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書誌情報  要約  特許請求の範囲  発明の詳細な説明  図面の簡単な説明  図面

 【書誌情報】

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2004-219106(P2004-219106A)
(43)【公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
(54)【発明の名称】音の評価方法
(51)【国際特許分類第7版】
   G01H   3/08   
   A63B  53/00   
【FI】
   G01H   3/08    
   A63B  53/00          B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2003-3490(P2003-3490)
(22)【出願日】平成15年1月9日(2003.1.9)
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号
(74)【代理人】
【識別番号】100082968
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 正
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸川 広人
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内
【テーマコード(参考)】
2C002
2G064
【Fターム(参考)】
2C002AA01
2C002ZZ04
2G064AB01
2G064AB13
2G064CC35
2G064CC41
2G064CC53

 要約

(57)【要約】
【課題】音の評価を定量化する。
【解決手段】音を採取する音採取ステップS1と、採取した音を1/nオクターブバンドで各周波数帯域毎の音圧レベルを取得する周波数分析ステップとS2、音圧レベルが大きい上位m個の周波数帯域を用いて下記式▲1▼で得られる代表周波数faを計算する計算ステップS3と、該代表周波数faを用いて前記音を評価する評価ステップS4とを含む音の評価方法である。
fa=Σ(Pni ×fni )/Σ(Pni ) (i=1〜m) …▲1▼
ただし、Pni は、上位からi番目に大きい音圧レベル(dB)、fni は該音圧レベルを示す周波数帯域の中心周波数(Hz)である。
【選択図】 図1

 特許請求の範囲


【特許請求の範囲】
【請求項1】
音を採取する音採取ステップと、
採取した音から、1/nオクターブの周波数帯域毎の音圧レベルを取得する周波数分析を行う周波数分析ステップと、
音圧レベルが大きい上位m個の周波数帯域を用いて下記式▲1▼で得られる前記音の代表周波数faを計算する計算ステップと、
該代表周波数faを用いて前記音を評価する評価ステップとを含むことを特徴とする音の評価方法。
fa=Σ(Pni ×fni )/Σ(Pni ) (i=1〜m) …▲1▼
(ただし、Pni は、上位からi番目に大きい音圧レベル(dB)、fni は該音圧レベルを示す周波数帯域の中心周波数(Hz)である。)
【請求項2】
前記音採取ステップは、同一の条件でk個の音を測定し、かつ各音を平均する処理を含むことを特徴とする請求項1記載の音の評価方法。
【請求項3】
前記音採取ステップは、同一の条件でk個の音を測定する処理を含むとともに、前記周波数分析ステップは、前記各音毎に周波数分析を行った後、音圧レベルを平均する処理を含むことを特徴とする請求項1記載の音の評価方法。
【請求項4】
前記音は、ゴルフクラブヘッドの打球音である請求項1乃至3のいずれかに記載の音の評価方法。

