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書誌情報 要約 特許請求の範囲 発明の詳細な説明 図面の簡単な説明 図面

 書誌情報


《表紙》

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2003−12828(P2003−12828A)
(43)【公開日】平成15年1月15日(2003.1.15)
(54)【発明の名称】シームレスベルト
(51)【国際特許分類第7版】

C08J 5/18 CEZ
G03G 15/00 550
15/16
21/00 350
// C08L101:00
【FI】

C08J 5/18 CEZ
G03G 15/00 550
15/16
21/00 350
C08L101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2001−193904(P2001−193904)
(22)【出願日】平成13年6月27日(2001.6.27)
(71)【出願人】
【識別番号】000005968
【氏名又は名称】三菱化学株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目5番2号
(72)【発明者】
【氏名】大津 紀宏
【住所又は居所】三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】森越 誠
【住所又は居所】三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】山岡 克史
【住所又は居所】三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】森 征哉
【住所又は居所】三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】水本 和也
【住所又は居所】三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株式会社内
(74)【代理人】
【識別番号】100103997
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 曉司
【テーマコード(参考)】

2H035
2H071
2H200
4F071
【Fターム(参考)】

2H035 CB06
2H071 BA42 DA09 DA16
2H200 JA25 JB06 JB45 JC03 JC15 LC03 MA02
4F071 AA44 AA46 AA50 AA81 AB03 AE06A AH17


 要約


(57)【要約】
【課題】 耐屈曲性及び成形寸法安定性に優れた画像形成装置用のシームレスベルトを提供する。
【解決手段】 重合触媒によって反応しうる熱可塑性樹脂と重合触媒を加熱溶融混練して筒状に押し出し、所定の長さに切断して得たシームレスベルトであって、径変動率0.8〜1.2、厚み引き落とし率1.1〜50で成形してなるシームレスベルト。



 特許請求の範囲


【特許請求の範囲】
【請求項1】 重合触媒によって反応しうる熱可塑性樹脂と重合触媒を加熱溶融混練して筒状に押し出し、所定の長さに切断して得たシームレスベルトであって、径変動率0.8〜1.2、厚み引き落とし率1.1〜50で成形してなるシームレスベルト。
【請求項2】 重合触媒によって反応しうる熱可塑性樹脂が結晶性樹脂同士、結晶性樹脂と非晶性樹脂又は非晶性樹脂同士の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載のシームレスベルト。
【請求項3】 結晶性樹脂が水酸基、カルボン酸及びエステル結合のうちの少なくとも1つを有する結晶性樹脂であり、非晶性樹脂が水酸基、カルボン酸及びエステル結合のうちの少なくとも1つを有する非晶性樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシームレスベルト。
【請求項4】 円周方向の厚みムラ変動率が±10%以下である請求項1ないし3のいずれかに記載のシームレスベルト。
【請求項5】 重合触媒によって反応しうる熱可塑性樹脂が結晶性樹脂と非晶性樹脂の組み合わせであり、結晶性樹脂の分子鎖と、非晶性樹脂の分子鎖間に化学結合が存在することを特徴とする請求項3又は4に記載のシームレスベルト。
【請求項6】 結晶性樹脂の分子鎖と非晶性樹脂の分子鎖間の化学結合1molあたりの、結晶性樹脂と非晶性樹脂合計質量が、300,000g以下であることを特徴とする請求項5に記載のシームレスベルト。
【請求項7】 成分の重量比が下記条件を満たしていることを特徴とする請求項5又は6に記載のシームレスベルト。
結晶性樹脂/非晶性樹脂の重量比が、1/99〜99/1
重合触媒中の金属が(結晶性樹脂+非晶性樹脂)の重量に対し、1ppm〜10000ppm
【請求項8】 結晶性樹脂の配合比率をX重量部,ポリスチレン(PS)換算重量平均分子量をMw1、非晶性樹脂の配合比率をY重量部,PS換算重量平均分子量をMw2、結晶性樹脂、非晶性樹脂及び重合触媒を加熱混練した後に得られる樹脂組成物のPS換算重量平均分子量をMw3としたとき、下記関係を満たすことを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載のシームレスベルト。
【数1】

【請求項9】 PS換算重量平均分子量が130,000以上であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のシームレスベルト。
【請求項10】 該重合触媒がTiを含有することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載のシームレスベルト。
【請求項11】 該重合触媒が、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び亜鉛よりなる群の少なくとも1種と、Tiとを含有することを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載のシームレスベルト。
【請求項12】 該群の元素がMgであることを特徴とする請求項11に記載のシームレスベルト。
【請求項13】 結晶性樹脂がPAT(ポリアルキレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載のシームレスベルト。
【請求項14】 該PATがPBT(ポリブチレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項13に記載のシームレスベルト。
【請求項15】 非晶性樹脂がPC(ポリカーボネート)であることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載のシームレスベルト。
【請求項16】 導電性フィラーとしてカーボンブラックを3〜30重量%含有することを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載のシームレスベルト。
【請求項17】 請求項1ないし16のいずれかに記載のシームレスベルトからなる画像形成装置用中間転写ベルト、搬送転写ベルト、又は感光体ベルトである画像形成装置用ベルト。
【請求項18】 請求項17に記載の画像形成装置用ベルトを含むことを特徴とする画像形成装置。


