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書誌情報 要約 特許請求の範囲 発明の詳細な説明 図面の簡単な説明 図面

 書誌情報


《表紙》

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2003−306607(P2003−306607A)
(43)【公開日】平成15年10月31日(2003.10.31)
(54)【発明の名称】樹脂組成物およびその製造方法
(51)【国際特許分類第7版】

C08L101/00
C08K 7/06
【FI】

C08L101/00
C08K 7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2003−30180(P2003−30180)
(22)【出願日】平成15年2月7日(2003.2.7)
(31)【優先権主張番号】特願2002−33302(P2002−33302)
(32)【優先日】平成14年2月12日(2002.2.12)
(33)【優先権主張国】日本(JP)
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町2丁目2番1号
(72)【発明者】
【氏名】西村 透
【住所又は居所】愛知県名古屋市港区大江町9番地の1 東レ株式会社名古屋事業場内
(72)【発明者】
【氏名】加藤 耕太
【住所又は居所】愛知県名古屋市港区大江町9番地の1 東レ株式会社名古屋事業場内
(72)【発明者】
【氏名】古関 正賢
【住所又は居所】愛知県名古屋市港区大江町9番地の1 東レ株式会社名古屋事業場内
(72)【発明者】
【氏名】吉川 正人
【住所又は居所】愛知県名古屋市港区大江町9番地の1 東レ株式会社名古屋事業場内
【テーマコード(参考)】

4J002
【Fターム(参考)】

4J002 AB021 BB031 BB121 BB231 BC031 BC051 BC061 BD031 BD101 BD121 BE031 BG051 BG101 BK001 BN151 BQ001 CB001 CC031 CC121 CD001 CF031 CF071 CF161 CF181 CF211 CG011 CH071 CH091 CJ001 CK021 CL001 CM041 CN011 CN031 CP031 DA016 FA066 FB066 FD116 GQ00


 要約


(57)【要約】
【課題】少ないフィラー配合量で、優れた導電性を有し、かつ機械的強度にも優れた樹脂組成物およびその製造方法の提供。
【解決手段】樹脂中にカーボンナノチューブが分散してなる樹脂組成物であって、前記カーボンナノチューブが2〜5層の多層カーボンナノチューブであることを特徴とする樹脂組成物、および、カーボンナノチューブ、好ましくは多層のカーボンナノチューブ、より好ましくは2〜5層のカーボンナノチューブをプラズマ処理し、好ましくは外表面の炭素に対する酸含有割合が2%以上とした後、樹脂中に分散してなる樹脂組成物、およびその製造方法。


 特許請求の範囲


【特許請求の範囲】
【請求項1】樹脂中にカーボンナノチューブが分散してなる樹脂組成物であって、前記カーボンナノチューブ中に2〜5層の多層カーボンナノチューブの占める割合が50%以上であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】樹脂中にカーボンナノチューブが分散してなる樹脂組成物であって、前記カーボンナノチューブをプラズマ処理した後、樹脂中に分散してなることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項3】樹脂中にカーボンナノチューブが分散してなる樹脂組成物であって、前記カーボンナノチューブをプラズマ処理し、外表面の炭素に対する酸含有割合が2%以上とした後、樹脂中に分散してなることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項4】カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項2または3いずれか記載の樹脂組成物。
【請求項5】カーボンナノチューブが2〜5層の多層カーボンナノチューブを50%以上含有するカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項2または3いずれか記載の樹脂組成物。
【請求項6】樹脂が熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の樹脂組成物。
【請求項7】樹脂が熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の樹脂組成物。
【請求項8】カーボンナノチューブをプラズマ処理した後、樹脂中に分散させることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
【請求項9】カーボンナノチューブをプラズマ処理し、外表面の炭素に対する酸含有割合が2%以上とした後、樹脂中に分散させることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
【請求項10】カーボンナノチューブをプラズマ処理した後、さらにカップリング剤で処理し、樹脂中に分散させることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
【請求項11】カーボンナノチューブをプラズマ処理した後、さらにマスターペレットまたはスラリーとし、樹脂中に分散させることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
【請求項12】カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項8〜11いずれか記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項13】カーボンナノチューブが2〜5層の多層カーボンナノチューブを50%以上含有するカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項8〜11いずれか記載の樹脂組成物の製造方法。


