【技術分野】
【0001】
本発明は、チューインガムの製造に関する。特に、チューインガム調合物に一般的に適用できる新規な1工程製造法を提供する。具体的な実施形態として、本発明は、ガムベース部分に分解可能または生分解可能なポリマーを含有するチューインガムの製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
現在行われているチューインガムの製造方法は、風船ガムを含めてほとんどの場合、少なくとも2つの別々の工程を含んでいる。最初の処理工程で、一般には各種のエラストマーや樹脂性化合物を含むチューインガムベースを作り、続く第2の工程でバルク甘味料、着色料、香味料、およびその他成分などの各種チューインガム添加剤の配合物と混合して、目的とするチューインガムを得る。一般に、前混合したガムベースは、チューインガム添加剤と混合する前に、あらかじめ100〜150℃の範囲の温度で加熱して柔らかくしておく。
【0003】
通常のチューインガムベースは一般に、ガムベースの温度を100〜150℃の範囲にするための加熱ジャケットまたは他の加熱手段を具備した開放釜型ミキサーなど適当な混合装置中でエラストマー、樹脂、無機充填剤、ワックス、脂肪、乳化剤等の各種成分を加熱、混合することによって、工業的規模で調製される。ガムベースの混合時間は、一般に材料1トン当たり2〜4時間である。
【0004】
このように長い時間をかけて2工程で混合する方法では、エネルギーの消費が大変大きく、それに加え、ガムベースを別途に製造し、次の段階でそのガムベースを残りのチューインガム成分と混合するので、運転操作量がかなり多く、また一連のプロセス機器が必要になることは明らかである。
【0005】
したがって、当技術分野では、別個にガムベースを処理する工程を避けるために、ガムベース成分を含めすべての成分を1台の単純な混合装置で混合することを含む、チューインガムの1工程製造法を開発する試みが幾つかなされてきた。
【0006】
米国特許第3,440,060号には、ある種のco−およびter−エチレンビニルアセテートガムベースポリマーを使用するチューインガム製品が開示されている。これらのポリマーで作製されたチューインガム組成物は1工程の混合操作により作製されているが、明確な条件は示されていない。しかし、この特許に開示されている、使用ポリマーの特徴的物理的特性は劣悪で、チューインガム製品を作るのに使用されたガムの配合もよくないので、このような製品は砕けやすく加工することが困難で、現在商業的有用性はほとんどないかまったくない。
【0007】
米国特許第4,329,369号には、チューインガムの1工程製造方法が開示されている。そこでは、天然樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリイソブチレン、エステルガム、乳化剤、充填剤などを含むガムベース材料、ならびに、蔗糖、ブドウ糖、デンプン水解物、人工甘味料、香料、着色料などを含むチューインガム添加剤を1台の混合装置に入れて1工程で同時に、ただし4〜10kg/cm
2の範囲の加圧下で練成している。このような方法を用いると、加圧下に、40℃〜60℃の温度範囲で、10〜15分間で混合することが可能であった。
【0008】
米国特許第4,968,511号には、唯一のポリマー成分として5〜25重量%の様々な特定のビニルポリエステル樹脂化合物、約4〜18重量%のビニルポリエステル用可塑剤、約2〜11重量%の充填剤、約30〜60重量%の固形バルク甘味料、約1〜25重量%の液状バルク甘味料、約0〜0.75重量%の高甘味度甘味料、約0.5〜2.0重量%の香味料、約0〜0.25重量%の着色料、および約0.5〜5重量%の乳化剤を含むチューインガム組成物、および列挙した成分を約50〜100℃の温度で大気圧下に20〜45分間混合することを含む1工程の混合法でチューインガム製品を直接に製造する方法が開示されている。
したがって、すべてのガムベース成分およびすべてのチューインガム添加剤を1工程で配合し、混合できる方法で一般的に応用できる方法は今までなかったと思われる。
【0009】
現在利用されているガムベースであるエラストマー性および樹脂状材料は、一般に分解し難く、このような材料で作ったチューインガムは、使用済みのチューインガムが屋内外の環境で長期にわたって残存するため、環境汚染を生じさせることを意味する。最近、分解性に関する特性を改善したチューインガム配合物が、たとえば、米国特許第5,672,367号に開示されており、そこで特許請求されているチューインガムは、ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、ε−カプロラクトンなどをベースにした環状エステルの重合で得られる分解性ポリエステルポリマーの少なくとも一種を含んでいる。この特許によれば、上記の分解性ポリマーからガムベースを調製し、ガムベースを溶かし、溶けたガムベースとチューインガム添加剤とを混合することを含む2工程法でチューインガムを作製している。
【0010】
上記特許に開示されている分解性ポリマーは、好ましいことにポリマー鎖中に加水分解または光の影響で壊れ易い不安定な結合を含有している。しかし、これらの特性のためポリマーは、一般に約50℃〜約100℃の範囲であるポリマーの融解温度のような高温では分解を受けやすい。
【0011】
【特許文献1】
米国特許第3,440,060号
【特許文献2】
米国特許第4,329,369号
【特許文献3】
米国特許第4,968,511号
【特許文献4】
米国特許第5,672,367号
【特許文献5】
国際公開第00/25598号
【非特許文献1】
米国食品医薬品局、連邦規則集、21章、172,615節、咀嚼物質、合成
【非特許文献2】
H.P.Fiedler、Lexikon der Hilfstoffe fur aapharmacie、Kosmetik und Angrezende Gebiete、63〜64頁(1981年)
【非特許文献3】
Martindale、The Extra Pharmacopoeia、28版、547〜578頁
【非特許文献4】
J.Dent.Res.28巻2号、160〜171頁、1949年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
大気圧下で実施する1工程法を任意の従来組成のチューインガム製造に適用し、チューインガムベース中に1種または複数の生物学的または環境的に分解可能なポリマーを含むような製品を含めて、ガムベースを融解する工程を含む従来の2工程法で同様なチューインガムを作った場合に得られるものよりも概して優れた官能的およびその他の品質パラメータを有するチューインガム製品を得ることが可能であることが見出された。したがって、本発明の主要な目的は、高咀嚼品質が長期に保持されるチューインガムを製造するための、大気圧の下で実施される1回の混合工程による、一般に適用可能で、経済的で、温和な方法を提供することである。
本発明の第1の目的は、これまでの従来法に比較してより経済的で、プロセス機器が少なくて済むチューインガムの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明はチューインガムの製造方法に関するものであり、この方法は、ガムベース成分全部およびチューインガム添加剤全部を適当な順序で混合装置内に仕込み、大気圧下で装置を稼動することを特徴とする。ただしガムベースは実効チューインガムポリマーとしてビニルポリエステルだけを含むことはない。
特に有用な実施形態として、本方法は、ガムベースとしてポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリペプチド、アミノ酸ホモポリマーおよびタンパク質などの、環境条件下で分解可能なまたは生分解可能なポリマーの少なくとも一種を含む方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の1工程法を適用すると、チューインガムにコンシステンシー、たとえば、いわゆるボリューム感、柔らかさが出てくる。
【0015】
本発明の実施形態には多くの特徴があるが、その1つとして、1工程法では先行技術に比較して、たとえばガムベース成分の事前融解などのための加熱よりもガム成分の機械的処理による発熱を相当程度利用していることがあげられる。
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、ガムベース成分は主として混合中の機械的摩擦の結果として生じる熱で加熱される。
【0016】
本発明により、工程は極めて単純になる。所要時間も労働力も少なくて済むだけでなく、工程全体としての物流管理の改善も容易になる。これは、とりわけ、同時にかつ/または引き続いて行われる相互依存関係にある別の混合工程を部分的または完全にはぶくことができるからであり、それによって、在庫管理の改善が容易になる。
さらにこのような物流の改善により、各混合物中、および原則的には各チューインガムにまで特定の成分を追跡できるという意味でのトレーサビリティ(追跡可能性)の改善が容易になる。
【0017】
さらに、本発明の方法は単純なので、関連成分の加熱および圧力管理についてあまり熟練していないオペレーターでも混合工程を遂行できる。大気圧の近傍で、また通常の比較的低温で作業する場合には、安全性が大きく改善される。
さらに、完全または部分的に生分解可能なポリマーをベースにしたチューインガムを製造する場合には、全体として到達する処理温度が低いので熱に弱い生分解性ポリマーの劣化を抑え、それによってポリマー特性をより管理できるようになる。
さらに、1工程の操作なので製品品質の変動が減少する。
さらに、製造時間を大幅に低減できる。
さらに、プロセスを単純化することができるので、投下資本を大幅に低減し、かなりの合理化を達成することができる。
さらに、ガムベース原料は高温にまったく曝されないので、熱分解臭などの品質および風味の低下を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の1工程法は、最初にすべてのガムベース成分およびすべてのチューインガム添加剤を、適当な順序で混合装置中に仕込み、大気圧下で運転しながらその中で混合して、チューインガムを得る。本明細書で、表現「1工程法」は、2種以上のガム成分を融解していない形または加熱していない形で混合装置に添加する方法を含んでいる。