 発明の詳細な説明


【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シームレスベルトに関する。詳しくは、電子写真式複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ機等に利用される中間転写ベルト、搬送転写ベルト、感光体ベルト等の画像形成装置用ベルトとして用いて好適な、ベルト円周方向の厚みムラ等の成形寸法安定性及び耐屈曲性などの物性に優れたシームレスベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から電子写真式複写機等の、中間転写装置、転写分離装置、帯電装置等においては、シームレスベルト(エンドレスベルト)が多用されている。図3は従来の中間転写装置の側面図である。図中、1は感光ドラム、6は導電性シームレスベルトである。1の感光ドラムの周囲には、帯電器2、半導体レーザー等を光源とする露光光学系3、トナーが収納されている現像器4及び残留トナーを除去するためのクリーナー5よりなる電子写真プロセスユニットが配置されている。導電性シームレスベルト6は、搬送ローラ7,8,9に掛け渡されて、矢印方向に回転する感光ドラムと同調して矢印方向に移動するようになっている。
【0003】次に、動作について説明する。まず矢印A方向に回転する感光ドラム1の表面を帯電器2により一様に帯電する。次に、光学系3により図示しない画像読み取り装置等で得られた画像に対応する静電潜像を感光ドラム1上に形成する。静電潜像は現像器4でトナー像に現像される。このトナー像を、静電転写機10により導電性シームレスベルト6へ静電転写し、搬送ローラ9と押圧ローラ12の間で記録紙11に転写する。図4はタンデム型の中間転写装置の側面図である。図中、1は感光ドラム、6は導電性シームレスベルトである。1の感光ドラムの周囲には、帯電器2、半導体レーザー等を光源とする露光光学系3、トナーが収納されている現像器4よりなる電子写真プロセスユニットが配置されている。導電性シームレスベルト6は、搬送ローラ7,8,に掛け渡されて、矢印方向に回転する感光ドラムと同調して矢印方向に移動するようになっている。
【0004】次に、動作について説明する。まず矢印A方向に回転する感光ドラム1の表面を帯電器2により一様に帯電する。次に、光学系3により図示しない画像読み取り装置等で得られた画像に対応する静電潜像を感光ドラム1上に形成する。静電潜像は現像器4でトナー像に現像される。このトナー像を、静電転写機10により導電性シームレスベルト6へ静電転写し、搬送ローラ7と押圧ローラ12の間で記録紙11に転写する。
【0005】ところで、電子写真式複写機等の導電性シームレスベルトの場合には、機能上2本以上のロールにより高張力で長時間駆動されるため、十分な耐久性が要求される。更に、中間転写装置等に使用される場合は、ベルト上でトナーによる画像を形成して紙へ転写するため、駆動時にベルトが弛んだり、伸びたりすると、画像ズレの原因となる。また、タンデム型の場合はシームレスベルトの円周方向の厚みが変化することによる回転速度変動がおこり、色重ねズレになる。また、トナーの転写を静電気的に行うため、ある程度の導電性も必要である。
【0006】このようなシームレスベルトは、トナー画像を決定する重要部品であり、感光体、トナーとともに3大重要部品の一つと考えられている。
【0007】そのため中間転写ベルトには次のが要求される。
半導体領域にて所定の表面抵抗率と体積抵抗率を有していること。
トナー離型性を有していること。
厚みが薄く均一であること。
機械的強度が強い(割れにくい)こと。
環境(温度湿度)による抵抗値の変動が少ないこと。
低コストであること。
シームレスで真円なベルトであること。
【0008】なお、シームレスベルトの作製方法としては次のような方法が考えられている。
【0009】(i) 回転成形法(又は遠心成形法とも表現する場合がある)
円筒状金型の内周面に溶液を溶かした樹脂を入れ、金型を回転させながら温度を加え、溶媒を半分以上揮発させてから金型の内部よりシームレス状のチューブを取り出す工程と、別の円筒状金型の外部にシームレスチューブを装着し、温度を加えて熱硬化反応をさせる工程とからなる(特開昭60−170862号公報)。
【0010】(ii) 押出成形法
導電性フィラーをコンパウンドした樹脂を環状に溶融押出しする方法である。
(iii) ディッピング法
樹脂溶液を円筒状又は円柱状金型外面にディッピング塗布等により一定厚みに塗布し、加熱成膜した後、金型より成膜したチューブ状フィルムを引き抜く方法である。
【0011】従来、このような導電性シームレスベルトとしては、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂にカーボンブラックなどの導電性フィラーを配合して成形したものが用いられている。なかでも、熱可塑性樹脂を主成分にしたものは、連続成形が容易であり、広く用いられてきた。熱可塑性樹脂の中でも熱可塑性非晶性樹脂は、熱可塑性結晶性樹脂よりも寸法精度に優れる。このような熱可塑性非晶性樹脂製シームレスベルトとしては、例えばポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂に導電性のカーボンブラックを配合し、円筒ダイを用いて筒状フィルムに押出成形し、この筒状フィルムを輪切りにしたものが知られている(特開平3−89357号公報等)。
【0012】しかしながら、熱可塑性樹脂非晶性樹脂は熱可塑性結晶性樹脂よりも寸法精度には優れるが、耐屈曲性に劣り、例えば中間転写ベルトなどとして電子写真に用いた場合、使用中にクラックが発生しやすい。
【0013】この問題点を解決すべく、ポリカーボネートとポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレートとを配合してなるシームレスベルトが提案されている(特開平4−313757号公報、特開平6−149083号公報)。
【0014】しかしながら、ポリカーボネート(以下、PCということがある。)とポリブチレンテレフタレート(以下、PBTということがある。)等のポリアルキレンテレフタレート(以下、PATということがある。)とを配合してなるシームレスベルトは、上記のポリカーボネートからなるシームレスベルトよりも耐屈曲性が改良されているものの、改良の効果がまだ不十分である。また、ポリアルキレンテレフタレート樹脂は、結晶性が高いので、その配合量を多くするとシームレスベルトの寸法精度が低くなる。
【0015】なお、一般的な知見として、熱可塑性樹脂は結晶性熱可塑性樹脂と非晶性熱可塑性樹脂に大別でき、結晶性熱可塑性樹脂は耐屈曲性や耐薬品性に優れるが成形収縮率が大きいので寸法安定性が悪く透明性を有さず、逆に非晶性熱可塑性樹脂は成形寸法安定性及び透明性に優れるが耐屈曲性が悪く耐薬品性が劣るなどの問題点を有しているとされてきた。
【0016】しかしながら、多くの場合、耐屈曲性や耐薬品性及び成形寸法安定性全てに優れることが要求されている。
【0017】これらの要求を満たすために、これまで結晶性熱可塑性樹脂と非晶性熱可塑性樹脂とのアロイ化による物性改良の検討が種々なされ、一定の成果があげられてきた。
【0018】これらの研究では、例えば熱可塑性エステル系樹脂の分野においてはエステル交換反応(共重合化)を促進させることで結晶性エステル系樹脂と非晶性エステル系樹脂を微分散化できることが報告されている。しかしながら、これまでの技術ではエステル交換(共重合化)を促進させると、解重合による低分子量体発生がシームレスベルトの発泡を伴ったり、分子鎖切断が進行して分子量低下によるシームレスベルトの機械物性低下(引張破断伸率が小さくなるなど)を伴う等の理由により事実上実用化されるには至っていなかった。また、熱安定的に不安定なため、ダイス(金型)内等で滞留時間の差違による溶融粘度差が生じシームレスベルトの円周方向厚み分布に悪影響を及ぼす。
【0019】実際にはエステル交換反応を抑制することで物性低下を防いだ樹脂製品が実用品として用いられてきた。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】OA機器などの画像形成装置では、価格や、耐屈曲性、ヤング率といった機械特性に加え、シームレスベルトの円周方向厚み分布等の寸法精度や、電気特性が非常に重要であり、電気抵抗値がある範囲に均一にコントロールされていなければならない。そのためには、カーボンブラックや金属酸化物等の各種導電性フィラーを添加させる検討されているが、導電性フィラーを樹脂に混ぜると樹脂との親和性の無さが影響し、益々耐屈曲性等の機械物性が低下するといった問題があった。特に、押し出し成形でシームレスベルトを成形しようとする場合、所定の太さの筒状に押し出し、これを切断してシームレスベルトとするが、押し出し機中での樹脂の状態(熱劣化等)のムラにより樹脂に流れやすい部分と流れにくい部分が生成し、成形ダイから押し出される際、流れやすい樹脂は肉厚に、流れにくい樹脂は肉薄になり易い。シームレスベルトは僅かな肉厚ムラもその用途上(コピー機、プリンター等の精密画像形成装置)問題であり、その改善が望まれていた。
【0021】このように価格や、耐屈曲性、ヤング率等に代表される機械物性や、シームレスベルトの円周方向厚み分布に代表される寸法精度や、電気抵抗に代表される電気物性を満足させるシームレスベルトが未だ見出されていないのが現状である。
【0022】本発明の目的は、肉厚ムラがなく、耐屈曲性や耐薬品性及び成形寸法安定性に優れ、溶融混合時の反応による物性劣化を抑えたシームレスベルトを提供するものであって、画像形成装置用ベルト及び画像形成装置を構成するのに好適である。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記目的のため鋭意検討した結果、特殊な樹脂組成物を用い、特定の条件でシームレスベルトを成形することにより目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0024】すなわち、本発明の要旨は(1) 重合触媒によって反応しうる熱可塑性樹脂と重合触媒を加熱溶融混練して筒状に押し出し、所定の長さに切断して得たシームレスベルトであって、径変動率0.8〜1.2、厚み引き落とし率1.1〜50で成形してなるシームレスベルトに存する。本発明のシームレスベルトは以下の態様も特徴の1つとする。
(2) 重合触媒によって反応しうる熱可塑性樹脂が結晶性樹脂同士、結晶性樹脂と非晶性樹脂又は非晶性樹脂同士の組み合わせであることを特徴とする(1)に記載のシームレスベルト。
(3) 結晶性樹脂が水酸基、カルボン酸及びエステル結合のうちの少なくとも1つを有する結晶性樹脂であり、非晶性樹脂が水酸基、カルボン酸及びエステル結合のうちの少なくとも1つを有する非晶性樹脂であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のシームレスベルト。
(4) 円周方向の厚みムラ変動率が±10%以下である(1)ないし(3)のいずれかに記載のシームレスベルト。
(5) 重合触媒によって反応しうる熱可塑性樹脂が結晶性樹脂と非晶性樹脂の組み合わせであり、結晶性樹脂の分子鎖と、非晶性樹脂の分子鎖間に化学結合が存在することを特徴とする(3)又は(4)に記載のシームレスベルト。
(6) 結晶性樹脂の分子鎖と非晶性樹脂の分子鎖間の化学結合1molあたりの、結晶性樹脂と非晶性樹脂合計質量が、300,000g以下であることを特徴とする(5)に記載のシームレスベルト。
(7) 成分の重量比が下記条件を満たしていることを特徴とする(5)又は(6)に記載のシームレスベルト。
結晶性樹脂/非晶性樹脂の重量比が、1/99〜99/1
重合触媒中の金属が(結晶性樹脂+非晶性樹脂)の重量に対し、1ppm〜10000ppm
(8) 結晶性樹脂の配合比率をX重量部,ポリスチレン(PS)換算重量平均分子量をMw1、非晶性樹脂の配合比率をY重量部,PS換算重量平均分子量をMw2、結晶性樹脂、非晶性樹脂及び重合触媒を加熱混練した後に得られる樹脂組成物のPS換算重量平均分子量をMw3としたとき、下記関係を満たすことを特徴とする(5)ないし(7)のいずれかに記載のシームレスベルト。
【数2】

