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書誌情報 要約 特許請求の範囲 発明の詳細な説明 図面の簡単な説明 図面

 書誌情報


《表紙》

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平10−84776
(43)【公開日】平成10年(1998)4月7日
(54)【発明の名称】果菜類育成装置
(51)【国際特許分類第6版】
A01G 7/00 601
G10K 15/04 302
【FI】

A01G 7/00 601 Z
G10K 15/04 302 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】FD
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願平8−267897
(22)【出願日】平成8年(1996)9月18日
(71)【出願人】
【識別番号】593112632
【氏名又は名称】福原 博篤
【住所又は居所】東京都武蔵村山市大南1−68−17
(71)【出願人】
【識別番号】396021221
【氏名又は名称】菅谷 全男
【住所又は居所】茨城県行方郡麻生町四鹿537番地
(72)【発明者】
【氏名】福原 博篤
【住所又は居所】東京都武蔵村山市大南1丁目68番地の17
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 恵基


 要約


(57)【要約】
【課題】本発明はゆらぎ音を用いて良好な果菜類を育成するものである。
【解決手段】果菜類の株に1/fゆらぎ雑音を含むゆらぎ音を聞かせることにより、当該果菜類の株の育成活動を活発化させ、その結果栽培者が所望の果菜類を収穫することができる。



 特許請求の範囲


【特許請求の範囲】
【請求項1】室内の植床に定植した果菜類の株に日光を照射できると共に、上記室内の空間を外気から囲い込むことにより、当該室内の音環境を制御できるようにした果菜類育成室と、
1/fゆらぎ雑音を含むゆらぎ音信号を発生する環境音信号発生手段と、
上記ゆらぎ音信号をゆらぎ音に変換して上記室内の空間に放音することにより、上記果菜類の株に上記ゆらぎ音を聞かせるゆらぎ音発生手段とを具えることを特徴とする果菜類育成装置。
【請求項2】上記環境音信号発生装置は1/fゆらぎ雑音を表す第1の音信号を上記ゆらぎ音信号として発生することを特徴とする請求項1に記載の果菜類育成装置。
【請求項3】上記環境音信号発生装置は、1/fゆらぎ雑音を表す第1の音信号と、有意音を表す第2の音信号との合成信号を上記ゆらぎ音信号として発生することを特徴とする請求項1に記載の果菜類育成装置。


