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書誌情報 要約 特許請求の範囲 発明の詳細な説明 図面の簡単な説明 図面

 書誌情報


《表紙》

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平10−51516
(43)【公開日】平成10年(1998)2月20日
(54)【発明の名称】呼出し音生成装置
(51)【国際特許分類第6版】
H04M 1/00
G08B 3/10
23/00 520
H04M 1/64
【FI】

H04M 1/00 B
G08B 3/10
23/00 520 D
H04M 1/64 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願平8−201868
(22)【出願日】平成8年(1996)7月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町1丁目3番18号
(72)【発明者】
【氏名】寺田 博文
【住所又は居所】兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内
(72)【発明者】
【氏名】高橋 哲也
【住所又は居所】兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内
(72)【発明者】
【氏名】西元 善郎
【住所又は居所】兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】本庄 武男


 要約


(57)【要約】
【課題】例えば携帯電話等より発せられる呼出し音の識別の容易さは,周辺の環境に大きく左右され,着信を容易に識別しようとして音量をあげると,周辺に迷惑を与え,逆に周辺環境を考慮して音量をさげると,着信の識別が難しくなるなど,従来の呼出し音では,周辺環境の変化に対応できなかった。
【解決手段】本発明は,呼出し信号の周波数特性等を周辺環境に適応して変化させるフィルタ4を備えて,周辺環境に関わらず,容易に識別でき,また聞き心地のよいように調節できる呼出し音を生成することのできる呼出し音生成装置を提供することを目的としたものである。



 特許請求の範囲


【特許請求の範囲】
【請求項1】着信信号を検出した時,所定の源音信号に所定の処理を施して得た呼出し信号を連続的若しくは断続的にスピーカに入力して呼出し音を生成する呼出し音生成装置において,着信信号を検出した時,その場の環境音を検出し,上記環境音に応じた処理を上記源音に施して環境音に応じた呼出し信号を作成することにより,上記呼出し音を上記環境音に応じて変化させるようにしたことを特徴とする呼出し音生成装置。
【請求項2】上記源音信号から上記呼出し信号を生成するスピーカの駆動源と上記スピーカとの間に設けられ,適用されるフィルタ係数が変更可能のフィルタを具備し,上記環境音に応じた処理が,該フィルタのフィルタ係数を環境音に応じて変更させる処理である請求項1記載の呼出し音生成装置。
【請求項3】各々異なった周波数特性を発揮する複数のフィルタ係数を予め格納しておくためのフィルタ係数格納手段と,上記フィルタ係数格納手段に格納されたフィルタ係数のうちから,上記環境音に応じて上記フィルタに適用するフィルタ係数を選択するフィルタ係数選択手段とを備えてなる請求項2記載の呼出し音生成装置。
【請求項4】上記着信信号の検出直後に上記呼出し音声装置周辺の環境音信号を入力するための環境音入力手段と,上記環境音入力手段により入力された環境音信号の周波数解析を行い,上記環境音の周波数特性に対応した環境音フィルタ係数を演算する環境音フィルタ係数演算手段とを備え,上記環境音フィルタ係数演算手段により演算された環境音フィルタ係数を上記フィルタに適用する請求項3記載の呼出し音生成装置。
【請求項5】上記源音信号が予め設定された周波数特性をもつ信号である請求項1,2,3,若しくは4のいづれかに記載の呼出し音生成装置。
【請求項6】上記源音信号の周波数特性がホワイトノイズ若しくはピンクノイズに対応するものである請求項5記載の呼出し音生成装置。
【請求項7】着信信号を検出した時,所定の源音信号に所定の処理を施して得た呼出し信号を連続的若しくは断続的にスピーカに入力して呼出し音を生成する呼出し音生成装置において,上記源音信号の周波数特性を変化させて呼出し信号を作成し,上記スピーカに出力するフィルタと,予め上記呼出し音生成装置の使用者の音声信号を登録しておくための音声信号登録手段と,上記音声信号登録手段に登録された音声信号の周波数解析を行い,該周波数解析に基づいて上記フィルタのフィルタ係数を決定するフィルタ係数決定手段とを具備してなることを特徴とする呼出し音生成装置。
【請求項8】上記源音信号が予め設定された周波数特性をもつ信号である請求項7記載の呼出し音生成装置。
【請求項9】上記源音信号の周波数特性がホワイトノイズ若しくはピンクノイズに対応するものである請求項5記載の呼出し音生成装置。
【請求項10】着信信号を検出した時,所定の源音信号に所定の処理を施して得た呼出し信号を連続的若しくは断続的にスピーカに入力して呼出し音を生成する呼出し音生成装置において,上記着信信号の検出直後に,周辺の環境を入力するための環境音入力手段と,上記環境音入力手段により入力された環境音の周波数解析を行い,該周波数解析により得られた環境音の周波数特性及び/若しくは環境音の音量レベルに基づいて上記呼出し音の音量を変更する音量変更手段とを具備してなることを特徴とする呼出し音生成装置。


