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書誌情報 要約 特許請求の範囲 発明の詳細な説明 図面の簡単な説明 図面

 書誌情報


《表紙》

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2002−331563(P2002−331563A)
(43)【公開日】平成14年11月19日(2002.11.19)
(54)【発明の名称】凹凸フィルムおよびその製造方法
(51)【国際特許分類第7版】

B29C 47/08
47/88
// B29K105:00
B29L 7:00
【FI】

B29C 47/08
47/88 Z
B29K105:00
B29L 7:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2001−142161(P2001−142161)
(22)【出願日】平成13年5月11日(2001.5.11)
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】鐘淵化学工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区中之島3丁目2番4号
(72)【発明者】
【氏名】下川 稔
【住所又は居所】大阪府摂津市鳥飼西5丁目5−35−207
(74)【代理人】
【識別番号】100094248
【弁理士】
【氏名又は名称】楠本 高義
【テーマコード(参考)】

4F207
【Fターム(参考)】

4F207 AD16 AF01 AG01 AG03 AG05 AH33 KA01 KA17 KK64 KW26 KW42


 要約


(57)【要約】
【課題】 塗工装置や乾燥炉等の大掛かりな付帯設備の導入、複数個の凹凸ロールやベルトの保有等を要することなく、生産性の高い、又、溶融段階での異物除去に支障が生じない凹凸フィルムの製造方法、及び本方法により得られた凹凸フィルムからなる拡散フィルムや表面反射防止フィルム、偏光子保護フィルムを提供しようとする。
【解決手段】 溶融押出されたフィルムが冷えて固化するまでの間に、フィルム表面層にフィラーを導入することを特徴とした凹凸フィルムの製造方法である。又、表面層のみにフィラーを含有したフィルムを、少なくとも一方に1.2〜4.0倍に延伸した凹凸フィルムからなる拡散フィルムや表面反射防止フィルム、偏光子保護フィルムである。



 特許請求の範囲


【特許請求の範囲】
【請求項1】 フィルムの製造方法であって、溶融押出されたフィルムが冷えて固化するまでの間に、該フィルムの表面層にフィラーを導入する工程を含むことを特徴とする凹凸フィルムの製造方法。
【請求項2】 前記フィラーを導入する工程が、前記溶融押出されたフィルムの表面にフィラー層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の凹凸フィルムの製造方法。
【請求項3】 前記フィラー層を形成する工程が、フィラーを層状に集合させてフィラーから成る層状物を得る工程と、該層状物を前記溶融押出されたフィルムの表面に転写してフィラー層と成す工程とを含むことを特徴とする請求項2に記載の凹凸フィルムの製造方法。
【請求項4】 前記フィラー層が形成された前記フィルムの表面を、加圧面を有する加圧部材で加圧して、前記フィラーを前記フィルムの表面層に押し込む工程を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の凹凸フィルムの製造方法。
【請求項5】 表面層のみにフィラーを含有するフィラー含有フィルムを、少なくとも一方向に延伸することによって該フィラー含有フィルム表面に凹凸を発生させることを特徴とする凹凸フィルムの製造方法。
【請求項6】 前記フィラー含有フィルムは、溶融押出されたフィルムが冷えて固化するまでの間に、該フィルムの表面層にフィラーを導入して成るものであることを特徴とする請求項5に記載の凹凸フィルムの製造方法。
【請求項7】 前記フィラー含有フィルムは、溶融押出されたフィルムが冷えて固化するまでの間に、軟化している該フィルムの表面にフィラー層を形成し、次いで該フィラー層が形成された該フィルムの表面を、加圧面を有する加圧部材で加圧することにより該フィルムの表面層にフィラーを押し込んで成るものであることを特徴とする請求項6に記載の凹凸フィルムの製造方法。
【請求項8】 前記フィラー含有フィルムを少なくとも一方向に1.2乃至4.0倍に延伸する工程を含むことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の凹凸フィルムの製造方法。
【請求項9】 前記フィラー含有フィルムを複数回延伸する工程を含むことを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の凹凸フィルムの製造方法。
【請求項10】 表面に凹凸を有する樹脂製のフィルムであって、該凹凸が、該表面の窪みと、該表面に存在するフィラーとから成る凹凸を含み、該フィルムの厚さ方向中央部にはフィラーが存在しないことを特徴とする凹凸フィルム。
【請求項11】 前記窪みが、前記フィラーを嵌めて保持している窪みを含むことを特徴とする請求項10に記載の凹凸フィルム。
【請求項12】 液晶ディスプレー用表面反射防止フィルム用、又は、液晶ディスプレー用拡散フィルム用、又は、液晶ディスプレー用偏光子保護フィルム用に使用されることを特徴とする請求項10又は11に記載の凹凸フィルム。