 発明の詳細な説明


【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は果菜類育成装置に関し、例えばメロンのように花を咲かせて結実するような果菜類において、苗からメロンが仕上がるまでの育成過程において株の樹勢を一段と活発にさせることができるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】従来、音刺激によつて人が生理的ないし心理的な反応を示すことを利用して、音空間に自然界に多く含まれているゆらぎ雑音を与えるようにすることにより、人の生理的ないし心理的緊張の緩和度を制御する音環境制御方法が提案されている(特開平2-134164号) 。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この音環境制御方法は、人の生体としての特性を利用したものであるから、生体に類する果菜類が苗から交配ができるまでに成長した後メロンが結実するに至る生育過程における生体的な活動をコントロールする手段として有効であると考えられる。本発明は以上の点を考慮してなされたもので、果菜類の育成過程における音環境を制御することにより、一段と良質な実を結実させることができる果菜類育成装置を提案しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するため本発明においては、室内の植床に定植した果菜類の株4に日光を照射できると共に、室内の空間を外気から囲い込むことにより当該室内の音環境を制御できるようにした果菜類育成室2と、1/fゆらぎ雑音を含むゆらぎ音信号S1を発生する環境音信号発生手段と、ゆらぎ音信号S1をゆらぎ音に変換して室内の空間に放音することにより、果菜類の株4にゆらぎ音を聞かせるゆらぎ音発生手段5A、5Bとを設けるようにする。
【0005】果菜類育成室2の室内に設けられた植床に定植された果菜類の株4を、1/fゆらぎ雑音を含むゆらぎ音を聞かせながら育成させたところ、定植から交配までの育成期間において樹勢が強く、水の吸い上げが強く、大き目の花が開花することが観察でき、また交配から実の仕上がりまでの育成期間の間に良好な実が育成して行くことを観察できた。
【0006】
【発明の実施の形態】以下図面について、本発明をメロンの栽培に適用した実施例として詳述する。
【0007】図1及び図2において、1は全体として果菜類育成装置を示し、果菜類育成室としてのビニールハウス2内に、その長手方向に沿う方向に2列の植床3A及び3Bを設け、各植床3A及び3Bに所定の定植間隔XA及びXBを保つように果菜類としてのメロンの株4を定植している。かくして植床3A及び3Bに定植されたメロンの株4には、ビニールハウス2の幕を透過した日光が照射することにより、室内の空気及び植床の土の湿度及び温度を所定の値に制御しながらメロンの株4を育成させる。
【0008】この実施例の場合、一方の植床3Aの定植間隔XAはXA=50〔cm〕に選定されているのに対して、他方の植床3Bの定植間隔XBはXB=70〔cm〕に選定され、これにより日照時間が比較的長い植床3Bにおけるメロンの株4を大きく成育させることができるようになされている。植床3A及び3Bの上方にはそれぞれ複数のスピーカ5A及び5Bが設けられ、環境音信号発生装置6から発生されたゆらぎ音信号をスピーカ5A及び5Bに供給することにより、メロンの株4に対して、当該メロンの株の育成活動を活発にするようなゆらぎ音を環境音としてスピーカ5A及び5Bから放音させる。
【0009】この実施例の場合、スピーカ5A及び5Bから発生されるゆらぎ音を植床3A及び3Bの全体に亘つてできるだけ均一な音量の環境音を伝達させるために、スピーカ5A及び5Bとして図4に示すような無指性のものを用いると共に、図2に示すように、複数のスピーカ5Aを一方の植床3Aの真上に一列かつ等間隔に配列させると共に、他方の植床3Bの真上に複数のスピーカ5Bを隣合うスピーカ5Aの中間位置に位置するように、一列かつ等間隔に配列させている。ビニールハウス2は、高さ3〔m〕、長さ52〔m〕及び幅 5.4〔m〕に建てられていると共に、スピーカ5A及び5Bの各列のスピーカ間隔YA及びYBはYA=YB=5〔m〕に選定されている。