 発明の詳細な説明


【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は呼出し音生成装置に係り,詳しくは,雑音等のために呼出し音の識別が困難な周辺環境においても,該周辺環境に適応して呼出し音の周波数特性等を変更し,該呼出し音の識別性を向上させる呼出し音生成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年,利用者が急速に増大している携帯電話が,室内で用いられることを予定しいる従来の定置型の電話と異なる点の1つは,着信を受ける場所が不特定であるという点である。即ち携帯電話の場合,着信を受ける場所が一定しないので,着信時の周辺環境に応じて呼出し音の聞き取りやすさが極端に変化するという点である。また,携帯電話から発せられる呼出し音を聞く人も不特定であり,呼出し音が周辺の迷惑となる場合も考えられる。このように,呼出し音の種類をどのように定めるかは,周辺の環境との関係を無視することができない。例えば,下記の(1)〜(4)は,既存の携帯電話に用いられる呼出し音を大別したものである。
(1)音楽を呼出し音として利用する。
(2)純音(単一の周波数のみを有する音)を呼出し音とする。
(3)倍音(基本波とその高調波から構成される音)を呼出し音とする。
(4)純音若しくは倍音を断続的に発信し,これを呼出し音とする。
尚,上記した(1)〜(4)の呼出し音を使用者が任意に選択できる場合もある。
【0003】上記した(1)〜(4)の呼出し音は,(1m)〜(4m)の点で優れている。
(1m)使用者及びその使用者を取り巻く環境に対して,迷惑でない音により着信を伝えることができる。
(2m)純音は音の通りが良いため,使用者にとって着信が伝わりやすい。
(3m)純音を多少心地よくすることができる。
(4m)呼出し音の周波数特性を変化させることなく,単に純音若しくは倍音を利用するより伝わりやすさが向上する。
このように,(1)〜(4)の呼出し音の何れもが,信号の特性に応じた利点を有している。その反面,(1d)〜(4d)に下記するような欠点も有している。
(1d)聞き心地はよいが,それだけ着信が伝わりにくい。
(2d)純音は,人間の聴覚にとって方向感知が難しいため,使用者の周辺の環境に迷惑になりやすい。例えば,新幹線の中で,1台の携帯電話が鳴り出すと,大勢の乗客が一斉に各人の携帯電話を取り出してしまうという事例がある。
(3d)純音に較べて,着信が伝わりにくい。
(4d)断続的であるが故に,使用者は着信を気づきやすいが,それだけ使用環境に対して迷惑となりやすい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記したように従来の呼出し音は,一長一短を有しており,使用環境の変化に対応できない。周辺環境が変化しても,よく聞こえる,周辺の迷惑にならない,聞き心地がよいといった一般的な呼出し音に求められる条件を満足するためには,下記の(A1)〜(A5)の要件を周辺環境の変化に応じて満たすことが必要となる。
(A1)環境音との識別が行い易いこと。
(A2)使用者若しくは,特定の人にのみ聞き取り易い呼出し音であること。
(A3)他人の迷惑にならないよう,音量が最小限であること。
(A4)方向識別性がよい音であること。
(A5)聞き心地のよさには,個人差があり,ある個人においても健康状態等により変化するものであるから,呼出し音が調整可能であること。