 発明の詳細な説明


【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は樹脂組成物およびその製造方法に関する。より詳しくは、高い弾性率と高い導電性を有する樹脂組成物とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂材料は一般的に、それ自身の導電性が低いため、導電性の高い導電性フィラーなどを配合することによって、導電性を付与する検討が行われている。導電性フィラーとしては、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、金属繊維、金属粉末などが用いられている。
【0003】しかしながら、上記の導電性フィラーを用いた場合は優れた導電性を発現させるためには添加量を多くする必要があり、本来の樹脂が有する機械的強度や成形加工性を損なうという課題があった。
【0004】そこで、特許文献1には、フィブリルの直径が3.5〜70nmの極細炭素フィブリルが互いに絡み合った凝集体を樹脂中に含有させた導電性に優れた樹脂組成物が検討されており、前記の導電性フィラーを用いた場合より少ない添加量で高い導電性を示すことが開示されている。しかしながら、極細炭素フィブリルを互いに絡み合った凝集体の状態で分散させる必要があるために、導電性を発現させるために必要な炭素フィブリルの量を低減させるには限度があった。また、炭素フィブリルの量を多く分散させた樹脂組成物では溶融粘度や溶液粘度が著しく高くなるため、成形加工性に問題が生じていた。
【0005】
【特許文献1】特開平3−74465号公報 (特許請求の範囲)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、より少ないフィラー配合量で優れた導電性を有し、かつ機械的強度にも優れた樹脂組成物およびその製造方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、樹脂中に2〜5層の多層カーボンナノチューブを配合すること、および、カーボンナノチューブをプラズマ処理した後に樹脂に配合することによって上記課題を解決できることを見出し本発明に至った。
【0008】すなわち本発明は、樹脂中にカーボンナノチューブが分散してなる樹脂組成物であって、前記カーボンナノチューブが2〜5層の多層カーボンナノチューブであることを特徴とする樹脂組成物、および、カーボンナノチューブ、好ましくは多層のカーボンナノチューブ、より好ましくは2〜5層のカーボンナノチューブをプラズマ処理し、好ましくは外表面の炭素に対する酸含有割合が2%以上とした後、樹脂中に分散してなる樹脂組成物、およびその製造方法、を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0010】本発明に用いる樹脂には、特に制限が無く熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれも使用することができる。
【0011】熱可塑性樹脂とは、加熱により溶融成形可能な樹脂を言う。その具体例としてはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、酢酸セルロース樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリケトン樹脂、液晶ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0012】熱硬化性樹脂とは、加熱または放射線や触媒などの手段によって硬化される際に実質的に不溶かつ不融性に変化し得る特性を持った樹脂である。その具体例としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルテレフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂などが挙げられる。
【0013】これらの熱硬化性樹脂は1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0014】また、本発明の樹脂の主成分が熱可塑性樹脂の場合、熱可塑性樹脂の特性を損なわない範囲で少量の熱硬化性樹脂を添加することや、逆に主成分が熱硬化性樹脂の場合に熱硬化性樹脂の特性を損なわない範囲で少量の熱可塑性樹脂を添加することも可能である。
【0015】本発明で用いるカーボンナノチューブは、グラファイトの1枚面を巻いて円筒状にした形状を有しており、そのグラファイト層が1層で巻いた構造を持つ単層カーボンナノチューブ、2層以上で巻いた多層カーボンナノチューブのいずれでも良いが、多層カーボンナノチューブであることが好ましく、特にグラファイト層が2〜5層の多層カーボンナノチューブであることが好ましい。さらに2層カーボンナノチューブであることが最も好ましい。単層カーボンナノチューブより多層カーボンナノチューブが好ましい理由は、多層カーボンナノチューブのほうが樹脂との親和性とカーボンナノチューブ自身の有する特性の両立がしやすいからである。カーボンナノチューブに樹脂との親和性を持たせようとすると、酸化などの表面処理をする必要があるが、単層カーボンナノチューブには、グラファイト層が1層しかないので表面処理をすることによってグラファイト層の結晶配列が崩れ、カーボンナノチューブの優れた導電性や機械的特性を失うことが多い。この点で、2層以上のグラファイト層を有する多層カーボンナノチューブの方が好ましいが、層数が大きくなればカーボンナノチューブの直径および体積が大きくなり、単位添加量あたりのカーボンナノチューブの本数が減少してしまうため、樹脂に対する補強効果や導電性の付与効果は低下する可能性がある。上述したカーボンナノチューブとしての特性と、樹脂に配合した場合の樹脂特性の改良効果という両特性を具備するものとして、多層カーボンナノチューブのなかで層数の小さい2〜5層カーボンナノチューブが好ましく、2層カーボンナノチューブが最も好ましい。具体的な直径としては、直径3nm以下の多層カーボンナノチューブが好ましい。
【0016】本発明で用いる好ましい多層カーボンナノチューブは2〜5層のカーボンナノチューブが全カーボンナノチューブ中に50%以上含まれるものである。その同定方法としては、カーボンナノチューブやカーボンナノチューブを含む樹脂組成物の超薄切片を20万倍以上の透過型電子顕微鏡で観察した際に、その電子顕微鏡の視野中に見られる繊維状のナノチューブの本数の中で2〜5層のカーボンナノチューブが50%以上であれば良い。最も好ましい2層カーボンナノチューブとは、全カーボンナノチューブ中に占める2層カーボンナノチューブの割合が50%以上であることを言う。
【0017】カーボンナノチューブの特徴である円筒状のグラファイト構造は高分解能透過型電子顕微鏡で調べることができる。グラファイトの層は、透過型電子顕微鏡でまっすぐにはっきりと見えるほど好ましいが、グラファイト層は乱れていても構わない。グラファイト層が乱れたものは、カーボンナノファイバーと定義することがあるが、このようなカーボンナノファイバーも本発明においてはカーボンナノチューブに含むものとする。
【0018】本発明のカーボンナノチューブは、一般にレーザーアブレーション法、アーク放電法、熱CVD法、プラズマCVD法、燃焼法などで製造できるが、どのような方法で製造したカーボンナノチューブでも構わない。篠原らが報告しているようにゼオライトを触媒の担体としてアセチレンを原料に熱CVD法で作る方法は、特に精製することなく、多少の熱分解による不定形炭素被覆はあるものの、純度が高く、良くグラファイト化された多層カーボンナノチューブが得られる点で特に好ましい方法である(Chemical Physics Letters 303(1999) 117-124)。
【0019】本発明は、カーボンナノチューブ外表面の炭素に対する酸含有率が2%以上であることを特徴とするカーボンナノチューブを用いることが好ましい。
【0020】ここで、酸含有割合は下式で求めたものと定義する。
【0021】
【数1】