 発明の詳細な説明


【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィラーによりフィルム表面に凹凸を設けた凹凸フィルム及びその製造方法に関する。詳しくは、表面反射防止フィルムや拡散フィルム等の光学用途や、フィルムの取り扱い上の付帯特性としての耐ブロッキング性の付与を目的とした凹凸フィルム及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高分子樹脂にフィラーを複合させる技術は従来から用いられており、主に樹脂の使用量を削減することによるコストダウンが目的であったが、近年ではその応用範囲も広がり、単なるコストダウンのための技術から、高分子樹脂の力学的特性や光学的特性の向上及び、新規機能の付与のための技術へと進歩してきた。代表的な実用例として、フィルムの合紙として用いる易滑性ラミネートフィルムや易接着フィルムに利用されている。更にフィルムの走行性を改善して生産速度を上げる手段として利用されている。また、フィルムの取り扱い性を向上させる手段として、フィラーによりフィルム表面に凹凸を付与し耐ブロッキング性を発現させることに利用されている。
【0003】また、携帯用端末器(モバイルコンピュータ)や携帯電話の表示装置として需要が拡大している液晶ディスプレー(LCD)の画面の写り込みをやわらげる表面反射防止フィルムや、液晶表示装置に用いられているバックライトの光を均一に拡散させる拡散フィルムにも、フィラーによりフィルム表面に凹凸を付与したフィルムの応用検討が行われている。
【0004】代表的な易滑性ラミネートフィルムや易接着フィルム、また耐ブロッキング性付与フィルムの製法としては、従来から広く用いられている公知の方法である高分子樹脂内にフィラーを分散させた後に成形する方法が用いられている。また、拡散フィルムや表面反射防止フィルムの製法に於いては、高分子フィルム上にフィラーを分散させた樹脂を塗布する方法として、例えば、特開平11−179272号が知られている。また、凹凸を有するロール等に押し付け転写させる方法として、例えば、特開平11−91611号、特開平11−71194号、特開平11−92779号が考案されている。又、偏光子保護フィルムに於いては、特開平9−11308号が考案されている。
【0005】高分子樹脂内にフィラーを分散させた後に成形する方法については、例えば、特開平9−11308号に開示されている、添加したフィラーを極力除去せず異物を除去する製造方法がある。又、特開平11−179272号に開示されている、アクリル系ラテックスにアクリル系粒子を分散させた溶液をグラビアロールでフィルム表面に塗工する方法がある。更に、特開平11−91611号、特開平11−71194号、特開平11−92779号等で開示されている、凹凸を有するロール等に押し付け転写させる方法がある。しかし、これらの方法はいくつかの問題を有する。
【0006】高分子樹脂内にフィラーを分散させる方法は、フィラーを樹脂内に均一に分散させる混錬工程が必要で、フィラーサイズが小さくなるにつれ、二次凝集により均一分散が困難になってくる。具体的には、1μm以下のフィラーを分散させる際には、樹脂との相溶性を向上させるためフィラーにあらかじめ表面処理を行なったものを用いるほか、樹脂の合成段階で分散させるなどの高度な技術が必要となる。更に、フィラーがフィルム内部にまで含まれるため、フィラーを必要以上に多めに添加する必要があるが、フィラーの添加量を増やすとフィルムの透明度が必要以上に低下する等の問題を有する。また、偏光子保護フィルムのように表示器に用いるフィルムの場合、フィルム中の異物を無くすために異物をフィルターでろ過するが、ブロッキング防止目的で添加したフィラーが支障となる問題を有する。
【0007】フィルム表面に塗工する方法は、表面層にみにフィラー層を形成するため、フィラーを必要以上に添加する必要がなく、又、フィラーの分散液を選択することでフィラーサイズが小さいものでも容易に分散させることができるが、均一な厚み塗布するのが難しく、また、分散液を乾燥させる必要がある。更に、乾燥は、発泡を防ぐためゆっくり行なう必要があり生産性の低下につながる。更に、付帯装置として乾燥炉、また、溶剤を用いる場合には溶剤回収装置、溶剤が可燃性の場合は防爆仕様の乾燥炉が必要となり大幅なコストアップとなる問題を有する。
【0008】凹凸を有するロール等に押し付け転写させる方法については、凹凸を有するロール等が目詰まりを起こし易いことと、生産性が低い問題がある。更に、微細且つ制御された凹凸をロールやベルト等に加工する事は高度な技術が必要で、一旦加工されたパターンは作り変えるしか変更出来ず、品揃え分だけの装置や治具を必要とし、設備のコストアップとなる問題を有する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】これら従来の方法に対し、本発明は、塗工装置や乾燥炉等の大掛かりな付帯設備の導入、複数個の凹凸ロールやベルトの保有等を要することなく、生産性の高い凹凸フィルムの製造方法を提供しようとするものである。又、フィラーに起因して溶融段階で異物除去に支障が生ずることのない凹凸フィルムの製造方法、及び本方法により得られた凹凸フィルムからなる拡散フィルムや表面反射防止フィルム、偏光子保護フィルムを提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするところは、フィルムの製造方法であって、溶融押出されたフィルムを冷却し固化する過程において、該フィルムの表面層にフィラーを導入する工程を含むことを特徴とする凹凸フィルムの製造方法であることにある。
【0012】前記フィラーを導入する工程は、前記溶融押出されたフィルムの表面にフィラー層を形成する工程を含み得る。
【0013】前記フィラー層を形成する工程は、フィラーを層状に集合させてフィラーから成る層状物を得る工程と、該層状物を前記溶融押出されたフィルムの表面に転写してフィラー層と成す工程とを含み得る。
