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書誌情報 要約 特許請求の範囲 発明の詳細な説明 図面の簡単な説明 図面

 書誌情報


《表紙》

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平9−71774
(43)【公開日】平成9年(1997)3月18日
(54)【発明の名称】グラウト材
(51)【国際特許分類第6版】
C09K 17/10
C04B 7/13
7/19
7/26
7/345
22/06
28/02
C09K 17/02
// C04B111:70
C09K103:00
【FI】

C09K 17/10 P
C04B 7/13
7/19
7/26
7/345
22/06 Z
28/02
C09K 17/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願平8−164920
(22)【出願日】平成8年(1996)6月25日
(31)【優先権主張番号】特願平7−161240
(32)【優先日】平7(1995)6月27日
(33)【優先権主張国】日本(JP)
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区神田美土代町1番地
(71)【出願人】
【識別番号】000112196
【氏名又は名称】株式会社ピー・エス
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内3丁目4番1号
(72)【発明者】
【氏名】小堺 規行
【住所又は居所】東京都千代田区神田美土代町1番地 住友大阪セメント株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】武本 健示
【住所又は居所】東京都千代田区神田美土代町1番地 住友大阪セメント株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】吉原 正博
【住所又は居所】千葉県船橋市豊富町585番地 住友大阪セメント株式会社中央研究所内
(72)【発明者】
【氏名】面高 安志
【住所又は居所】千葉県船橋市豊富町585番地 住友大阪セメント株式会社中央研究所内
(72)【発明者】
【氏名】門松 俊寛
【住所又は居所】東京都千代田区九段北4−1−3 株式会社ピー・エス東京支店内
(72)【発明者】
【氏名】宮内 健
【住所又は居所】東京都千代田区九段北4−1−3 株式会社ピー・エス東京支店内
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外2名)


 要約


(57)【要約】
【課題】 流動性が優れ、硬化後の強度ならびに変形係数が過剰な値となることがなく、ブリージングがなく、変形追随性が優れ、乾燥収縮率が小さいという性能と、安価であるという条件の全てを満足できるグラウト材の提供。
【解決手段】 セメントと鉱物質粉末フィラーとからなり、硬化後の変形係数が50,000kgf/cm2以下であるグラウト材。


 特許請求の範囲


【特許請求の範囲】
【請求項1】 セメントと鉱物質粉末フィラーとからなり、硬化後の変形係数が50,000kgf/cm2以下となることを特徴とするグラウト材。
【請求項2】 鉱物質粉末フィラーの粉末度が1,500〜6,000cm2/gであることを特徴とする請求項1記載のグラウト材。
【請求項3】 鉱物質粉末フィラーの添加量がセメント100重量部に対して40〜310重量部であることを特徴とする請求項1又は2記載のグラウト材。


 発明の詳細な説明


【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は土木・建築工事一般における裏込め、注入工事や、鉄道軌道、道床、岸壁、その他土木建築構造物基礎部分もしくは荷重伝達部分等において生じる空隙部や、空港・港湾・ヤード・道路等に敷設されるコンクリート舗装版の据えつけならびにその沈下を補修する際に生じる版下の空隙部を充填するために用いられるグラウト材をセメントと鉱物質粉末フィラーから構成することにより、流動性が優れ、硬化後の強度ならびに変形係数が過剰な値となることがなく、ブリージングがなく、変形追随性が優れ、乾燥収縮率が小さいという性能と、安価であるという条件の全てを満足するグラウト材を得られるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、土木・建築工事一般における裏込め、注入工事や、空港、港湾、ヤード、鉄道軌道、道床、岸壁、その他土木建築構造物基礎部分もしくは荷重伝達部分等において生じる空隙部や、空港・港湾・ヤード・道路等に敷設されるコンクリート舗装版の据えつけならびにその沈下を補修する際に生じる版下の空隙部を充填するために用いられる材料としてグラウト材が知られている。この種の用途に用いられる従来のグラウト材としては、水セメント比が40〜80%程度のセメントミルク、水セメント比が30〜65%で、かつセメント砂比が1〜3%程度のモルタル、エポキシ樹脂、ポリウレタンあるいはこれらの発泡樹脂などの合成樹脂、セメントとアスファルトミルクと砂等とを混合してなるセメントアスファルトモルタル、起泡剤と気泡安定剤等とを配合してなる比重が1前後のエアモルタルなどがある。
【0003】ところで、前述の用途に用いられるグラウト材に要求される性能としては、(i)流動性が高く、(ii)硬化後の一軸圧縮強度が100kgf/cm2以下、(iii)硬化後の変形係数が50,000kgf/cm2以下、(iV)ブリージングが少ない、(V)変形追随性が良好、(Vi)乾燥収縮率が小さい、(Vii)コストが低いことである。また、空港や道路等の時間的制約のある場所において施工するには、施工現場での取り扱いが容易であり、版下への注入速度が速いものが要求される。下記表1に従来のグラウト材の性能ならびに条件を示す。
【0004】
【表1】