【0022】Ac:カーボンナノチューブ1gに含まれる酸のモル数
2πRa:カーボンナノチューブ平均外周(nm)
[(Ra−Rb)/Rk]+1:カーボンナノチューブ平均層数
2π(Ra+Rb)/2:カーボンナノチューブ平均円周(nm)
Ra:カーボンナノチューブ平均外半径
Rb:カーボンナノチューブ平均内半径
Rk:カーボンナノチューブ平均層間距離。
【0023】上式に示す分子のAcは、外表面に酸を有するカーボンナノチューブ1gに含まれる酸のモル数である。純度100%のカーボンナノチューブを得ることは困難であり、それを同定することも困難であるため、ここで言うカーボンナノチューブとは5万倍の倍率で走査型電子顕微鏡で見たときに繊維状の物質がその電子顕微鏡の視野の中に80%以上であるカーボン質材料であればカーボンナノチューブと言って差し支えない。従って、厳密に定義すればカーボンナノチューブ外表面だけに酸性基を有するのではなく、カーボンナノチューブに付着した炭素、カーボンナノチューブに混在する炭素粒子も含んだ状態で酸量を測定し、すべてカーボンナノチューブの表面に酸性基があるとして計算したものである。外表面に酸を有するカーボンナノチューブに含まれる酸のモル数の測定は、カーボンナノチューブを溶媒に分散させ、中和滴定によって求めたものである。外表面に酸を有するカーボンナノチューブとは、カーボンナノチューブ外表面に少なくとも1種類以上の酸性の官能基を有するカーボンナノチューブのことである。酸性の官能基の種類は特に限定されず、例えば、カルボキシル基、水酸基、スルホン基などである。また、それ以外の官能基、例えばカルボニル基、ニトロ基、エーテル基、などを有していても良い。外表面に酸を有するカーボンナノチューブの模式図を図1に示す。
【0024】上式に示す分母は、カーボンナノチューブ1gに含まれるカーボンナノチューブ外表面の炭素のモル数である。カーボンナノチューブ平均外周を、カーボンナノチューブ平均層数とカーボンナノチューブ平均円周の乗算結果を用いて除算することで、カーボンナノチューブ全体に対するカーボンナノチューブ外表面の炭素率を求める。これに、カーボンナノチューブ1gを炭素原子の原子量(12g/mol)で除算した結果(つまり、カーボンナノチューブ1g中に含まれる炭素原子のモル数)を乗算することで、カーボンナノチューブ1gに含まれるカーボンナノチューブ外表面の炭素のモル数を求める。
【0025】カーボンナノチューブ平均外半径Ra、カーボンナノチューブ平均内半径Rbは図1に示すように定義され、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)観察結果から、ひとつのカーボンナノチューブを重複して用いないルール適用して、任意に少なくとも10点以上、好ましくは20点以上のカーボンナノチューブの外半径、内半径を計測し、それぞれ平均値を計算することで求める。
【0026】カーボンナノチューブ層間距離Rkは、公知の値である0.34nmを用いる。
【0027】前記式で示される、カーボンナノチューブ外表面の炭素に対する酸含有率は2%以上、好ましくは4%以上、さらに好ましくは8%以上であることが好ましい。2%より小さいと、樹脂中への分散性が低下する可能性がある。
【0028】また、前記式を満たすカーボンナノチューブの官能基を、エステル化、アミド化、イミド化などの化学反応などの手法を用いてさらに修飾して用いてもかまわない。
【0029】上記の如く、前記式で示されるカーボンナノチューブ外表面の炭素に対する酸含有率が2%以上であることを特徴とするカーボンナノチューブを得るための鍵となる技術は、プラズマ処理である。プラズマ処理は、酸素又は窒素ガスプラズマ処理であることが好ましい。
【0030】本発明において、プラズマ処理とは、特に制限されないが、例えば公知の低温プラズマ処理のことをいい、処理空間内にカーボンナノチューブと処理するガスを供給した状態で高電圧を印可して発生するプラズマにより、カーボンナノチューブを処理する方法である。プラズマ発生ガスとしては、特に限定されないが、有機、無機ガスが目的に応じ単独あるいは混合されて用いられる。たとえば、酸素、窒素、水素、アンモニア、メタン、エチレン、4フッ化炭素などが挙げられる。処理装置としては、特に限定されるものではなく、公知の内部電極方式または外部電極方式が使用されるが、電極の汚染のない点から外部電極方式が好ましい。処理圧力、電源周波数、処理出力などの処理条件は特に限定されるものではなく目的に応じ好ましく選定すればよい。