【0014】前記凹凸フィルムの製造方法は、前記フィラー層が形成された前記フィルムの表面を、加圧面を有する加圧部材で加圧して、前記フィラーを前記フィルムの表面層に押し込む工程を含み得る。
【0015】前記凹凸フィルムの製造方法は、表面層のみにフィラーを含有するフィラー含有フィルムを、少なくとも一方向に延伸することによって該フィラー含有フィルム表面に凹凸を発生させ得る。
【0016】前記フィラー含有フィルムは、溶融押出されたフィルムを冷却し固化する過程において、該フィルムの表面層にフィラーを導入して成るものであり得る。
【0017】前記フィラー含有フィルムは、溶融押出されたフィルムを冷却し固化する過程において、軟化している前記フィルムの表面にフィラー層を形成し、次いで該フィラー層が形成された前記フィルムの表面を、加圧面を有する加圧部材で加圧することにより前記フィルムの表面層にフィラーを押し込んで成るものであり得る。
【0018】前記凹凸フィルムの製造方法は、前記フィラー含有フィルムを少なくとも一方向に1.2乃至4.0倍に延伸する工程を含み得る。
【0019】又、本発明の要旨とするところは、フィラーを含有し表面に凹凸を有する樹脂製のフィルムであって、該凹凸が、該表面の窪みと、該表面に存在する該フィラーの粒子とから成り、該フィルムの厚さ方向中央部には該フィラーが存在しないことを特徴とする凹凸フィルムであることにある。
【0020】前記窪みは、前記フィラーを嵌めて保持している窪みを含み得る。
【0021】前記凹凸フィルムは、溶融押出されたフィルムを冷却し固化する過程において、該フィルムの表面層にフィラーを導入する工程を含んで製造されるものであり得る。
【0022】前記凹凸フィルムは、表面層のみにフィラーを含有するフィラー含有フィルムを、少なくとも一方向に延伸することによって該フィラー含有フィルム表面に凹凸を発生させて成り得る。
【0023】前記フィラー含有フィルムは、溶融押出されたフィルムを冷却し固化する過程において、軟化している前記フィルムの表面にフィラー層を形成し、次いで該フィラー層が形成された前記フィルムの表面を、加圧面を有する加圧部材で加圧することにより前記フィルムの表面層にフィラーを押し込んで成るものであり得る。
【0024】前記凹凸フィルムは、液晶ディスプレー用表面反射防止フィルム用、又は、液晶ディスプレー用拡散フィルム用、又は、液晶ディスプレー用偏光子保護フィルム用に使用され得る。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。尚、これらは、本発明における実施の態様の一例であって、本発明を限定するものではない。
【0026】本発明は、ダイより押出されたシート状の溶融物が冷却ロールで冷却、固化する過程においてフィラーを塗布しフィルム表面層にフィラー層を複合させることにより凹凸フィルムを製造するものである。そのフィラーの塗布手段としては、フィラーを層状に集合させてフィラーから成る層状物を作り、そのフィラーから成る層状物を、正と負の電荷を帯びた物体が互いに引け付け合う現象を応用してフィルムに転写する方法や、そのフィラーから成る層状物をダイより押出されたシート状の溶融物に直接接触させて転写させる方法などを用いる。
【0027】特に本発明では、このフィラーの塗布方法に、ゼログラフィーの原理を利用することが出来る。詳しくは光導電体、たとえばセレニウムをコーティングしたアルミニウム製ドラム(感光アルミドラム)に光をあてると電気抵抗が低下し電流が流れる性質(光導電性)を利用し、正、負いずれかの電荷を感光アルミドラムに微帯電させ、その感光アルミドラムに露光装置で任意のパターンで光を当てて感光アルミドラムの電荷を放電し帯電を失わせた後、感光アルミドラムと反対の電荷を帯びたフィラーをフィラー供給装置により供給し接触させると、光をあてなかった帯電部分だけが電荷の引力によりフィラーが吸着される。このゼログラフィーの原理を応用することであらゆるパターンの帯電、すなわちフィラーの吸着分布層であるフィラーから成る層状物を感光アルミドラム上で形成することが可能となる。
【0028】本発明の凹凸フィルムの製造の態様のひとつにおいては、押出されたシート状の溶融物にフィラーから成る層状物を転写し冷却ロールでフィラーを埋め込みフィルム表面層に複合させる。この状態ではフィラーを埋め込まれたフィルムは平滑なフィルムであり、本発明においてはそのフィルムを延伸することで表面層に埋め込んだフィラーを露出させ、フィラー由来による凹凸を発現させ凹凸フィルムを得る事を特徴としている。この延伸加工での延伸量を調整することで、平滑状態から埋め込んだフィラーの最大径(二次凝集体の最大径)まで、表面の凹凸度合いの異なるさまざまな凹凸フィルムを得ることができる。
【0029】又、この凹凸フィルムの製造方法により得られた本発明の凹凸フィルムを、更に延伸加工することにより、表面の凹凸度合いの異なるさまざまな凹凸フィルムを得ることができる。
【0030】図1の拡大図に示すように、本発明の凹凸フィルムの製造方法により得られる凹凸フィルム50は、フィルム表面52に、フィラー54と、延伸により生じた、窪み56、58が存在している。フィルム表面52に埋め込まれたフィラー54の周囲のフィルムを構成する樹脂が、フィルムの矢印方向の延伸により伸ばされて、フィラー54の矢印方向の前後に隙間が生ずることにより、縦長の窪み56が作られる。窪み56はフィラー54を嵌めて保持している。窪み58は、隙間が形成されたあとにフィラーが脱落したものである。凹凸フィルム50の厚さ方向の中央部60にはフィルムの透明性を阻害する要因となるフィラーが存在しない。凹凸フィルム50の裏面部62にもフィルムの透明性を阻害する要因となるフィラーが存在しない。
【0031】mなお、窪みの形状、サイズは、フィラーのサイズや形状、あるいは延伸の倍率や方向により左右される。例えば、本発明において、フィルムの表面層にフィラーが含有されているフィラー含有フィルムを2軸延伸した場合には、窪みの形状は縦横に広がって開口したものとなることが多い。又、フィラーはその窪みの略中央部に位置することが多い。