【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来のグラウト材にあっては、いずれも前述(i)〜(Vii)の性能ならびに条件の全てを十分に満足できるものではなかった。また、従来のグラウト材をコンクリート舗装版下の空隙部に注入してコンクリート舗装路の施工を行うと、従来のグラウト材は取り扱いが困難であるため、施工現場での注入作業が困難となったり、限られた時間内での急速施工に十分対応できず、施工時間が長くなるという問題があった。例えば、の合成樹脂からなるグラウト材にあっては、前述の性能(i)〜(Vi)についてほぼ満足でき、かなりの高性能を確保できるものの、セメント系のグラウト材に比べてコストが10倍以上と高価であった。また、前記のグラウト材を用いてコンクリート舗装路の施工を行う場合、こののグラウト材は施工現場での取扱いが困難であるため、施工現場での注入作業が困難であり、さらにまた降雨後や地下水の存在等、水分の存在下での施工には使用出来ないという欠点があった。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、流動性が優れ、強度ならびに硬化後の変形係数が過剰な値となることがなく、ブリージングがなく、変形追随性が優れ、乾燥収縮率が小さいという性能と、安価であるという条件の全てを満足できるグラウト材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明では、セメントと鉱物質粉末フィラーとからなり、硬化後の変形係数が50,000kgf/cm2以下となることを特徴とするグラウト材を前記課題の解決手段とした。また、請求項2記載の発明では、鉱物質粉末フィラーの粉末度が1,500〜6,000cm2/gであることを特徴とする請求項1記載のグラウト材を前記課題の解決手段とした。また、請求項3記載の発明では、鉱物質粉末フィラーの添加量がセメント100重量部に対して40〜310重量部であることを特徴とする請求項1又は2記載のグラウト材を前記課題の解決手段とした。
【0008】なお、本発明において硬化後の変形係数とは、土のような応力に対する変形の大きい材料において定義される量である(例えば、「土質試験の方法と解説」土質工学会 平成2年3月31日発行 参照)。通常、材料の応力−ひずみ曲線において最大応力の1/3の時の応力とひずみ量から求められる量を弾性係数と呼んでいるが、土のように変形量の大きい材料では、同じ応力−ひずみ曲線において、最大応力の1/2における応力とひずみ量から求められる変形係数が特性の評価によいとされている。
【0009】
【発明の実施の形態】まず、本発明のグラウト材について詳しく説明する。本発明のグラウト材は、セメントと鉱物質粉末フィラーからなり、硬化後の変形係数が50,000kgf/cm2以下となるものである。前記セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、ジェットセメントなどの超速硬セメント、アルミナ系セメント、急結剤等により速硬性を付与されたセメント、急硬セメントを遅延剤により可使時間を調整したセメント等の水硬性セメントなどが用いられる。
【0010】前記鉱物質粉末フィラーとしては、粘土、石灰、スラグ、フライアッシュ、シリカ(珪砂)、アルミナ等の天然及び人工鉱物粉末などが用いられる。また、ここでの鉱物質粉末フィラーは、通常、粉末度が調整済みで、絶乾状態にされたものが用いられる。ここでの鉱物質粉末フィラーの粉末度としては、ブレーン値として1,500〜6,000cm2/g程度のものを用いるのが好ましく、より好ましくは2,800〜3,200cm2/g程度のものが用いられる。鉱物質粉末フィラーの粉末度が6,000cm2/gより大きくなると流動性が低下してしまう恐れがあり、一方、粉末度が1,500cm2/gより小さくなるとブリージングが不必要に大きくなる恐れがあるからである。
【0011】このような鉱物質粉末フィラーの添加量は、前記セメント100重量部(100容量部)に対して40〜310重量部(50〜350容量部)程度、好ましくは130〜220重量部(150〜250容量部)程度である。鉱物質粉末フィラーの添加量が310重量部を越えると、グラウト材の硬化後の変形係数が大きくなり、目的とする性能を有したグラウト材とならなくなる恐れがあり、一方、添加量が40重量部未満であると、グラウト材の硬化後の一軸圧縮強度が100kgf/cm2を越えてしまう恐れがあるからである。
【0012】また、本発明のグラウト材には、必要により減水剤、水、その他の混和材料が添加されていてもよい。前記減水剤としては、ナフタリン系、メラミン系、ポリカルボン酸系、リグニン系等の一般のモルタル・コンクリートに用いられる全ての減水剤が使用でき、その減水剤の添加量は、通常使用される添加量の範囲である。
【0013】その他の混和材料としては、例えばセメントとしてジェットセメントが使用されている場合においては可使時間の調整のためのジェットセッターなどの遅延剤であり、セメントとしてポルトランドセメント類が使用されている場合においてはまれにブリージングを防止するための有機増粘剤等などが用いられ、また使用されている減水剤の種類によって巻き込み空気を消すための消泡性界面活性剤などが用いられる。
【0014】本発明のグラウト材の製造例としては、前記セメントに前記鉱物質粉末フィラーならびに減水剤を前述の添加割合で添加した後、予備混合し、この混合物に水と必要によりその他の混和材料とを加えて練り混ぜることにより得られる。
【0015】本発明のグラウト材の使用例としては、例えば、空港のエプロン部が地盤沈下した場合に、地盤沈下したエプロン部のPC版をジャッキアップ・不陸調整したのち、PC版の裏側に本発明のグラウト材を裏込め注入充填したり、あるいはコンクリートスラブ軌道下が地下水等により浸食され、空洞部を生じた場合、この空洞部に本発明のグラウト材を再充填したり、あるいは鉄道バラスト軌道においてバラストの移動、破壊、粉状化等を防止する場合、プレパックドコンクリート工法に準じてバラストの隙間に本発明のグラウト材を注入充填し、硬化させてマトリックスを形成することなどに好適に用いられる。
【0016】(本発明のグラウト材の作用)本発明のグラウト材にあっては、結合材としてセメントを用いたことにより、コスト高となることを防止できる。また、鉱物質粉末フィラーを含有することにより、硬化後の一軸圧縮強度が100kgf/cm2以下で、かつ、硬化後の変形係数が50,000kgf/cm2以下となるので、従来のグラウト材に比べて変形追随性が大幅に向上する。また、本発明のグラウト材中の鉱物質フィラーは粉末状のものであるので、このような粉末状の鉱物質フィラーを含有する本発明のグラウト材にあっては、ブリージングが殆どなくなる。また、セメント/フィラー系のグラウト材を用いたことにより、乾燥収縮率が従来のグラウト材であるセメントミルクの約1/2以下となり、さらに、流動性が優れたものとなる。
【0017】
【実施例】以下、本発明を、実施例および比較例により、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実験例1)表2に示す配合のグラウト材(実施例、比較例)を調製した。つぎに、調製した実施例のグラウト材、比較例のグラウト材について、それぞれ流動性、強度、硬化後の変形係数、ブリージング、変形追随性、乾燥収縮、コストについて調べた。
【0018】その結果を下記表3に示す。ここでの流動性については、土木学会基準の方法JAロートにより測定した。強度については、直径50mm×高さ100mmの円柱形供試体により材齢28日の一軸圧縮強度を測定した。硬化後の変形係数については、土木学会基準の方法により変形係数を測定することにより調べた。ブリージングについては、土木学会基準により調べた。乾燥収縮については、大気中に91日間曝した後に目視により評価した。コストについては、比較例のグラウト材を100とし、これに対する各グラウト材のコストの割合を示したものである。
【0019】
【表2】