【0031】プラズマ処理、特に酸素プラズマ処理が好ましい理由は、現時点で明らかではないが、以下のように推察される。プラズマとは荷電粒子を含む気体で、荷電粒子がカーボンナノチューブと衝突することにより炭素−炭素の結合が切れることによって処理される。あるいは、炭化水素がデポジットされることにより処理される。プラズマ処理により、炭素−炭素の結合が切れた場合は、酸素と接触することにより、その部分にカルボキシル基などの官能基が生じると考えられる。カーボンナノチューブ外表面の炭素に対するカルボキシル基含有率が式1を満たす場合に、樹脂への分散性が特に向上する。その理由は、カーボンナノチューブ外表面にカルボキシル基が存在することで、隣接するこれとは別のカーボンナノチューブ外表面に存在するカルボキシル基と反発し合うようになり、絡まり合っていたカーボンナノチューブがほぐれ、樹脂中に分散すると考えられる。
【0032】また、プラズマ処理は、層数の少ない多層カーボンナノチューブに特に好ましい。表面にカルボキシル基を導入するためには、酸化剤を用いて酸化する方法、酸素ガス存在下で焼成する方法が知られているが、これらは酸化のコントロールが難しく、層数の少ない多層カーボンナノチューブを、すべて燃やしてしまうなどの欠点がある。それに比較してプラズマ処理は、表面層のみをマイルドに処理できるので層数の少ないナノチューブにとっては特に好ましい。プラズマ処理は10層以下のカーボンナノチューブに好ましい処理であり、更に好ましくは5層以下、特に好ましくは、2層カーボンナノチューブに好ましい。また、単層ナノチューブでは表面に官能基が導入されることによってグラファイト構造が乱れ、グラファイト構造が連続しているカーボンナノチューブの特性を低下させてしまうので好ましくない。
【0033】プラズマ処理には、種々の処理があるが具体例として、酸素ガスプラズマ処理が好ましい。その理由は、通常カーボンナノチューブは、アモルファスカーボンなどが表面に付着しており、そのアモルファスカーボン成分を酸化して二酸化炭素にして除去することができ、カーボンナノチューブの親水化などの修飾だけでなく、同時に精製もできるからである。酸素ガスプラズマ処理の条件は、装置、放電形態によって異なるが外部電極方式の場合、圧力は5から100Paが好ましい。プラズマ処理の条件によって、アモルファスカーボンのような熱分解炭素被覆物は、取り除くことも出来れば適度に残すことも出来る。適度に残した方が、カーボンナノチューブ全体の外表面積が大きくなり、樹脂中への親和性が高くなり、好ましい。
【0034】また別の具体的な処理法として、2層〜5層の細いカーボンナノチューブの処理には、窒素プラズマが好ましい。酸素プラズマよりもマイルドに処理が出来るため、カーボンナノチューブ自体が燃え尽きて無くなることはない。窒素プラズマ処理でも、処理後空気中にさらすことにより、窒素プラズマにより、切られた結合は、空気中の酸素と反応して、カルボキシル基やカルボニル基、ヒドロキシル基等になる。
【0035】本発明の樹脂組成物中におけるカーボンナノチューブの含有量は、樹脂組成物100重量%中の0.01〜50重量%であることが好ましい。特に0.05〜20重量%であることが好ましい。含有量が50重量%を超えると樹脂組成物の加工性が低下する場合があり、また0.01重量%未満では導電性付与効果が低下する場合があり、いずれも好ましくない。
【0036】本発明の樹脂組成物は、カーボンナノチューブを樹脂中に分散させることで製造できる。カーボンナノチューブを樹脂中に分散させる方法に特に制限は無い。具体的な方法として、樹脂を溶媒に溶解させ、樹脂溶液とした状態でカーボンナノチューブを添加して攪拌、混合して分散させた後、溶媒を除去して樹脂組成物を得る方法、熱可塑性樹脂の場合では樹脂を加熱溶融した状態でカーボンナノチューブを添加し、ミキサーやニーダー、押出機などの溶融混練機で分散させ樹脂組成物を得る方法、熱硬化性樹脂の場合では硬化前のモノマーやプレポリマーの状態にカーボンナノチューブを添加して攪拌、混合して分散させ、次いで硬化させて樹脂組成物を得る方法、モノマー中にカーボンナノチューブを添加し攪拌、混合して分散させ、次いで重合させて樹脂組成物を得る方法など、いずれの方法でも良い。
【0037】その際、カーボンナノチューブは前述したプラズマ処理を施した後に樹脂に分散させることが好ましい。さらに、プラズマ処理を施した後において、カーボンナノチューブの外表面の炭素に対する酸含有割合は2%以上とした上で樹脂に分散させることがより好ましい。
【0038】また、カーボンナノチューブを樹脂中に分散させる際に、カーボンナノチューブをカップリング剤で予備処理して使用することも好ましい。かかるカップリング剤としてはイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などが挙げられる。