(9) PS換算重量平均分子量が130,000以上であることを特徴とする(1)ないし(8)のいずれかに記載のシームレスベルト。
(10) 該重合触媒がTiを含有することを特徴とする(1)ないし(9)のいずれかに記載のシームレスベルト。
(11) 該重合触媒が、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び亜鉛よりなる群の少なくとも1種と、Tiとを含有することを特徴とする(1)ないし(10)のいずれかに記載のシームレスベルト。
(12) 該群の元素がMgであることを特徴とする(11)に記載のシームレスベルト。
(13) 結晶性樹脂がPAT(ポリアルキレンテレフタレート)であることを特徴とする(1)ないし(12)のいずれかに記載のシームレスベルト。
(14) 該PATがPBT(ポリブチレンテレフタレート)であることを特徴とする(13)に記載のシームレスベルト。
(15) 非晶性樹脂がPC(ポリカーボネート)であることを特徴とする(1)ないし(14)のいずれかに記載のシームレスベルト。
(16) 導電性フィラーとしてカーボンブラックを3〜30重量%含有することを特徴とする(1)ないし(13)のいずれかに記載のシームレスベルト。
(17) (1)ないし(16)のいずれかに記載のシームレスベルトからなる画像形成装置用中間転写ベルト、搬送転写ベルト、又は感光体ベルトである画像形成装置用ベルト。
(18) (17)に記載の画像形成装置用ベルトを含むことを特徴とする画像形成装置。
【発明の実施の形態】以下本発明について詳細に説明する。
【0025】(水酸基、カルボン酸及びエステル結合のうちの少なくとも1つを有する結晶性樹脂)本発明のシームレスベルトに用いる結晶性樹脂は、水酸基、カルボン酸及びエステル結合のうちの少なくとも1つを有するものであり、結晶化度が10%以上100%以下であれば特に制限はなく汎用の樹脂を用いることができる。
【0026】具体的には結晶性エステル樹脂の中でもPAT(ポリアルキレンテレフタレート)が好ましく、なかでもPBT(ポリブチレンテレフタレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)はより好ましく、PBTは結晶加速度が早いので成形条件による結晶化度の変化が少なく、一般に30%前後と結晶化度で安定しているので特に好ましい。
【0027】また、本発明に用いる結晶性樹脂は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で共重合成分を導入することもできる。具体的な例としてエステル結合を主鎖とし、ポリメチレングリコールなどエステル結合を導入したものなどをあげることができる。
【0028】本発明のシームレスベルトに用いる結晶性樹脂の分子量に特に制限はなく、例えば、重量平均分子量10,000〜100,000など一般的な分子量の樹脂を用いることができるが、引張破断伸など機械物性の高い要求がある場合には高分子量のものが好ましい。具体的には20,000以上が好ましく、25,000以上であればさらに好ましく、30,000以上であれば特に好ましい。
【0029】(水酸基、カルボン酸及びエステル結合のうちの少なくとも1つを有する非晶性樹脂)本発明のシームレスベルトに用いる非晶性樹脂は、水酸基、カルボン酸及びエステル結合のうちの少なくとも1つを有するものであり、結晶化度が0%以上、10%未満であれば特に制限はなく汎用の樹脂を用いることができる。
【0030】具体的にはPC(ポリカーボネート)やPAr(ポリアリレート)などのポリエステルやPMMA(ポリメチルメタクリレート)などの側鎖にエステル結合を有する樹脂が好適な例としてあげることができる。なかでもポリエステルが好ましく、PCは特に好適に用いることができる。
【0031】また、本発明のシームレスベルトに用いる非晶性樹脂は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で共重合成分を導入することができる。具体的な例としてエステル結合を主鎖とし、ポリメチレングリコールなどエステル結合を導入したものなどをあげることができる。
【0032】本発明のシームレスベルトに用いる非晶性樹脂の分子量に特に制限はなく、例えば、重量平均分子量10,000〜100,000など一般的な分子量の樹脂を用いることができるが、引張破断伸など機械物性の高い要求がある場合には高分子量のものが好ましい。具体的には20,000以上が好ましく、25,000以上であればさらに好ましく、30,000以上であれば特に好ましい。
【0033】(樹脂組成)本発明は重合触媒によって反応しうる熱可塑性樹脂と重合触媒とを用い重合触媒によって熱可塑性樹脂を重合(反応)させることにより、シームレスベルトとして最適なものを得ようというものである。従って、重合触媒によって反応や重合が起こり得る物で有れば、原料樹脂としては結晶性樹脂単独、異なる結晶性樹脂同士の混合物、非晶性樹脂単独、異なる非晶性樹脂同士の混合物、結晶性樹脂と非晶性樹脂の混合物等種々の組み合わせが可能である。ただし、前述した結晶性樹脂と非晶性樹脂のそれぞれの性質を補い合う意味で結晶性樹脂と非晶性樹脂との混合物(組み合わせ)を用いるのが好ましい。
(結晶性樹脂と非晶性樹脂の重量比)本発明のシームレスベルトに用いる結晶性樹脂と非晶性樹脂の重量比に特に制限はない。ただし、一般に結晶性樹脂は耐薬品性,耐屈曲性に優れ、非晶性樹脂は成形寸法安定性に優れるので、使用目的に応じ、任意の比率を設定することができるが、なかでも、結晶性樹脂/非晶性樹脂の重量比が1/99〜99/1が好ましく、40/60〜97/3がより好ましく、60/40〜95/5がさらに好ましく、70/30〜90/10が特に好ましい。
【0034】特に好ましい比率として結晶性樹脂の比率を多く選択しているのは、非晶性樹脂は少しの配合で十分に成形寸法安定性の改良効果が期待できること、非晶性樹脂のわずかな配合過多で塗装時の溶剤などの耐薬品性悪化の影響が顕著に出ることがあるなどの理由による。
【0035】(結晶性樹脂と非晶性樹脂の粘度差)両樹脂の粘度差が大きすぎると、製造条件を調整しても良好な分散が得られず、均一分散に至ることができなくなることがあるので、粘度差は小さい方が好ましい。
【0036】具体的には両樹脂を同一条件でMFR測定し、値が1/20〜20/1程度の範囲に収まることが好ましく、1/10〜10/1の範囲となればさらに好ましい。
【0037】測定方法としてはJIS K−7210に準拠し、測定温度条件は樹脂の加工温度に近い条件を選択することが好ましい。
【0038】例えばPBTとPCを選択した場合、加工温度となる260℃を測定温度として設定し、両樹脂の粘度差を比較することが好ましい。また、荷重としては例えば2.16kgを選択することで好適に測定できる。
【0039】異なる結晶性樹脂同士の混合物、異なる非晶性樹脂同士の混合物の組み合わせの場合もMFRの範囲が上述の範囲の物を選択するのが良い。
(重合触媒)重合触媒は、結晶性樹脂単独、異なる結晶性樹脂同士の混合物、非晶性樹脂単独、異なる非晶性樹脂同士の混合物もしくは結晶性樹脂と非晶性樹脂との混合物を重合する能力を有していれば特に制限はない。
【0040】具体的一例では、有機酸と水酸基を縮合できる能力を有すれば特に制限はなく、ポリエステル系重合触媒を用いることができる。
【0041】重合触媒のなかでもTi系重合触媒は好ましく、アルキルチタネートなどが好適に用いることができる。
【0042】アルキルチタネートの中でもテトラブチルチタネート又はテトラキス(2−エチルヘキシル)オルソチタネートが好ましく、これらはTYZOR TOT(DuPont製)やTYZOR TBT(DuPont製)として市販品を容易に入手することができる。
【0043】また、Ti系重合触媒は、アルカリ金属、アルカリ土類金属含有化合物又は亜鉛含有化合物と組み合わせることで、より有効に作用するので好ましく、なかでもMg含有化合物を重合触媒として有することは特に好ましい。
【0044】Mgを含む化合物として特に制限はないが有機酸Mg塩が特に好ましく、酢酸Mgが特に好ましい。
【0045】重合触媒の含有量としては、少なすぎると有効に作用しないことがあるので、ある程度高い方が好ましく、具体的には重合触媒中の金属分の質量が全樹脂に対し1ppm以上が好ましく、10ppm以上であればさらに好ましく、20ppm以上であれば特に好ましい。一方、エステル系樹脂は重金属の多量存在下により、解重合を起こすことがあると知られているので、ある程度は小さい方が好ましく、具体的には10000ppm以下が好ましく、1000ppm以下であればさらに好ましく、500ppm以下であれば特に好ましい。
【0046】(キレーター)本発明では重合触媒の活性が高すぎると、樹脂の解重合を促進して分子量低下による機械的物性低下,低分子量体発生に伴う発泡などが問題になることがある。
【0047】本発明では、重合触媒中の金属にキレートする能力を有するキレーターが存在すると、解重合を抑制することができる。
【0048】キレーターの種類としては特に制限はなく、公知のキレーターを用いることができる。
【0049】例としては、亜リン酸エステル、リン酸エステル、リン酸塩、ヒドラジン類を挙げることができ、これらは例えば、イルガホス168(日本チバガイギー(株)製)、PEP36(旭電化工業(株)製)、PEPQ(クラリアントジャパン(株)製)の亜リン酸エステル、IRGANOX MD1024(日本チバガイギー(株)製)、CDA−6(旭電化工業(株)製)のヒドラジン類などとして容易に市場から入手することができる。
【0050】これらのキレーターの添加量は、本発明では成形条件の適正化により解重合及び低分子量体発生を抑制することもできるので、キレーター添加量0重量部とすることもできるが、解重合の抑制が必要な場合には0.001重量部以上添加することが好ましく、より効果を得るには0.01重量部以上添加することが好ましい。
【0051】キレーターの量が多すぎると重合触媒が活性を失い良好な物性のシームレスベルトを得られないことがあるので添加過多にはならない方が好ましく、樹脂100重量部に対し、10重量部以下が好ましく、5重量部以下であるとさらに好ましい。
【0052】一般的にはキレーターの使い方としては0.1重量部以下の少量添加で使うことが好ましいとされるが、本発明でキレーターを使う場合には、特に好ましい使い方の例としては、重合触媒の添加量を50〜500ppmと多く添加し、キレーターも0.1〜3重量部、好ましくは0.3〜1重量部と常識より高い量を用いて、さらにシームレスベルトを得るための成形条件(温度,滞留時間など)を適正化すると、結晶性樹脂と非晶性樹脂の化学結合生成及び分子量UPが促進しつつ、解重合を抑制でき、従来に無い物性の優れたシームレスベルトを得ることができる。
