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書誌情報 要約 特許請求の範囲 発明の詳細な説明

 書誌情報


《表紙》

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平10−193487
(43)【公開日】平成10年(1998)7月28日
(54)【発明の名称】電気製品用筐体
(51)【国際特許分類第6版】
B32B 5/18
B05D 5/00
7/24 301
B32B 27/30
// C09K 21/12
【FI】

B32B 5/18
B05D 5/00 E
7/24 301 L
B32B 27/30 A
C09K 21/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】4
(21)【出願番号】特願平8−351418
(22)【出願日】平成8年(1996)12月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地
(72)【発明者】
【氏名】小椋 高志
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】村田 耕作
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】池内 寛幸 (外2名)


 要約


(57)【要約】
【課題】 発火した場合に筐体への延焼を防ぎ、2次被害への拡大を防止するとともに音響機器や騒音などを遮蔽し、共振によるビリ付き音の発生を低減させることができる電気製品用筐体を提供する。
【解決手段】 木材やプラスチックなどの筐体表面又は裏面に、アクリル樹脂にポリリン酸アンモニウムなどの発泡剤を添加してなる加熱発泡性高分子樹脂組成物資料を塗布して耐熱性、耐火性を向上させる。形成される断熱発泡層が内部の気密性を高め、および発生する不燃ガスにより燃焼を速やかに抑える働きをする。また、アクリル樹脂の有する物性を基材に与え剛性および内部損失を向上させることにより筐体の音響的な特性を向上させることが可能となる。


 特許請求の範囲


【特許請求の範囲】
【請求項1】 電気製品の筐体内側または表面に、耐熱性及び耐炎化性の無機系熱発泡剤を含む高分子樹脂組成物塗料層を形成した電気製品用筐体。
【請求項2】 無機系熱発泡剤を含む高分子樹脂組成物塗料層の厚さが0.1〜5.0mmの範囲である請求項1に記載の電気製品用筐体。
【請求項3】 無機系熱発泡剤がポリリン酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、酢酸アミル、酢酸ブチルおよびジアゾアミノベンゼンから選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の電気製品用筐体。
【請求項4】 高分子樹脂に対する無機系熱発泡剤の配合割合が、5〜30重量%の範囲である請求項1に記載の電気製品用筐体。
【請求項5】 高分子樹脂が、アクリル系樹脂である請求項1に記載の電気製品用筐体。
【請求項6】 高分子樹脂が、アクリロニトリル、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸メチルの重合体及びそれらの共重合体から選択された少なくとも一つの樹脂である請求項1に記載の電気製品用筐体。
【請求項7】 無機系熱発泡剤を含む高分子樹脂組成物塗料層は、所定の温度で樹脂が発泡を開始し、樹脂部分が炭化層を形成する請求項1に記載の電気製品用筐体。