【0020】
【表3】

【0021】上記表3に示した結果から明らかなように、実施例のグラウト材は、比較例のグラウト材と同じ程度の優れた流動性を有するうえ、比較例のグラウト材に比べて一軸圧縮強度ならびに硬化後の変形係数が過剰な値とならないため変形追随性が優れており、ブリージング率が殆ど零に近い値にまで改善されており、さらに大気中に91日間曝しても異常がないため乾燥に強いものであり、かつ安価なものであることが判る。
【0022】(実験例2)下記表4に示す配合のグラウト材(比較例3、実施例8〜10)を調製した。次に、調製した比較例3のグラウト材(表1のセメントミルク)、実施例8〜10のグラウト材について、それぞれ流動性、粘性、硬化後の強度と変形係数、ブリージング、変形追随性、乾燥収縮、コストについて調べた。その結果を、下記表5に示す。ここでの流動性については、土木学会基準に定めるJAロート流下値に準じて評価した。ブリージングについては、土木学会基準に準じて評価した。硬化後の強度と変形係数については、土の一軸圧縮試験機を用いて評価した。また、乾燥収縮については、大気中に91日間放置した後に目視により評価した。コストについては、比較例3のグラウト材を100とし、これに対する各グラウト材のコストの割合で評価した。
【0023】
【表4】