【0039】特に好ましいのは、有機シラン系化合物であり、その具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩等の炭素炭素不飽和基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。
【0040】また、カーボンナノチューブの樹脂中への分散性を向上させる目的および、カーボンナノチューブのハンドリング性を向上させる目的で、カーボンナノチューブをバインダー樹脂で集束させることも可能である。バインダー樹脂としてはエポキシ系樹脂、アクリル酸系、メタクリル酸系、スチレン系などのビニル系モノマーからなる重合体および共重合体、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。
【0041】カーボンナノチューブの樹脂中への分散性を向上させる別の好ましい方法として、カーボンナノチューブを樹脂中に高濃度で配合したマスターペレットを前述した方法のいずれかで製造し、それを再度樹脂に配合する方法を用いることも可能である。マスターペレットの樹脂の種類は最終的に配合する樹脂と同一でも良く、別の種類であっても良い。また、マスターペレットを製造する際に、前述したカップリング剤やバインダー樹脂を同時に配合することも可能であり、また樹脂への分散性を向上させる分散剤を配合することも可能である。分散剤としては、高級脂肪酸のエステル、金属塩、アミドなどの高級脂肪酸誘導体や、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、などの無機粒子、ポリエチレングリコール、シリコーンオイル、リン酸エステルなどの可塑剤、界面活性剤などが挙げられる。
【0042】本発明の樹脂組成物には必要に応じて他の公知の添加剤を併用することも可能である。添加剤の具体例としては、酸化防止剤や耐熱安定剤、耐候剤、離型剤及び滑剤、顔料、染料、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、強化材などが挙げられる。
【0043】本発明の樹脂組成物は公知の方法で成形して成形品として用いることができる。成形方法としては、射出成形、押出成形、プレス成形などが挙げられる。成形品には、射出成形品、シート、未延伸フィルム、延伸フィルム、丸棒や異形押出品などの押出成形品、繊維、フィラメントなどが挙げられる。発泡成形や2色成形、インサート成形、アウトサート成形、インモールド成形など公知の複合成形技術を適用することも可能である。また、本発明の樹脂組成物を溶液あるいは懸濁液として接着剤やペースト、塗料、コーティング剤として用いることも可能である。
【0044】
【実施例】以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はここに掲げる実施例によって限定されるものではない。
【0045】参考例1(多層カーボンナノチューブの合成)
K.Hernadi、A.Fonsecaらによる報告を参照(Zeolites 17:416−423、1996)し、酢酸鉄(2g)、酢酸コバルト(2g)、Y型ゼオライト(10g)を秤量し、メタノール(100ml)を加えて、振とう器にて1時間攪拌後、メタノール分を乾燥除去し、触媒を得た。次に、CVD反応装置を用いて、反応管内の石英ウール上に触媒1gをあらかじめセットし、窒素(30cc/分)雰囲気下で600℃まで昇温後、アセチレン(6cc/分)、窒素(30cc/分)雰囲気下で600℃×5時間保持しカーボンナノチューブを合成した。その後、窒素(30cc/分)雰囲気下で室温まで冷却し、反応混合物を取り出した。
【0046】前記の反応混合物を、フッ化水素酸10%水溶液中で3時間攪拌後、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し、ろ紙上の固形物を、イオン交換水、アセトン溶液にて洗浄後、乾燥し、カーボンナノチューブ(CNT−1)を得た。CNT−1の透過型電子顕微鏡(TEM)観察結果、グラファイト層の構造が確認でき、多層カーボンナノチューブを多く含むことがわかった。また、SEMのEDXを用いて元素分析を行ったところ、Y型ゼオライトの存在率はEDXの測定限界以下(ほぼ0%)である結果を得た。
【0047】前記カーボンナノチューブ(CNT−1)10mgに、イオン交換水50mlを加えて、超音波洗浄機(YAMATO化学製、BRANSON3210、発信周波数47KHz、出力130W)にて1時間処理後、48時間静置して得られた試料のpHをガラス電極式水素イオン濃度計(東亜電波工業、HM−30V)を用いて測定したところ、pH=7.0でり、この結果からCNT−1の酸のモル数は10mgあたり、ほぼ0molであり、前記式を用いてカーボンナノチューブ外表面の炭素に対する酸含有率(%)を計算すれば、0%と算出される。
