書誌情報
要約
特許請求の範囲
発明の詳細な説明
図面の簡単な説明
図面
《表紙》
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平8−74593
(43)【公開日】平成8年(1996)3月19日
(54)【発明の名称】エンジンとミッションとの結合補強用スティフナ
(51)【国際特許分類第6版】
F02B 61/06 G
H
77/13 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願平6−213857
(22)【出願日】平成6年(1994)9月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
(72)【発明者】
【氏名】村山 政雄
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】田渕 経雄
(57)【要約】
【目的】 オイルパン放射音をスティフナで和音化する。
【構成】 スティフナ10に複数の音発生部を設け、音発生部の周波数を、音発生部から発される音が和音化されるように、互いに異ならせた。音発生部は仕切壁16で区切られた複数の容積の異なる部屋15a、15bであってもよく、開口17、18を形成する長さの異なるパイプであってもよく、厚さ、材質が異なる壁部分であってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の音発生部が形成されており、該複数の音発生部から発生される音が互いに和音となる関係をもつようにそれぞれの前記音発生部の共振周波数が互いに異ならされていることを特徴とするエンジンとミッションとの結合補強用スティフナ。
【請求項2】 前記複数の音発生部が前記スティフナに仕切壁を設けて形成された複数の部屋からなり、該複数の部屋の容積が互いに異ならされている請求項1記載のエンジンとミッションとの結合補強用スティフナ。
【請求項3】 前記複数の音の発生部が、スティフナのミッションから遠い側の端部に壁を設け該壁を有するスティフナとオイルパンとによって囲まれた部屋と、該部屋を外部と連通する複数の開口とからなり、前記複数の開口の長さ、断面積の少なくとも一方が互いに異ならされている請求項1記載のエンジンとミッションとの結合補強用スティフナ。
【請求項4】 前記複数の音発生部が前記スティフナの厚さと材質の少なくとも一方を領域毎に異ならせている請求項1記載のエンジンとミッションとの結合補強用スティフナ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジンとトランスミッション(以下、ミッションという)との結合補強用スティフナに関し、とくにオイルハン放射音にスティフナ空洞部が共鳴したりスティフナ自体の壁が膜振動共振して発生する音を心地良い音に変換して騒音対策をはかるための構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、図9に示すように、エンジン1とミッション2との間には結合補強用スティフナ3が設けられる。このスティフナ3を設けることによりオイルパン4とスティフナ3とで囲まれた空間部が形成され、オイルパン4の放射音がその空間部で共鳴して空洞共鳴を引き起す。その騒音対策として、特開平4−347333号公報に示されているように、かつ図10に示されているように、スティフナ3の壁に穴5を設けて空間部を外部に開放するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、スティフナ3はリブ6(図10参照)を有しているため、リブ6と穴5が設けられないスティフナ底壁部分とオイルパン4によって囲まれた空間部の共鳴による騒音は残ってしまう。また、スティフナ3は空洞共鳴のみならず、スティフナ壁自体の膜振動によっても音を発生するので、穴5を設けても膜振動騒音も残る。本発明の目的は、従来のように音発生源構造を部分的に無くそうとするものに代えて、音の発生は認めるがそれを和音化して心地良い音に変換する、エンジンとミッションとの結合補強用スティフナを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明は次の通りである。
(1)複数の音発生部が形成されており、該複数の音発生部から発生される音が互いに和音となる関係をもつようにそれぞれの前記音発生部の共振周波数が互いに異ならされているエンジンとミッションとの結合補強用スティフナ。
(2)前記複数の音発生部が前記スティフナに仕切壁を設けて形成された複数の部屋からなり、該複数の部屋の容積が互いに異ならされている(1)記載のエンジンとミッションとの結合補強用スティフナ。
(3)前記複数の音の発生部が、スティフナのミッションから遠い側の端部に壁を設け該壁を有するスティフナとオイルパンとによって囲まれた部屋と、該部屋を外部と連通する複数の開口とからなり、前記複数の開口の長さ、断面積の少なくとも一方が互いに異ならされている(1)記載のエンジンとミッションとの結合補強用スティフナ。
(4)前記複数の音発生部が前記スティフナの厚さと材質の少なくとも一方を領域毎に異ならせている(1)記載のエンジンとミッションとの結合補強用スティフナ。
【0005】