【0024】上記表4のシリカ粉としては、ブレーン比表面積が2,300〜3,100cm2/gのものを用いた。
【0025】
【表5】

【0026】上記表5から明らかなように、実施例8〜10で用いたグラウト材は、比較例3のグラウト材と同等の流動性を有するうえ粘性も低いため、注入速度が早く限られた時間範囲での急速施工に対応可能であり、また、比較例3のグラウト材と比べて一軸圧縮強度ならびに変形係数が過剰な値とならないため、荷重に対する変形追随性に優れているものであり、また、ブリージングもほぼゼロに近い値に調整されているため、体積変化がなく、さらに大気中に91日間放置しても異常が認められないため、乾燥にも強く、ひび割れ抵抗性も向上していると評価でき、かつコストも安価であることがわかる。
【0027】(実験例3)2.5×10mPC版2枚を並べて5×10mの実大モデル版とし、版下空隙3mm〜20mmに路盤レベル調整した後、盤中央端部の1箇所のグラウト注入孔より前記実験例2で調製した実施例8のグラウト材を注入し、注入性能を評価した。このモデル版には透明塩ビ版による検査孔が設けられており、施工現場では通常目視確認できない注入完了までの版下におけるグラウト材の流動・充填状況を、時間軸で追跡・記録することができるようになっている。実験は特に暑中(温度33℃、湿度80%)に、あえて超速硬型セメントが配合されているグラウト材を用いて行った。その結果を図1に示す。図1は、PC版下におけるグラウト材の流動・充填状況と時間との関係を示したコッター図である。図1中の数値は時間であり、縦軸は実大モデル版の短辺(5m)を表し、横軸は実大モデル版の長辺(10m)を表す。
【0028】図1に示した結果から、20mmから3mmすり付けという厳しい空隙条件に拘わらず、全体で50m2の面積を5分以内で充填完了させることがわかった。これにより空港・道路等の施工時間の制約のある中での急速施工においても充分な裏込め注入能力があり、施工時間を短縮できることが確認された。
【0029】(実験例4)前記実験例2で調製した実施例9のグラウト材と、比較例3のグラウト材(W/C80%のセメントミルク)についてそれぞれ伸び能力(変形能力)を評価した。その結果を図2に示す。図2は、グラウト材の圧縮ひずみと圧縮応力との関係を示す。図2中、線イは比較例3のグラウト材、線ロは実施例9のグラウト材を示す。図2に示した結果から明らかなように、本発明のグラウト材の実施例9のグラウト材は、従来のグラウト材の比較例3のグラウト材のほぼ2倍以上の伸び能力(変形能力)を有するため、荷重による変形を受けてもひび割れが発生しにくく、耐久性が著しく向上していることがわかる。これに対して脆性的注入材である比較例3のグラウト材を使用して舗装路を構築した場合、該舗装路が荷重による変形に耐えられずにひび割れ易く、グラウト材からなる注入材層に地下水等が入り込んでくると破壊が急激に進行し、粉泥水状となり、荷重がかかる毎に舗装版の目地部等から吹き出す事態が起り易い。このような事態が起ると、注入材層は地盤に対する荷重伝達を担うことはできず、グラウト材の再注入等の補修工事が必要である。ところで、伸び能力は強度を上げれば大きくなるが、それはコストの上昇に直結するため、本発明のグラウト材の強度を必要なレベルに押え、かつ、伸び能力を大きくしたことにより、前述の課題を解決することができた。
【0030】(本発明のグラウト材をコンクリート舗装路の施工に使用した具体例)以下、本発明のグラウト材をコンクリート舗装路の施工に使用した具体例について詳しく説明する。図3は、本発明のグラウト材をコンクリート舗装路の施工に使用した具体例を説明するための図である。図3中、符号1は地面、3は地面上に設けられた路盤、5は路盤上に敷設された複数枚のコンクリート舗装版、7は路盤3とコンクリート舗装版5との間に生じた空隙部、9はコンクリート舗装版5の厚み方向に貫通して形成されたグラウト注入孔、10は端部に位置するコンクリート舗装版5下からグラウト材が漏れるのを防止するためのシート、11は平ボディトラック、13はグラウト材を圧送するためのパイプ、15は圧送されたグラウト材が一旦貯溜される受ジョッキである。