【0019】
本発明で、表現「大気圧」は、圧力が大気圧に近いことを意味する。圧力が大気圧からわずかに外れていてもよい。範囲で言えば、0.90〜1.10パスカル、より好ましくは0.95〜1.05パスカルである。最も好ましい圧力は大気圧(すなわち1パスカル)である。
【0020】
本発明で、表現「適当な順序で」は、すべての成分を同時に添加してもよいし、あるいは、ある成分の全量または一部分をまず添加し、次いで選択した時間だけ混合し、続いて連続的に混合しながら残りの成分の全部またはいくつかを、またはその一部分を、すべての成分を混合装置に仕込み終わるまで順次添加することを意味する。
【0021】
本明細書で、表現「ガムベース成分」は一般にチューインガム中の水不溶性部を与えるために従来より当業界で使用され、一般にはガムベースと呼ばれている、とりわけチューインガムの最終製品の咀嚼特性を決め、通常チューインガム処方全体の10〜99重量%を構成する任意の成分を指す。また本明細書で使用される表現「実効チューインガムポリマー」とは、本明細書中で明らかにされる、ガムベース化合物として使用されるポリマー化合物を指す。
【0022】
通常、チューインガムベース処方には1種または複数の合成または天然起源であってよいエラストマー化合物、1種または複数の樹脂状化合物、1種または複数のエラストマー可塑剤、充填剤、軟化用化合物、および抗酸化剤や着色料などの各種少量成分が含まれている。
【0023】
有用なエラストマーには、それに限定されないが、「米国食品医薬品局、連邦規則集、21章、172,615節、咀嚼物質、合成」に記載されている合成エラストマーがある。たとえば、ガス圧力クロマトグラフィー(GPC)での平均分子量が約10,000〜1,000,000の範囲、例えば50,000〜80,000の範囲のポリイソブチレン、イソブチレン−イソプレンコポリマー(ブチルエラストマー);約1:3〜約3:1のスチレン−ブタジエン比を持つスチレン−ブタジエンコポリマー;GPC平均分子量が2,000〜約90,000の範囲、例えば3,000〜80,000の範囲、例えば30,000〜50,000の範囲で、そのより高分子量のものが一般に風船ガムベースに使用されている酢酸ビニル(PVA);ポリイソプレン;ポリエチレン;、ラウリン酸ビニルの含量がコポリマーの約5〜約50重量%、例えば10〜45重量%である酢酸ビニル−ラウリン酸ビニルコポリマー、ならびにその組合せなどがあげられる。
【0024】
ガムベース中に高分子量合成エラストマーと低分子量エラストマーを併用することは、当業界では広く知られている。すなわち、好ましい合成エラストマーの組合せには、それに限定されないが、ポリイソブチレンとスチレン−ブタジエン、ポリイソブチレンとポリイソプレン、ポリイソブチレンとイソブチレン−イソプレンコポリマー(ブチルゴム)、およびポリイソブチレンとスチレン−ブタジエンコポリマーとイソブチレン−イソプレンコポリマーの組合せ、ならびに、それぞれポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−ラウリン酸ビニルコポリマーと混合した上記すべての個々の合成ポリマー、およびそれらの混合物がある。
【0025】
本発明の方法において有利に使用できる特に興味のあるエラストマー性または樹脂状化合物には、現在使用されているエラストマーおよび樹脂とは異なり、チューインガムの使用後に環境中で物理的、化学的または酵素的に分解可能であり、使用済みの分解性チューインガムの残渣が最終的には分解しかつ/またはチューインガムが捨てられた場所から物理的または化学的手段で除去されるので、非分解性ポリマーをベースとするチューインガムよりも環境汚染を生じさせることの少ないポリマーが含まれる。
【0026】
従って、1つの好ましい実施形態では、少なくとも1種のガムベース成分は環境中で分解するかまたは生分解されるポリマーである。なお、表現「環境中で分解するかまたは生分解されるポリマー」とは、チューインガムを捨てた後、物理的、化学的および/または生物学的分解を受けることができて、それによって、投棄されたチューインガムの残渣がより容易に投棄場所から除去できるようになり、あるいは、最終的にはもはやチューインガムの残渣であるとは認められない塊または小片に崩れるチューインガムベース成分を指す。このような分解性ポリマーの分解または崩壊は、温度、光、水分などの物理的要因、pHの変化で起こる加水分解などの化学的要因、またはポリマーを分解できる酵素の働きによって影響され、引き起こされる。この他の有用な実施形態では、ガムベースのポリマー成分のすべてが環境中で分解するかまたは生分解されるポリマーである。
【0027】
環境的または生物学的に分解可能なチューインガムベースポリマーの適切な例には、分解性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリペプチド、ポリリジンなどのアミノ酸ホモポリマー、およびその誘導体を含むタンパク質などが含まれる。このタイプの特に有用な化合物には、米国特許第5,672,367号に開示され、参照として本明細書に組み込まれた、1種または複数の環状エステルの重合によって得られるポリエステルポリマーが含まれる。これらのポリマーには、ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネートおよびε−カプロラクタムから選択される1種または複数の環状エステルをベースとしたポリマーが含まれる。
【0028】
なお、有用な天然エラストマーには、「Masticatory Substances of Natural Vegetable Origin(天然植物由来の咀嚼物質)」として米国食品医薬品局、連邦規則集、21章、172,615節に記載されているエラストマーが含まれる。これにはスモークまたは液体ラテックス、およびjelutong、lechi caspi、massaranduba balata、sorva、perillo、rosindinha、massaranduba chocolate、cheicle、nispero、gutta hang kang、およびこれらの組合せなどを含むその他の天然ゴムが含まれる。合成エラストマーおよび天然エラストマーの好ましい濃度は、以下で考察するように、それをベースとするチューインガムが粘着性の従来型風船ガムであるか標準ガムであるかに応じて異なる。現在好まれている天然エラストマーにはjelutong、chicle、massaranduba balataおよびsorvaが含まれる。
【0029】
本発明によれば、本発明で使用するチューインガムベース成分には、必要な咀嚼特性を得るのに寄与し、ガムベース組成物のエラストマーに対する可塑剤として働く1種または複数の樹脂状化合物を含めることができる。なお、有用なエラストマー可塑剤には、それには限らないが、エステルガムと称されることも多い天然ロジンエステル、例えば部分水素添加ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、部分二量化ロジンのグリセロールエステル、トール油ロジンのグリセロールエステル、部分水素添加ロジンのペンタエリスリトールエステル、ロジンのメチルエステル、ロジンのメチルエステルの部分水素添加物およびロジンのペンタエリスリトールエステルが含まれる。他の有用な樹脂状化合物には、アルファピネン、ベータピネン、および/またはd−リモネン由来のテルペン樹脂などの合成樹脂、天然テルペン樹脂、および前記樹脂の任意の適当な組合せが含まれる。エラストマー可塑剤の選択は、個々の使用分野、および使用するエラストマーのタイプに応じて異なる。
【0030】
チューインガムベースの処方には、必要なら、例えば、炭酸マグネシウムおよびカルシウム、硫酸ナトリウム、粉砕石灰石、ケイ酸マグネシウムおよびケイ酸アルミニウムなどのケイ酸塩化合物、カオリンおよび粘土、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、タルク、酸化チタン、第一、第二および第三リン酸カルシウム、木材などのセルロースポリマー、およびこれらの組合せを含む、1種または複数の充填剤および/またはテクスチャー付与剤を含めることができる。
また、充填剤および/またはテクスチャー付与剤には、果実植物繊維、穀類、米、セルロース、およびこれらの組合せなどの天然有機繊維を含めることができる。
【0031】
本発明によれば、ガムベースの処方には、1種または複数の軟化剤、例えば国際公開WO00/25598号で開示され、参照として本明細書に組み込まれるものを含む蔗糖ポリエステル類、獣脂、獣脂を含む水素添加脂肪、水素添加および部分水素添加植物油、ココアバター、モノステアリン酸グリセロール、トリ酢酸グリセロール、レシチン、モノ−、ジ−、トリグリセリド、アシル化モノグリセリド、脂肪酸(例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸およびリノール酸)、およびこれらの組合せを含めることができる。本明細書で使用する用語「軟化剤」は、ガムベースまたはチューインガム処方物を軟らかくする成分を意味し、ワックス、脂肪、油脂、乳化剤、界面活性剤および可溶化剤を含む。
【0032】
ガムベースをさらに軟化するため、およびそのベースに水結合特性を持たせ、ガムベースに心地よい滑らかな表面を与えガムの粘着性を弱めるために、組成物に対し通常1種または複数の乳化剤を一般にはガムベースの0〜18重量%、好ましくは0〜12重量%の量で添加する。食用脂肪酸のモノおよびジグリセリド、食用脂肪酸のモノおよびジグリセリドの乳酸エステルおよび酢酸エステル、アセチル化モノおよびジグリセリド、食用脂肪酸の糖エステル、ステアリン酸Na、K、Mg、およびCa、レシチン、水素添加レシチン等がチューインガムに添加できる一般に使用されている乳化剤の例である。以下で明らかにする生物学的または薬剤的に有効な成分が存在する場合には、懸濁化を促進し有効成分の放出を強めるために、その処方にある特定の乳化剤および/または可溶化剤を含めることができる。