(導電性物質)本発明において電気抵抗値を調整する必要がある場合には導電性物質を配合しても良い。特に画像形成装置に用いられるエンドレスベルト、シームレスベルト等においては電気的にトナーや紙等を吸着、転写させるため、表面抵抗値や体積抵抗値を用途に合わせて調整する必要がある。配合する導電性物質としては、用途に要求される性能を満たすものであれば特に制限はなく、各種のものを用いることができるが、具体的には、導電性フィラーとして、カーボンブラックやカーボンファイバー、グラファイトなどのカーボン系フィラー、金属系導電性フィラー、金属酸化物系導電性フィラーなどが用いられ、導電性フィラーの他には、イオン導電性物質、たとえば四級アンモニウム塩等が例示される。特に好ましい導電性物質は、分散性に優れているカーボンブラックである。カーボンブラックの種類としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどが好適に使用でき、この中でも不純物としての官能基が少なくカーボン凝集による外観不良を発生しにくいアセチレンブラックが特に好適に使用できる。さらに一次粒子径が10〜100nm、比表面積10〜200m2/g,PH値3〜11のものがより好ましい。また、使用するカーボンブラックは1種類であっても2種類以上であっても良い。さらには、カーボンブラックには樹脂を被服したカーボンブラックや、黒鉛化処理したカーボンブラックや、酸性処理したカーボンブラック等の公知の後処理工程を施したカーボンブラックを用いても何ら問題はない。また、導電性フィラーの分散性を向上させる目的でシラン系、アルミネート系、チタネート系、及びジルコネート系等のカップリング剤で処理したカーボンブラック等の導電性フィラーを用いても良い。本発明で使用されるカーボンブラックの配合量は通常1〜50重量%、好ましくは3〜30重量%を含有することが好ましく、特に好ましい範囲は、10〜25%である。上記範囲超過では、製品の外観が悪くなり、また、材料強度が低下して好ましくない。上記は代表されるカーボンブラックの場合の配合量であり、カーボンナノチューブ等と呼ばれるnmオダーの径を有する繊維状カーボンとうの場合は0.1〜5重量%程度の添加量で所望の導電性を発揮することが出来る場合もある。導電性物質を添加して導電性を持たせたシームレスベルトは用途によりその必要物性が異なるが、表面抵抗率としてJIS K7194,K6911で測定した値にして1〜1×1016(Ω)好ましくは例えば感光体ベルトとして用いる場合には必要に応じて外表面の電荷を内表面に逃がせるように1〜1×109(Ω)と低い表面抵抗率が好ましく、中間転写ベルトとして用いる場合には帯電−転写の容易にできる1×106〜1×1013(Ω)が好ましく、搬送転写ベルトとして用いる場合には帯電しやすく高電圧でも破損しにくい1×1010〜1×1016(Ω)の高い領域が好ましい。また、体積抵抗率としてはJIS K7194,K6911で測定した値にして1〜1×1016(Ωcm)好ましくは例えば感光体ベルトとして用いる場合には必要に応じて外表面の電荷を内表面に逃がせるように1〜1×109(Ωcm)と低い表面抵抗率が好ましく、中間転写ベルトとして用いる場合には帯電−転写の容易にできる1×106〜1×1013(Ωcm)が好ましく、搬送転写ベルトとして用いる場合には帯電しやすく高電圧でも破損しにくい1×1010〜1×1016(Ωcm)の高い領域が好ましい。本発明の特殊な樹脂組成と上記導電性物質を組み合わせることにより抵抗値の均一効果が期待される。表面抵抗値にして、シームレスベルトの任意の20点を測定し、100倍以内(2桁以内)好ましくは10倍以内(1桁以内)の変動率、より好ましくは5倍以内の変動率が実現可能である。フィルムの表面抵抗率は例えばダイヤインスツルメンツ(株)製ハイレスタ(商品名),ロレスタ(商品名)やアドバンテスト(株)製R8340A(商品名)などにより容易に測定することができる。
【0053】(付加的配合材;任意成分)本発明のシームレスベルトには、各種目的に応じて任意の配合成分を配合することができる。
【0054】具体的には、イルガホス168,イルガノックス1010,リン系酸化防止剤などの酸化防止剤、熱安定剤、各種可塑剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、架橋剤、架橋助剤、着色剤、難燃剤、分散剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0055】更に、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、第2,第3成分として各種熱可塑性樹脂、各種エラストマー、熱硬化性樹脂、フィラー等の配合材を配合することができる。
【0056】熱可塑性樹脂としてはポリプロピレン、ポリエチレン(高密度,中密度,低密度,直鎖状低密度)、プロピレンエチレンブロック又はランダム共重合体、ゴム又はラテックス成分、例えばエチレン・プロピレン共重合体ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンスチレンブロック共重合体又は、その水素添加誘導体、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、液晶性ポリエステル、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリビスアミドトリアゾール、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、アクリル、ポリフッ素化ビニリデン、ポリフッ素化ビニル、クロロトリフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、アクリル酸アルキルエステル共重合体、ポリエステルエステル共重合体、ポリエーテルエステル共重合体、ポリエーテルアミド共重合体、ポリウレタン共重合体等の1種又はこれらの混合物からなるものが使用できる。熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の1種又はこれらの混合物からなるものが使用できる。また、各種フィラーとしては、例えば炭酸カルシウム(重質、軽質)、タルク、マイカ、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、ゼオライト、ウオラストナイト、けいそう土、ガラス繊維、ガラスビーズ、ベントナイト、アスベスト、中空ガラス玉、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化チタン、炭酸繊維、アルミニウム繊維、スチレンスチール繊維、黄銅繊維、アルミニウム粉末、木粉、もみ殻、グラファイト、金属粉、導電性金属酸化物、有機金属化合物、有機金属塩等のフィラーの他、添加剤として酸化防止剤(フェノール系、硫黄系、リン酸エステル系など)、滑剤、有機・無機の各種顔料、紫外線防止剤、帯電防止剤、分散剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、銅害防止剤、難燃剤、架橋剤、流れ性改良剤等をあげることができる。
【0057】(加熱混練)本発明においては、結晶性樹脂、非晶性樹脂、重合触媒を加熱混練して樹脂組成物とした後にシームレスベルトを成形することも、結晶性樹脂、非晶性樹脂、重合触媒を加熱混練してそのままシームレスベルトを得ることもできる。
【0058】この場合、樹脂組成物を得る段階での加熱混練か樹脂組成物をシームレスベルトに成形する段階での加熱混練いずれかで結晶性樹脂と非晶性樹脂の結合が生成できるように条件を調節すれば良い。いずれの場合でも、加熱温度は溶融状態でないと十分な分散ができないので、ある程度は高い方が好ましく、具体的には結晶性樹脂の融点を目安に用いて、結晶性樹脂の融点以上とすることが好ましく、融点+10℃以上であるとさらに好ましい。また、加熱温度が高すぎると熱分解を引き起こして物性劣化を招くことがあるのである程度は低い方が好ましく、具体的には結晶性樹脂の融点を目安に用いて、結晶性樹脂の融点+80℃以下が好ましく、融点+60℃以下であることがさらに好ましい。
【0059】また、加熱混練前には原料の乾燥をすることによりより良い物性のシームレスベルトを得られることがあるので乾燥は施しておいた方が好ましい。
【0060】また、場合によっては、加熱混練して樹脂組成物とした後に、融点以下で熱処理を施してエステル結合を生成させた後、シームレスベルトに成形することもできる。
【0061】本発明においては重合触媒が結晶性樹脂及び非晶性樹脂の反応を促して物性の優れたシームレスベルトを得られると考えられる。促される反応は加熱混練時の温度、及び熱を受ける時間が重要となるので、得られるシームレスベルトの分散形態を把握しつつ、加熱混練条件を設定することが必要になる。この反応時に副生成物として低分子量体が発生し、系中から除去できないとこれが分子量低下、成形品発泡を引き起こすので注意が必要である。一方、これらの製品発泡などが起きる直前がもっとも良好な反応状態であると考えられるので、例えば、滞留時間を種々検討し、発泡の生じる滞留時間を見極め、その時の時間より少し短くなるように滞留時間を設定すると、もっとも良好な加熱混練条件が得られるので好ましい。
【0062】加熱混練の手段であるが、これにも特に制限はなく公知の技術を用いることができる。例えば、まず結晶性樹脂、非晶性樹脂、重合触媒を加熱混練して樹脂組成物とするのであれば、一軸押出機、二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、プラストグラフ、ニーダーなどを用いることができる。また、こうして得た樹脂組成物からシームレスベルトを得る場合でも公知の技術を用いることができる。例えば射出成形機,押し出し成形機などである。
【0063】(熱処理)得られたシームレスベルトを熱処理することにより、より物性の向上した成形部材とすることが可能となる。
【0064】熱処理条件は用いる原料樹脂にもよるが、通常60〜200℃の温度、好ましくは70〜120℃の温度で5〜60分、好ましくは10〜30分程度である。
【0065】特に後述するシームレスベルトとした場合等、引張弾性率等の向上が見られる。
【0066】(結晶性樹脂の分子鎖と非晶性樹脂の分子鎖間の化学結合)本発明のシームレスベルトにおいては、原料樹脂の分子鎖間の化学結合を形成する、具体的な好ましい例としては結晶性樹脂の分子鎖と非晶性樹脂の分子鎖間の化学結合を形成することにより、両樹脂間の親和性UP、形態の微分散化を促し、結晶性樹脂の高耐屈曲性、非晶性樹脂の寸法安定性、(条件によっては透明性)を併せ持つシームレスベルトを得ることができる。
【0067】化学結合の存在比率としては特に制限は無いが、基本的には多い方が好ましく、具体的一例には結晶性樹脂の分子鎖と非晶性樹脂の分子鎖間の化学結合1mol当たりで云うと、結晶性樹脂と非晶性樹脂合計質量が300,000g以下となることが好ましく、100,000g以下となると特に好ましい。
【0068】化学結合の量の測定方法に特に制限はないが、例えばNMRにより測定することができる。
【0069】結晶性樹脂としてPBT、非晶性樹脂としてPCを用いた場合の測定例を次に示す。
【0070】測定機種 JEOLGSX400
溶媒 1,1,1,2,2,2−ヘキサフルオロイソプロパノール/d−クロロホルム=3/7(VOL)
積算回数 128回
基準 TMS
この測定により、図1,2に示すチャートを得た。なお、図2図1のII部分を拡大したものである。
【0071】テレフタル酸(TPA)のベンゼン環水素はカルボン酸がブタンジオールと結合している場合とビスフェノールA(BPA)とで化学シフトが異なる。
【0072】一般にPBT分子中のTPAベンゼン環水素(d)は、化1の通り4ヶとも等価であり、化学シフト8.07にシングレットピークを示す。
【0073】
【化1】