【0031】前記平ボディトラック11は、発電機と、グラウト材を混練するためのミキサと、本発明のグラウト材と、該グラウト材に添加するための水と、前記ミキサで混練されたグラウト材をパイプ13ならびに受ジョッキ15を介して空隙部7に圧送するためのポンプ等が積載されており、このポンプにはパイプ13の一端が接続されている。
【0032】前記受ジョッキ15は、図4に示すように、中空円柱状のものであり、その上部には前記パイプ13の他端が接続され、下部には貯留されたグラウト材を吐出させるための吐出口16が設けられている。また、この受ジョッキ15には、吐出口16を開閉するための引抜き取っ手付きの栓17が設けられている。さらに、この受ジョッキ15には、図5に示すように、渦の発生を防止するための横断面井字状の邪魔板19が設けられいる。このような邪魔板19が設けられていないと、渦が発生し、グラウト材とともに空気が巻き込まれ、コンクリート舗装版5下の空隙部7で硬化したグラウト材にボイドが生じるからである。この受ジョッキ15の内容量は、50リットル程度である。このような構成の受ジョッキ15を使用するとき、吐出口16を栓17で閉塞しておき、グラウト材が満されたら、前記栓17を抜き、常に、受ジョッキ15内にグラウト材が満たされるようにすると、空気の巻き込みを防止できるようになっている。
【0033】この本発明のグラウト材を使用したコンクリート舗装路の施工の例では、まず、コンクリート舗装版の据えつけ時のレベル調整を行った後に、あるいは空港のエプロン部コンクリート舗装版が地盤沈下して周囲との不陸差が著しい場合等に当該コンクリート舗装版のレベル調整した後、施工現場において端部に位置するコンクリート舗装版5と路盤3との間から露出している隙間をシート10を用いてカバーし、コンクリート舗装の端部からグラウト材が漏れないようにしておく。一方、受ジョッキ15の吐出口16の先端をコンクリート舗装版5に形成されたグラウト注入孔9を挿入しておく。
【0034】ついで、受ジョッキ15の吐出口16を前記栓17により閉塞しておき、前記平ボディトラック11に積載されたミキサに、前述の本発明のグラウト材と、必要に応じて減水剤を投入し、予備混合し、この混合物に水と必要によりその他の混和材料を添加し、混練した後、このグラウト材の混練物を前記ポンプにより供給管13を介して受ジョッキ15内に50〜300リットル/分程度、好ましくは200〜250リットル/分程度で圧送し、グラウト材で満されたら、前記栓17を抜いて吐出口16からグラウト材の混練物を吐出させ、グラウト注入孔9より空隙部7をグラウト材で充填する。
【0035】この後、空隙部7に充填された本発明のグラウト材を1〜200時間程度、好ましくは2〜170時間程度養生すると目的とするコンクリート舗装路が得られる。ここでの養生時間は、用いるセメントによって異なる。
【0036】この例のコンクリート舗装路の施工方法にあっては、特にセメントと鉱物質粉末フィラーとからなり、硬化後の変形係数が50,000kgf/cm2以下の本発明のグラウト材を用いることにより、硬化後のグラウト材の乾燥収縮がほとんどなく、乾湿の繰り返しに耐え得るものとなり、また、前記グラウト材は単純かつ管理が容易な材料のみを厳選して構成されているので、取扱い易く、施工現場での裏込め注入工事の際の作業性が向上し、さらに、前記グラウト材は流動性が優れ、しかも粘性が低いので、版下への注入をスムースにすることができ、限られた時間内での急速施工でも十分対応できるという利点がある。また、この施工方法に用いられるグラウト材中の鉱物質フィラーは粉末状のものであるので、このような粉末状の鉱物質フィラーを含有するグラウト材は、ブリージングが殆どなく、硬化までの材料分離も殆どなく、施工現場での裏込め注入工事の際の作業性がよく、据え付け寸法変化を少なくすることができ、良好なコンクリート舗装路を提供できる。