【0048】参考例2(プラズマ処理した多層カーボンナノチューブの合成)
参考例1で得たカーボンナノチューブ(CNT−1)0.5gを、ガラス製シャーレー上にうすく広げて、YAMATO化学製PLASMA CHAMBERMODEL PC−101Aを用いて、酸素ガス、圧力20Pa、POWER300Wの条件で、5分間プラズマ処理を行い、一度取り出して、シャーレー上のプラズマ処理カーボンナノチューブを、かき混ぜ(ひっくり返す、転がす等の動作)、シャーレー上にうすく広げ、再び同様のプラズマ処理を行う作業を繰り返し、合計15分(計3回)のプラズマ処理を行いプラズマ処理したカーボンナノチューブ(CNT−2)を得た。前記プラズマ処理カーボンナノチューブ(CNT−2)の透過型電子顕微鏡(TEM)観察結果から、多層カーボンナノチューブを多く含むことが確認できた。
【0049】前記プラズマ処理後のカーボンナノチューブ(CNT−2)10mgに、イオン交換水50mlを加えて、超音波洗浄機(YAMATO化学製、BRANSON3210、発信周波数47KHz、出力130W)にて1時間処理後、48時間静置して得られた分散液のpHを、ガラス電極式水素イオン濃度計(東亜電波工業、HM−30V)を用いて測定したところ、pH=5.5であった。一般によく知られた中和滴定を、42.5×10-6(mol/l)の水酸化ナトリウム水溶液を用いて、pH=7.0を終点として行った結果、水酸化ナトリウム水溶液145mlを要した。つまり、0.25mgの水酸化ナトリウム(NaOH、40g/mol)を要した。この結果から、プラズマ処理後のカーボンナノチューブ10mg中の酸のモル数は6.3×10-6(mol)と計算できる。
【0050】透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、ひとつのカーボンナノチューブを重複して用いないルールを適用して、任意に20点のカーボンナノチューブの外半径、内半径を計測し、それぞれ平均値を計算した結果、Ra:カーボンナノチューブ平均外半径11.5nm、Rb:カーボンナノチューブ平均内半径3.3nmの結果を得た。また、Rk:カーボンナノチューブ層間距離0.34nmを用いた。
【0051】これらの結果から、前記式を用いてカーボンナノチューブ外表面の炭素に対する酸含有率(%)を計算した結果、12%の結果を得た。
【0052】参考例3(2〜5層のカーボンナノチューブの合成)
J.L.Hutchisonらの方法(Carbon 39 (2001) 761-770)に従って、アーク放電法でカーボンナノチューブを生成した。アノードは直径3.2mm長さ140mmの穴に触媒が埋め込まれた直径8.2mmのグラファイトロッド、カソードは直径10mm,長さ25mmのグラファイトロッドとした。触媒は、次のように調製した。粒子径2-5μmのNi,Co,Fe粉末の混合物と硫黄原子を良く粉砕した後、アルゴンガス下で500℃1時間焼成した。ボールミルでμサイズまで粉砕した後すぐにカーボン粉末と混ぜた。3.2mmの穴をドリルであけたグラファイトロッドにぎっしりつめた。アノードの組成は、カーボンに対して、Ni 2.6at%,Co 0.7at%,Fe 1.45at%,S 0.75at%であった。アルゴン:水素体積比1:1で350torrで75−80Aのアーク電流でCNT合成を行った。両電極は2mmの距離で電圧差は26〜28Vとした。
【0053】得られたカーボンナノチューブを含むカーボン10mgに、イオン交換水50mlを加えて、超音波洗浄機(YAMATO化学製、BRANSON3210、発信周波数47KHz、出力130W)にて1時間処理後、48時間静置して得られた上澄み液を回収した。上澄み液に含まれるカーボン成分を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、炭素不純物の付着した2〜5層のカーボンナノチューブが多く見られた。繊維状のカーボンナノチューブ中に占める2〜5層のカーボンナノチューブの割合は70%であった。5万倍の走査型電子顕微鏡で見たところ、80%は、繊維状のグラファイト構造を有するカーボンナノチューブで、20%は粒子状の不定形炭素であった。上記の上澄み液を乾燥させてカーボンナノチューブ(CNT−3)を得た。CNT−3を再度水に分散させて、参考例1と同様に酸量を量り、酸含有率を求めたところ、0%であった。
【0054】参考例4(プラズマ処理した2〜5層のカーボンナノチューブの合成)