【0033】
コンシステンシーを調節するため、およびチューインガムベースを軟化するために、通常、ワックスおよび脂肪をチューインガムベース調製時に使用する。本発明においては、例えば、米糠ワックス、ポリエチレンワックス、石油ワックス(精製パラフィンおよびミクロクリスタリンワックス)、パラフィン、蜜蝋、カルナバワックス、カンデリアワックス、ココアバター、脱脂ココア粉、ならびに、例えば完全または部分水素添加植物油または完全または部分水素添加動物油などの任意の適切な油脂または脂肪など、一般に使用されている適当な種類の任意のワックスおよび脂肪を使用することができる。
【0034】
本発明のさらなる実施形態では、ガムベースはワックスを含まない。
さらに本発明によれば、ガムベースの処方には、FD&C型染料およびレーキ、果実エキスおよび野菜エキス、酸化チタン、ならびにこれらの組合せなどの着色料および白化剤を含めることができる。さらに有用なチューインガムベース成分には、例えばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピルおよびトコフェロールなどの抗酸化剤、および保存剤が含まれる。
【0035】
本発明の1工程法において、以下で明らかにするチューインガム添加剤と混合されるチューインガムベース処方の組成は、製造すべき個々の製品、ならびに希望する最終製品の咀嚼性およびその他の官能特性に応じてかなり変更することができる。しかし、上記ガムベース成分の代表的な範囲(重量%)は、エラストマー性化合物が5〜100%、エラストマー可塑剤が5〜55%、充填剤/テクスチャー付与剤が0〜50%、軟化剤が5〜35%、抗酸化剤、着色剤などのその他各種成分が0〜1%である。
【0036】
本発明によれば、1工程法は、上述したようなガムベース成分をチューインガム添加剤と共に混合装置に仕込むことを必要とする。なお、用語「チューインガム添加剤」は、従来の2工程法においては、別個に作製し事前融解または事前加熱したガムベースに対して添加される任意の成分を示すのに使用される。一般に使用される添加剤の大部分は水溶性であるが、水不溶性成分、例えば水に不溶の着香成分を含めることもできる。
【0037】
なお、チューインガム添加剤には、バルク甘味料、高甘味度甘味料、香味料、軟化剤、乳化剤、着色料、結合剤、酸味料、充填剤、抗酸化剤、および薬剤的または生物学的に有効な物質など、チューインガム最終製品に必要な特性を付与するその他の成分を含めることができる。
【0038】
適当なバルク甘味料としては、糖質および非糖質化合物の両者がある。バルク甘味料は通常はチューインガムの約5〜約95重量%、より典型的には約20〜約80重量%、例えば30〜60重量%を構成する。
【0039】
有用な糖質甘味料は、チューインガムの技術分野で広く知られている糖含有化合物、例えば、それに限定はされないが、蔗糖、デキストロース、マルトース、デキストリン、トレハロース、D−タガトース、乾燥転化糖、フルクトース、レブロース、ガラクトース、固形コーンシロップなどの、単独または組合せである。
【0040】
ソルビトールを非糖質甘味料として使用できる。その他の有用な非糖質甘味料としては、それに限定はされないが、糖アルコール、例えばマンニトール、キシリトール、水素添加デンプン水解物、マルチトール、イソマルトール、エリスリトール、ラクチトールなどの単独または組合せがある。
【0041】
高甘味度人工甘味料はまた、単独、または上記甘味料との組合せで使用できる。好ましい高甘味度甘味料には、それに限定はされないが、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファム塩、アリテーム、サッカリンおよびその塩、シクラミン酸およびその塩、グリチルリジン、ジヒドロカルコン類、タウマチン、モネリン、ステビオシドなどの単独または組合せが含まれる。甘さと風味感がより長く持続するように、人工甘味料の少なくとも一部をカプセル化することが、またカプセル化しない場合でも放出をコントロールすることが望ましい。湿式造粒、ワックス造粒、噴霧乾燥、噴霧冷却、流動床コーティング、コアセルベーション、酵母細胞内カプセル化、繊維状押出などの技術を使用して、必要な放出特性が得られる。甘味料のカプセル化は、例えばカプセル化剤として樹脂状化合物など他のチューインガム成分を使用しても可能である。
【0042】
人工甘味料の使用濃度は、例えば、甘味料の性能、放出速度、必要とする製品の甘味度、使用するフレーバーの濃度と種類、およびコスト的な配慮などの要因に応じて著しく相違する。従って例えば、人工甘味料の実効濃度は、約0.02から約8重量%まで変更できる。カプセル化のために用いた担体も含めるならば、カプセル化した甘味料の使用濃度はそれに比例してより高くなる。本発明により製造されるチューインガムの処方には、糖および/または非糖質甘味料の組合せを使用できる。また、液糖またはアルジトール溶液のように、軟化剤も追加的な甘味を与えることができる。
【0043】
低カロリーガムが所望であれば、低カロリーの増量剤を使用できる。低カロリー増量剤の例としては、ポリデキストロース、ラフチロース、ラフチリン、フルクトオリゴ糖(NutraFlora登録商標)、パラチノースオリゴ糖、グアーガム水解物(例えばSun Fiber登録商標)または非消化性デキストリン(Fibersol登録商標)などがある。しかし、その他の低カロリー増量剤も使用できる。
【0044】
さらに、本発明の方法で処理されるチューインガム混合物に含めることのできるチューインガム添加剤としては、薬剤的、化粧的または生物学的に有効な成分が混合物中に存在する場合には特に、界面活性剤および/または可溶化剤があげられる。本発明によるチューインガム組成物中で可溶化剤として使用される表面活性剤の種類の例としては、参考文献としてH.P Fiedlerの「Lexikon der Hilfstoffe fur Pharmacie、Kosmetik und Angrenzende Gebiete」63〜64頁(1981年)に記載があり、国ごとに承認されている食品乳化剤のリストがある。アニオン性、カチオン性、両性または非イオン性可溶化剤を使用できる。適切な可溶化剤には、レシチン、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸塩、食用脂肪酸モノおよびジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、食用脂肪酸モノおよびジグリセリドのクエン酸エステル、脂肪酸の蔗糖エステル、脂肪酸のポリグリセロールエステル、相互エステル化ヒマシ油脂肪酸ポリグリセロールエステル(E476)、ステアロイル乳酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸およびポリオキシエチレン化硬化ヒマシ油のソルビタンエステル(例えば、CREMOPHORの商品名で販売されている製品)、酸化エチレンと酸化プロピレンのブロックコポリマー(例えば、PRURONICおよびPOLOXAMERの商品名で販売されている商品)、ポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテル、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステル、脂肪酸のソルビタンエステルおよびステアリン酸ポリオキシエチレンエステルなどが含まれる。
【0045】
特に適切な可溶化剤は、例えばポリオキシエチレン(8)ステアレートやポリオキシエチレン(40)ステアレートなどのステアリン酸ポリオキシエチレン、例えばTWEEN20(モノラウレート)、TWEEN80(モノオレエート)、TWEEN40(モノパルミテート)TWEEN60(モノステアレート)、TWEEN65(トリステアレート)などTWEENの商品名で販売されている脂肪酸のポリオキシエチレンソルビタンエステル、食用脂肪酸のモノおよびジグリセリドのモノおよびジアセチル酒石酸エステル、食用脂肪酸のモノおよびジグリセリドのクエン酸エステル、ステアロイル乳酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン化硬化ヒマシ油、酸化エチレンと酸化プロピレンのブロックコポリマー、およびポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテルである。可溶化剤は、単独の化合物でも、あるいは数種の化合物を組み合わせたものでよい。なお、表現「可溶化剤」は、そのどちらの場合も含めて使用される。使用される可溶化剤は食品および/医薬としての用途に適したものでなければならない。
有効成分を含んでいる場合には、チューインガムに当技術分野で公知の担体を含めるのが好ましい。
【0046】
本発明の1工程混合法の大きな利点は、作業中の温度を初めから終わりまで、以下で述べるような比較的低温に保持できることである。このことは、高温で劣化する傾向のある添加香料成分の香気を保存するという意味で有利な特徴である。本発明の方法で製造されるチューインガムに有用な香気料および香味料は、風味特性に効果を及ぼすことのできる酸またはその他の物質を含む、例えば、凍結乾燥天然植物成分、精油、エッセンス、エキス、粉末の形をした天然および合成香料(天然香料を含む)である。液体および粉末香料の例としては、ココナッツ、コーヒー、チョコレート、バニラ、グレープフルーツ、オレンジ、ライム、メントール、カンゾウ、カラメルアロマ、ハニーアロマ、ピーナツ、クルミ、カシュー、ヘーゼルナッツ、アーモンド、パイナップル、ストロベリー、ラズベリー、トロピカルフルーツ類、チェリー類、シナモン、ペパーミント、ウインターグリーン、スペアミント、ユーカリ、ミント、およびリンゴ、ナシ、モモ、ストロベリー、アンズ、ラズベリー、チェリー、パイナップルからなどの果実エッセンス、およびプラムエッセンスがある。精油には、ペパーミント、スペアミント、メントール、ユーカリ、クローブ油、ベイ油、アニス、タイム、シーダーリーフ油、ナツメグ、および上記果実のオイルが含まれる。
【0047】