【0032】このような構成により、本発明の凹凸フィルム50は、フィラーがフィルムの表面部のみに存在しているので、フィルムの透明性が殆ど損なわれない。又、凹凸がフィラーとフィルム表面の窪みとから成るため、光を均一に拡散させる点で優れたフィルムが得られる。又、ブロッキングが生じにくい点で優れたフィルムが得られる。
【0033】本発明を実現する装置として種々の装置が考えられ、以下に装置の構成例をいくつか挙げ更に詳細に説明する。
【0034】本発明における溶融押出によるフィルム成形法の一例を図2に示す。本発明に用いるフィルム製造装置20は、樹脂を溶融、混錬する押出機1とシート状の溶融物14を成形するダイ2、押出されたシート状の溶融物14を冷却しフィルム状に成形する冷却ロール3、冷却されたシートを引き取る巻取機4、冷却ロール3から巻取機までの間を導く送りロール5と、冷却ロールに近接して設けられたフィラー導入装置6により構成される。
【0035】フィラー導入装置構成の一例を図3に示す。フィラー導入装置6(構成例1)が、感光アルミドラム7と、感光アルミドラム7を帯電させる帯電器8と、帯電分布を制御する露光装置9と、正、あるいは負に帯電させたフィラー15を供給するフィラー供給装置10およびシート状の溶融物14に帯電したフィラー15を転写させる転写器11から構成される。
【0036】感光アルミドラム7に帯電器8で正、負いずれかを微帯電させ、一方でフィラー供給装置10内で感光アルミドラム7の帯電と反対の電荷をフィラー15に帯電させる。
【0037】感光アルミドラム7に露光装置9により任意のパターンの光をあて、感光アルミドラム7上に帯電分布を形成する。この分布の形成により、フィルムに転写するフィラー15の量やピッチ、配列パターン等を制御する。
【0038】フィラー供給装置10より帯電したフィラー15を感光アルミドラム7に接触させ、電荷による引力で感光アルミドラム7上にフィラー15を一旦吸着させる。これにより、感光アルミドラム7上にフィラーを層状に集合させてフィラーから成る層状物(パターン層)を感光アルミドラム7上に形成させる。
【0039】また、ダイ2から押出されたシート状の溶融物14を挟んで反対側に設けた転写器11で感光アルミドラムが帯びている電荷より強い電荷をシート状の溶融物14に帯電させる。
【0040】フィラー15のパターン層が形成された感光アルミドラム7は、シート状の溶融物14の移動速度と同調して回転することで、電荷の強いシート状の溶融物14へフィラーから成る層状物(パターン層)を連続的に転写させる。転写されたフィラー15は、シート状の溶融物14と共に冷却ロール3で表面形状を整え冷却、固定され複合が完了する。
【0041】シート状の溶融物14は冷却ロール3の表面22に導入されたとき、この表面22から成る加圧面24により加圧され、転写されたフィラー15がフィルム表面層に押し込まれる。
【0042】押し込みのための加圧は、フィルム即ちシート状の溶融物14が完全に固化する前に行なわれるので、フィラー15をフィルム表面層に押し込むのに要する加圧力は、僅かなものでよい。フィラー15をフィルム表面層に押し込む加圧力は、シート状の溶融物14が引き取られる張力により冷却ロール3の表面22に生ずる加圧力であってもよい。シート状の溶融物14が冷却ロール3の表面22に接触しているときのシート状の溶融物14の自重により生ずるものであってもよい。なお、図3においては、冷却ロール3が、加圧部材26を構成している。シート状の溶融物14に引き取りの張力を生じさせることにより、冷却ロール3の表面22即ち加圧面23が、フィラー15が転写されているフィルム即ちシート状の溶融物14の表面を加圧する。
【0043】フィラー導入装置構成の他の態様を図4に示す。フィラー導入装置6a(構成例2)が、感光アルミドラム7、感光アルミドラム7を帯電させる帯電器8、帯電分布を制御する露光装置9、正、あるいは負に帯電させたフィラー15を供給するフィラー供給装置10より構成され、感光アルミドラム7はシート状の溶融物14に接触する位置に設けられている。図3に示されたフィラー導入装置6に対し、図4に示すフィラー導入装置6aにおいては、フィラー15を転写させる転写器が無く、シート状の溶融物14に接触によりフィラー15を転写する形態となっている。
【0044】図4に示すフィラー導入装置6aに基づいた転写原理を更に詳細に説明する。感光アルミドラム7に正、負いずれかを微帯電させ、電荷による引力で感光アルミドラム7上にフィラー15を吸着させるまでは図3に示されたフィラー導入装置6と同じである。ダイから押出されたシート状の溶融物14に感光アルミドラムに形成したフィラー層を直接接触させることで、シート状の溶融物14にフィラー15を連続的に付着させる。
【0045】付着したフィラー15はシート状の溶融物14と共に冷却ロール3で表面形状を整え冷却、固定され複合が完了する。
【0046】フィラー導入装置構成の更に他の態様を図5に示す。フィラー導入装置6b(構成例3)がフィルム帯電用電極12と正、あるいは負に帯電させたフィラー15を供給するフィラー供給装置10から構成される。図3に示されたフィラー導入装置6に対し、図5に示すフィラー導入装置6bは、感光アルミドラム7を介さずに、帯電させたフィラー15を直接シート状の溶融物14に転写させる形態となっている。
【0047】図5に示すフィラー導入装置6bに基づいた原理を更に詳細に説明する。ダイ2より押出されたシート状の溶融物14に近接した場所に設けたフィルム帯電用電極12に高電圧をかけることで、正、負いずれかの電荷をシート状の溶融物14に帯電させる。樹脂の帯電と反する極性に帯電させたフィラー15を帯電したシート状の溶融物14に近接させる事で、フィラー15を吸着させる。
【0048】吸着されたフィラー層はシート状の溶融物14と共に冷却ロール3で表面形状を整え冷却、固定され複合が完了する。