参考例3と同様にしてアーク放電法でCNT合成を行った。得られたカーボンナノチューブを含むカーボン0.5gを、ガラス製シャーレー上にうすく広げて、YAMATO化学製PLASMA CHAMBER MODEL PC−101Aを用いて、窒素ガス、圧力20Pa、POWER300Wの条件で、5分間プラズマ処理を行い、一度取り出して、シャーレー上のプラズマ処理カーボンナノチューブを、かき混ぜ(ひっくり返す、転がす等の動作)、シャーレー上にうすく広げ、再び同様のプラズマ処理を行う作業を繰り返し、合計10分(計2回)のプラズマ処理を行った。
【0055】プラズマ処理後のカーボン材料10mgに、イオン交換水50mlを加えて、超音波洗浄機(YAMATO化学製、BRANSON3210、発信周波数47KHz、出力130W)にて1時間処理後、48時間静置して得られた試料を観察したところ、カーボンナノチューブ分散液と黒い沈殿物が確認できた。分散液を、遠心分離器(装置:KUBOTA KR−20000T、ローター:RA−3 50ml×8本)を用いて、回転数12000rpm(約17000(×g))×1時間、遠心分離したところ、上澄み液として、透明感のある黒色の溶液を得た。スポイトで溶液部分を回収し、高分解能透過型電子顕微鏡で観察した結果、炭素不純物の付着した2〜5層のカーボンナノチューブが多く見られた。繊維状のカーボンナノチューブ中に占める2〜5層のカーボンナノチューブの割合は70%であった。5万倍の走査型電子顕微鏡で見たところ、80%は、繊維状のグラファイト構造を有するカーボンナノチューブで、20%は粒子状の不定形炭素であった。
【0056】乾燥させてプラズマ処理したカーボンナノチューブ(CNT−4)を得た。CNT−4を再度水に分散させて、参考例2と同様に酸量を量り、酸含有率を求めたところ、8.5%であった。
【0057】実施例1
参考例2で得たカーボンナノチューブ(CNT−2)とナイロン6樹脂(東レCM1017)を表1に示した配合比率でプレブレンドした後、250℃に設定した容量100mlのミキサー(東洋精機:ラボプラストミル)で溶融混練した。窒素雰囲気下で、回転数100rpmで10分間混練した後、溶融状態で取り出し、直ちに水で冷却して樹脂組成物を得た。
【0058】得られた樹脂組成物は、250℃でプレス成形を行い、厚さ1mmのシート状に加工した。このシートを用い、ASTM D257に準じて体積固有抵抗を測定した。前記の厚さ1mmのシートを切削加工で厚さ1mm、幅12.5mm、長さ100mmの短冊状の試験片に加工し、ASTM D790に準じて曲げ弾性率を測定温度を23℃と100℃で測定した。結果を表1に示した。
【0059】実施例2〜5
参考例2〜4で得たカーボンナノチューブを用い、表1に示す配合比率でプレブレンドした後、実施例1と同様にして樹脂組成物を調整し、成形、評価を行った。結果を表1に示した。
比較例1
カーボンナノチューブを添加しない以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を得、成形、評価を行った。結果を表2に示した。
【0060】比較例2〜3
参考例1で得たカーボンナノチューブ(CNT−1)を用いる以外は実施例1および実施例3と同様にして樹脂組成物を調整し、成形・評価を行った。結果を表2に示した。
【0061】比較例4〜5
カーボンナノチューブの替わりに、炭素繊維ロービング(東レT700S)を長さ6mmにカットしたチョップドストランド(CF)あるいは、カーボンブラック(三菱化学#3030)を用いる以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を調整し、成形・評価を行った。結果を表2に示した。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】実施例6〜11
参考例2または3で得たカーボンナノチューブを用い、表3に示す配合比率でプレブレンドした後、実施例1と同様にして樹脂組成物を調整し、成形、評価を行った。なお、溶融混練温度およびプレス成形温度は表3中に示した温度で実施した。結果を表3に示した。
【0065】実施例12
カーボンナノチューブ(CNT−2)1.3重量部をビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン”エピコート828”)98.7重量部に添加し、80℃で2時間、加熱攪拌して分散させた。得られたエポキシ樹脂組成物100重量部に、ジアミノジフェニルスルホン30重量部を添加混合し、200℃で圧縮成形し、厚さ1mmのシート状成形品を得た。実施例1と同様にして、評価を行い結果を表3に示した。
【0066】
【表3】

