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書誌情報 要約 特許請求の範囲 発明の詳細な説明 図面の簡単な説明 図面

 書誌情報


《表紙》

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2003−295874(P2003−295874A)
(43)【公開日】平成15年10月15日(2003.10.15)
(54)【発明の名称】機器の報知装置
(51)【国際特許分類第7版】

G10K 15/04 302
【FI】

G10K 15/04 302 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3 
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2002−261603(P2002−261603)
(62)【分割の表示】特願2002−98378(P2002−98378)の分割
(22)【出願日】平成14年4月1日(2002.4.1)
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地
(72)【発明者】
【氏名】大成 直子
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】水谷 美香
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】松岡 政治
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】小村 二郎
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】西田 和子
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】土田 義郎
【住所又は居所】石川県金沢市四十万4−83−2
(72)【発明者】
【氏名】小松原 明哲
【住所又は居所】石川県金沢市額新町2丁目139番地
(74)【代理人】
【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄 (外2名)
【テーマコード(参考)】

5D108
【Fターム(参考)】

5D108 CA03 CA07 CA15 CA16 CA29


 要約


(57)【要約】
【課題】 各種機器の報知音を最適にすること。
【解決手段】 家庭内で行われる主な各種の作業を明かにし、その作業音(生活背景音)の周波数の実測、分析を行い、家電製品が使用される家庭内環境音の現状を定量的に把握することで、生活背景音の存在下における様々な機器の最適な報知音を得る。



 特許請求の範囲


【特許請求の範囲】
【請求項1】 機器の報知装置において、生活環境下で使用する場合に、報知音の卓越周波数が1.5以上3kHz以下である機器の報知装置。
【請求項2】 少なくとも、操作確認音、終了音、注意音を含む報知音を区別して報知する請求項1記載の機器の報知装置。
【請求項3】 報知音は、各機器の操作カテゴリーにおいて統一性をもたせた請求項1記載の機器の報知装置。