本発明は,このような従来技術における課題を解決するために,呼出し音生成装置を改良し,周辺環境に適応して呼出し音の周波数特性等を変化させて,周辺環境に関わらず,着信を容易に知らせる呼出し音を生成することのできる呼出し音生成装置を提供することを目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために第1の発明は,着信信号を検出した時,所定の源音信号に所定の処理を施して得た呼出し信号を連続的若しくは断続的にスピーカに入力して呼出し音を生成する呼出し音生成装置において,着信信号を検出した時,その場の環境音を検出し,上記環境音に応じた処理を上記源音に施して環境音に応じた呼出し信号を作成することにより,上記呼出し音を上記環境音に応じて変化させるようにしたことを特徴とする呼出し音生成装置として構成されている。このため,騒音等により従来の呼出し音では識別しにくいような使用環境においても,該使用環境に応じて呼出し音を変更して,使用者に確実に着信を知らせることができる。
【0006】呼出し信号作成の手法として,上記源音信号から上記呼出し信号を生成するスピーカの駆動源と上記スピーカとの間に,適用されるフィルタ係数が変更可能であるフィルタを設けて,上記環境音に応じた処理を,該フィルタのフィルタ係数を環境音に応じて変更させる処理にすることができる。また使用者にとって,呼出し音の認識が確実となるので,呼出し音の音量を小さくすることができ,周囲の人に迷惑とならず,且つ省力化を図ることができる。さらに,上記第1の発明に係る呼出し音生成装置における使用環境に応じた呼出し信号を作成する処理を,各々異なった周波数特性を発揮する複数のフィルタ係数を予め格納しておくためのフィルタ係数格納手段と,上記フィルタ係数格納手段に格納されたフィルタ係数のうちから,上記環境音に基づいて上記フィルタに適用するフィルタ係数を選択するフィルタ係数選択手段により行えば,所望の周波数特性を有した呼出し信号を,使用環境に自動的に適応して選択することができる。
【0007】さらに,上記第1の発明に係る呼出し音生成装置に,上記着信信号の検出直後に上記呼出し音声装置周辺の環境音を入力するための環境音入力手段と,上記環境音入力手段により入力された環境音信号の周波数解析を行い,上記環境音の周波数特性に対応した環境音フィルタ係数を演算する環境音フィルタ係数演算手段とを備え,上記環境音フィルタ係数演算手段により演算された環境音フィルタ係数を上記フィルタに適用するようにすれば,着信時点での周辺環境に応じて呼出し音の周波数特性を変更して,従来より識別性の高い呼出し音を生成することができる。また,上記第1の発明に係る呼出し信号生成装置の上記源音信号が,予め設定された周波数特性をもつ信号である場合,使用者の好み等に応じて,呼出し音を生成することができる。さらに,上記源音信号の周波数特性がホワイトノイズ若しくはピンクノイズに対応するものである場合,使用者は容易に呼出し音が発せられた場所を認識することができる。これは,上記ホワイトノイズ若しくはピンクノイズが,人間の聴覚にとって方向識別性の高い信号であるためである。
【0008】また第2の発明は,着信信号を検出した時,所定の源音信号に所定の処理を施して得た呼出し信号を連続的若しくは断続的にスピーカに入力して呼出し音を生成する呼出し音生成装置において,上記源音信号の周波数特性を変化させて呼出し信号を作成し,上記スピーカに出力するフィルタと,予め上記呼出し音生成装置の使用者の音声信号を登録しておくための音声信号登録手段と,上記音声信号登録手段に登録された音声信号の周波数解析を行い,該周波数解析に基づいて上記フィルタのフィルタ係数を決定するフィルタ係数決定手段とを具備してなることを特徴とする呼出し音生成装置として構成されている。この構成により,使用者が最も頻繁に聞いている,自分自身の音声と類似した周波数特性を有する呼出し音を生成して,その使用者にとって,より呼出し音の認識を容易にすることができる。従って,呼出し音の音量を小さくすることができ,周囲の迷惑を回避し,且つ省力化を図ることができる。さらに,第2の発明に係る呼出し音生成装置の上記源音信号が予め設定された周波数特性をもつ信号である場合,使用者の好みに応じた音質の呼出し音を作ることができ,自分自身にとっての判別が容易となる。さらに,上記源音信号の周波数特性がホワイトノイズ若しくはピンクノイズに対応するものである場合,呼出し音の方向識別性が高まり,より使用者にとって認識しやすい呼出し音を生成することができる。