【0067】実施例13
カーボンナノチューブ(CNT−2)100重量部に対して、シランカップリング剤(信越化学工業”KBM−603”)を3重量部添加し、乳鉢で30分混合し、シランカップリング処理をしたカーボンナノチューブを得た。このカーボンナノチューブ1重量部とナイロン66樹脂99重量部を、実施例1と同様にして樹脂組成物を調整し、成形、評価を行った。なお、溶融混練温度およびプレス成形温度は280℃とした。結果を表4に示した。
【0068】実施例14
カーボンナノチューブ(CNT−2)をメタノール中に濃度20重量%となるように、ホモジナイザーを用いて分散させスラリーを得た。ナイロン66樹脂99重量部を280℃に設定した容量100mlのミキサーで溶融混練し、これに対し、前記スラリー5重量部を滴下して滴下終了後さらに10分間混練し組成物を得た。なお、分散媒のメタノールは混練中に全て揮散した。後は実施例13と同様にして成形、評価を行い、結果を表4に示した。
【0069】実施例15
カーボンナノチューブ(CNT−2)20重量部とナイロン66樹脂80重量部を280℃に設定した容量100mlのミキサーで10分間溶融混練し、カーボンナノチューブ濃度が20重量%のマスターペレットを調整した。このマスターペレット5重量部とナイロン66樹脂95重量部を同様にしてミキサーで溶融混練し、組成物を得た。後は実施例13と同様にして成形、評価を行い、結果を表4に示した。
【0070】実施例16、17
カーボンナノチューブとしてCNT−4を用いる以外は実施例13、14と同様にして樹脂組成物を調整し、成形、評価を行った。結果を表4に示した。
【0071】比較例6〜8
カーボンナノチューブとしてCNT−1を用いる以外は実施例13〜15と同様にして樹脂組成物を調整し、成形、評価を行った。結果を表5に示した。
【0072】
【表4】

【0073】
【表5】

【0074】
【発明の効果】以上説明したように、本発明で得られる樹脂組成物は、従来から用いられている導電性フィラーやカーボンナノチューブを配合した組成物より、少ないフィラー添加量で、高い導電性を示し、さらに曲げ弾性率、特に高温時の曲げ弾性率に優れている。これらの特性から、導電性が要求されかつ高温雰囲気下で連続使用することが要求される用途、例えばOA機器、携帯通信機器、情報機器など電気電子通信分野の各種部品、自動車、ハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車の各種電装関係部品の材料として広く使用することができる。


 図面の簡単な説明


【図面の簡単な説明】
図1】多層カーボンナノチューブの模式図である。


 図面


【図1】