【0049】フィラー導入装置構成の更に他の態様を図6に示す。フィラー導入装置6c(構成例4)が冷却ロール帯電用電極13と、絶縁冷却ロール17と、正、あるいは負に帯電させたフィラー15を供給するフィラー供給装置10から構成される。図2のフィラー導入装置6に対し、図6に示すフィラー導入装置6cは、感光アルミドラムではなく絶縁処理された絶縁冷却ロール17を介しシート状の溶融物14にフィラー15を埋め込み複合させる形態となっている。
【0050】フィラー導入装置6cに基づいた原理を更に詳細に説明する。絶縁冷却ロール17に近接して設けられた冷却ロール帯電用電極13に高電圧をかけ、正、負いずれかの電荷を絶縁冷却ロール17に帯電させる。絶縁冷却ロール17の帯電と反する極性に帯電させたフィラー15を絶縁冷却ロール17に近接させフィラー15を吸着させる。ダイ2より押出されたシート状の溶融物14は、その絶縁冷却ロール17で表面形状を整え冷却、固定されるがその際に絶縁冷却ロール17上に吸着したフィラー15がシート状の溶融物14に埋め込まれ複合が完了する。
【0051】フィラー導入装置構成の又更に他の態様を図7に示す。フィラー導入装置6d(構成例5)がフィラー15を定量的に送り出すフィーダ16から構成される。図2のフィラー導入装置6に対し、感光アルミドラム7や帯電機能がなくフィーダ16でフィラー15を供給する形態となっている。
【0052】フィラー導入装置6dに基づいた原理を更に詳細に説明する。冷却ロール3とシート状の溶融物14が密着する手前でフィラー供給装置10からフィラー15を定量的に塗布する。シート状の溶融物14は冷却ロール3で表面形状を整え冷却、固定されるが、その際にフィラー15がシート状の溶融物14に埋め込まれ複合が完了する。
【0053】本発明におけるフィルムの製造に用いられる樹脂としては、熱可塑性の樹脂であれば限定されるものではないが、例えば、光学用途の樹脂であれば、ポリカーボネート、透明ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、透明ポリスチレン、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリ−4−メチルペンテン−1、非晶性ポリオレフィン、透明ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、フルオレン系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
【0054】また、熱硬化性樹脂であっても、例えば、ポリイミドのように支持体にキャスティングし、完全に硬化する前に延伸加工を実施する製造工程を持つ樹脂であれば、本発明の方法が適応できる。
【0055】本発明におけるフィルムの製造に用いられるフィラー種としては、重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、微粉末シルカなどが挙げられる。光学用途のフィルムで透明性を確保する場合は、塩基炭酸マグネシウム、シリカ、水和性シルカ、カオリンクレー、群青、微粒子炭酸カルシウムなど、一般の熱可塑性樹脂の屈折率と近似したものを用いる方が透明性を確保し易いので好ましい。また、反射を目的とする場合は、屈折率の差が大きい酸化チタン、チタン酸鉛、酸化ジルコン、酸化アンチモン、硫化亜鉛などを用いるのが好ましい。その粒径は、0.001〜5μmのものが好ましい。
【0056】尚、光学用途のフィルムで透明性を確保する場合は、0.05μm以下のサイズがより好ましく、乱反射を目的とする場合は、0.2μm近辺のサイズを用いるのがより好ましい。これは、0.2μmのサイズが最も光の干渉が生じやすく、また、0.05μmは可視光の波長より短いので光の干渉が減少できるためである。
【0057】フィルムに耐ブロッキング性を付与したい場合は、フィラーのサイズや延伸条件を適切に設定して表面の凹凸のRaを6nm以上にすれば、SURFACEPROPERTY TESTER;HEIDON−14DR(HEIDON製)を用いた摩擦係数の測定で、且つ、測定条件が試験速度を30mm/min、フィード距離を10 mm、荷重を1.96N、測定モードをSINGLE、INCHING無しの条件下で、静摩擦係数、及び動摩擦係数は0.2程度が達成できる。
【0058】サイズの異なるフィラーを混ぜることで、不規則で且つ複雑な凹凸を作り出すことが出来、光沢度(60°、JISK7361−1)を低下させた表面反射防止フィルムを得ることが出来る。
【0059】屈折率の異なるフィラーを組み合わせることで、ヘイズ(JISK7361−1)及び全光線透過率(JISK7361−1)が高い拡散フィルムを得ることが出来る。
【0060】[実施例]
(実施例1)図2に示すフィルム製造装置20により、図3示すフィラー導入装置6(構成例1)を用いて凹凸フィルムを製造した。
【0061】(押出)非晶性樹脂(日本ゼオン製、ゼオノア1600R)を260〜280℃の温度でTダイより押出した。冷却ロールの温度は130℃とし、引き取り速度は30m/分で引き取った。
【0062】(露光)帯電器により感光アルミドラムに負の電荷を帯電させた後、露光装置を用いて、1mm間隔をおいて1mm幅のシマ模様の連続パターンを形成させた。
【0063】(転写)Tダイより押出されたシート状の溶融物に転写器により負の電荷を帯電させた。転写器には、ワイヤー状の電極を用い、空気の絶縁破壊が起きない5〜8KVの負の直流高電圧を印加した。正の電荷を帯電させたフィラー(日本アエロジル社製、アエロジルR972、径、0.02μm)をシマ模様に露光した感光アルミドラムに接触させ吸着させながら、Tダイより押出されたシート状の溶融物に連続的に転写させた。シート状の溶融物と感光アルミドラムとの間隙は、概ね1mmとした。転写されたフィラーは冷却ロールでフィルム状に成形しながら冷却、固化し引き取った。転写されたフィラーは冷却ロールとの密着によりフィルム内表面部に複合されて、フィルムに導入された。フィルムの厚みは、約150μmであった。