【0074】一方、化2の如くPCのBPAと結合したPBTのTPA中のベンゼン環水素は、化学シフトが変化し、水素(b)は8.25にダブレット,(c)は8.13にダブレットピークを示す。
【0075】
【化2】

【0076】(d):{(b)+(c)}の面積比により、PBT分子中のTPAと、PCと結合しているTPAの比を求めることができる。
【0077】本例では面積比は(d):{(b)+(c)}=100:{0.4654+0.5635}≒99.01:0.99となるので、PBT構成単位100molあたり、0.99molのTPA(PBT由来)−BPA(PC由来)結合を有していることが解る。また、本樹脂組成物中には同量のブタンジオール(PBT由来)−炭素(PC)結合が存在することが容易に推測できるので、合計でPBT構成単位100molあたり1.98molのPBT−PC結合が存在することが解る。
【0078】化3の通り、PBT構成単位(ブタンジオール+TPA)の式量は220なので、PBT22000(220×100mol)gあたり、1.98molのPBT−PC結合が存在する。
【0079】PBT−PC結合1molあたりのPBTの質量は約11000(22000/1.98)と計算できる。
【0080】本例ではPBTとPCの重量比が7/3なので、PBT−PC結合1molあたりの樹脂分(PBT質量+PC質量)は16000g(11000/0.7)と求めることができる。
【0081】
【化3】