好ましい実施形態の1つとして、香料は、凍結乾燥され、好ましくは粉末、スライスまたはそれが組み合わさった小片の形である1種または複数の香味料である。その粒子径は、粒子の最長部で測って3mm未満、例えば2mm未満、より好ましくは1mm未満である。天然香味料は、粒子径が約3μm〜2mm、例えば4μm〜1mmの形でよい。好ましい天然香味料には、ストロベリー、ブラックベリー、ラズベリーなどの果物の種が含まれる。
【0048】
本発明では、混合フルーツ香料など、様々な合成香料も使用できる。上で示したように、使用する香気料の量は一般に使用されている量よりも少なくてよい。香気料(aroma)および/または香料(flavor)は、必要とする香気および/または香味の強度に応じて、最終製品の重量に対して0.01重量%〜約30重量%を使用できる。好ましくは、香気料/香味量の含量は、組成物の全重量に対して0.2重量%〜3重量%の範囲である。
【0049】
実施形態の1つとして、本発明による1工程操作で処理されるチューインガム組成物には、薬剤的、化粧的または生物学的に有効な物質を含んでいる。これら有効物質の例としては、その包括的リストが国際公開WO00/25598中に見出され、参照として本明細書中に組み込まれるが、薬剤、栄養補助食品、防腐剤、pH調整剤、禁煙剤(例えば、ニコチン)、ならびに過酸化水素や噛んでいる間に尿素を放出する化合物など口腔や歯を保護または治療するための物質が含まれる。防腐剤として有用な活性物質には、グアニジンおよびビグアニジンの塩または誘導体(例えば、クロルヘキシジン二酢酸塩)、および限られた水溶性を有する以下のタイプの物質;第四級アンモニウム化合物(例えば、セラミン、クロロキシレノール、クリスタルバイオレット、クロラミン)、アルデヒド(例えば、パラホルムアルデヒド)、デクアリン誘導体、ポリノキシリン、フェノール(例えば、チモール、p−クロロフェノール、クレゾール)、ヘキサクロロフェン、サリチルアニリド化合物、トリクロサン、ハロゲン(ヨウ素、ヨウ素担体、クロロアミン、ジクロロシアヌル酸塩)、アルコール(3,4−ジクロロベンジルアルコール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、フェニルエタノール)が含まれる。Martindaleの「The Extra Pharmacopoeia」、28版、547〜578頁も参照のこと。限られた水溶性を有する金属塩、錯体または化合物、例えばアルミニウム塩(例えば、硫酸アルミニウムカリウムAlK(SO
4)
2・12H
2O)、およびホウ素、バリウム、ストロンチウム、鉄、カルシウム、亜鉛(酢酸亜鉛、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛)、銅(塩化銅、硫酸銅)、鉛、銀、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、モリブデン、バナジウムの塩、錯体および化合物などを含めるべきであり、口腔と歯の保護のための他の組成物:例えば、フッ素を含む塩、錯体または化合物(フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化アミン、フッ化第一錫)、リン酸塩、炭酸塩およびセレンも含まれる。J.Dent.Res.28巻(2号)160〜171頁(1949年)にも有効な物質が記載されている。
【0050】
口腔内のpHを調製するための有効物質の例には、アジピン酸、コハク酸、フマル酸などの酸またはその塩、またはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、酢酸、乳酸、リン酸およびグルタール酸の塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩などの許容される塩基、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、マグネシウムまたはカルシウム、特にマグネシウムおよびカルシウムの硫酸塩または酸化物が含まれる。
【0051】
本発明の1工程法によれば、すべてのガムベース成分およびすべてのチューインガム添加剤を任意の適当な順序で混合装置の中に仕込んだ後または仕込みながら、その装置を大気圧下で稼動してチューインガムを得る段階を含んでいる。一般的に言って、典型的な1工程のバッチ混合操作は、以下で述べるように実施される。
【0052】
ある特定タイプのチューインガムに加工すべく選択したすべてのチューインガム成分を、チューインガム成分を完全に混合し、均一なチューインガム原体を製造できる水平方向に設けたZ型アームなどの混合手段を具備した釜など、従来型の練成または混合器の中で混合する。また、押出し装置など、剪断力を発生する装置を使用して、バッチ方式による1工程での加工処理を実施することもできる。混合器には、温水、オイルまたは蒸気を混合部位の周囲に循環できるようにした加熱ジャケット、または加熱用電熱線などの加熱手段を備えることが好ましい。一般に、温度は始め30〜80℃の範囲に設定するが、好ましい温度は、選択したエラストマーまたは樹脂状ポリマーが十分に軟化し、処理できるようになる温度によって決まる。典型的な初期混合温度は、40〜65℃、例えば45〜60℃の範囲にある。混合操作中、温度が実質的に上昇しないこと、例えば上昇幅が5〜20℃を超えないことが好ましい。好ましい実施形態では、温度はバッチ混合工程のいずれの時点においても約60℃を超えない。
【0053】
通常は、混合工程は計量したガムベース成分を混合することから始まり、これらの成分の処理を1〜30分間、例えば5〜20分間、例えば約10分間続け、それに引き続いて粉末または液状の甘味成分を添加する。通常は、甘味料の添加とそれに続く処理に要する時間は、1〜20分の範囲、例えば2〜15分の範囲など、例えば約7分である。高分子量のポリマーを使用する場合には、場合によっては混合装置の混合部位を冷却しながら、混合時間を40分間まで延長することが必要なこともある。
しかし、この混合工程を従来の非分解性ガムベース原料に応用する場合には、混合工程の時間をある程度延長できることに留意すべきである。
【0054】
甘味料の添加およびそのガムベース成分中への混合に続いて、香料および残りのチューインガム成分を、そのまま連続的に運転されている混合装置に添加し、さらに1〜10分間、例えば2〜8分間、通常は約5分間混合を続ける。香料および残りの成分の混合を、練成処理の初期、すなわち甘味料を混合する前に行うこともできる。また、選択した香料を練成/混合工程の間に2回以上に分割して添加してもよい。混合工程のすべてを30分以内、例えば20分以内、さらには15分以内の運転で完了するのが好ましい。
しかし、この工程を従来の非分解性ガムベース原料に応用する場合には、混合工程の時間をある程度延長できることに留意すべきである。
【0055】
さらなる実施形態として、本発明により従来のチューインガムを製造する場合には、低分子量ポリマーと一緒に軟化系を追加する段階を含む。これらの成分の処理を1〜30分間、例えば5〜20分間、例えば約8分間続け、引き続き高分子量ポリマーと充填剤を添加する。通常は、添加およびその後の処理のための時間は、1〜10分間、例えば2〜8分間の範囲、一般には約5分間である。すべての樹脂および甘味料粉末を添加し、混合処理を10〜60分間、例えば20〜40分間、例えば約30分間続ける。
フレーバーおよび残りの成分は、通常は甘味料の添加とそのガムベースへの混合に続いて、そのまま連続的に動いている混合装置に添加され、さらに1〜30分間、例えば10〜20分間、通常約15分間、混合を続ける。
【0056】
練成/混合工程が完了したら、チューインガム製造業界で通常行われているように、得られたチューインガム原体を取り出し、例えばカート、トレイなどに移す。さらに、チューインガムをコア、スティック、ボール、キューブ、シリンダーおよび他の希望する形状にして、次いで、場合によっては包装の前にコーティング、艶出しを含む、当技術分野で公知の通常の工程を経て、チューインガム原体をチューインガムの最終製品に加工する。
【0057】
本発明の方法について上で述べたことは、特にバッチ法に関するものであるが、例えば、単軸振動または二軸共回転らせん型のスクリューを備えたスクリュー型混合機、例えばBuss型エクストルーダーを使用して、1工程混合法を、連続法として実施することも本発明の範囲内である。バッチ式での1工程法の場合と同様に、連続混合操作でもガムベースポリマーを十分に軟化させるために温度を制御するが、ポリマーまたは熱に敏感なその他の成分を劣化させる可能性のある温度にならないように制御する。従って、スクリュー型混合機の混合室の温度は、混合操作の始まりから終わりまで、40〜80℃の範囲、例えば50〜70℃の範囲であるのが好ましい。好ましい実施形態では、連続混合操作中の温度が約60℃を超えない。
【0058】
本発明を以下の実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
【実施例1】
【0059】
混合前にガムベースを融解する従来の2工程法による、分解性ガムベースポリマーを含みペパーミント味のチューインガムの調製(対照試験)
本実施例では、ガムベース部分として、米国特許第5,672,367号中で明らかにされ、環状エステルの重合によって得られ、加水分解または光の作用で切断できる不安定な結合を有する分解性ポリマーを使用した。以下このポリマーをBDP1という。以下に記したチューインガム添加剤と混合する前に、ガムベースを100℃の湯浴中で30分間加熱し、軟化/融解した。
【0060】
事前に融解したガムベースを、ソルビトール総添加量の約1/3量のソルビトールと共に、釜本体内部にそれぞれZ字型の2枚のブレードを具備し、回転速度を1〜110rpmの範囲に設定できる一般的なダブルシグマブレード混合機(Krupp,Werner & Pfleiderer社、ドイツ)内に仕込んだ。この試験では、ダブルブレード混合機の回転を50rpmに設定した。続いて、下記の表1に記載したチューインガム添加剤を、指示した時点での混合条件で混合機に添加した。チューインガム調合物の組成、および混合条件を下記の表1に要約する。
【0061】
【表1】