【0009】また,第3の発明に係る呼出し音生成装置は,着信信号を検出した時,所定の源音信号に所定の処理を施して得た呼出し信号を連続的若しくは断続的にスピーカに入力して呼出し音を生成する呼出し音生成装置において,上記着信信号の検出直後に,周辺の環境を入力するための環境音入力手段と,上記環境音入力手段により入力された環境音の周波数解析を行い,該周波数解析により得られた環境音の周波数特性及び/若しくは環境音の音量レベルに基づいて上記呼出し音の音量を変更する音量変更手段とを具備してなることを特徴とする呼出し音生成装置として構成されている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下添付図面を参照して,本発明の実施の形態につき説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化したものであって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。ここに,図1は第1の発明の一実施の形態に係る呼出し音生成装置C0の概略構成を示すブロック図,図2は第2の発明の一実施の形態に係る呼出し音生成装置C1の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように,第1の発明の一実施の形態に係る呼出し音生成装置C0は,携帯電話Aの呼出し音生成に利用され,携帯電話A周辺の環境音の周波数解析を行い,該周波数解析に基づいた環境音フィルタ係数を演算する環境音フィルタ係数演算部1,各々異なった周波数特性を発揮する複数のフィルタ係数を予め格納しておくためのフィルタ係数テーブル2,フィルタ係数テーブル2に格納されたフィルタ係数のうちから,後記するフィルタ4に適用するフィルタ係数を選択するフィルタ係数選択部3,フィードバック係数が可変であるフィルタ4より構成される。また,後記する呼出し音生成装置C1も同様であるが,着信の検出は,携帯電話Aのアンテナを含むRF回路A1により行われ,環境音及び音声信号の入力は,携帯電話AのマイクロフォンA2により行われる。また,呼出し音の出力には,携帯電話AのスピーカA3が用いられる。
【0011】上記呼出し音生成装置C0の動作は以下の通りである。先ず,アンテナを含むRF回路A1により着信信号が検出されると,マイクロフォンA2により,呼出し音生成装置C0に携帯電話A周辺の環境音が入力される。上記環境音は,A/D変換された後,環境音フィルタ演算部1に入力される。次に,環境音フィルタ係数演算部1において,上記環境音に対して,高速フーリエ変換等の周波数解析が行われ,各周波数における信号強度が演算される。この実施の形態では,上記信号強度が環境音フィルタ係数である。一方,フィルタ係数テーブル2には,n個(nは自然数)の周波数特性が異なるフィルタ係数が予め登録されており,フィルタ係数選択部3において,上記環境音フィルタ係数と,上記n個の周波数特性が異なるフィルタ係数の各々と比較される。
【0012】上記環境音フィルタ係数と上記フィルタ係数との比較は,例えば,次のような処理手順により行われる。周波数f1〜fmにおける環境音フィルタ係数を,X=(x1,x2,・・・,xm)とする。また,周波数f1〜fmにおける,フィルタ係数テーブル2に格納されたn個のフィルタ係数をそれぞれ,
Y1=(y11,y12,・・・,y1m)
Y2=(y21,y22,・・・,y2m)
・・・・・・・・・・・・・・
Yn=(yn1,yn2,・・・,ynm)
とする。さらに,Y1〜Ynのデータ各々とXとのノルムを,以下のように定義する。
Z1=sqrt((x1−y11)2 +・・・+(xm−y1m)2
