なお、パワーチップ5やICチップ7は、半導体装置100の機能に応じて複数個設けても構わない。
【0014】
上述のように、モールド樹脂2は、金属箔4が取り付けられた絶縁性の樹脂シート3を含み、モールド樹脂2の裏面から金属箔4が露出している。かかる金属箔4は、樹脂シート3をダメージから保護するため、樹脂シート3は高い絶縁性を維持できる。かかるダメージとしては、例えば、半導体装置100を外部ヒートシンク(図示せず)に、ねじ止めする際に、半導体装置100と外部ヒートシンクとの間に異物を噛み込んだままでねじ止めを行なった場合に発生するダメージが考えられる。なお、ダメージが発生しにくい場合は、金属箔4を設けない構造を採用してもよい。この場合、モールド樹脂2の裏面からは、樹脂シート3が露出することとなる。
【0015】
樹脂シート3の上には、ダイパッド部1aの裏面が直接接するように、フレーム1が載置されている。樹脂シート3の面積は、ダイパッド部1aの面積よりも大きくなっている。更に、パワーチップ5、ICチップ7等は、モールド樹脂2で封止されている。
【0016】
樹脂シート3とモールド樹脂2とが接触する領域には、両方の樹脂が混合した混合層9が形成されている。このように、混合層9を介して樹脂シート3とモールド樹脂2とが接続されるため、混合層9のない場合に比較して、樹脂シート3とモールド樹脂2との間の熱伝導性が高くなり、放熱特性が向上する。混合層9の形成方法については後述する。
【0017】
樹脂シート3の熱伝導率は、モールド樹脂2の熱伝導率より大きく、特に、2倍以上であることが好ましい。これにより、放熱特性に優れた半導体装置100を得ることができる。
【0018】
次に、図5、6を参照しながら、半導体装置100の製造方法について説明する。かかる製造方法は、以下の工程1〜8を含む。なお、図5、6は、図1のI−Iと同じ方向に見た断面図である。
【0019】
工程1:図5(a)に示すように、例えば銅からなるフレーム1を準備する。続いて、一のフレーム1の上にICチップ7を、他方のフレーム1のダイパッド部1aの上にパワーチップ6を、それぞれ、はんだや銀ペースト等を用いて固定する。
【0020】
工程2:図5(b)に示すように、アルミニウムのボンディングワイヤ6を用いて、パワーチップ5同士、パワーチップ5とフレーム1、フレーム1同士を接続する(アルミワイヤボンド工程)。なお、ボンディングワイヤ6には、アルミニウムを主成分とする合金や、他の金属を用いても構わない。
【0021】
工程3:図5(c)に示すように、金のボンディングワイヤ7を用いて、ICチップ7とフレーム1を接続する(金ワイヤボンド工程)。なお、ボンディングワイヤ7には、金を主成分とする合金や、他の金属を用いても構わない。
【0022】
工程4:図5(d)に示すように、樹脂封止用金型20を準備する。樹脂封止用金型20は、上部金型21と下部金型22に分かれるようになっている。続いて、裏面に金属箔4を取り付けた絶縁性の樹脂シート3を準備し、樹脂封止用金型20の内部の所定の位置に配置する。この場合、金属箔4の裏面が下部金型22の内部底面に接するように、樹脂シート3が配置される。ここで、樹脂シート3には、半硬化状態の樹脂が用いられる。樹脂シート3は、例えばエポキシ樹脂からなり、上述のように、フィラーを含むことが好ましい。
なお、半硬化状態の樹脂とは、常温では固体であるが、高温では一旦溶融した後に完全硬化に向かう、硬化が未完全状態な熱硬化樹脂をいう。
【0023】
工程5:図6(e)に示すように、パワーチップ5等を実装したフレーム1を、樹脂封止用金型20中の所定の位置に配置する。この場合、フレーム1のダイパッド部の裏面が樹脂シート3の上面に接するように、フレーム1を配置する。
【0024】
工程6:図6(f)に示すように、下部金型22に上部金型21を取り付けて固定する。続いて、トランスファモールド成形法により、例えばエポキシ樹脂からなる封止用樹脂12を樹脂封止用金型20内に充填する。図6(f)では、左方から充填する。
かかる工程で、樹脂封止用金型20内に設置された半硬化状態の樹脂シート3は、まず、高温の樹脂封止用金型20から熱をもらい、一旦溶融する。更に、溶融した樹脂シート3と、ダイパッド1aとが、加圧状態で注入される封止用樹脂12により加圧され、固着される。
【0025】
工程7:図6(g)に示すように、封止用樹脂2、樹脂シート3を加熱硬化させる。かかる工程で、樹脂シート3と封止用樹脂12とは、共に溶融した状態で接触するため、混合し、その接触部分に混合層9が形成される。
工程4〜7は、いわゆるトランスファモールド工程となる。かかる工程では、樹脂シート3が溶融時に加圧されるが、樹脂封止用金型20内全体が封止用樹脂12により加圧されているため、樹脂シート3の厚さはほとんど変化しない。一方、樹脂封止用金型20内の各部が封止用樹脂12により同時に充填されるわけではなく、各部に圧力が均等にかかるまでの時間には、僅かであるが時間のずれが生じる。従って、樹脂シート3の特性としては、溶融時の流動性が小さい方が望ましい。
【0026】
工程8:樹脂封止用金型20から取り出した後、モールド樹脂を完全硬化させるためのポストキュア、タイバーなどのフレーム余分部の切断等を行なう。更に、フレーム(外部端子)1の成形を行なうことにより、図1に示すような半導体装置100が完成する。