【0082】(分子量)本発明においては、結晶性樹脂、非晶性樹脂、重合触媒を加熱混練し、結晶性樹脂の分子鎖と、非晶性樹脂の分子鎖間に化学結合を生成し、且つ、樹脂組成物としての総合の分子量を維持あるいは増加させることで、得られるシームレスベルトの物性向上が図れると考えられるので、分子量は高い方が好ましい。
【0083】分子量の測定方法であるが、本発明のように共重合体が存在する場合には分子量の真値を求めることが難しい。
【0084】そこで本発明では全ての樹脂をGPCにより同一条件で測定し、PS換算重量平均分子量として得た値を共通の代表値として用いることとした。
【0085】測定条件としては、試料20mgを0.5mlの1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールと0.2mlのクロロホルムで一晩溶解し、更に移動相の溶媒25mlを加え、0.22μmのフィルターにて濾過し、SEC測定溶液とした。移動相を加えてから測定終了まで12時間以内に行った。
【0086】SEC測定条件
溶媒 クロロホルム/酢酸:99.5:0.5(vol/vol)
流速 1.0ml/分
注入量 0.02ml
カラム AD806M/S 2本(昭和電工社製)
カラム温度 30℃
検出器 UV 254nm
分子量500(A−500)から2,890,000(F−288)までの分子量の異なる単分散標準ポリスチレン(東ソー社製)12試料用い、較正曲線を作成し、ポリスチレン換算の分子量を計算した。
【0087】本手法でした、結晶性樹脂と、非晶性樹脂と、重合触媒を加熱混練した後に得られる樹脂組成物のPS換算重量平均分子量(Mw3とする)の値としては、具体的には、結晶性樹脂の配合比率をX重量部,ポリスチレン(PS)換算重量平均分子量をMw1、非晶性樹脂の配合比率をY重量部,PS換算重量平均分子量をMw2として、
【0088】
【数3】