【実施例2】
【0062】
混合前にガムベースを融解する従来の2工程法による、分解性ガムベースポリマーを含みペパーミント味のチューインガムの調製(対照試験)
本実施例では、本質的には実施例1と同様にしてチューインガムを調製した。ただし、事前に融解する分解性ポリマーをBDP2という別種のポリマーに変更した。組成および混合条件を下記の表2に示す。
【0063】
【表2】

【実施例3】
【0064】
本発明の1工程混合法による、非分解性ポリマーを含みペパーミント味のチューインガムの調製
本実施例では、ガムベースを事前に融解する工程を省略する。つまり、ガムベースAと呼ぶ従来のガムベースを直接に、すなわち事前に融解することなく、実施例1および2で使用した混合装置に添加し、下記の表3に示したチューインガム添加剤と示した時点で混合した。
【0065】
【表3】

結果から明らかなように、1工程混合法を使用して12分以内で最終チューインガムを得ることが可能であった。
【実施例4】
【0066】
本発明の1工程混合法による、ガムベース部分として非分解性ポリマーを含みペパーミント味のチューインガムの調製
実施例3の1工程法を用いて、ガムベース部分としてガムベースBと呼ぶガムベース成分を含む、もう1つのチューインガムを調製した。組成および混合条件を下記の表4に示す。
【0067】
【表4】