【0064】(延伸)フィラーの導入が完了したフィルムを170℃でMD方向に1.5倍に延伸した凹凸フィルム、TD方向に1.5倍に延伸した凹凸フィルム、またMD、TDに1.5倍で同時二軸延伸した凹凸フィルムを得た。各々の厚みは、約100、約103、約65μmであった。また、延伸倍率をMD方向に4.0倍、TD方向に4.0倍に同時二軸延伸し、約10μmの凹凸フィルムを得た。MD方向延伸速度は、延伸倍率1.5倍においては45m/分、延伸倍率4.0倍においては120m/分で行ったが、延伸処理後のフィルムの巻取りにおいてブロッキングによる巻きムラは生じなかった。
【0065】(実施例2)図2に示すフィルム製造装置20により、図4のフィラー導入装置6a(構成例2)を用いて凹凸フィルムを製造した。
【0066】(押出)実施例1と同じ条件で実施した。
【0067】(露光)実施例1と同じ条件で実施した。
【0068】(転写)正の電荷を帯電させたフィラー(日本アエロジル社製、アエロジルR972、径、0.02μm)をシマ模様に露光した感光アルミドラムに接触させ吸着させながら、Tダイより押出されたシート状の溶融物に感光アルミドラムを直接接触させ連続的に転写させた。転写されたフィラーは冷却ロールでフィルム状に成形しながら冷却、固化し引き取った。転写されたフィラーは冷却ロールとの密着によりフィルム内に複合された。フィルムの厚みは、約150μmであった。
【0069】(延伸)実施例1と同じ条件で延伸した。尚、延伸処理後のフィルムの巻取りにおいてブロッキングによる巻きムラは生じなかった。
【0070】(実施例3)図2に示すフィルム製造装置20により、図5に示すフィラー導入装置6b(構成例3)を用いて凹凸フィルムを製造した。
【0071】(押出)実施例1と同じ条件で実施した。
【0072】(転写)ダイより押出されたシート状の溶融物に近接した場所に設けたフィルム帯電用電極に空気の絶縁破壊が起きない5〜8KVの負の直流高電圧を印加し、負の電荷をシート状の溶融物に帯電させた。正の電荷を帯電させたフィラーをフィルム供給装置により押出されたシート状の溶融物に供給し吸着させた。シート状の溶融物とフィルム供給装置の空隙は1mmとした。
【0073】吸着されたフィラー層は、シート状の溶融物と共に冷却ロールでフィルム状に成形しながら冷却、固化し引き取った。転写されたフィラーは冷却ロールとの密着によりフィルム内に複合された。フィルムの厚みは、約150μmであった。
【0074】(延伸)実施例1と同じ条件で延伸した。尚、延伸処理後のフィルムの巻取りにおいてブロッキングによる巻きムラは生じなかった。
【0075】(実施例4)図2に示すフィルム製造装置20により、図6に示すフィラー導入装置6c(構成例4)を用いて凹凸フィルムを製造した。
【0076】(押出)実施例1と同じ条件で実施した。
【0077】(転写)絶縁冷却ロールに3mmの空隙を設け設置した冷却ロール帯電用電極に空気の絶縁破壊が起きない5〜8KVの負の直流高電圧を印加し、負の電荷を絶縁冷却ロール17に帯電させた。尚、絶縁冷却ロールには、樹脂皮膜を有する絶縁仕様のものを用いた。
【0078】正の電荷を帯電させたフィラーをフィルム供給装置により絶縁冷却ロールに供給し吸着させた。尚、絶縁冷却ロールとフィルム供給装置の空隙は1mmとした。
【0079】吸着されたフィラー層は、シート状の溶融物に接触すると共に絶縁冷却ロールでフィルム状に成形しながら冷却、固化し引き取った。転写されたフィラーは絶縁冷却ロールとの密着によりフィルム内に複合された。フィルムの厚みは、約150μmであった。
【0080】(延伸)実施例1と同じ条件で延伸した。尚、延伸処理後のフィルムの巻取りにおいてブロッキングによる巻きムラは生じなかった。
【0081】(実施例5)図2に示すフィルム製造装置20により、図7に示すフィラー導入装置6d(構成例5)を用いて凹凸フィルムを製造した。
【0082】(押出)実施例1と同じ条件で実施した。
【0083】(転写)冷却ロールとシート状の溶融物が密着する手前に設置したフィラー供給装置からフィラーをフィーダにより定量的に供給した。供給されたフィラーはシート状の溶融物と冷却ロールに挟まれフィルム内に埋め込まれ複合された。シート状の溶融物はそのまま、冷却ロールでフィルム状に成形しながら冷却、固化し引き取った。フィルムの厚みは、約150μmであった。
【0084】(延伸)実施例1と同じ条件で延伸した。尚、延伸処理後のフィルムの巻取りではブロッキングによる巻きムラは生じなかった。
【0085】(比較例1)図2に示すフィルム製造装置20により、凹凸フィルムを製造した。
【0086】(押出)実施例1と同じ条件で実施した。
【0087】(転写)ダイより押出されたシート状の溶融物にフィラーを複合せずに冷却ロールでフィルム状に成形しながら冷却、固化し引き取った。フィルムの厚みは、約150μmであった。
【0088】(延伸)実施例1と同じ条件で延伸した。尚、延伸処理後のフィルムの巻取りにおいてブロッキングによる巻きムラが生じ、処理速度を10m/分まで落とし巻き取った。
【0089】(評価)実施例1〜5、および比較例1までの各表面の平坦さを表1に示すが、全ての実施例に於いて未延伸フィルムの三次元算出偏差(Ra)は1.6〜2.0nmで、所々に10nm程度の凹凸がランダムにある表面性を有していた。
【0090】実施例1〜5、および比較例1で得られたフィルムの、延伸後のフィルム表面を同様の測定方法で観察した結果、1.5倍の一軸延伸で三次元算出偏差が2.0〜2.5nmであり、凹凸高さが概ね15nmの均一な凹凸の表面性を有するフィルムが得られていることが確認され、1.5倍の同時二軸延伸では三次元算出偏差が3.0〜3.5nmで、凹凸高さが概ね20nmの均一な凹凸の表面性を有するフィルムが得られていることが確認された。また、4.0倍での同時二軸延伸品では、三次元算出偏差が7.0〜8.0nmであり、凹凸高さが概ね40nmの均一な凹凸の表面性を有するフィルムが得られていることが確認された。更に、実施例1の1.5倍同時二軸品のフィルムについては、凹凸の分布が概ね1.5mmピッチで1.5mm幅のシマ模様で形成されている事が確認された。尚、比較例1については、1.5倍および4.0倍延伸品共に、表面の三次元算出偏差は1.6〜2.0nmで変化が見られなかった。
【0091】
【表1】