【0010】環境音信号発生装置6は、図3に示すように、例えばコンパクトデイスク(CD)記録再生装置でなるゆらぎ音信号発生部11から再生したゆらぎ音信号S1を、分配回路12においてスピーカ5A及び5Bに分配する。ゆらぎ音信号発生部11の記録媒体であるコンパクトデイスクには、図5において曲線K1によつて示すように、周波数fが増大して行くにしたがつてエネルギーが単調に低下して行くような周波数スペクトラム成分を有する1/fゆらぎ雑音(自然の音例えば波の音)と、有意音(例えばクラツシツク楽音)とを所定の比率で混合してなるゆらぎ音が記録され、これにより1/fゆらぎ雑音とクラツシツク楽音とを所定の音量比率で含むゆらぎ音がスピーカ5A及び5Bから放音され、このゆらぎ音を生体としてのメロンの株4に聞かせるような果菜類育成用の音環境をビニールハウス2内の空間に形成する。
【0011】実際上、ビニールハウス2内の空間のゆらぎ音の音レベルと、ビニールハウス2の外の外音の音レベルとの差が15〔dB〕以上あれば、ビニールハウス2内の空間に、有効な果菜類育成用の音環境を形成でき、この実施例の場合、外音の音レベルが45〜48〔dB〕であるのに対して、ビニールハウス2内の音レベルを62〜63〔dB〕に選定した。
【0012】以上の構成において、ビニールハウス2内の植床3A及び3B上に植えられたメロンの株4には、スピーカ列5A及び5Bから、ゆらぎ音信号発生部11から送出されるゆらぎ音信号S1に基づくゆらぎ音がほぼ一様に放音され、その結果メロンの各育成過程において、木、葉、実が、生体に心地よい自然音の音環境において育成活動をすることができる。
【0013】因に実験によれば、環境音の周波数ゆらぎ特性分布は図6に示すようになり、自然音の環境において採集したサンプルデータSP1は1/fゆらぎ雑音曲線K1の周囲に数多く集まり、かくして1/fゆらぎ雑音曲線K1の周囲に自然音に基づく生体に心地よい音環境が存在することが確かめられている。これに対してサンプルSP2で示すような例えば都市雑音の様な人工音環境のサンプルの多くは、白色雑音を表す1/f0 特性曲線K0の周囲に集まる傾向がある。
【0014】また自然音環境のサンプルSP1でも、1/f2 ゆらぎ雑音曲線K2に近い自然音は、心地良さよりは単調さを感じさせるようになる。以上の構成の果菜類育成装置1によつてメロンを栽培したところ、メロンの株4にメロンが仕上がるまでの育成過程において、メロンの株4がゆらぎ音を聞かせない場合と比較して明らかに活発な育成活動していると思われる挙動をすることを観察し得た。
【0015】メロンの育成過程は、図7に示すように、交配日を基準にして、ほぼ30日前にメロンの株4の苗を植床3A及び3Bに定植し、環境音信号発生装置6からゆらぎ音信号S1を送出することによりスピーカ5A及び5Bから1/fゆらぎ雑音を含むゆらぎ音をビニールハウス2内の空間に放音する。ゆらぎ音の放音時間は、特にメロンの株4が活発に光合成活動をする時間(午前7時〜11時の間)に選定した。
【0016】この状態においてビニールハウス2内のメロンの株4を観察したところ、交配日前約30日に苗を定植して地温18〔℃〕で苗の育成を待ち、交配日前20日に株4の株元を立てた状態で、蔓先を揃えながら、添木に各株の蔓を誘引し、交配前5日になるまでの間に地上高さ50〔cm〕程度に結果枝を残すように枝を整えながら、株4の育成を待つ。
【0017】このように誘引し始めてから結果枝を決定するまでの間において、メロンの株4は、交配前15日頃において、ゆらぎ音を聞かせない場合と比較して(1)『樹勢が強い草姿を維持しながら、成長点が勢い良く伸びて行く』様子が観察でき、この間においてメロンの葉はゆらぎ音を聞かせない場合と比較して数十〔%〕程度大きく、厚く、しかも光合成しやすいように立つような草姿になつたことが観察できた。
【0018】その後特に、交配前10日頃になると、図8に示すように、葉20の周辺部にカルシウムが析出することにより生じた白い紋様21が観察できたと同時に、葉の表面に無数の水滴22が葉の内側からしみ出てきた様子を観察できた。このような白い紋様21及び水滴22が葉20に生じたことは、メロンの株4の樹勢が強いために、(2)『カルシウムの吸収が良くしかも水の吸い上げが大きい』ことを、意味している。このように樹勢が強いにもかかわらず良好な花芽が結果枝につく様子が観察でき、結局交配時には、ゆらぎ音を聞かせなかつた場合と比較して(3)『開花した花が大きめである』ことが観察できた。
【0019】交配後には、花の花弁を除去して着花完了させると共に、潅水を調整することによりメロンの実の育成期に入り、交配後5日頃に摘果をした後、交配後10日頃に玉吊りすると、交配後15日頃からメロンの実の周囲にネツトが付きはじめ、交配後30日頃から仕上げ期に入る。かくして交配後45日目には、メロンについて、(4)『ネツトの盛り上がりが良好』で、(5)『丸い果形のものが多く』、(6)『糖度が15〔度〕程度のメロンが育成したことを観察できた。