 発明の詳細な説明


【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は発熱体を有する家電製品等の筐体に関し、詳しくは耐熱性及び耐炎化性の向上を目的とした筐体に関する。
【0002】
【従来の技術】家電製品には、一般に木材やABS樹脂、ポリスチロール(ポリスチレン)樹脂、ポリプロピレン樹脂などのプラスチック素材を用いて筐体が構成されているものが多い。また家電製品は共通して発熱部品が使われているのが通常である。従って製品の継続使用による部材の劣化や故障によって異常発熱が起き発火に至ることも、希な事故としてまったく起こらないとはいえない。そのような部材の発火が可燃性の筐体に迄延焼した場合には、2次被害の危険性が伴う。
【0003】そのため、従来の技術において家電用筐体に使用される素材としては、例えば上記のプラスチックにリン系やハロゲン系の難燃素材や無機系の難燃フィラーを配合して、難燃化あるいは自己消化性素材として使用しているのが現状である。ところが、配合剤によっては環境汚染の問題が生じ、またフィラーを混ぜることにより成形性が落ちて工程上の問題が生じる。さらに、価格的に上昇するためにすべての家電用筐体に導入することが困難であるのが実状である。
【0004】また、発音体などの音響機器が組み込まれたスピーカボックスやテレビなどの筐体または、モーターやコンプレッサーなど騒音を発生する部品が組み込まれた筐体の場合、内部に発生した空気振動が筐体と共振してビリ付きや不快音を生じることが多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の家電製品においては、部材の発熱発火防止措置はとられているものの、コストや工法上あるいは環境汚染の問題があり、筐体素材の耐熱化、不燃化措置は汎用的なものではなく、万一の発火事故の際に筐体の延焼による2次的被害に拡大する可能性が考えられなくはない。
【0006】本発明は従来の問題を解決するため、部材の異常発熱事故における筐体の発火を未然に防ぐことができる電気製品用筐体を提供することを目的とする。本発明の第2の目的は、音響機器やモーター、コンプレッサーなどによる筐体の共振を抑え、ビリ付きを低減させる効果を与え、さらに従来の筐体素材を用いることが可能であり工法上も効率の良い耐熱耐火機構を持った家電用筐体を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明の電気製品用筐体は、電気製品の筐体内側または表面に、耐熱性かつ耐炎化性の無機系熱発泡剤を含む高分子樹脂組成物塗料層を形成したという構成を備えたものである。
【0008】前記構成においては、無機系熱発泡剤を含む高分子樹脂組成物塗料層の厚さが0.1〜5mmの範囲であることが好ましい。厚さが0.1mm未満では耐熱性かつ耐炎化性が不十分であり、5mmを越えるとコストが高くなったり大型化する傾向となる。
【0009】また構成においては、無機系熱発泡剤がポリリン酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、酢酸アミル、酢酸ブチルおよびジアゾアミノベンゼンから選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
【0010】また構成においては、高分子樹脂に対する無機系熱発泡剤の配合割合が、5〜30重量%の範囲であることが好ましい。無機系熱発泡剤の配合割合が5重量%未満では耐熱性かつ耐炎化性が不十分であり、30重量%を越えると強度が低下する。
【0011】また構成においては、高分子樹脂が、アクリル系高分子樹脂であることが好ましい。アクリル系高分子樹脂としては、アクリロニトリル、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸メチルの重合体及びそれらの共重合体がある。
【0012】また構成においては、無機系熱発泡剤を含む高分子樹脂組成物塗料層は、所定の温度で樹脂が発泡を開始し、樹脂部分が炭化層を形成することが好ましい。前記構成によれば、熱発泡性高分子樹脂を電気製品の例えば筐体内に塗布することで、内部に組み込まれた機構部品や電子部品の異常発熱による発火事故から筐体への着火を防ぎ、筐体外部への延焼を未然に防止できる。
【0013】また、熱発泡性高分子樹脂を電気製品の例えば筐体内に塗布することで、内部に組み込まれた機構部品や電子部品の異常発熱による発火事故から筐体への着火を防ぎ、筐体外部への延焼を未然に防止できるとともに、前記熱発泡性高分子樹脂として内部損失の大きな高分子樹脂を使用することによりスピーカなどの音響機器や騒音を発するモーターなどが組み込まれた筐体の共振運動を抑え、筐体自身のビリつきなどの異常音を低減できる。
【0014】本発明の電気製品用筐体は、基材である木材またはプラスチックといった素材の内部に熱発泡性高分子樹脂を塗布することで得られる。これによって、筐体内部から発生する熱に対する耐熱性および耐火性能が向上するとともに共振運動によるビリつき音の発生も改善される。
【0015】本発明の家電用筐体の構成基材である木材やプラスチックなどの内部に、熱発泡性の高分子樹脂は、アクリル系の高分子樹脂に熱発泡性のポリリン酸アンモニウムや炭酸水素ナトリウムなどの発泡剤を5〜30重量%および重合開始剤を添加し、また濡れ性の悪い基材によっては界面活性剤を添加したもの、などからなる樹脂であり、所定の温度(無機系熱発泡剤として例えばポリリン酸アンモニウムを用いた場合は、200〜230℃)で樹脂が発泡を開始すると同時にアクリル基材が炭化層を形成する。この炭化発泡層が発泡前の厚みの数倍から数十倍の厚みとなり断熱効果を与えることから、筐体素材を保護することが出来る。さらに、形成された断熱発泡フォームは筐体と外部との気密性を高め、さらに基材のアクリル樹脂が熱で反応し炭化する際に発生する水蒸気や二酸化炭素が酸素供給を遮蔽する状態をつくり、より速やかに燃焼を抑える効果が得られる。
【0016】ここで用いられている基材のアクリル樹脂は、塗布することにより弾性率および内部損失を向上させる効果がある。従って、筐体内部に塗布することで筐体素材に高弾性、高内部損失を与え、騒音を発生させる部材や音響機器など、筐体の共振による異常音が問題となる家電製品に対しても効果がある。
【0017】樹脂はスプレーガンや刷毛、コーターバーまたはディッピングなどにより塗布した後、100℃以下の環境下、1時間程度の加熱により硬化するので、複雑な工法を要せず、容易に量産ラインへの導入が図れる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る家電用筐体およびその素材の実施形態について、表を参照しながら説明する。
【0019】(実施の形態1)まず、紙パルプを基材としアクリル系の高分子樹脂に塗布させることにより、基材の内部損失および剛性が向上する実施の形態について(表1)を用いて説明する。
【0020】厚さ0.10mmの紙パルプの片面に、ポリアクリロニトリル80重量%に、発泡剤であるポリリン酸アンモニウムを20重量%の割合で配合して得られる熱発泡性高分子樹脂を、乾燥後の厚みが0.05mmとなるようコーターバーを用いて塗布し、80℃の恒温槽にて1時間乾燥硬化させた。
【0021】このパルプと樹脂により形成された複合素材の音響特性を、従来紙パルプと弾性率、内部損失において比較実験を行った。これらの結果をまとめたものが以下の表1である。
【0022】
【表1】