【0089】であることが好ましく、
【0090】
【数4】

【0091】であるとさらに好ましく、
【0092】
【数5】

【0093】であると、十分に高い物性を得られるので特に好ましい。
【0094】また、本発明においてはMw3が加熱混合によりMw1とMw2の算術平均値よりも高くなっていることが重要で、初めから高いMw1やMw2の樹脂を用いても、加熱混合時に分子量低下していては最終的なMw3が高くても良好な物性は期待できないと考えられるので、Mw3の絶対値に特に制限はないが、それでも総合的観点からは高い方が好ましく、具体的にはPS換算重量平均分子量で130,000以上が好ましく、140,000以上であるとさらに好ましく、150,000以上であると特に好ましい。
【0095】なお、重量平均分子量真値とPS換算重量平均分子量の相関の例を挙げると、重量平均分子量40,000のPBTを上記手法で測定するとPS換算重量平均分子量122,000の値が得られ、重量平均分子量28,000のPCを上記手法で測定するとPS換算重量平均分子量64,000の値が得られることがわかっている。
【0096】(分散形態)一般に2種類の熱可塑性樹脂を溶融混合しても完全には混じり合わず、流動構造をとることが知られている。両熱可塑性樹脂の体積分率に大きな差がある場合は体積分率の大きい方が海で体積分率が小さい方が島の構造をとりやすく、体積分率の差が小さい場合は溶融粘度差が海島構造に影響をあたえ、溶融粘度の小さい方が海に、大きい方が島になりやすいと言われている。
【0097】一般的な溶融混合では分散粒径が100nm程度にまでしかならないが、本発明においては条件を適正化することにより分散粒径を数nm以下にまで微細化することが可能で、これにより事実上シームレスベルトを透明化することができる。
【0098】一般にPBTなどの結晶性樹脂を含むシームレスベルトは透明性を有さないことで知られるが、本発明による手法を用いれば、驚くべきことに透明なシームレスベルトを得ることもできるのである。
【0099】分散状態の確認手法に特に制限はなく、RuO4で染色後、超薄切片を作成しTEMで観察するなど公知の方法を用いることができる。
【0100】なかでも寸法精度,耐屈曲性,引張破断伸など要求物性の厳しいOA機器分野、特に機能部材には好適に用いることができ、例えばシームレスベルト形状として、割れ,伸びなど不具合が少ないので好適である。
【0101】(シームレスベルト)本発明のシームレスベルトは、電子写真式複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ機等の画像形成装置に中間転写ベルト,搬送転写ベルト,感光体ベルトなどとして用いられる。
【0102】シームレスベルトを得るには、結晶性樹脂、非晶性樹脂、重合触媒を例えば二軸混練押出機により混合し、ペレット化した後にシームレスベルトとなるように成形する手法が特に好ましく用いられる。
【0103】(成形方法)成形方法は、通常、連続溶融押出成形法が用いられる。特に押し出したチューブの内径を高精度で制御可能な下方押出方式の内部冷却マンドレル方式あるいはバキュームサイジング方式が好ましく、内部冷却マンドレル方式が最も好ましい。成形に当たっては径変動率を0.8〜1.2とすることが必要である。また、厚み引き落とし率を1.1〜50として成形する事も望ましい。径変動率は好ましくは0.9〜1.1、厚み引き落とし率は好ましくは3〜30である。径変動率をこの範囲にすること、すなわちダイスリット径とシームレスベルトの径が大幅に異なることの無いように成形することにより肉厚の変動が抑えられる且つ、真円性が確保される。また、厚み引き落とし率をこの範囲とすることにより肉厚変動の抑制とシームレスベルトの押し出し方向と押し出し方向と直角方向の強度バランスが良好となる。径変動と厚み引き落としは、押し出された樹脂が未だ溶融状態に有るうち、すなわち、結晶性樹脂の結晶融点以上の温度に有るうち(非晶性樹脂のガラス転移点温度以上に有るうち)に行われる事が望ましく、樹脂が固化した後に行うと、その効果は少ない。径変動率はダイス径と製品径との比、すなわち、径変動率=ダイス径/製品径で表される。厚み引き落とし率はダイスリット幅(スリットの間隙、リップ幅)と製品厚み厚みとの比、すなわち、引き落とし率=ダイスリット幅/製品厚みで表される。本発明は上述した特定の組成の材料と特定の成形条件との組み合わせにより厚みムラ等の少ない、すなわち成形寸法安定性に優れたシームレスベルトが得られる。すなわち、本発明で用いる組成物は結晶性樹脂と非晶性樹脂を成形時に重合触媒により反応させるため、成形時の樹脂の流動性が変化する。このため、シームレスベルト成形時の径変動率と厚み引き落とし率のバランスの微妙な調整が厚みの変動や径の変動を防止する上で必要となる。
【0104】また、この成形時の温度,滞留時間適正化により、より良好な物性のシームレスベルトを得ることができるので各配合にあわせて条件を調整することが好ましい。
【0105】(シームレスベルトの物性)本発明によれば、以下のような物性を有するシームレスベルトを得ることができる。
【0106】・物性;耐折回数
本発明に用いるシームレスベルトを例えば中間転写ベルトとして画像形成装置に用いる場合には、耐屈曲性が悪いとクラックが発生して画像が得られなくなるので耐屈曲性の良好なシームレスベルトが好ましい。
【0107】耐屈曲性の程度は、JIS P−8115の耐折回数の測定方法に従うことで定量的に評価でき、耐折回数の大きいシームレスベルトほどクラックが入りにくく、耐屈曲性に優れていると判断することができる。
【0108】具体的な数値としては、500回以上あれば一応シームレスベルトとして機能を発揮して使用することができるが、実用的には5000回以上が好ましく、10000回以上であれば更に好ましく、30000回以上であれば、特にクラックが発生しにくくなるので特に好ましい。
【0109】・引張弾性率
シームレスベルトの引張弾性率が低いと、例えば中間転写ベルトとして画像形成装置に用いる場合に張力により少し伸びが発生してしまい、色ズレなど不具合を発生することがあるので引張弾性率が高い方が好ましく、具体的には1000MPa以上が好ましく、1500MPa以上だとさらに好ましく、2000MPa以上だとさらに好ましく、2500MPa以上であれば色ズレなどの不具合を大幅に抑えることができるので特に好ましい。
【0110】一般に柔らかいプラスチックは耐折回数が高いが引張弾性率が低くなりやすく、逆に硬いプラスチックは高い引張弾性率を得られるが脆くなりやすく耐折回数は低いものしか得られないことが多い。本発明ではPBTやPCの有する固有の高い引張弾性率の特性を維持したまま、高い耐折回数を得ることができる意味で有用であると言える。
【0111】・物性;表面抵抗率
本発明に用いるシームレスベルトは必要に応じて導電性フィラーあるいは導電性を発現する物質を配合することにより導電性を得ることができる。
【0112】抵抗領域は目的により異なるが、表面抵抗率1〜1×1016Ω/□の範囲から選定することが好ましい。
【0113】更に好ましい範囲は用途により異なるが、例えば感光体ベルトとして用いる場合には必要に応じて外表面の電荷を内表面に逃がせるように1〜1×109Ω/□と低い表面抵抗率が好ましく、中間転写ベルトとして用いる場合には帯電−転写の容易にできる1×106〜1×1013Ω/□が好ましく、搬送転写ベルトとして用いる場合には帯電しやすく高電圧でも破損しにくい1×1010〜1×1016Ω/□と高い領域が好ましい。
【0114】また、シームレスベルト1本中の表面抵抗率の分布は狭い方が好ましく、それぞれの好ましい表面抵抗率領域において、1本中の最大値と最小値の差が2桁以内(100倍以内)好ましくは1桁以内(10倍以内)であることが望ましい。
【0115】・シームレスベルトの厚み
シームレスベルトの厚みは用途によるが、中間転写ベルトとして用いる場合には50〜1000μmが好ましく、80〜500μmが更に好ましく、100〜200μmであれば特に好ましい。
・円周方向の厚みムラ変動率
シームレスベルトの円周方向の厚みムラはシームレスベルトの平均厚みに対して±10%以下が好ましく、±7%以下が更に好ましく、±5%以下であれば特に好ましい。上記範囲外であれば、4色の色重ねズレがひどく、実用化が難しくなる。
【0116】・シームレスベルトの用途
シームレスベルトはそのままベルトとして搬送ロール等に掛け渡して中間転写ベルト等として使用しても良いし、ドラムあるいはロール等に巻き付けて(はめ込んで)ドラムやロールの形にして使用しても良い。
【0117】更に蛇行防止や端面補強等の目的のために、所定の寸法のシームレスベルトの内側及び/又は外側端部近傍に耐熱テープを貼り付けたり、或いはウレタンゴムやシリコンゴム等のテープをベルト内側の端部近傍に貼り合わせても良い。
【0118】
【実施例】本発明を実施例、比較例を用いて、より具体的に説明する。
【0119】(原料)原料は下記のものを用い、配合割合は表1又は表2等の通りとした。
PBT;重量平均分子量40,000;PS換算重量平均分子量122,000
PET;重量平均分子量44,000;PS換算重量平均分子量131,000
PC ;重量平均分子量28,000;PS換算重量平均分子量 64,000
PAr;重量平均分子量30,000;PS換算重量平均分子量69,000
重合触媒;チタニウム(IV)ブトキシド酢酸マグネシウム
熱安定剤;リン酸化酸化防止剤PEPQ クラリアントジャパン(株)社製
カーボンブラック;デンカブラック;電気化学(株)製
(加熱混練)各原料を、二軸混練押出機(IKG(株)製 PMT32)を用いて材料ペレット化した。
【0120】(シームレスベルトの成形方法)この材料ペレットを乾燥し、直径φ180mm、リップ幅1mmの6条スパイラル型環状ダイ付き40mmφの押出機により、環状ダイ下方に溶融チューブ状態で押し出した。押し出した溶融チューブを、環状ダイと同一軸線上に支持棒を介して装着した外径170mmの冷却マンドレルの外表面に接しめて冷却固化させつつ、次に、シームレスベルトの中に設置されている中子と外側に設置されているロールにより、シームレスベルトを円筒形を保持した状態で引き取りつつ340mm長の長さで輪切りにして各表に記載の厚み、滞留時間となるよう押出量、引き取り速度を調整し、直径169mmの樹脂製シームレスベルトとした。
【0121】成形温度,滞留時間などの条件は各表1又は2の通りとした。
【0122】(評価)評価は必要に応じ、シームレスベルトを必要な大きさに切り開いて実施した。
・耐折回数
JIS P−8115準拠
・表面抵抗率 Ω
表面抵抗率は測定器により好適に測定できる領域が異なるので以下のように使い分けた。
【0123】表面抵抗率
1〜1×106Ωとなるサンプル ダイヤインスツルメンツ(株)製 ロレスタを使用し、20mmピッチでベルト円周方向を測定した。
【0124】106〜1×1013Ωとなるサンプル ダイヤインスツルメンツ(株)製 ハイレスタ(HA端子)を使用し、500V、10秒の条件にて20mmピッチでベルト円周方向を測定した。
【0125】1013〜1×1016Ωとなるサンプル アドバンテスト(株)製、微小電流測定器R8340A(商品名)にJIS電極を使用し、500V、10秒の条件にて100mmピッチにてベルト円周方向を測定した。
【0126】測定時間 10秒値
・シームレスベルトとしての耐久性の評価
得られたシームレスベルトをタンデム型中間転写ベルトとして画像形成装置に搭載し、連続で画像出力をし、何枚出力した段階でシームレスベルトにクラックが発生するかを評価した。
・色重ねずれの評価
得られたシームレスベルトを図4に示した構造のタンデム型中間転写ベルトとして画像形成装置に搭載し、フルカラーモードで黒色の横線を複写し、横線の幅を測定し、原稿との差を計算にて求める。その時の差が150μm以下であれば良好(OK)、150μmを越えると不良(NG)とした。
・引張り弾性率
ISO R1184−1970に準拠し、試験片を幅15mm、長さ150mmに切断し、引張り速度1mm/min、つかみ具間距離を100mmとした。
・引張り破断伸び率
JISZ1702−62に準拠し、試験片を幅15mm、長さ150mmに切断し、引張り速度50mm/min、つかみ具間距離を100mm、標線間隔を50mmとした。
・厚み測定法
東京精密(株)製のマイクロメータを用いてシームレスベルトの円周方向20mmピッチにて測定した。シームレスベルトの円周方向の厚みムラはシームレスベルトの平均厚みに対して最大値と最小値を±で示した。
【0127】〔実施例1〕PBT,PC,テトラブチルチタネート,酢酸マグネシウム,熱安定剤を事前に130℃程度で予備乾燥し、その後に加熱混練し、材料ペレットを得た。
【0128】このときの加熱混練条件は、樹脂温度と混練機内での滞留時間を調節し、混練機内での反応は抑制するようにした。
【0129】この材料ペレットを筒状に押出成形し、所定長さに切断して透明な筒状フィルム状のシームレスベルトを得ることができた。
【0130】なお、この押出成形機内で反応が好ましい程度に促進し、透明なシームレスベルトが得られるように、押出成形条件は、樹脂温度と滞留時間を調節した。径変動率等の成形条件は表1に示した。
【0131】表1にシームレスベルトの形態、特性、外観を示す。成形開始後3時間で厚みムラ140μm±7μmのシームレスベルトが安定的に得られた。
【0132】更に、得られたシームレスベルトを80℃で10分間熱処理したところ引張り弾性率が5%向上した。
【0133】〔比較例1〕重合触媒を用いなかった以外は実施例1と同じ条件でシームレスベルトを得た。
【0134】PBTは不純物としての樹脂中の金属分の影響を除去するために一度溶剤に溶解してカラムを用いて濾過し、しかる後に溶剤を除去したものを用いた。
【0135】実施例1と異なり、押出成形条件(成形温度,滞留時間)を調整しても透明なシームレスベルトは得られなかった。
【0136】表1にフィルムの形態、特性、外観を示す。成形開始後5時間で厚みムラ140μm±16μmのシームレスベルトが不安定ながらも得られた。
【0137】
【表1】