 発明の詳細な説明


【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般家庭用、業務用、産業用に使用する電気機器等のスイッチ入力操作の確認や動作状態の報知を行う機器の報知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】家電製品の多機能化・自動化とともに、製品の状態や操作の確認、次の操作を促すなどを知らせるために、報知音を使う製品が多くなった。
【0003】たとえば、炊飯器、電気ポット、洗濯機などでは、ご飯の炊きあがりや洗濯の終了の際、あるいは、機器のトラブルなどの際に、いわゆる「ピーピー音」でユーザに注意を喚起している。同じ製品でも目的に応じて複数の報知音を用いているケースも珍しくない。
【0004】このように、報知音などの製品からの聴覚情報は、視覚情報と同じように重要な情報であり、適切な報知音を使うことで、機器の操作性の向上につなげていくことが望ましい。
【0005】また、高齢者の増加とともに、独居高齢者が製品を操作する例が増えており、ユニバーサルデザインの観点からすれば、高齢者にとっても聞こえやすく、何を伝えているのかがわかりやすい報知音であることも必要である。
【0006】従来の報知音の取り組みとしては、特開平9−101796号公報の様なアプローチが存在する。
【0007】
【特許文献1】特開平9−101796号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来例では、実際に生活騒音環境下における統計的なデータに基づく、きめ細かな設計指針までは提供されていない。
【0009】つまり、高齢化を背景に近年、それよりも周波数の低い商品が多くなってきたが、そのバックデータとなっているのは高齢者の聴力特性の低下から導き出してきているものであり、生活背景音を考慮したものではない。
【0010】また、家庭内では調理や掃除などの生活作業によりさまざまな音が発生しており、その音に家電製品の報知音がかき消されてしまう(マスキングを受ける)が、それらを考慮した報知音にはなっていない。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決するものであり、
(1)機器の報知装置において、生活環境下で使用する場合に、報知音の卓越周波数が1.5〜3kHzである機器の報知装置である。
【0012】(2)少なくとも、操作確認音、終了音、注意音を含む報知音を区別して報知する機器の報知装置である。
【0013】(3)報知音は、各機器の操作カテゴリーにおいて統一性をもたせた機器の報知装置である。
【0014】本発明により、家庭の中で煩雑化していた報知音の整理・区別ができ、製品を使う人にとって、どの製品からどのような意味で報知音が鳴っているのかがわかりやすくなる。
【0015】また生活背景音の中に埋もれない、高齢者を含めた幅広い年齢層の人にとって聞こえやすい、聞き心地のよい報知音を実現でき、電気製品の使いやすさが向上すると同時に、安心、安全、そして快適に電気製品を活用することができることで、日常生活に潤いを提供できると考えられる。
【0016】
【発明の実施の形態】(実施例の指針)
(1)本実施例は、様々な報知音の中から、特に、単一周波数による報知音(ビープ音)とした。
【0017】(2)報知装置の開発・設計上での、本発明による生活背景音の集音、測定、分析データの明らかにし、その背景下において、報知音のパターンや周波数が人に与える影響をデータにより明らかにして詳細な設計指針を出す。
【0018】(3)日常生活において高齢者にも若年者にも聴き取りやすい報知音は1.5kHz〜3kHzである。特に高齢者の聴力低下具合は個人差が大きいため、聴力の比較的衰えた方も多く使っていただく製品ならば、基本周波数は2kHz近傍を用いる。
【0019】(発明の実施の形態1)
報知音(プロンプト音)パターンが人の心理的に与える影響の考察
(実施例1)報知音を設計する際、ユーザが報知音を聞くときに切迫感や終了感などの報知音の意味だけでなく、うるさい等の快適性も同時に重要としていること考慮して設計しなければならない。
【0020】プロンプトパターンにおいて、持続時間:断続時間が1.25秒:0.125秒の連続音は切迫感が強い。
【0021】持続時間、断続時間が長いほど心理的切迫性が弱く、持続時間、断続時間が短いほど心理的切迫性が強い。
【0022】性別による印象の違いが若干ある。男子は断続時間に対して持続時間が短くなるほど快適性を良く感じる傾向がある。
【0023】男子は持続時間0.5〜1秒、断続時間が0.25〜0.5秒の組み合わせが、女子は0.25〜0.5秒、断続時間が0.25〜0.5秒の聞き心地がよい。まとめると持続時間が0.5秒〜1秒で、断続時間が0.25〜0.5秒の組み合わせが、過度に耳障りでなく、危険や緊急状況を強く想像させない、効果的な信号音の組み合わせといえる。
【0024】(実施例2)
持続時間:断続時間が1.25秒:0.125秒の連続音について
連続回数や長期断続時間を変更することで音のイメージを変えることができた。
【0025】報知音として、適度な快適感を持たせた上で、切迫性を操作できるパターンとして、長期断続時間1秒のパターンが有効であることがわかった。
【0026】長期断続時間がイメージ操作の効力が大きい。どのような目的で報知音をつけるのかでまず、長期断続時間を設定することが有効である。
【0027】(1)切迫性を強くしたい時
・長期断続時間を1秒以下にする。
【0028】・連続回数を増やす(長期断続時間が1秒以上の時に有効)
(連続回数が5回以上は同じ)。
【0029】・連続回数よりも長期断続時間の方が有効。
【0030】(2)切迫性を弱くしたい時