 発明の詳細な説明

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、安価にかつ定量的な音の評価を可能としうる音の評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
音は、我々を取り巻く生活環境の中にあふれている。耳障りな音は、騒音として把握されこれを無くす努力が行われている。しかし、ここ数年では耳障りな音を消してしまうのではなく人間が心地良いと感じられる音色へと変える研究が進みつつある。この際、音の高さを調節することが特に重要とされており、このような技術は自動車のエンジン音、冷蔵庫のドアの開閉音、ゴルフクラブヘッドの打球音などに適用される。
【0003】
一方、音の高さを調節するには、該音の高さを的確に把握しかつ評価する必要がある。音の高さを評価する方法としては、官能評価や周波数分析(FFTアナライザ)などを挙げることができる。前者の方法は実際に人間の聴覚を利用するため、良い結果が得られやすい。しかしその反面、音の定量的な把握が難しい。例えば2つの音を聞き比べたときに、どの程度の高低差があるのかを知り得ない。また後者の方法は、周波数分析の結果得られたスペクトルから当該音のピーク周波数などを調べることができるが、音の高低はピーク周波数だけで決まるものではない。
【0004】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、人間が感じる音の高さに相関を持つパラメータである代表周波数という概念を用いることを基本として、安価に音を定量的に把握しかつ評価することが可能な音の評価方法を提供することを目的としている。
【0005】
なおゴルフクラブヘッドの打球音を評価する方法としては、下記特許文献1が提案されている。このものは、非常に特殊な信号解析装置又は信号解析ソフトウエアが必要となり、安価に提供するのは困難である。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−314534号公報
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明は、音を採取する音採取ステップと、採取した音から、1/nオクターブの周波数帯域毎の音圧レベルを取得する周波数分析を行う周波数分析ステップと、音圧レベルが大きい上位m個の周波数帯域を用いて下記式▲1▼で得られる前記音の代表周波数faを計算する計算ステップと、該代表周波数faを用いて前記音を評価する評価ステップとを含むことを特徴とする音の評価方法である。
fa=Σ(Pni ×fni )/Σ(Pni ) (i=1〜m) …▲1▼
(ただし、Pni は、上位からi番目に大きい音圧レベル(dB)、fni は該音圧レベルを示す周波数帯域の中心周波数(Hz)である。)
【0008】
また請求項2記載の発明は、前記音採取ステップは、同一の条件でk個の音を測定し、かつ各音を平均する処理を含むことを特徴とする請求項1記載の音の評価方法である。
【0009】
また請求項3記載の発明は、前記音採取ステップは、同一の条件でk個の音を測定する処理を含むとともに、前記周波数分析ステップは、前記各音毎に周波数分析を行った後、音圧レベルを平均する処理を含むことを特徴とする請求項1記載の音の評価方法である。
【0010】
また請求項4記載の発明は、前記音は、ゴルフクラブヘッドの打球音である請求項1乃至3のいずれかに記載の音の評価方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
本実施形態の音の評価方法は、図1に示すように、音を採取する音採取ステップS1と、採取した音から1/nオクターブの周波数帯域毎の音圧レベルを求める周波数分析ステップS2と、音圧レベルが大きい上位m個の周波数帯域を用いて後述する計算式で代表周波数faを計算する計算ステップS3と、該代表周波数faを用いて前記音を評価する評価ステップS4とを含むものである。以下、順に詳述する。
【0012】
前記音採取ステップS1は、本実施形態では、同一の測定条件でk個の音(音1、音2…音k)を測定し(ステップS1a)、これらの各音1〜音kを平均する処理を含むものを例示している(ステップS1b)。これは、測定音にノイズが含まれている場合など、該ノイズを低減するのに役立つ。
【0013】
本実施形態では、採取しかつ評価される音として、ゴルフクラブヘッドの打球音が採用される。打球音は、例えば図2に示すように、テストゴルファgによってゴルフボールbを実際に打撃する打撃テストを行なって採取しうる。打撃テストを行う場所は、屋内、屋外を問わないが、好適には屋外でかつ半径50m以内に音を反射させるような遮蔽物がなくしかも無風の状況が好ましい。またテストゴルファgについても特に制限は無いが、好適には身長150〜190cm程度、打球時のヘッドスピードが38〜48m/s程度の標準的なアベレージゴルファが好ましい。なおゴルフボールは、ゴルフ競技に使用できるものであれば良い。
【0014】
打球音は、スイングのくせやゴルフボールの種類(糸巻きタイプ、ソリッドタイプ)等によっては、実質的に変化しないが、ボールを打撃するフェース部の位置によって異なる。このため、打点位置を常に一定とすることが望ましい。例えば圧力が負荷されるとその部分の色彩が変化する圧力検知シートなどをフェース面に予め貼着し、フェース面のスイートスポットから半径5mmの円の中に打点の中心が入っていたときの打球音だけを採取することが望ましい。
【0015】
打球音は、騒音計Mにより採取される。騒音計Mの設置位置は、好ましくは目標飛球線方向を通る垂直面aを介してテストゴルファgと反対側の向き合う位置とする。またテストゴルファgの耳元の高さが良い。また騒音計Mのマイクロフォン部M1をゴルフボールbに向けるとともに、このマイクロフォン部M1の先端からゴルフボールbまでの直線距離は、ゴルファーがアドレスした際の耳の位置とボールの位置との距離Lに合わせる。この例では160cmとした。
【0016】