この非分解性ガムベースを非融解状態で混合した場合も、1工程混合法により12分以内の混合時間でチューインガムの最終製品を得ることが可能であった。
【実施例5】
【0068】
本発明の1工程混合法による、ガムベース部分として分解性ポリマーを含みペパーミント味のチューインガムの調製
この試験で用いた1工程法は、本質的に実施例4と同様である。但し、ガムベース部分は、実施例1で使用したものと同様、環境中で分解可能なBDP1というポリエステルポリマーである。組成および混合条件を下記の表5に示す。
【0069】
【表5】

結果から明らかなように、対応している対照実施例1の2工程法と同じ時間内で、最終チューインガム原体の温度が高温になることもなく、すべてのチューインガム成分を1つの混合工程で混合することが可能であった。実際、最終チューインガム原体の最終温度は、1工程法を使用した場合の方がかなり低かった。
【実施例6】
【0070】
本発明の1工程混合法による、ガムベース部分として分解性ポリマーを含みペパーミント味のチューインガムの調製
本実施例で使用した1工程法は、本質的に実施例5の方法と同様である。但し、ガムベース部分は、実施例5で使用したポリマーと基本的特性が同一で、BDP2と呼ばれる、環境中で分解可能な別種のポリエステルポリマーに変更した。組成および混合条件を下記の表6に示す。
【0071】
【表6】

混合所要時間および最終チューインガム原体の温度は、1工程法に分解性ポリマーBDP1を使用した場合の時間および温度とほぼ同様であった。
【実施例7】
【0072】
本発明の1工程混合法による、ガムベース部分として分解性ポリマー混合物を含みペパーミント味のチューインガムの調製
本実施例のチューインガムは、本質的に実施例5および6で説明したのと同様にして調製した。ただし、ガムベース部分として、個々の分解性ポリマーのいずれか1種ではなく、それぞれ同量の分解性ポリマーBDP1およびBDP2を使用した。組成および混合条件を下記の表7に示す。
【0073】
【表7】

