書誌情報
要約
特許請求の範囲
発明の詳細な説明
図面の簡単な説明
図面
《表紙》
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2001−112894(P2001−112894A)
(43)【公開日】平成13年4月24日(2001.4.24)
(54)【発明の名称】ゴルフクラブ
(51)【国際特許分類第7版】
A63B 53/04
【FI】
A63B 53/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願平11−298231
(22)【出願日】平成11年10月20日(1999.10.20)
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【住所又は居所】東京都東久留米市前沢3丁目14番16号
(72)【発明者】
【氏名】木村 真人
【住所又は居所】東京都東久留米市前沢3丁目14番16号 ダイワ精工株式会社内
(74)【代理人】
【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外3名)
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002 SS02
(57)【要約】
【課題】打球音を聞き取り易いゴルフクラブを提供する。
【解決手段】本発明のゴルフクラブは、打球音の対数減衰率(δ)が0<δ≦0.02で、音圧レベルの最大値が1000Hz以上6000Hz未満の周波数領域に設定されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 打球音の対数減衰率(δ)が0<δ≦0.02で、音圧レベルの最大値が1000Hz以上6000Hz未満の周波数領域にあるゴルフクラブ。
【請求項2】 打球音の対数減衰率が0.01〜0.02で、音圧レベルの最大値が2000Hz以上5000Hz未満の周波数領域にあるゴルフクラブ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、打球音を聞き取り易いゴルフクラブに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ゴルフクラブに対する要求として、飛距離や方向性に加えて、心地よい打球音が求められている。この場合、打球音の音圧レベルの最大値は、主にヘッドの構造や材料によるところが大きく、メタルウッドで7000Hz、カーボンウッドで3000Hz、パーシモン(木製)で2000Hz程度である。一般的に好まれる打球音は、比較的周波数の高い音であって且つ残響性の高い音であり、これを実現するために、ヘッド内にY字状の共鳴体を配置したゴルフクラブ(特開平10−33724号公報参照)や、6〜8kHzに打球音残響性を高めたゴルフクラブ(特開平10−179817号公報参照)、異なる周波数(4〜6kHz、8〜10kHz)により打球音残響性を高めたゴルフクラブ(特開平10−179818号公報参照)が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のゴルフクラブの打球音は、高音なものが多く迫力感に欠けているため、広いゴルフ場において聞き取り難い音となっている。特に、Y字状の共鳴体を配置したゴルフクラブ(特開平10−33724号公報参照)では、打球音が聞き取り難いため、どこから何時打ち出されたのかを聞き取り難い。また、異なる周波数により打球音残響性を高めたゴルフクラブ(特開平10−179818号公報参照)では、周波数相互の調和により深みのある打球音を発するが、特定の周波数で強調された音では無いため打球音を聞き取り難い。
【0004】本発明は、このような課題を解決するために成されており、その目的は、打球音を聞き取り易いゴルフクラブを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成するために、本発明のゴルフクラブは、打球音の対数減衰率(δ)が0<δ≦0.02で、音圧レベルの最大値が1000Hz以上6000Hz未満の周波数領域にあることを特徴とする。
【0006】また、上記目的を達成するために、本発明のゴルフクラブは、打球音の対数減衰率が0.01〜0.02で、音圧レベルの最大値が2000Hz以上5000Hz未満の周波数領域にあることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に係るゴルフクラブは、アイアンタイプ、ウッドタイプ、そして中空、中実のいずれのクラブも含めたものを想定している。
【0008】山下充康著「音戯話」(コロナ社)の「等ラウドネス曲線」は、人間の聴覚の特性を表したグラフであって、低音から高音に亘って大勢の人が等しい大きさに感じられる音を物理的な音の強さの尺度で整理したグラフである。このグラフによれば、低い音圧レベルで聞き取ることのできる周波数領域(1000Hz以上6000Hz未満)に対して、人間の聴覚は敏感に反応することが見い出されている。
【0009】そこで、本実施形態のゴルフクラブは、打球音に関する対数減衰率と周波数との関係で定義される打球音特性(図1参照)が、図1に示す斜線領域内にあるように形成することを特徴とする(なお、斜線領域以外の領域にある四角で示した点は、従来市販されているゴルフクラブによって得られたものである)。具体的には、ゴルフクラブヘッドは、打球音の対数減衰率が0より大きく、0.02以下で、音圧レベルの最大値が1000Hz以上6000Hz未満の周波数領域(実施例1が該当する領域)、あるいは打球音の対数減衰率が0.01〜0.02で、音圧レベルの最大値が2000Hz以上5000Hz未満の周波数領域(実施例2が該当する領域)となるように形成される。そして、より好ましい実施の形態としては、打球音の対数減衰率が0より大きく、0.02以下で、音圧レベルの最大値が3000Hz以上4000Hz未満の周波数領域に設定するのが良い。
【0010】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例を図1に示す従来例と比較しながら説明する。