・長期断続時間を1秒以上にする(1秒と2秒では差が少ない)。
【0031】・連続回数を減らす(長期断続時間が1秒以上の時に有効)。
【0032】・連続回数を偶数回にする(長期断続時間が1秒以上の時に有効)
(2,4,6回の順に効果は低くなる)。
【0033】・連続回数よりも長期断続時間の方が有効。
【0034】(3)快適性を良くしたい時
・長期断続時間を1秒以上にする(1秒と2秒では差が少ない)。
【0035】・連続回数を減らす(特に2回、4回の順に有効)。
【0036】・連続回数よりも長期断続時間の方が有効。
【0037】(4)長期断続時間が2秒では快適性は良いが、切迫性は連続回数を変えても弱い。
【0038】長期断続時間が0.5秒にすると切迫性が強いが不快感が強くなる。
【0039】長期断続時間が1秒では快適でも不快でもないレベルになる。
【0040】長期断続時間が長くなれば、切迫感や不快感を低減できる。
【0041】(5)連続回数の影響は長期断続時間によって変わり、長期断続時間が短くなるにつれて、連続回数による心理的影響の差はなくなる。
【0042】長期断続時間が2秒のときは、連続回数が増えると切迫感が強くなる(但し5回以上になるとその傾向はなくなる)が、長期断続時間が1秒以下になると連続回数による影響はほとんどなくなる。
【0043】(6)連続回数の影響。連続回数を偶数回か奇数回にする事で切迫感を変えることができる。偶数回になると心理的切迫性や快適性が低減できる。
【0044】以上、実施の形態1で示したとおり、心理的な切迫感を与える、与えないというカテゴリーごとに断続時間、持続期間を設定することで、報知音に統一的な心理的イメージを持たせることができる。
【0045】(発明の実施の形態2)
報知音(プロンプト音)の周波数の高低が心理的に与える影響
(実施例3)1kHzの報知音は長期断続時間・連続回数ともに2kHz・4kHzよりも影響を受けにくいことがわかった。
【0046】2kHzと4kHzでは同じパターンのプロンプト音であれば心理的影響差がほとんどない。
【0047】吹鳴パターンによる音に対する印象は、周波数による影響をあまり受けないが、周波数が低くなると同じ吹鳴パターンでも、音に対する印象が違う。
【0048】高齢者にも聴き取りやすい1kHz周辺の音で報知音を作成する場合は、下記点に注意する。
【0049】・長期断続時間が長くなると、切迫感が低減し快適性が増す
(但し、1kHzの周波数で2kHz・4kHz同様の吹鳴パターンで作成した場合、1kHzのほうが切迫感や不快感が多少増す)。
【0050】・長期断続時間が短くなると、切迫感や不快感が強くなる
(但し、1kHzの周波数で2kHz・4kHz同様の吹鳴パターンで作成した場合、1kHzのほうが切迫感が低減し快適性が増す)。
【0051】・連続回数による影響が少ない
・女性の方が男性に比べて、切迫感や不快感を感じにくい
1kHzの報知音は長期断続時間が0.5秒の時、2kHz・4kHzの時と比べて切迫感や不快感が低減する。また2kHz・4kHzと同様、連続回数の影響を受けにくい傾向がある。
【0052】1kHzの報知音は2kHz・4kHzに比べて快適でも不快でもない。
【0053】長期断続時間が2秒だと、心理的切迫感や不快感が低減できるが、連続回数による影響を受け、連続回数が多くなるほど切迫感や不快感が強くなる。
【0054】以上、実施の形態2で示したとおり、心理的な切迫感を与える、与えないというカテゴリーごとに最適な周波数を設定することで、報知音に統一的な心理的イメージを持たせることができる。
【0055】(発明の実施の形態3)生活背景音の分析
(1)ダイニング・キッチンの音圧レベルの分布測定の結果
各モニター家庭での、測定点AからE点の最大値と最小値の差を見てみると、平均して6〜8dB、大きいところでは12dBの幅があった(図4)。
【0056】(2)生活背景音の騒音レベルの比較
生活場面毎の等価騒音レベル(Leq)とピーク値(Lmax)についてモニター宅から得たデータの平均値(図1)。
【0057】調理作業(野菜いため)や手洗いは等価騒音レベルとピーク値との差が大きく、レベルの変動が激しい音であるといえる。調理作業の場合、油のはじける音やフライパンの金属音などの衝撃音の成分が多いためと考えられる。掃除機、洗濯機、乾燥機は発生する音量が大きく、家庭の中の生活背景音として、大きな音になっているといえる。
【0058】(3)生活背景音の周波数分析結果
各生活場面から収録した生活背景音は、1/1オクターブバンドで周波数分析を行った。各々について10秒間の分析を5回行って平均値を取る。周波数帯域別の音量の分布を図3に示す。箱ひげ図の箱の中ほどの横線は中央値を表し、ひげは最大値と最小値、箱の両端は10%と90%を表している。箱のくびれ位置は中央値から上下25%タイルを表している。
【0059】分析結果を見ると、全体的に野菜炒め手洗いは500〜4000Hzの中高音域に幅広い周波数特性をもっていた。水の音や調理器などの金属、プラスチック類の接触音が基本的な音源だと考えられる。換気扇や洗濯機はモーターの回転音により125Hz帯にピークを持っていた。但しレンジフード付き換気扇の場合は風雑音と思われる音がかなり大きくなり、63Hz帯にもピークを持っていた。また掃除機は高速回転するモーターの音も大きいが、床との摩擦音や風雑音もかなり大きく、中高音域に幅広い周波数特性となった。また各モニター宅で使用されていた電化製品の報知音をFFTによって周波数分析をしたところ、2kHzから4kHzに基本周波数をもつ音が多いことがわかった。
【0060】(発明の実施の形態4)
生活背景音の中で高齢者にも聴き取りやすい周波数
(1)背景音の周波数特性によって閾値の周波数特性もかなり異なったが大きく3つに分類することができた。背景音と聴取閾値平均の結果を、グラフ(図3)に示す。