【0092】(平坦性の測定方法)三次元算出偏差Ra及び凹凸高さは、三次元構造解析顕微鏡Zygo−NewView5000(Zygo社製)を用いて測定される値で表面の粗さを表す値である。
【0093】(実施例6)表面反射防止フィルムの製造の実施例を示す。 図2に示すフィルム製造装置20により、フィラー導入装置6(構成例1)を用いて表面反射防止フィルム用の凹凸フィルムを製造した。
【0094】(押出)非晶性樹脂(日本ゼオン製、ゼオノア1600R)を260〜280℃の温度でTダイより押出した。冷却ロールの温度は130℃とし、引き取り速度は30m/分で引き取った。
【0095】(露光)帯電器により感光アルミドラムに負の電荷を帯電させた後、露光装置を用いて、不規則なパターンを形成させた。
【0096】(転写)Tダイより押出されたシート状の溶融物に転写器により負の電荷を帯電させた。転写器には、ワイヤー状の電極を用い、空気の絶縁破壊が起きない5〜8KVの負の直流高電圧を印加した。0.007μm(日本アエロジル製、アエロジルRX300)と0.1μm(白石工業製、EDS−D10D)を重量比70対30で混合したフィラーを正の電荷を帯電させ、不規則な模様に露光した感光アルミドラムに接触させ吸着させながら、Tダイより押出されたシート状の溶融物に連続的に転写させた。シート状の溶融物と感光アルミドラムとの間隙は、概ね1mmとした。転写されたフィラーは冷却ロールでフィルム状に成形しながら冷却、固化し引き取った。転写されたフィラーは冷却ロールとの密着によりフィルム内に複合された。フィルムの厚みは約150μmであった。
【0097】(延伸)フィラーの導入が完了したフィルムを延伸処理速度を120m/分、170℃の温度でMD方向に4.0倍、TD方向に4.0倍で同時二軸延伸し厚み約10μmの表面反射防止フィルムを得た。
【0098】(評価)市販品のアンチグレアフィルムで光沢度が30°のものではヘイズが15〜25%程度となるが、本発明の凹凸フィルムからなる表面反射防止フィルムの物性は、光沢度が30°でもヘイズが5%と白っぽさが抑えられていた。
【0099】(実施例7)拡散フィルムの製造の実施例を示す。 図2に示すフィルム製造装置20により、フィラー導入装置6a(構成例2)を用いて拡散フィルム用の凹凸フィルムを製造した。
【0100】(押出)非晶性樹脂(日本ゼオン製、ゼオノア1600R)を260〜280℃の温度でTダイより押出した。冷却ロールの温度は130℃とし、引き取り速度は30m/分で引き取った。
【0101】(露光)帯電器により感光アルミドラムに負の電荷を帯電させた後、露光装置を用いて、不規則なパターンを形成させた。
【0102】(転写)Tダイより押出されたシート状の溶融物に転写器により負の電荷を帯電させた。転写器には、ワイヤー状の電極を用い、空気の絶縁破壊が起きない5〜8KVの負の直流高電圧を印加した。酸化チタン(屈折率2.76)と群青(屈折率1.50)を50対50に混合したフィラーを正の電荷を帯電させ、不規則な模様に露光した感光アルミドラムに接触させ吸着させながら、Tダイより押出されたシート状の溶融物に連続的に転写させた。シート状の溶融物と感光アルミドラムとの空隙は、概ね1mmとした。転写されたフィラーは冷却ロールでフィルム状に成形しながら冷却、固化し引き取った。転写されたフィラーは冷却ロールとの密着によりフィルム内に複合された。フィルムの厚みは約150μmであった。
【0103】(延伸)フィラーの導入が完了したフィルムを延伸処理速度を120m/分、170℃の温度でMD方向に4.0倍、TD方向に4.0倍に同時二軸延伸し厚み約10μmの拡散フィルムを得た。
【0104】(評価)市販品の拡散フィルムでは、全光線透過率、及び拡散透過率が80〜90、及び80〜85%であるが、本発明の凹凸フィルムからなる拡散フィルムも全光線透過率が92%で、拡散透過率が85%の拡散フィルムが得られた。
【0105】(実施例8)偏光子保護フィルムの製造の実施例を示す。 図2に示すフィルム製造装置20により、フィラー導入装置6a(構成例2)を用いて凹凸フィルムを製造した。
【0106】(押出)非晶性樹脂(日本ゼオン製、ゼオノア1600R)を260〜280℃の温度でTダイより押出した。冷却ロールの温度は130℃とし、引き取り速度は30m/分で引き取った。
【0107】(露光)帯電器により感光アルミドラムに負の電荷を帯電させた後、露光装置を用いて、不規則なパターンを形成させた。
【0108】(転写)Tダイより押出されたシート状の溶融物に転写器により負の電荷を帯電させた。転写器には、ワイヤー状の電極を用い、空気の絶縁破壊が起きない5〜8KVの負の直流高電圧を印加した。フィラー(日本アエロジル社製、アエロジルR972、径、0.02μm)を正の電荷を帯電させ、不規則な模様に露光した感光アルミドラムに接触させ吸着させながら、Tダイより押出されたシート状の溶融物に連続的に転写させた。シート状の溶融物と感光アルミドラムとの空隙は、概ね1mmとした。転写されたフィラーは冷却ロールでフィルム状に成形しながら冷却、固化し引き取った。転写されたフィラーは冷却ロールとの密着によりフィルム内に複合された。フィルムの厚みは約150μmであった。
【0109】(延伸)フィラーの導入が完了したフィルムを延伸処理速度を120m/分、170℃の温度でMD方向に1.5倍、TD方向に1.5倍に同時二軸延伸し厚み約65μmの偏光子保護フィルムを得た。尚、延伸処理後のフィルムの巻取りではブロッキングによる巻きムラは生じなかった。
【0110】(評価)得られた偏光子保護フィルムの摩擦係数を測定(HEIDON製:HEIDON−14DR)した。尚、測定条件は試験速度が30mm/min、フィード距離が10 mm、荷重が200gf、測定モードはSINGLE、INCHING無しの条件下で実施し、静摩擦係数、及び動摩擦係数は0.2であった。尚、比較例1のフィルムも同様に摩擦係数を測定した結果、静摩擦係数、及び動摩擦係数は0.96と0.73であった。
【0111】
【発明の効果】本発明では、分散液を返さずにフィルム表面層にフィラー層を形成させるため塗工装置や乾燥炉、溶剤回収等の付帯設備が必要なく、フィラーの塗工もTダイ等から押し出された溶融状態のシートをフィルム状に成形する工程内に導入するため、新たな加工ラインを設ける必要もない。また、同ライン内に組み込むため生産性の低下等の問題も生じにくく、更に、フィルム表面層に直接フィラーを付着させるため少量のフィラーで凹凸成形が効率的に実現できるため、予め樹脂に混錬しておく従来技術に比べフィラーの添加量を大幅に減らすことができる。また、フィラーの添加量を抑えることでフィルムの透明性の低下も防止できる。
【0112】また、本発明の凹凸フィルムは、押出されたシート状の溶融物にフィラーを転写し冷却ロールでフィラーを押え付けフィルム表面層内に埋没させるため、そのままでは平滑なフィルムであり、そのフィルムを延伸することで表面層内に埋没させたフィラーを露出させ、フィラー由来による凹凸を発現させ凹凸フィルムを得る。
【0113】従って、本発明の凹凸フィルムの製造方法により、延伸加工での延伸量を調整することで平滑状態から導入したフィラーの最大径(二次凝集体の最大径)まで、表面の凹凸度合いの異なるさまざまな凹凸フィルムを得ることができる。
【0114】又、本発明の凹凸フィルムの製造方法により得られた凹凸フィルムは、更に延伸加工することにより、表面の凹凸度合いの異なるさまざまな凹凸フィルムを得ることができる。この二次延伸加工の延伸量を調整することで、表面反射防止フィルムに於いては反射性能の、拡散フィルムにおいては拡散性能の微調整が可能である。
【0115】本発明の凹凸フィルムは、フィラーを層状に集合させてフィラーから成る層状物を作り、この層状物を溶融押出されたフィルムの表面に転写してフィラー層とするので、フィルムの表面層に均一にフィラーが含有されている。
【0116】又、本発明により、フィルムの表面層に均一にフィラーが含有されている凹凸フィルムを製造することが出来る。
【0117】更に本発明では、フィラーの導入方法に於いて、ゼログラフィーの原理を応用することで任意の所定のパターンのフィラーの吸着分布、すなわち、任意の凹凸パターンを有する凹凸フィルムの製造が可能である。
【0118】また、本発明の凹凸フィルムからなる表面反射防止フィルム及び拡散フィルムは、フィラーの組み合わせにより従来の特性を上回る性能のフィルムが安価に得られる。
【0119】又、フィラーを接着剤とともにフィルムに塗布しフィルム表面にフィラー層を形成する従来の方法においては、接着剤がフィルムのヘーズや透明性を損なうことや、接着剤に含まれる溶剤等がフィルムに歪をあたえることがあるが、本発明のフィルムは、接着剤を使用しないのでこのようなフィルム欠点は生じない。
【0120】更に、フィラーは、ポリマーが無定形の溶融状態からシート状になってからの成形時に添加するため、溶融状態におけるポリマーの異物除去のためのポリマーのろ過に支障が生じず、また、その異物除去の兼ね合いから添加するフィラーサイズが限定されるような問題は生じない。