【作用】上記(1)においては、オイルパン放射音がスティフナの複数の音発生部において互いに和音の関係にある心地よい音に変換されるので、音自体の強さは低減しないにもかかわらず、人の耳には騒音として聞えなくなり、騒音問題が解決される。上記(2)においては、スティフナの複数の部屋の共鳴周波数が互いに和音の関係とされることにより上記(1)の作用が達成される。上記(3)においては、開口をたとえばパイプから構成し、その長さ、面積を互いに異ならせて開口を通して出る音の周波数を和音化することにより上記(1)の作用が達成される。上記(4)においては、スティフナの板厚や材質を変えて剛性を異ならせ、スティフナの各部の固有振動数を和音化することにより上記(1)の作用が達成される。
【0006】
【実施例】本発明の望ましい実施例を図1〜図8を参照して説明する。図中、図1、図2は本発明の第1実施例を、図3、図4は本発明の第2実施例を、図5、図6は本発明の第3実施例を、図7、図8は本発明の第4実施例を示している。全実施例にわたって共通な構成部分には全実施例にわたって同じ符号を付してある。はじめに、本発明の全実施例にわたって共通な構成を、たとえば図1、図2を参照して説明する。本発明実施例のエンジンとミッションとの結合補強用スティフナ10(以下、単にスティフナ10ともいう)は、図9に示した従来スティフナ3と同様に、エンジン1のミッション側端部のオイルパン4下方で、かつミッション2のエンジン側に配設される。スティフナ10はエンジン1とミッション2に固定されてエンジン1とミッション2との結合を補強する。
【0007】スティフナ10は、図1、図2に示すように、エンジン長手方向から見た形状がほぼU字状の底壁11と、底壁11のミッション側端で底壁11に対してほぼ直交する端壁12とを有している。底壁11のエンジン左右方向両端には、ミッション2から遠い側の端部に上方に向って延びるアーム13が形成されており、アーム13に穿設したボルト穴14にボルト(図示せず)を通して、スティフナ10はエンジンのシリンダブロックの側壁に固定される。また、スティフナ10はその端壁12にボルト穴(図示せず)を設け、そこにボルト(図示せず)を通してミッションと固定される。底壁11の上端はほぼ水平であるが下端は端壁12からアーム13側に向って斜め上方に向って傾斜している。スティフナ10自体は底壁11の上方が開放しているが、エンジン下方に組み付けた時に、オイルパンのオイル溜りでない部分によって底壁11上方が覆われ、オイルパン、底壁11、端壁12によって囲まれた部屋15が形成される。
【0008】オイルパンが音を放射した時、オイルパンとスティフナ10によって囲まれた部屋15が空洞共鳴し、あるいはスティフナ10自体、とくに底壁11が膜振動し、音を発生する。本発明実施例では、スティフナ10の音発生部を、空洞共鳴、膜振動のそれぞれに対し、複数にわけて、これら複数の音発生部がオイルパン放射音に共鳴または共振して発する音の周波数が互いに和音化(倍音化)の関係をもつように、それぞれの音発生部の共鳴周波数および共振周波数の少なくとも一方が決定される。詳細を各実施例にわけて、以下に説明する。
【0009】つぎに、本発明の各実施例に特有な構成を説明する。本発明の第1実施例においては、図1、図2に示すように、スティフナ10にエンジン長手方向に延びる仕切壁16が設けられており、仕切壁16は部屋15を2つの部屋15a、15bに区切っている。第1実施例では部屋15a、15bが音発生部を構成している。2つの部屋15a、15bの容積は互いに異ならされており、2つの部屋15a、15bの空洞共鳴の周波数が和音化(倍音化)の関係をもつように容積比が決定されている。たとえば、オイルパンが約630Hzの放射音を発すると、部屋15aは630Hzで共鳴し、部屋15bは1260Hzで共鳴し、これらの音が部屋15a、15bの前方開口から放射されたときに互いに和音化された関係にあるといった具合である。図1、図2の例では、仕切壁16の数が1の場合を示しているが、仕切壁16の数を2以上として、区切られた部屋の数を3以上としてもよい。
【0010】本発明の第2実施例においては、図3、図4に示すように、スティフナ10の、ミッションから遠い側の端部に、スティフナ10の左右両側にわたって延びる端壁17が設けられ、部屋15は端壁17によって前方を閉塞されている。この端壁17に2箇以上の開口18、19が設けられている。第2実施例では開口18、19と部屋15が音発生部を構成している。図示例では、開口18、19がパイプからなり、それぞれのパイプの長さまたは断面積が互いに異ならされていて、それぞれのパイプと部屋15とが形成する気柱音の周波数が互いに和音の関係にあるようにパイプの長さまたは断面積の比が決定されている。また、パイプの先端はラッパ状に拡大されていて、音を拡大するようにしてもよい。上記図示例は、開口18、19をパイプから構成した場合を示したが、開口18、19はパイプに限るものではなく、端壁17に穿設した単なる穴から構成されてもよい。また、スティフナ10の内部の部屋15は、仕切壁によって区切られていない単一の空間であってもよく、または第1実施例のような仕切壁によって区切られた複数の空間であってもよい。