【0061】(2)掃除機2、換気扇、ジャーポット、ステレオといった大きく高い周波数まで含むような背景音では、どのような周波数も一様にマスキングされ、ばらつきは大きいが、おおむね3−4kHzの報知音が聴き取りやすいとされた。
【0062】(3)野菜炒め、食器洗い、食器洗い機、掃除機1は高音域でのマスキング効果が大きく、1.5kHzくらいの報知音が聞き取りやすいとされた。
【0063】(4)洗濯機、テレビ1・2、ピアノ1・2は中低音にマスキングされ3kHzくらいの報知音が聞き取りやすいとされた。
【0064】(発明の実施の形態5)
実際の電気製品を用いての一般家庭における実生活での聞き取りやすさ評価(ホームモニターテスト)
(1)ホームモニターテストの結果
日常生活において、電子レンジの使用中は、近くで家事をしていることが多いことから、報知音を聞き逃すことは少なかったが、評価結果によると、2kHzが最も好まれ、次に1.5kHz、3kHzの順であった。但し聴力低下の進んだ人では、3kHzは聴きづらくなり、4kHzでは聞こえない人もいた。
【0065】また、印象として4kHzの報知音は甲高く、反対に1kHzは音程が低いために聞き心地がよくないと不評だった。
【0066】(2)来社テストによるホームモニターテスト結果の検証
特に聴力低下が進んだ人を除くと、2kHz、3kHzの報知音が他の周波数よりよりもやや評価がよかった。また聴力低下の進んだ人には背景音がない状態、つまり報知音だけ聞いても3kHzと4kHzは聞き取りにくいと評価された。背景音を提示した場合では、どの背景音においても1.5kHz、2kHzの評価がよかった。
【0067】つまり、背景音が存在する環境においては、卓越周波数が1.5kHz以上3kHz以下であれば万人に聞き易い周波数であることがわかる。
【0068】
【実施例】報知音中でもプロンプト音(ピピピ ピピピという音)について、連続回数と長期断続時間の組み合わせと周波数の違いが心理的にどのように影響を与えるのかを明らかにした。
【0069】プロンプト系報知音は炊飯器の炊飯終了や電子レンジの温め完了時のピピピピピピ ピピピなどの音で、ユーザに注意警告と終了をミックスしたように鳴り、設計者としては次の行動を促す意味を込めて使っている。
【0070】実験で使用した報知音の作成
プロンプト音の作成には富士通FM-TOWNSのTownsGearを用い、音色はキッチンタイマーや公衆電話などの一般機器で使用されている報知音の音色に近い“piccolo”という笛の音を使用した。
【0071】使用した周波数は2種類の2kHzと4kHz付近の周波数を使用した。4kHzは現在多くの電気製品に使われている。2kHzは高齢者は高音域が聞えにくいことから、これに対応して採用した。ちなみに4kHzとは88鍵のピアノの一番高い音に相当する。2kHz付近の音は2088Hzを4kHz付近の音は3915Hzを使用してプロンプト音を作成したが、単に2kHzと4kHzと呼ぶこととする。
【0072】報知音のパターン
上記の考察結果から切迫感の強かった、持続時間と断続時間が0.125の音を採用した。連続回数と長期断続時間の組み合わせは下記表の通り。2kHzと4kHz各々において16水準、合計32水準のプロンプト音で行った。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】○評価尺度の作成
報知音を聴いてどのような印象を受けるのかをなるべく正確にはかるためには評価尺度が重要である。表2に示す12項目、7段階からなる評価尺度表を作成した。
【0076】●実験方法
被験者は18歳から25歳までの若者。男性40名、女性40名。2kHzと4kHz各々16水準のプロンプト音をランダムに聞いてもらい、1水準聴くごとに評価してもらった。
【0077】●分析方法
各水準のプロンプト音は7段階の評価データを算出し、報知音を評価する際に重要な因子を見出すために因子分析を行った。
【0078】また、実験により得られたデータを基に、各水準の項目別得点の平均点を算出した。プロンプト音の連続回数や長期断続時間の違いによって、ユーザが受けるイメージが違うのか、男女差があるのか調べるために、算出された平均値と連続回数と長期断続時間を基にグラフを作成し分析を行った。
【0079】2)⇒生活背景音の分析結果
●調査家庭の抽出
家庭内で行われている各種の作業によって生じる環境音の周波数特性を実測した。具体的には、松下電器産業(株)の京阪地域在住の16軒のモニター宅にて実測調査を行った。まず事前調査として、モニター163家庭に対し報知音に関して日頃感じている問題事例と、住宅内の音場に関わる構造条件についてアンケートを実施した。その中から部屋の構造・間取りに多様なタイプが含まれるように16軒を抽出した。
【0080】●ダイニング・キッチンの音圧レベルの分布測定
聴取する音は聴取位置によって変動するので、家庭内生活音の測定の前に、室内での聴取位置による音の大きさのばらつきを把握するための測定を行った。測定ポイントとしてダイニング・キッチン内の5箇所(A〜E)を設定した(図4)。Aはキッチンの中心で調理作業をする場所の近く、Bはダイニングの中心、CはAとBの中心、DとEはキッチンの隅である。音源としては1/1オクターブバンドノイズ(オーディオ・チェック用CDによる)を用い、部屋隅部に向けたスピーカから放射した。測定周波数は報知音のマスキングに対して影響の大きいと思われる500、1k、2k、4kHzの4つの周波数帯域の連続音を3秒間流し、測定ポイント毎に3回測定しその平均値を求めることで室内での音の拡散状況を調べた。
【0081】○生活背景音の測定
測定対象とする音は、生活背景音としてしばしば存在し、報知音の聴取を妨害すると考えられる(表3)に示す7種類の生活場面とした。
【0082】
【表3】