【0020】その後最終的に交配後55日ないし60日(日照時間に応じて)でメロンを収穫したが、(7)『その時の糖度は18〔度〕である』ことが確認できた。因にゆらぎ音を聞かせない場合、収穫時のメロンの糖度は、通常16〔度〕程度であるのと比較すると一段と高い糖度をもつメロンが収穫できたことになる。この観察結果以外にも、ゆらぎ音を聞かせたことにより、メロンの株4が、聞かせない場合と比較して、定植から収穫に至るまでの間に、活発な育成活動をしていると判断できるような現象が生じている。
【0021】すなわち第1に、(8)『殺虫剤の点からみると、定植から収穫までの間に殺虫剤の散布(あぶら虫対策)は1回』で済んだ。この点について、一般に木が弱つてくると虫がつくので、殺虫剤の散布は1回では済まないことが多いが、ゆらぎ音を聞かせることにより木が強く育成したので、殺虫剤の散布が1回で済んだと考えられる。また第2に、肥料の点からみると、(9)『ゆらぎ音を聞かせない場合には1株に1個のメロンをつけるために必要な肥料の量と同じ量の肥料を施すことによつて、1株に4個のメロンをつかせることができると共に、丸みの良好なメロンを収穫できた。』
【0022】第3に、(10)『全体として各株の根がよく張つている』状態が観察でき、この点からも各株の育成が活発であつたと考えられる。以上の実施例によれば、生体としてのメロンの株4が、自然環境音に含まれるゆらぎ音の音環境内において、活発な育成活動をした結果、強い木に育成したことにより、糖度及び球形の点において良好なメロンを栽培することができた。なお上述の実施例においては、ゆらぎ音として、1/fゆらぎ雑音に有意音としてのクラツシツク楽音を合成した音を用いたが、有意音を省略するようにしても上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0023】また上述の実施例においては、メロンの株4にゆらぎ音を聞かせる時間を、光合成が最も活発な時間、すなわち午前7時〜午前11時までの間に選定したが、当該ゆらぎ音を聞かせる時間を長くして、例えば1日にしても、収穫結果に悪影響はでなかつた。また上述の実施例においては、本発明をメロンの栽培に適用したが、一般に花を咲かせて結実するようなその他の果菜類を栽培する場合に広く適用できる。
【0024】さらに上述の実施例においては、ゆらぎ音発生手段として、ビニールハウス2の内部に設けた環境音信号発生装置6から得られるゆらぎ音信号S1を、ビニールハウス2内に植床3A及び3Bの真上に配列した複数のスピーカ5A及び5Bにおいてゆらぎ音に変換してビニールハウス2内の空間に放音するようにしたが、スピーカ5A及び5Bを1つのスピーカに置き換えたり、ビニールハウス2の外部で形成したゆらぎ音をビニールハウス2内に音道を介して導入するようにしても、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0025】
【発明の効果】上述のように本発明によれば、株の定植から交配を経て実を仕上げるまでの間に、1/f雑音を含むゆらぎ音を聞かせて育成活動を活発にするようにしたことにより、栽培者にとつて良好な果菜類を育成できるような果菜類育成装置を実現し得る。


 図面の簡単な説明


【図面の簡単な説明】
図1】本発明による果菜類育成装置を示す縦断面図である。
図2図1の果菜類育成装置の横断面図である。
図3図1の環境音信号発生装置の詳細構成を示す略線的系統図である。
図4図3のスピーカを示す正面図である。
図5】ゆらぎ雑音の説明に供する特性曲線図である。
図6】環境音の周波数ゆらぎ特性分布を示す特性曲線図である。
図7】実験による観察結果を示す略線図である。
図8】育成途中における葉の育成状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1……果菜類育成装置、2……ビニールハウス、3A、3B……植床、4……メロンの株、5A、5B……スピーカ、6……環境音信号発生装置、11……ゆらぎ音信号発生部、12……分配回路、20……葉、21……白い紋様、22……水滴。


 図面


【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図8】

【図7】