【0011】本発明の第3実施例にあっては、図5、図6に示すように、スティフナ10の材質が部分的に異ならされている。図示例では、スティフナ底壁11の材質が左右11a、11bで互いに異ならされている。第3実施例では材質の異なる複数の部分11a、11bが音発生部を構成している。材質の違いによって、スティフナ10の複数の音発生部の剛性が互いに異ならされ、音発生部の固有振動数が互いに異ならされる。そして、複数の音発生部の固有振動数が和音化(倍音化)された関係をもつように剛性を決定してある。たとえば、オイルパン放射音が630Hzにピークをもつ場合、一方の音発生部の膜振動の固有振動数を約630Hzとし他方の音発生部の膜振動の固有振動数を約1260Hzとするといった具合である。
【0012】本発明の第4実施例にあっては、図7、図8に示すように、スティフナ10の厚さが部分的に異ならされている。図示例では、スティフナ底壁11の厚さが左右11A、11Bで互いに異ならされている。第4実施例では厚さの異なる複数の部分11A、11Bが音発生部を構成している。厚さの違いによって、スティフナ10の複数の音発生部の剛性が互いに異ならされ、音発生部の固有振動数が互いに異ならされる。そして、複数の音発生部の固有振動数が和音化(倍音化)された関係をもつように剛性を決定してある。たとえば、オイルパン放射音が630Hzにピークをもつ場合、一方の音発生部の膜振動の固有振動数を約630Hzとし他方の音発生部の膜振動の固有振動数を約1260Hzとするといった具合である。
【0013】つぎに、作用を説明する。まず、本発明の全実施例に共通の作用を説明する。エンジンのオイルパンの放射音によって、スティフナ10は部屋15が空洞共鳴したり、スティフナ10の底壁11が膜振動したりして、音を発生する。音に対する従来の対策は音の大きさを低減させたり音源を無くすようにしたものであったが、本発明実施例では、音が出るのは認め、音を和音化して心地良い音に転換して騒音とさせないようにしたものである。すなわち、スティフナ10は複数の音発生部を有し、オイルパン放射音が複数の音発生部で互いに倍音関係にある複数の音に転換されるので、和音化して心地よい音になり、騒音として感じなくなる。
【0014】各実施例に特有な作用は次の通りである。本発明の第1実施例では、音発生部はスティフナ10内に形成された互いに容積の異なる複数の部屋15a、15bからなり、オイルパンからの放射音(たとえば、約630Hz)が容積の異なる部屋15a、15bで倍音化(和音化)され、心地良い音が提供される。
【0015】本発明の第2実施例では、オイルパンからの放射音がスティフナ10内の部屋15でこもり、それを長さ、断面積等が異ならされた開口(たとえば、パイプ)18、19を通して外部に出すときに、気柱振動の周波数が和音化され、心地良い音に転換される。また、スティフナ10前端に端壁17を設けたことにより、スティフナ10の剛性が高まるので、エンジンとミッションとの結合の強度、剛性も高まる。
【0016】本発明の第3実施例では、スティフナ10の材質が部分的に異ならしてあるので、各部の固有振動数が互いに異なり、オイルパンからの放射音を受けてスティフナ10の各部が膜振動するときに、和音に転換され、心地良い音を提供できる。
【0017】本発明の第4実施例では、スティフナ10の厚さが部分的に異ならしてあるので、各部の固有振動数が互いに異なり、オイルパンからの放射音を受けてスティフナ10の各部が膜振動するときに、和音に転換され、心地良い音を提供できる。
【0018】
【発明の効果】請求項1のスティフナによれば、オイルパン放射音をスティフナの音発生部で和音化させたので、心地良い音色となり、騒音対策できる。請求項2のスティフナによれば、仕切壁を設けて容積の異なる複数の部屋を形成したので、共鳴周波数を異ならせて和音化することができる。請求項3のスティフナによれば、スティフナ内に空間部を設け、該空間部を外部と連通する開口部(たとえば、パイプ)の長さ、断面積の少なくとも一方を変えたので、各開口部を通して出る音の周波数を異ならせて和音化することができる。請求項4のスティフナによれば、壁の厚さまたは材質を領域毎に変えたので、各領域毎の膜振動の固有振動数を変ることができ、壁の膜振動で生じる音を和音化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るスティフナの斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例に係るスティフナの側面図である。
【図3】本発明の第2実施例に係るスティフナの斜視図である。
【図4】本発明の第2実施例に係るスティフナの側面図である。
【図5】本発明の第3実施例に係るスティフナの斜視図である。
【図6】本発明の第3実施例に係るスティフナの側面図である。
【図7】本発明の第4実施例に係るスティフナの斜視図である。
【図8】本発明の第4実施例に係るスティフナの正面図である。
【図9】エンジンとミッションとスティフナの位置関係を示すエンジン/ミッションアッセンブリの側面図である。
【図10】従来技術のスティフナの斜視図である。
【符号の説明】
10 スティフナ
11 底壁
12 端壁
15 部屋
16 仕切壁
17 端壁
18 開口
19 開口
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】