【0138】〔実施例2〕表2に示す配合割合でPBT,PC,テトラブチルチタネート,酢酸マグネシウム,熱安定剤,カーボンブラックを事前に予備乾燥し、その後に加熱混練し、材料ペレットを得た。
【0139】その後、この材料ペレットを表2に示した成形条件にて筒状に押出成形機して、所定長さに切断し、シームレスベルトに成形した。
【0140】表2の通り、得られた成形品は耐折回数が58,000回と著しく高く引張弾性率も高く良好な物性であった。
【0141】表面抵抗率は1×1010Ωで体積抵抗率は1×1010Ω・cmであり中間転写ベルトとして画像形成装置に搭載したところ良好に画像を得ることができた。また、この状態で10万枚画像出力してもクラックが発生することは無かった。
【0142】本実施例では成形時の加熱混練で、適切な滞留時間と成形温度を設定することで、良好な物性の成形品を得ることができたと考えられる。成形開始後3時間で厚みムラ140μm±8μmのシームレスベルトが安定的に得られた。その時の色ズレは95μmでOKだった。
【0143】更に、得られたシームレスベルトを80℃で20分間熱処理したところ引張り弾性率が8%向上した。
【0144】〔実施例3〕PBTとPCの重量比を変えた点、成形時に滞留時間を長くした点以外は実施例1と同じ条件でシームレスベルトを得た。この実施例3によっても、表2の通り実施例1同様良好な物性を得た。
【0145】滞留時間を長くしたのは、PBT/PC比率を変えたことで系の適切な反応条件のポイントが変化したためと考えられる。成形開始後3時間で厚みムラ140μm±7μmのシームレスベルトが安定的に得られた。その時の色ズレは90μmでOKだった。
【0146】更に、得られたシームレスベルトを80℃で10分間熱処理したところ引張り弾性率が7%向上した。
【0147】〔実施例4〕カーボン濃度を低くして表面抵抗率の高い、シームレスベルトを得た。表2の通り、本実施例4でも均一分散状態を得、物性が良好であった。このシームレスベルトを搬送転写ベルトとして画像形成装置に搭載したところ、良好な画像を得ることができた。成形開始後3時間で厚みムラ140μm±9μmのシームレスベルトが安定的に得られた。その時の色ズレは100μmでOKだった。
【0148】更に、得られたシームレスベルトを80℃で10分間熱処理したところ引張り弾性率が5%向上した。
【0149】〔実施例5〕カーボン濃度を高くして表面抵抗率の低いシームレスベルトを得た。表2の通り、本実施例5でも均一分散状態を得、物性が良好であった。このシームレスベルトを感光体ベルトとして用い、その表面に感光層を設けて画像形成装置に搭載したところ、良好な画像を得ることができた。成形開始後3時間で厚みムラ140μm±8μmのシームレスベルトが安定的に得られた。その時の色ズレは95μmでOKだった。
【0150】更に、得られたシームレスベルトを80℃で10分間熱処理したところ引張り弾性率が5%向上した。
【0151】〔比較例2〕重合触媒を削除した以外は実施例2と同じ条件でシームレスベルトを製造した。
【0152】PBTは不純物としての樹脂中の金属分の影響を除去するために一度溶剤に溶解してカラムを用いて濾過し、しかる後に溶剤を除去したものを用いた。
【0153】引張弾性率は実施例1とほぼ同等であったが、耐折回数が低かった。また形態観察したところ、PCが島となる2層分離構造をとっていることが分かった。中間転写ベルトとして画像形成装置に搭載したところ良好に画像を得ることができたが、この状態で画像出力を続けたところ、8000枚出力した時点でクラックが発生した。成形開始後10時間で厚みムラ140μm±20μmのシームレスベルトが不安定ながらも得られた。その時の色ズレは190μmでNGだった。
【0154】
【表2】

【0155】比較例3
実施例2と同じ組成を用い、ダイスをダイスリット幅0.7mmのダイスに取り替えて成形を行った。このとき、製品厚みが0.7mm、となるように厚み引き落とし率1.0とした。得られたシームレスベルトの、耐折回数は25000回、また、中間転写ベルトとして画像形成装置に搭載したところ耐久性40000枚でクラックが発生してしまった。また、成形開始後5時間で厚みムラ700μm±100μmのシームレスベルトが不安定ながらも得られた。その時の色ズレは540μmで不良(NG)だった。
比較例4
実施例2と同じ組成を用い、ダイスをダイスリット幅7.5mmのダイスに取り替えて成形を行った。このとき、製品厚みが0.14mm、となるように厚み引き落とし率53.6とした。得られたシームレスベルトの、耐折回数は120000回、また、中間転写ベルトとして画像形成装置に搭載したところ耐久性10万枚でクラックの発生は無し。また、成形開始後5時間で厚みムラ140μm±25μmのシームレスベルトが不安定ながらも得られた。その時の色ズレは210μmで不良(NG)だった。
比較例5
径変動率を1.4に設定した以外は実施例2と同様にして径φ129mmのシームレスベルトを得た。このとき厚み引き落とし率は14.3となった。得られたシームレスベルトは耐折回数は85000回、また、中間転写ベルトとして画像形成装置に搭載したところ耐久性10万枚でクラックの発生は無し。また、成形開始後5時間で厚みムラ140μm±22μmのシームレスベルトが不安定ながらも得られた。その時の色ズレは200μmで不良(NG)だった。
比較例6
径変動率を0.5に設定した以外は実施例2と同様にして径φ360mmのシームレスベルトを得た。このとき厚み引き落とし率は14.3となった。得られたシームレスベルトは耐折回数は110000回、また、中間転写ベルトとして画像形成装置に搭載したところ耐久性10万枚でクラックの発生は無し。また、成形開始後5時間で厚みムラ140μm±24μmのシームレスベルトが不安定ながらも得られた。その時の色ズレは210μmで不良(NG)だった。
〔実施例6〕PBTとPETの組み合わせに変えた点以外は実施例2と同じ条件でシームレスベルトを得た。この実施例6によっても、表2の通り実施例2同様良好な物性を得た。成形開始後3時間で厚みムラ140μm±12μmのシームレスベルトが安定的に得られた。その時の色ズレは130μmでOKだった。変更した組成及び得られたシームレスベルトの物性は以下の通りである。PBT:60重量部、PET:26重量部、 耐折性:32000回 引張弾性率:2600MPa 引張破断伸度:350% 耐久性:10万枚以上
〔実施例7〕PCとPArの組み合わせに変えた点以外は実施例2と同じ条件でシームレスベルトを得た。この実施例7によっても、表2の通り実施例2同様良好な物性を得た。成形開始後3時間で厚みムラ140μm±11μmのシームレスベルトが安定的に得られた。その時の色ズレは120μmでOKだった。変更した組成及び得られたシームレスベルトの物性は以下の通りである。
PC:60重量部、PAr:26重量部、耐折性:31000回 引張弾性率:2400MPa 引張破断伸度:300% 耐久性:10万枚以上
【発明の効果】本発明によると、耐屈曲性及び成形寸法安定性に優れたシームレスベルトが得られ、画像形成装置用シームレスベルトベルトとして用いれば、色ズレ等のない良好な画像形成装置が提供される。


 図面の簡単な説明


【図面の簡単な説明】
図1】PBTとPCとの混合反応物のNMRチャートである。
図2図1のII部分の拡大図である。
図3】従来の中間転写装置の側面図である。
図4】タンデム式中間転写装置の側面図である。
【符号の説明】
1 感光ドラム
2 帯電器
3 露光光学系
4 現像器
5 クリーナー
6 導電性シームレスベルト
7,8,9 搬送ローラ
10 静電転写機
11 記録紙
12 押圧ローラ


 図面


【図2】

【図3】

【図4】

【図1】