Z2=sqrt((x2−y21)2 +・・・+(xm−y2m)2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Zn=sqrt((xn−yn1)2 +・・・+(xm−ynm)2
このノルムにより,上記環境音フィルタ係数とフィルタ係数との比較が行われる。次に,フィルタ係数選択部3において,上記フィルタ係数テーブル2に格納されたフィルタ係数のうちから,ノルムZ1〜Znの値が最大となる,即ち環境音フィルタ係数とその周波数特性が最も異なるフィルタ係数が選択され,該フィルタ係数がフィルタ4のフィルタ係数に適用される。
【0013】次に,フィルタ係数が決定されたフィルタ4に源音信号が入力されて,環境音と周波数特性の最も異なる呼出し信号が出力される。出力された呼出し信号は,スピーカA3に出力されて,環境音から聞き分けやすい呼出し音が発信される。このように,上記呼出し音生成装置C0では,着信時の環境音とその周波数特性が最も異なる呼出し音が生成されるので,従来の呼出し音と較べて環境音に対する識別性が向上する。従って,呼出し音の音量を小さくして,上記呼出し音声性装置C0が適用される携帯電話Aの省電力化が可能となる。また,周囲の人にも迷惑がかからない。
【0014】次に,第2の発明の実施の形態について,図2をもとに説明を行う。図2に示すように,第2の発明の一実施の形態に係る呼出し音生成装置C1は,上記呼出し音生成装置C0と同様,携帯電話Aの呼出し音生成に利用され,予め携帯電話Aの使用者の音声信号を登録するための音声信号登録部21,音声信号登録部21に登録された音声信号の周波数解析を行い,後記するフィルタ22のフィルタ係数を決定するフィルタ係数決定部22,フィルタ係数が可変であり,源音信号の周波数特性を変化させて,携帯電話AのスピーカA3に出力するフィルタ23より構成されている。
【0015】上記呼出し音生成装置C1では,予め携帯電話の使用者の音声信号がマイクロフォンA2を通じて音声信号登録部21に入力される。また,登録された音声信号は,フィルタ係数決定部22に出力される。尚,上記音声信号は,通話中に登録するか若しくは,通話とは別に,任意に使用者により登録されたものである。フィルタ係数決定部22において,上記音声信号に,高速フーリエ変換等の周波数解析が行われ,各周波数の信号強度がフィルタ23のフィルタ係数として決定される。音楽や純音等の源音信号が,フィルタ係数の決定されたフィルタ23に入力されると,使用者の音声信号の周波数特性と類似した,即ち使用者にとって聞き分けやすい呼出し信号が生成される。周波数特性が上記音声信号と類似した呼出し信号は,フィルタ23からスーピーカA3に出力され,呼出し音が生成される。このように,上記呼出し音生成装置C1の生成する呼出し音の周波数特性は,使用者の音声信号と類似したものとなる。従って,使用者が最も頻繁に聴き,学習している自身の音声信号と呼出し音との周波数特性を類似させることにより,使用者における識別性が向上する。
【0016】
【実施例】上記実施の形態では,単体の装置として,携帯電話Aに呼出し音生成装置が組み込まれた例を示したが,携帯電話に搭載されているディジタル信号処理プロセッサ(DSP)及びROM等の記憶手段を用いて実現してもよい。図3をもとに,このような呼出し音生成装置C0′の具体例の説明を行う。尚この例において,上記実施の形態に係る呼出し音生成装置C0に相当する呼出し音生成装置C0′は,携帯電話A′に搭載されているディジタル信号処理プロセッサ(DSP)及び記憶手段により実現される。図3に示すような,アンテナを含むRF回路A1,DSP31,制御用マイコン(MCU)32,マイクロフォンA2,スピーカアンプ33,スピーカA3,A/D変換器34,D/A変換器35,外付けROM36,RAM37,EEPROM38より構成される携帯電話A’において,上記呼出し音生成装置C0’を実現する主要部分は,DSP31,外付けROM36,RAM37である。ここで,音声圧縮・伸長用プログラム,制御プログラム,呼出し信号,環境音検出プログラム,音声周波数帯域検出プログラム,及びフィルタパターンは外付けROM39に格納されている。