混合所要時間および最終チューインガム原体の温度は、分解性ポリマーBDP1およびBDP2のいずれかを単独で使用した場合の時間および温度とほぼ同様であった。
【実施例8】
【0074】
すべてのガムベース成分を混合装置に1種ずつ仕込む本発明の1工程混合法による、ガムベースとして非分解性および分解性ポリマーの混合物を含みペパーミント味のチューインガムの調製
本実施例では、非分解性ポリマーすなわちポリイソブチレン、低分子量ポリ酢酸ビニルおよびエステルガムの混合物、ならびに分解性ポリマーBDP1からガムベース部分を構成した。これらの各チューインガムベース成分を、これまでの実施例で使用した混合装置に、1種ずつ、下記の表8に示した時点で添加した。
【0075】
【表8】

結果から明らかなように、一連の非分解性ガムベースポリマーおよび分解性ポリマーをプロセス中に1種ずつ添加して、短時間内にチューインガム最終原体を得る、1工程でのチューインガム混合方法を提供することが可能である。
【実施例9】
【0076】
本発明の1工程混合法による、ガムベース部分として分解性ポリマーを含みペパーミント味のチューインガムの調製
この試験で使用した1工程法は、本質的に実施例5と同様である。ただし、分解性ガムベースの使用量を減し、その分を充填剤(フィラー)および水素添加脂肪で置き換えた。組成および混合条件を要約したものを下記の表9に示した。
【0077】
【表9】

【実施例10】
【0078】
試製チューインガムの官能特性試験
チューインガムの官能試験について徹底的に訓練を受けた5名の試験員の官能試験によって次のチューインガムをテストした:(i)実施例4のチューインガム、すなわち、本明細書中でガムベースBと称されるガムベースを用い、1工程法で作製したチューインガム、(ii)実施例7のチューインガム、すなわち、分解性ポリマーBDP1およびBDP2の等量混合物を用い、1工程法で調製したチューインガム、(iii)実施例2のチューインガム、すなわち、ガムベースとして事前に融解した分解性ポリマーBDP2を用い、2工程で調製したチューインガム、(iv)実施例6のチューインガム、すなわち、融解していない分解性ポリマーBDP2を用い、本発明の1工程法で調製したチューインガム。
【0079】
チューインガムのサンプルを、ランダム化した3桁の数字を付した40mlの無味プラスチックカップに入れて、ISO規格8598に従って建造した、室温下にある試験ブース内で官能試験員に供し、試験した。試験サンプルをそれぞれ0〜1分間(初期段階)、2〜3分間(中間段階)、4〜5分間(末期段階)噛んだ時点で評価した。各サンプルを試験する間に、試験員は3分間の休憩を取った。
【0080】
次の基準パラメータを評価した。すなわち、ミント風味(mint flavour)、脆さ(crumbleness)、歯への粘着性(tacking to teeth)、初期柔らかさ(initial softness)、ボリューム感(volume)、きしみ感(creakiness)、柔らかさ(softness)、甘味度(sweetness)、清涼効果(cooling effect)、ジューシー感(juiciness)、滑らかさ(smoothness)、および弾力性(elasticity)である。これらのパラメータのそれぞれについて、0〜15の任意尺度での評価を試験員に求めた。得られたデータをFIZZコンピュータプログラム(French Bio System)で処理し、結果を図1〜6に示す官能特性図に変換した。さらに、官能特性試験データを統計解析に付し、その結果を下記の表10〜12に要約した。
【0081】
試験したチューインガムの初期試験の段階における主要な相違は次の通りであった。
すなわち、本発明の1工程法によって調製したチューインガムは、これと対応する、従来の2工程法すなわちガムベースの事前融解を含む方法で調製されたとチューインガムと比較すると、柔らかさが有意に大であることがわかった。本発明の1工程法によって調製したチューインガムは、これと対応する、従来の2工程法で調製されたチューインガムに比べボリューム感が有意に大であった。
【0082】
試験したチューインガムの中間期試験の段階における主要な相違は次の通りであった。
すなわち、本発明の1工程法によって調製したチューインガムは、従来の2工程法で調製されたチューインガムに比べ歯への粘着性が有意に低く、有意に柔らかく、ボリューム感が有意に大であった。
【0083】
末期試験の段階では、サンプル間で統計的に有意な相違はなかったが、図3および6から明らかなように、本発明の1工程法で調製したサンプルは柔らかさおよびボリューム感がより大であった。
従って、チューインガム添加剤と混合する前に、別途、ガムベースを調製かつ/または事前融解する工程のない1工程のチューインガム処理法を使用すると、2つの別個の混合工程で処理されたチューインガムに比較し、必須官能特性の優れた最終チューインガム製品を得ることができると、結論することができる。
【0084】
【表10】

【0085】
【表11】

【0086】
【表12】

【実施例11】
【0087】
本発明の1工程法によって調製したチューインガムの硬度減少
一般に、チューインガム本体の咀嚼感が硬すぎないことが望ましい。そこで、本発明の1工程法で調製したチューインガム最終品と、それと組成は同じであるが2工程法で調製した対照チューインガムと比較して、硬さに対する効果を調べることにした。
次のチューインガムを試験に供した。(i)本明細書実施例2のチューインガム(BDP2、事前融解)および(ii)本明細書実施例6のチューインガム(BDP2、1工程)。
【0088】
試験サンプルの硬さは、直径4mmのステンレス円筒(DYA CYLINDER STAINLESS)を備えたInstron(商品名)装置を用い、速度25mm/分、チューインガム内部への試験距離を3.5mmとした圧縮負荷試験によって試験した。結果(N)を図7に要約する。結果から明らかなように、本発明の1工程法で調製したチューインガムサンプルは、従来法で作製されたチューインガムに比べ硬さがかなり減少している。
【実施例12】
【0089】
本実施例では、AT Instrument社製AR1000型レオメータを用いてレオロジー特性(貯蔵弾性率、G’)を測定した。測定したチューインガムは、実施例6で作製したチューインガム(分解性ガムベースポリマーBDP2を使用、1工程)、実施例2で作製したチューインガム(事前融解した分解性ガムベースポリマーBDP2を使用、すなわち2工程法)および非分解性ガムベースポリマーBを含み、チューインガム添加剤と混合する前にガムベースを融解する従来の2工程法によって作製したチューインガムである。振動測定は平行板方式(d=2.0cm、ハッチ付)を用い、70℃で、線形粘弾性領域内の応力で実施した。
結果を図8に要約するが、結果から明らかなように、本発明によって作製したチューインガムの弾性は、事前に融解したガムベースを使って作製したチューインガムに比較して改善されており、分解性ポリマーを使用して作製したチューインガムよりも非分解性ポリマーから作製したチューインガムにより近い弾性特性を有している。
【実施例13】
【0090】
ガムベースおよびチューインガム成分のすべてを1種ずつ混合装置に仕込む1工程混合法による、従来のガムベース処方を用いたペパーミント味のチューインガムの調製
本実施例では、従来の様々なガムベース処方を使用して1工程によるチューインガム処方物を作成した。これらのガムベース成分を今までの実施例で使用した混合装置に1種ずつ添加した。組成および混合条件を下記の表13に示す。
【0091】
【表13】