【0037】さらに、この施工方法に用いられるグラウト材は鉱物質粉末フィラーを含有するものであるので、硬化後の一軸圧縮強度が100kgf/cm2以下で、かつ、硬化後の変形係数が50,000kgf/cm2以下となり、従来のグラウト材を用いる場合と比べて変形追随性が大幅に向上し、良好なコンクリート舗装路を提供できる。また、特に、用いるグラウト材中の鉱物質粉末フィラーの粉末度を2,800〜3,200cm2/gとしたものにあっては、フィラーの粉末度が高いためブリージングがなく、硬化までの材料分離を防止する効果が格段に優れるので、施工現場での裏込め注入工事の際の作業性がより向上するという利点がある。また、用いるグラウト材は、結合材としてセメントが用いられたものであるので、安価で、施工費のコストダウンが可能である。なお、前述のコンクリート舗装路の施工方法においては、グラウト材を平ボディトラックに積載されたミキサから供給管、受ジョッキを介してコンクリート舗装版下の空隙部に注入した場合について説明したが、オーガタイプのミキサを備えたジェットモービル車を用いてもよい。
【0038】前述のコンクリート舗装路にあっては、特に、セメントと鉱物質粉末フィラーとからなり、硬化後の変形係数が50,000kgf/cm2以下あるグラウト材を用いて構築されたものであるので、該グラウト材が従来の施工方法で用いられるセメントペースト系グラウト材のほぼ2倍以上の伸び能力(変形能力)を有し、このため荷重による変形を受けても注入材層にひび割れが発生しにくく、よって、ひび割れに地下水等が入り込むことに起因して舗装路の目地部等から粉泥水が吹き出すことを防止でき、注入材層は地盤に対する荷重伝達を担うことができ、耐久性が著しく向上するという利点がある。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明のグラウト材にあっては、結合材としてセメントが用いられたものであるので、コスト高となることを防止でき、従来のセメント系グラウト材に比べてコストが1/2〜1/3程度と安価なものとなる。また、鉱物質粉末フィラーを含有するものであるので、硬化後の一軸圧縮強度が100kgf/cm2以下で、かつ、硬化後の変形係数が50,000kgf/cm2以下となり、従来のグラウト材に比べて変形追随性が大幅に向上する。また、本発明のグラウト材中の鉱物質フィラーは粉末状のものであるので、このような粉末状の鉱物質フィラーを含有する本発明のグラウト材は、ブリージングが殆どなく、硬化までの材料分離が殆どない。また、セメント/フィラー系のグラウト材としたことにより、乾燥収縮率が従来のセメントミルク単独によるグラウト材の約1/2以下となるので、乾湿の繰り返しに耐え得るものとなり、さらに、流動性が優れたものとなるため、裏込めや注入工事の際の作業性が向上するという利点がある。また、特に、グラウト材中の鉱物質粉末フィラーの粉末度を2,800〜3,200cm2/gとしたものにあっては、フィラーの粉末度が高いため、ブリージングがなく、硬化までの材料分離を防止する効果が格段に優れ、さらに本発明のグラウト材を前述の空隙部に注入した注入材層は地盤等に対する荷重伝達を確実に担うことができ、構造物の耐久性が著しく向上するという利点がある。


 図面の簡単な説明


【図面の簡単な説明】
図1】 PC版下におけるグラウト材の流動・充填状況と時間との関係を示したコッター図である。
図2】 実施例9のグラウト材と比較例3のグラウト材の圧縮ひずみと圧縮応力との関係を示したグラフである。
図3】 本発明のグラウト材をコンクリート舗装路の施工に使用した具体例を説明するための図である。
図4図3のコンクリート舗装路の施工で用いられる受ジョッキを示す縦断面図である。
図5図3のコンクリート舗装路の施工で用いられる受ジョッキを示す横断面である。
【符号の説明】
・・・地面、3・・・路盤、5・・・コンクリート舗装版、7・・空隙部、9・・・グラウト注入孔、10・・・シート、11・・・平ボディトラック、13・・・供給管、15・・・受ジョッキ、16・・・吐出口、17・・・栓、19・・・邪魔板。


 図面


【図4】

【図5】

【図1】

【図2】

【図3】