【0017】上記呼出し音生成装置C0′の動作は以下の通りである。先ず,アンテナを含むRF回路A1により着信信号がDSP31に出力されると,DSP31は,外付けROM36に格納されている環境検出プログラムを呼出し,マイクロフォンA2に携帯電話周辺の環境音を取り込むように命令を出力する。マイクロフォンA2により入力された環境音は,A/D変換器34によりディジタル信号化される。この場合のディジタル信号は,例えば8kHzのサンプリング,8ビットの量子化により得られたものである。ディジタル化された環境音はRAM37に格納される。DSP31により,RAM37に格納された環境音に高速フーリエ変換が施される。周波数情報に変換された環境音は,再びRAM37に格納される。上記高速フーリエ変換により得られた各周波数毎の離散的な信号強度が,環境音フィルタ係数である。次に,外付けROM36に予め格納されたフィルタ係数とRAM37に格納された環境音フィルタ係数との比較がDSP31により行われる。そして上記実施の形態と同様に,最も周波数特性が異なるフィルタ係数が,外付けROM36に格納されたフィルタ係数のうちから選択される。選択されたフィルタ係数は,外付けROM36からDSP31に呼び出され,DSP31により,外付けROM36に格納されている源音信号にフィルタリング処理が行われる。DSP31を介して周波数特性が調整された呼出し信号は,D/A変換器35によりアナログ信号となる。アナログ化した上記呼出し信号は,スピーカアンプ33により増幅され,スピーカA3から出力されて,呼出し音を生成する。
【0018】このように,携帯電話に搭載されているDSP等を利用して,本発明における呼出し信号生成装置を実現することも可能である。この場合,携帯電話に余計な演算手段等を搭載する必要がなく,上記呼出し音生成装置の利点である,周辺環境に対して識別性の高い呼出し音を生成することができる。このような呼出し音生成装置C0′も本発明における呼出し音生成装置の一例である。また,上記した呼出し音生成装置の源音信号に,ホワイトノイズ(白色雑音)若しくはピンクノイズ(白色雑音に対して適当な帯域通過フィルタ通した信号)を使用すれば,上記呼出し音生成装置が発する呼出し音の方向識別性をさらに向上させることができる。これは,ホワイトノイズ若しくはピンクノイズのような信号には,様々な周波数成分が含まれているため,人間の聴覚にとって方向の識別が容易になるためである。このような呼出し音生成装置も本発明における呼出し音生成装置の一例である。
【0019】また,ホワイトノイズ等を基調とした源音信号に,さらに,任意の信号を加算したものを呼出し信号とした場合,使用者の個人的な聞きやすさ,若しくは聞き心地よさに応じて呼出し音を変化させることが可能となる。このような呼出し音生成装置も本発明における呼出し音生成装置の一例である。また,上記実施の形態及び実施例では,本発明に係る呼出し音生成装置を携帯電話の呼出し音を生成するのに利用したが,例えば,騒音の多い工場において,作業者を呼び出す呼出し音若しくは作業者への合図音を生成するような場合に用いてもよい。このような呼出し音生成装置も本発明における呼出し音生成装置の一例である。