【0011】(従来例)図1に示した従来例のゴルフクラブのヘッドは、厚さ3.2mmのα+βチタン合金(Ti−6Al−4V)で形成されたフェース材をα+βチタン合金(Ti−6Al−4V)で形成されたボディ材に止着したものである。このように形成されたヘッドを用いて打球した際に得られる打球音を、後述する測定機で測定したところ、音圧レベル−周波数及び音響パワー−時間に関して、それぞれ図2(a)及び(b)で示すような波形が得られた。この場合、音圧レベルが最大となる周波数は6880Hzであり、対数減衰率(δ)は0.027であった。
【0012】なお、上記した対数減衰率(δ)は、音響パワー−時間に関する測定結果から導き出すことができ、図2(b)に示すように、ある時刻の振幅X1と、それからn周期遅れた時刻の振幅X2とに基づいて、1/n{ln(X1/X2)}なる式から近似的に算出することができる。この場合、X1は、最初の振幅の最大値と最小値の幅、X2は、音響パワーの波形がほぼ収束した時刻の振幅の最大値と最小値の幅、nはX1からX2までの周期の数を示しており、それぞれの値は、n=44,X1=40.0,X2=12.0であった。
【0013】(実施例1)図1に示した実施例1のゴルフクラブのヘッドは、容積290ml、厚さ2.5mmでβチタン合金(Ti−15Mo−5Zr−3Al)で形成されたフェース材をβチタン合金(Ti−15V−3Cr−3Al−3Sn)で形成された中空状のボディ材(肉厚1.2mm)に止着してヘッド内部に充填材料を入れず中空のまま形成したメタルウッドである。このように形成されたヘッドを用いて打球した際に得られる打球音を測定したところ、音圧レベル−周波数及び音響パワー−時間に関して、それぞれ図3(a)および(b)で示すような波形が得られた。この場合、音圧レベルが最大となる周波数は3264Hzであり、対数減衰率(δ)は0.003であった。
【0014】なお、上記した対数減衰率(δ)は、図3(b)に示す波形から上記した従来例と同様に導き出され、それぞれの値は、n=79,X1=39.7,X2=32.5であった。
【0015】(実施例2)図1に示した実施例2のゴルフクラブのヘッドは、容積306ml、厚さ2.6mmでβチタン合金(Ti−15Mo−5Zr−4Al−4V)で形成されたフェース材をα+βチタン合金(Ti−6Al−4V)で形成された中空状のボディ材(肉厚0.8〜1.5mm)に止着してヘッド内部に0.05gの液状ポリマーを入れて中空のまま形成したメタルウッドである。このように形成されたヘッドを用いて打球した際に得られる打球音を測定したところ、音圧レベル−周波数及び音響パワー−時間に関して、それぞれ図4(a)及び(b)で示すような波形が得られた。この場合、周波数の最大値(音圧レベルが最大となる周波数)は3998Hzであり、対数減衰率(δ)は0.013であった。
【0016】なお、上記した対数減衰率(δ)は、図3(b)に示す波形から上記した従来例と同様に導き出され、それぞれの値は、n=115,X1=38.2,X2=8.4であった。
【0017】(測定方法)上述した音圧レベル−周波数、及び音響パワー−時間に関する測定は、図5に示す打球音検出システムを利用して行なった。このシステムでは、ゴルフロボット2(ミヤマエ社製)にセットしたゴルフクラブ4をスイングしてボール(ツーピースボール)6をヒットした際の打球音を検出する。打球音は、マイクロホン8(横河・ヒューレット・パッカード社製、35220A)を介してダイナミックシグナルアナライザ10(横河・ヒューレット・パッカード社製、35670A)に取り込まれ、そこで上述したような打球音の対数減衰率及び音圧レベルの最大値が計測される。
【0018】上述した実施例1及び2の特性を有するゴルフクラブヘッドによれば、その打球音は、人間の聴覚が敏感に反応する周波数領域に音圧レベルの最大値があり、かつ響き渡るようになり、ある程度離れた位置からでも、従来のゴルフクラブと比較して聞き取りやすい音となった。
【0019】なお、本発明は、ゴルフクラブヘッドによる打球音が、図1に示した打球特性表の斜線の領域内となるように形成されていれば良い。具体的にこのような領域に設定するために、ヘッドに用いる材料としては、例えばTi−15Mo−5Zr−4Al−4Vのようなβチタン合金や、α+βチタン合金など、種々のチタン合金を選択することが可能であるが、少なくともフェース材料については、その弾性率が110,000Mpa以下で、その引張強度が1,100Mpa以上のβチタン合金を用いることが好ましい。このように、βチタン合金を用いることによって、強度をアップさせることができるため、フェースの厚さを3mm以下に薄肉化することが可能となり、その結果、図1の斜線領域にあるような聞き取り易い打球音を発生させることができる。
【0020】また、ヘッドを中空構造とすることで、振動が抑制されることがなくなり、対数減衰率を小さくすることができる。なお、ヘッドを中空にすると、ヘッド内部に溶接屑、切削屑等が発生し、音鳴りの原因となる。これを防ぐ手段としてヘッド内部に粘稠な液状ポリマー(例えばポリブデン)を打球特性に影響を与えない量(例えば3g以下)入れておくことが好ましい。
【0021】以上のように、ゴルフクラブヘッドを、上述したような周波数領域および上述した範囲の対数減衰率に設定することによって、打球音が聞き取り易いゴルフクラブを実現することが可能となり、その結果、広いゴルフ場においても打球音の聞き取りが容易になり、例えば危険球を打球した場合でも周囲のプレーヤへの事故を未然に防止することができる。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、打球音を聞き取り易いゴルフクラブを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゴルフクラブの打球音特性を周波数と対数減衰率の関係で示した表。
【図2】従来のゴルフクラブによる打球音の特性を示す波形であり、(a)は音圧レベルと周波数の関係、(b)は音響パワーと時間の関係を示す波形。
【図3】本発明の第1実施例による打球音の特性を示す波形であり、(a)は音圧レベルと周波数の関係、(b)は音響パワーと時間の関係を示す波形。
【図4】本発明の第2実施例による打球音の特性を示す波形であり、(a)は音圧レベルと周波数の関係、(b)は音響パワーと時間の関係を示す波形。
【図5】打球音検出システムの構成を示す図。