 図面の簡単な説明


【図面の簡単な説明】
図1】本発明の凹凸フィルムの形態を示す要部拡大図である。
図2】本発明の凹凸フィルムの製造方法において用いられるフィルム製造装置の要部説明図である。
図3】本発明の凹凸フィルムの製造方法において用いられるフィラー導入装置の要部説明図である。
図4】本発明の凹凸フィルムの製造方法において用いられる、他の態様のフィラー導入装置の要部説明図である。
図5】本発明の凹凸フィルムの製造方法において用いられる、更に他の態様のフィラー導入装置の要部説明図である。
図6】本発明の凹凸フィルムの製造方法において用いられる、又更に他の態様のフィラー導入装置の要部説明図である。
図7】本発明の凹凸フィルムの製造方法において用いられる、更に又他の態様のフィラー導入装置の要部説明図である。
【符号の説明】
1:押出機
2:ダイ
3:冷却ロール
4:巻取機
5:送りロール
6、6a、6b、6c、6d:フィラー導入装置
7:感光アルミドラム
8:帯電器
9:露光装置
10:フィラー供給装置
11:転写器
12:フィルム帯電用電極
13:冷却ロール帯電用電極
14:シート状の溶融物
15:フィラー
16:フィーダ
17:絶縁冷却ロール
20:フィルム製造装置
23:加圧面
26:加圧部材
50:凹凸フィルム
54:フィラー
56,58:窪み
60:中央部


 図面


【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】