【0020】また上記実施の形態及び実施例では,源音信号の周波数特性を周辺の環境に応じて若しくは,使用者にとって聞き取りやすいように変化させて,呼出し音の識別性を向上させていたが,着信時に検出した環境音の周波数特性及び/若しくは音量レベルに応じて呼出し音の音量を変化させることにより,呼出し音の認識を確実なものとしてよい。音量を変化させる上記のような呼出し音生成装置では,着信が検出されると,マイクロフォン等の音入力手段により周辺の環境音が得られ,得られた環境音に高速フーリエ変換等の周波数解析が行われる。該周波数解析により得られた環境音の周波数特性と源音信号の周波数特性との比較は,例えば,上記呼出し音声性装置C0においても用いられたノルムにより行われる。この比較の結果,例えば環境音と源音信号の両者の周波数特性が大きく異なる場合,呼出し音の音量は小さく設定され,両者の周波数特性が類似する場合には,呼出し音の音量は大きく設定される。尚,音量の大小は環境音の音量レベルが基準とされる。このように,上記した音量を変化させる呼出し音生成装置では,環境に応じた適正な音量の呼出し音を自動的に生成することができる。従って,増音による電力消費を抑え,また周囲の迷惑にもなりにくい。当然ながら,環境音の周波数とは関係なく,単純に環境音の大小に応じて呼出し音の大小を変化させてもよい。
【0021】また,源音信号の周波数特性と音量とを同時に変化させれば,さらに呼出し音の識別性が向上する。例えば,上記呼出し音生成装置C0のフィルタ係数選択部3において,フィルタ係数だけでなく呼出し音の音量をも決定する。このようにすれば,環境音に対して識別性のよい呼出し音が適正な音量で自動的に生成されるので,使用者にとってより確認の行いやすいものとなる。このため,騒音の大きい工場等においても騒音レベルに負けない音量の呼出し音が得られ,呼出し音生成装置の有用性がより拡がる。また上記呼出し音生成装置C1にノルム等により環境音の周波数特性と源音信号の周波数特性とを比較する手段を負荷して,着信時にマイクロフォン等により得た環境音に応じて音量を自動的に変化させるようにしてもよい。このような呼出し音生成装置も本発明における呼出し音生成装置の一例である。
【0022】
【発明の効果】第1の発明は,着信信号を検出した時,所定の源音信号に所定の処理を施して得た呼出し信号を連続的若しくは断続的にスピーカに入力して呼出し音を生成する呼出し音生成装置において,着信信号を検出した時,その場の環境音を検出し,上記環境音に応じた処理を上記源音に施して環境音に応じた呼出し信号を作成することにより,上記呼出し音を上記環境音に応じて変化させるようにしたことを特徴とする呼出し音生成装置として構成されている。このため,騒音等により従来の呼出し音では識別しにくいような使用環境においても,該使用環境に応じて呼出し音を変更して,使用者に確実に着信を知らせることができる。呼出し信号作成の手法として,上記源音信号から上記呼出し信号を生成するスピーカの駆動源と上記スピーカとの間に,適用されるフィルタ係数が変更可能であるフィルタを設けて,上記環境音に応じた処理を,該フィルタのフィルタ係数を環境音に応じて変更させる処理にすることができる。また使用者にとって,呼出し音の認識が確実となるので,呼出し音の音量を小さくすることができ,周囲の人に迷惑とならず,且つ省力化を図ることができる。
【0023】さらに,上記第1の発明に係る呼出し音生成装置における使用環境に応じた呼出し信号を作成する処理を,各々異なった周波数特性を発揮する複数のフィルタ係数を予め格納しておくためのフィルタ係数格納手段と,上記フィルタ係数格納手段に格納されたフィルタ係数のうちから,上記環境音に基づいて上記フィルタに適用するフィルタ係数を選択するフィルタ係数選択手段により行えば,所望の周波数特性を有した呼出し信号を,使用環境に自動的に適応して選択することができる。さらに,上記第1の発明に係る呼出し音生成装置に,上記着信信号の検出直後に上記呼出し音声装置周辺の環境音を入力するための環境音入力手段と,上記環境音入力手段により入力された環境音信号の周波数解析を行い,上記環境音の周波数特性に対応した環境音フィルタ係数を演算する環境音フィルタ係数演算手段とを備え,上記環境音フィルタ係数演算手段により演算された環境音フィルタ係数を上記フィルタに適用するようにすれば,着信時点での周辺環境に応じて呼出し音の周波数特性を変更して,従来より識別性の高い呼出し音を生成することができる。また,上記第1の発明に係る呼出し信号生成装置の上記源音信号が,予め設定された周波数特性をもつ信号である場合,使用者の好み等に応じて,呼出し音を生成することができる。さらに,上記源音信号の周波数特性がホワイトノイズ若しくはピンクノイズに対応するものである場合,使用者は容易に呼出し音が発せられた場所を認識することができる。これは,上記ホワイトノイズ若しくはピンクノイズが,人間の聴覚にとって方向識別性の高い信号であるためである。