【0023】表1において明らかなように、本発明品である熱発泡性高分子樹脂の有する物理特性として、内部損失および剛性が向上することが確認された。このことにより本実施形態での樹脂がプラスチック基材に塗布されたときに、内部で発生する空気振動が筐体素材と共振して発生する、筐体構成素材であるプラスチックなどの振動やビリ付きを抑えることに寄与することは明らかである。
【0024】(実施の形態2)次に、本発明の第2の実施形態に係る家電用筐体素材について説明する。厚さ5.0mmのABS樹脂およびPS(ポリスチロール樹脂)上に、ポリアクリロニトリル80重量%に、発泡剤であるポリリン酸アンモニウムを20重量%の割合で配合して得られる熱発泡性高分子樹脂を乾燥後の厚みが0.5mmとなるようスプレーガンを用いて塗布し、80℃の恒温槽にて1時間乾燥硬化させた。
【0025】得られたサンプルを約1000℃のバーナーで加熱し、炭化発泡層を形成させてその断熱性能を未処理のものと比較した。これらの結果をまとめたものが以下の表2である。
【0026】
【表2】

【0027】表2に示されているように、熱発泡性高分子樹脂を用いずに1000℃を越えるバーナ炎を直接照射したプラスチックはABSおよびPSの両者とも5秒以下の照射で着火した。その後、炎は試験片全体に延焼した。一方、熱発泡性の高分子樹脂を塗布したプラスチックの場合、ABSおよびポリスチレンいずれのプラスチック素材においても着火には至らず、60秒の照射でも軟化をみせるものの発火することはなかった。
【0028】以上の結果から、熱発泡性高分子樹脂が発泡断熱層を形成することにより、熱源から発せられる熱をプラスチックの発火温度以下に抑えることが可能であることが確認された。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、電気製品筐体に熱発泡性高分子樹脂を塗布することにより、筐体の弾性率および内部損失を付与し音響用機器や騒音を発生させる部材による筐体の共振からくるビリ付き音などの発生を低減させることが出来る。さらに高温雰囲気下において、塗布された熱発泡性高分子樹脂は、熱により発泡反応を開始し断熱層を形成、さらに高温下では炭化層を形成し筐体基材の木材およびプラスチックスを保護する。従って部材の異常発熱による発火により筐体素材へ引火することを防止し、筐体の延焼による2次被害の拡大を未然に防ぐことが可能となる。