比較のため、従来の2工程混合法を用いて同一処方のチューインガムを調製した。組成および混合条件を下記の表14に示す。
【0092】
【表14】

また、従来からの様々なガムベース処方も1種ずつ添加して、1工程混合法を使用すればかなり少い処理時間で2工程法の第2工程ほどの高温にはならずに最終的なチューインガムを得ることが可能であった。
【実施例14】
【0093】
本実施例では、AT Instrument社製AR1000型レオメータを用いて、実施例13で作製したチューインガムのレオロジー特性(貯蔵弾性率、G’)を測定した。振動測定は平行板方式(d=2.0cm、ハッチ付)を用い、70℃で、線形粘弾性領域内の応力で実施した。
結果を図9および図10に要約した。結果から明らかなように、本発明により作製したチューインガムのレオロジー特性は、従来の2工程法で作製したチューインガムに匹敵する。
【実施例15】
【0094】
試験チューインガムの官能特性試験
チューインガムの官能試験の十分な訓練を受けた5名の試験員の官能試験によって次のチューインガムを試験した。すなわち実施例13のチューインガム、すなわち1工程法で作製され本明細暑中でCG1と名づけたチューインガム、および従来の2工程法で調製されCG7と名づけた同じ配合のチューインガムである。
実施例10で説明したのと同様の条件でチューインガムのサンプルを試験した。
次の基準パラメータを評価した。すなわち、香味感、フレーバーの強さ、ペパーミント、歯への粘着性、初期柔らかさ、ボリューム感、きしみ感、柔らかさ、甘味、清涼効果および弾力性である。
【0095】
3つの試験段階(図11、12、および13)のすべてにおいて、試験したチューインガム間の主要な相違は次の通りであった。
すなわち、本発明の1工程法により調製したチューインガムは、これに対応する従来の2工程法で調製したチューインガムよりもかなり大きなボリューム感を有していた。
従って、チューインガム添加剤と混合する前に、ガムベースを別途に調製しない1工程法を使用すると、別個な2つの混合工程で処理されたチューインガムに比較して、ボリューム感に優れた最終チューインガム製品を得ることができると結論づけることができる。
【実施例16】
【0096】
本発明の1工程混合法を用いた従来型医療用チューインガム配合物からのニコチン放出
本実施例では、従来型医療用チューインガムの配合処方を用いて、2mgのニコチンを含有する1工程チューインガム配合物を作製した。これらガムベースの各成分を、これまでの実施例で使用された混合装置に個々に添加した。比較のため、同一配合処方のチューインガムを従来の2工程法で作製した。
ニコチンの放出は、生体内および生体外分析で測定した。
チューインガムの生体内放出は以下の尺度で評価した。

【0097】
図14に生体で測定したニコチンの放出を示すが、結果から明らかなように、従来の2工程法を用いて作製したチューインガムに比較して、ニコチンが受容可能レベルにあることが多いので、本発明によって作製したチューインガムはニコチンの放出が改善されている。
HPLC法でニコチンの放出を分析した。チューインガムは、チューイングマシーンで10および20分間チューイングしてから測定した。
生体外ニコチン放出の測定結果を下の表15に示す。
【0098】
【表15】

生体外分析から得られた放出結果により、前記の実施例で得られた生体内評価が裏付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】1工程法を用いて調製したチューインガムの初期段階での官能特性試験を、従来の2工程法で調製したチューインガムと比較して説明した図である。GB−2は、本明細書中でガムベースBと称されるガムベースを用いて2工程法で作製したチューインガムを意味し、BDP−1/BDP−2は、本明細書中でそれぞれBDP1およびBDP2と称される分解性ポリマーの等量混合物を用い1工程法で調製したチューインガムであり、BDP−2事前融解は、ガムベースとして事前融解した分解性ポリマーBDP2を用い2工程法で調製したチューインガムを意味し、BDP−2 1工程は、融解していない分解性ポリマーBDP2を用い本発明の1工程法で調製したチューインガムを意味する。
【図2】図1で言及したチューインガムの中間段階での官能試験を説明した図である。
【図3】図1で言及したチューインガムの末期段階での官能試験を説明した図である。
【図4】図1でそれぞれBDP−2(事前融解)およびBDP−2(1工程)として言及したチューインガムの初期段階での官能試験を示した図である。
【図5】図1でそれぞれBDP−2(事前融解)およびBDP−2(1工程)として言及したチューインガムの中間段階での官能試験を示した図である。
【図6】図1でそれぞれBDP−2(事前融解)およびBDP−2(1工程)として言及したチューインガムの末期段階での官能試験を示した図である。
【図7】インストロン(Instron)装置を使用して測定した(i)本明細書の実施例7のチューインガム(BDP−2(1工程))および(ii)本明細書の実施例3のチューインガム(BDP−2(事前融解))の硬さを示した図である。
【図8】図1でそれぞれBDP−2(事前融解)およびBDP−2(1工程)として言及したチューインガム、および非分解性ガムベースを含みチューインガム添加剤と混合する前にガムベースを調製する従来の2工程法で作製したチューインガムについて、AT Instruments社、AR1000型レオメータで測定したレオロジー特性(貯蔵弾性率G’)を示すデータを要約した図である。
【図9】1工程法で調製した従来からの各種チューインガム、およびチューインガム添加剤と混合する前にガムベースを調製する従来の2工程法で作製した比較品について、AT Instruments社、AR1000型レオメータで測定した貯蔵弾性率G’を示すレオロジー特性(線形粘弾性領域(LVR))を示すデータを要約した図である。
【図10】1工程法で調製した従来からの各種チューインガム、およびチューインガム添加剤と混合する前にガムベースを調製する従来の2工程法で作製した比較品について、AT Instruments社、AR1000型レオメータで測定した貯蔵弾性率G’を示すレオロジー特性(線形粘弾性領域(LVR))を示すデータを要約した図である。
【図11】それぞれサンプル(標準2工程)および1工程と名づけた従来のチューインガムの初期段階での官能試験を示した図である。
【図12】それぞれサンプル(標準2工程)および1工程と名づけたチューインガムの中間段階での官能試験を示した図である。
【図13】それぞれサンプル(標準2工程)および1工程と名づけたチューインガムの末期段階での官能試験を示した図である。
【図14】ニコチンの生体内放出を示した図である。グラフには従来の2工程法および1工程で調製されたニコチンチューインガムを含んでいる。