【0024】また第2の発明は,着信信号を検出した時,所定の源音信号に所定の処理を施して得た呼出し信号を連続的若しくは断続的にスピーカに入力して呼出し音を生成する呼出し音生成装置において,上記源音信号の周波数特性を変化させて呼出し信号を作成し,上記スピーカに出力するフィルタと,予め上記呼出し音生成装置の使用者の音声信号を登録しておくための音声信号登録手段と,上記音声信号登録手段に登録された音声信号の周波数解析を行い,該周波数解析に基づいて上記フィルタのフィルタ係数を決定するフィルタ係数決定手段とを具備してなることを特徴とする呼出し音生成装置として構成されている。この構成により,使用者が最も頻繁に聞いている,自分自身の音声と類似した周波数特性を有する呼出し音を生成して,その使用者にとって,より呼出し音の認識を容易にすることができる。従って,呼出し音の音量を小さくすることができ,周囲の迷惑を回避し,且つ省力化を図ることができる。さらに,第2の発明に係る呼出し音生成装置の上記源音信号が予め設定された周波数特性をもつ信号である場合,使用者の好みに応じた音質の呼出し音を作ることができ,自分自身にとっての判別が容易となる。さらに,上記源音信号の周波数特性がホワイトノイズ若しくはピンクノイズに対応するものである場合,呼出し音の方向識別性が高まり,より使用者にとって認識しやすい呼出し音を生成することができる。
【0025】また,第3の発明に係る呼出し音生成装置は,着信信号を検出した時,所定の源音信号に所定の処理を施して得た呼出し信号を連続的若しくは断続的にスピーカに入力して呼出し音を生成する呼出し音生成装置において,上記着信信号の検出直後に,周辺の環境を入力するための環境音入力手段と,上記環境音入力手段により入力された環境音の周波数解析を行い,該周波数解析により得られた環境音の周波数特性及び/若しくは環境音の音量レベルに基づいて上記呼出し音の音量を変更する音量変更手段とを具備してなることを特徴とする呼出し音生成装置として構成されている。このため,騒音の大きい工場,工事現場等においても,その時の騒音レベルに負けない音量の呼出し音が生成され,現場での作業者等にとって大変便利である。もちろん音量を変化させると共に,第1の発明若しくは,第2の発明のように,源音信号の周波数特性を変化させれば,より聞き分けやすい呼出し音が生成される。


 図面の簡単な説明


【図面の簡単な説明】
図1】第1の発明の一実施の形態に係る呼出し音生成装置C0の概略構成を示すブロック図。
図2】第2の発明の一実施の形態に係る呼出し音生成装置C1の概略構成を示すブロック図。
図3】本発明の一実施例に係る呼出し音生成装置C0′の概略構成を示すブロック図。
【符合の説明】
1・・・環境音フィルタ係数演算部
2・・・フィルタ係数テーブル
3・・・フィルタ係数選択部
4・・・呼出し音生成装置C0に係るフィルタ
21・・・音声信号登録部
22・・・フィルタ係数決定部
23・・・呼出し音生成装置C1に係るフィルタ
A,A′・・・携帯電話
A1・・・RF回路
A2・・・マイクロフォン
A3・・・スピーカ
31・・・DSP
32・・・MCU
33・・・スピーカアンプ
34・・・A/D変換器
35・・・D/A変換器
36・・・外付けROM
37・・・RAM
38・・・EEPROM


 図面


【図3】

【図1】

【図2】