【0027】
なお、樹脂シート3は、エポキシ樹脂を主成分とし、主に熱伝導性を高める目的から、上述のようにSiO
2等の絶縁性フィラーが充填されていることが好ましい。これらのフィラーは、また、絶縁シート3の線膨張係数を小さくする効果を持つため、ダイパッド1aや金属箔4との熱膨張係数の差が小さくなる。このため、温度変化に起因する剥離が発生しにくい、信頼性に優れたものとすることができる。
【0028】
また、封止用樹脂12も、樹脂シート3と同様に、エポキシ樹脂を主成分とする材料とすると、混合層9を安定して形成できる。かかる場合、封止用樹脂12と樹脂シート3との明確な界面が無くなり、その間での沿面絶縁を考慮する必要がなくなり、結果として半導体装置の小型化が可能となる。
【0029】
更に、樹脂シート3では、フィラーの形状を鱗片状にすることで、粒状とする場合に比べ、絶縁性を安定的に確保できることが、後述のように実験により明らかになっている。
かかる実験では、鱗片状フィラーを充填した樹脂シートと、同量の粒状フィラーを充填した樹脂シートを用いて、半導体装置100を製作し、絶縁試験を行った。絶縁試験の結果を表1に示す。
【0030】
(表1)
鱗片状 r/N = 0/10
粒状 r/N = 3/10
ここで、rは不合格となったサンプルの数量、Nは試験に投入したサンプルの数量を示す。
【0031】
更に、鱗片状フィラーでは、粒状フィラーに比べ、フィラーの比表面積が大きいため、シート樹脂との接触面積も大きくなり、溶融時の流動性を小さくすることができる。
【0032】
また、フィラーのサイズについては、大きいサイズの(最大直径の大きな)フィラーと、小さいサイズの(最大直径の小さな)フィラーとを、混ぜて用いても良い。図7は、2種のサイズのフィラーを含む樹脂シート3の断面の拡大図である。樹脂シート3は、大きいサイズのフィラー31と、小さいサイズのフィラー32とが、エポキシ樹脂等の樹脂層33に含まれた構造となっている。
図7のように、大きいサイズのフィラー31間の間隙に、小さなサイズのフィラー32を充填することが出来るため、樹脂シート3の熱伝導性を更に向上できる。
【0033】
以上のように、本実施の形態にかかる半導体装置100では、絶縁層の厚みを予め規定できる絶縁性の樹脂シート3を用いる。このため、樹脂シート3の膜厚を調整することにより、絶縁特性と放熱特性が両立するように制御できる。
【0034】
また、必要な領域にのみ樹脂シート3を設けるため、無駄なコストの削減が可能となる。
【0035】
更に、半導体装置100では、樹脂シート3とモールド樹脂2との界面に混合層9が形成されるため、沿面絶縁を考慮する必要がなくなり、結果として半導体装置の小型化が可能となる。
なお、本実施の形態1では、ICチップ7等をボンディングワイヤにて接続しているが、例えば、金属薄板等の他の部材を用いても良い。更には、ICチップ7とパワーチップ5の間の接続は、一旦中継フレームを介して接続する例を示したが、直接接続してもかまわない。
【0036】
実施の形態2.
図8は、全体が200で表される、本実施の形態にかかる半導体装置の断面図である。図8は、図1のI−Iと同じ方向に見た断面図である。図8中、図1〜3と同一符号は、同一又は相当箇所を示す。
【0037】
本実施の形態2にかかる半導体装置200では、金属箔4が取り付けられた樹脂シート3が、モールド樹脂2の裏面全面を覆う大きさとなっている。他の構造は、上述の半導体装置100と同じである。
【0038】
半導体装置200では、放熱特性が向上するとともに、製造工程(上述の工程4)において、樹脂シート3の配置決めが不要となる。即ち、樹脂シート3は、樹脂封止用金型20の内部底面の大きさに等しいため、配置位置を正確に制御する必要が無くなる。これにより、製造工程が簡略化される。
【0039】
実施の形態3.
図9は、全体が300で表される、本実施の形態にかかる半導体装置の裏面図である。また、図10は、図9をIIIV—IIIV方向に見た断面図である。図9、10中、図1〜3と同一符号は、同一又は相当箇所を示す。
【0040】
半導体装置300は、シート樹脂3の周囲に沿って、複数の凹部40を有する。また、冷却用フィン(図示せず)を取り付けるためのねじ穴35を備える。
【0041】
かかる凹部40は、上述の工程4(図5(d))において、樹脂シート3に位置合わせを容易にするために、樹脂封止用金型20の内部底面に、複数の突起部(図示せず)を設けたために形成されたものである。樹脂封止用金型20の内部底面には、樹脂シート3の配置領域に沿って突起部が設けられている。
【0042】
このように、樹脂封止用金型20の内部底面に突起部を設けることにより、樹脂シート3の位置合わせが容易になり、製造工程の簡略化が可能となる。
【0043】
なお、図9、10では、凹部40の形状を略円柱形状としたが、かかる機能を有する形状であれば、他の形状であっても構わない。また、凹部40の数も、かかる機能を有する限り、いくつであってもかまわない。
更に、凹部40の深さは、金属箔4の厚さよりも薄いことが望ましい。これは、凹部40が誤って金属箔4に重なっても、その先端は樹脂シート3には到達せず、樹脂シート3が損傷を受けないためである。