騒音計Mから採取された音は、本例ではDAT又は磁気ディスクなどの記憶媒体にデジタル録音される。デジタル録音は、例えばサンプリング周波数48kHz 、周波数帯域0〜20kHz 、量子化ビット16ビットとした。録音時間は打球音が発生する時間(大凡0.05秒)よりも長ければ良く、通常はスイング開始からスイング終了までの連続した3ないし4秒間に設定するのが望ましい。
【0017】
上述のような測定は、ステップS1aに示したように同一の測定条件で複数回行われ、本例ではk個の打球音が採取される。なおkは、2以上の整数であるが、好ましくは3〜5程度が望ましい。またk個の音1、音2…音kは、例えば図3に示すように、横軸をサンプリング周期(時間軸)、縦軸をビットレートとしたグラフに表すことができ、本実施形態では、これらの各音1〜音kの音発生位置Oを揃えた上で平均され一つの音が求められる。これは前述の通り混入したノイズを低減するのに役立つ。
【0018】
次に採取された打球音を、信号処理装置を用いて周波数分析する(ステップS3)。図4には、横軸に各周波数帯域、縦軸に音圧レベルをとった周波数分析結果を示す。周波数分析は、1/nオクターブバンド、本実施形態では又特に好ましくは1/3オクターブバンドが採用される。人間の可聴音は、一般に20〜20000Hzであるが、高い周波数ほど聞き分けられる周波数帯域の巾は広くなり、その巾は概ね1/nオクターブ毎(とりわけ1/3オクターブ毎)の周波数帯域にほぼ等しいことが知られている。このため本発明では、1/nオクターブバンドを用いることにより、人間の官能評価レベルにより合致した周波数分析を行う。なおnが小さすぎると、周波数バンドが広くなり、きめ細かな評価が困難になる傾向があり、逆にnが大きすぎると周波数帯域を不用意に狭め、分析に要する時間が増大する。好ましくはnは、3〜12の整数の中から選択するのが望ましい。下記表1には、本実施形態の周波数分析に使用した計測機器の一覧を示す。
【0019】
【表1】
【0020】
次に本実施形態では、周波数分析の結果より、音圧レベルが大きい上位m個の周波数帯域を用いて下記式▲1▼で前記打球音の代表周波数faを計算する(ステップS3)。
fa=Σ(Pni ×fni )/Σ(Pni ) (i=1〜m) …▲1▼
ただし、Pni は、上位からi番目に大きい音圧レベル(dB)、fni は該音圧レベルを示す周波数帯域の中心周波数(Hz)である。
【0021】
式▲1▼において、分子は、中心周波数fni とその音圧レベルPni との積を上位m個の周波数帯域について総和したものである。前記mが小さすぎると、精度の良い評価が困難になる傾向があり、逆にmが大きすぎても、評価結果への影響が小さいにも拘わらず計算量を増加させる。好ましくは前記mを3以上、より好ましくは5以上、さらに好ましくは8〜12とするのが望ましい。また式▲1▼において、分母は、上位m個の周波数帯域の音圧レベルPni の総和である。このような代表周波数faは、離散量である上位m個の中心周波数について、音圧レベル、即ち音の強さで重み付けをした平均値であるため、ピーク周波数などに比べて音の高さを表すより好適なパラメータとなる。
【0022】
発明者らは、代表周波数faと、人間が感じる音の高さとの相関を調べる実験を行った。該実験は、代表周波数が異なる12種類の音をスピーカで再生するとともに、各音を20名の健康な成人(男性13名、女性7名)に聞かせ、音の高さをどのように感じるかを下記の5段階でアンケート形式で調査することにより行った。評価は音の高さのみである。
5:高い
4:やや高い
3:どちらでもない
2:やや低い
1:低い
【0023】
図5には、その結果として、代表周波数と官能評価との関係を示す。図から明らかなように、代表周波数が大きくなると、その音は高く感じられており、両者の間には強い正の相関が見られる。従って、音の高さを評価するには、この代表周波数を用いることが有効であることが分かる。例えば複数のゴルフクラブヘッドを試作し、それぞれの打球音を評価したい場合には、先ず各打球音からそれぞれ代表周波数を求める。そしてこの代表周波数の値を比較することにより、定量的に音の高さについて評価を行うことができる。
【0024】
上記実施形態では、音としてゴルフクラブヘッドの打球音を例に挙げた。しかし、本発明はこのような実施態様に限定されるものではなく、種々の音が採用できるのは言うまでもない。また上記実施形態では、周波数分析ステップに先立って採取した音を平均したものを示したが、例えば図6に示すように、音1〜音kを採取するとともに(ステップS10)、採取された音1〜音kそれぞれについて周波数分析を行い(ステップS11)、その結果得られた周波数帯域毎に音圧レベルを平均して一つのスペクトルを得ることでも良い(ステップS12)。
【0025】
【発明の効果】
上述したように、本発明では、音の高低に関する人間の聴覚と相関を持つ代表周波数を用いることにより、音の高さを定量的に把握しかつ評価することができる。また本発明は、汎用の計測機を用いた簡単な構成で実施することができるため、安価に音の評価ができる。また請求項2又は請求項3のように、複数の音を採取してこうれらを平均することによって、ノイズの低減を図ることができ、より正確な音の評価を可能とする。また本発明は、ゴルフクラブヘッドの打球音などを心地よく変える際に特に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すフローチャートである。
【図2】打球音を測定する一例を示す側面図である。
【図3】採取した音の一例を示すグラフである。
【図4】周波数分析結果を示すグラフである。
【図5】代表周波数と官能評価との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の他の実施形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
S1 音採取ステップ
S2 周波数分析ステップ
S3 計算ステップ
S4 評価ステップ

 図面

【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】