【0083】測定は、これら7種類の生活場面を、各家庭で通常の方法で演じてもらい、その際に発生する音を収録した。すなわち、騒音計をマイクロホンとしてキッチン側中央点とダイニング側中央点に設置し、DATに収録した。各生活場面での機器個別の報知音・動作音も録音したが、この場合は、各機器の正面から1m離れた点において収録した。
【0084】(発明の実施の形態6)以上の用に生活雑音データを測定し、その生活雑音の中で、どの周波数が最適であるか?を明らかにした。
【0085】次にこれらの実験データを踏まえて、家電製品を中心とするあらゆる機器への組み込みの実施例を図5も用いて説明する。
【0086】図5は、洗濯機、掃除機ロボット、冷蔵庫、ポット、電子レンジ、アイロン等の報知音機能が付いた機器の構成図である。
【0087】図5において、5は、制御される機器の報知機能をつかさどる音源制御用のICであり、通常は1チップで構成される。別に2つ以上のICを組み合わせて構成してもよい。
【0088】51は、IC5からの出力を受けて、実際の音波に変換する発音部であり、スピーカー、圧電ブザー、振動版などで構成される。
【0089】52は、音源データを最終のスピーカーが十分な出力を出せるようにするための増幅器、53は、ディジタル処理された音源データをアナログ信号に変換するD/A変換器、54は、どのような音源を発生させるかを決定する音源発生部、55は不揮発性のメモリであり、フラッシュ、EEPROM、マグネティックRAMなどが使用できる。
【0090】このメモリ55には、上記実施例で説明したように採取した生活音データや、その生活音データの中におけるマスキング効果のデータ、難聴者の周波数特性データなどのデータが記憶されている。
【0091】次に本実施の形態の動作について説明する。
【0092】音源発生部54は、機器50からの制御信号により、発生すべき音源を選択する。
【0093】この音源を選択するとき、本実施の形態では、メモリー55に記憶している背景雑音データを用い、その機器が例えば洗濯機であれば、その洗濯機が置かれた環境における洗濯機に最適の報知音を作成し、メモリ55に記憶している。
【0094】メモリ55に一度記憶した最適音は、次回から使用する際には、メモリ55から最適音としての音源を呼び出して、選択して、D/A変換器53に出力する。
【0095】このようにして、それぞれの機器における最適な報知音を発生させることができる。
【0096】そして、上記綿密な実施例のよれば、その最適な報知音は、生活環境下で使用する場合には、1.5以上3kHz以下である。
【0097】なお、本実施の形態では、背景雑音はあらかじめメモリ55の中にデータとして持っている構成としたが、それぞれの機器の中に背景雑音を測定するためのマイクを設けておき、購入した直後、あるいは使用環境が変わった場合には、周囲の生活雑音を測定して、そのデータを入力するようにメモリ55にリセット信号を流し、データを書き換えるようにすることも可能である。
【0098】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、生活環境下における様々な雑音を考慮したうえで、老若男女の全てが聞き取りやすい機器の報知音を設計することが可能になる。
【0099】また、報知音が人間にもたらす心理的な影響についても考察でき、どのような報知音にすれば、人間にとって心地よいのか?というアプローチでの報知音を作成することが出来、人間にとって聞き易い報知音の設計が可能になる。


 図面の簡単な説明


【図面の簡単な説明】
図1】各種生活場面における騒音レベルを示す図
図2】各種生活場面の周波数特性を示す図
図3】実施の形態4(背景音と聴取閾値平均)の結果を示す図
図4】測定ポイントの設定例を示す図
図5】本発明の実施の形態の構成図
【符号の説明】
5 ICチップ
50 機器
51 発音部
52 増幅器
53 D/A変換部
54 音源発生部
55 メモリ


 図面


【図1】

【図2】

【図4】

【図3】

【図5】