書誌情報
要約
特許請求の範囲
発明の詳細な説明
図面の簡単な説明
図面
《表紙》
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平8−44389
(43)【公開日】平成8年(1996)2月16日
(54)【発明の名称】音声信号処理装置
(51)【国際特許分類第6版】
G10L 3/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願平6−176775
(22)【出願日】平成6年(1994)7月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
【住所又は居所】東京都品川区北品川6丁目7番35号
(71)【出願人】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
【住所又は居所】東京都品川区北品川5丁目5番26号
(72)【発明者】
【氏名】中村 順一
【住所又は居所】東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニー株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】中村 勝和
【住所又は居所】東京都品川区北品川5丁目5番26号 株式会社第一興商内
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】松隈 秀盛
(57)【要約】
【目的】 高度な音響効果が簡単に付与できるカラオケシステムを提供する。
【構成】 入力音声信号の音程を所定ピッチだけ離れた音程に変換する音程変換手段16と、この音程変換手段16で変換された音声信号を入力音声信号と混合する第1の混合手段15と、この第1の混合手段15が出力する音声信号を音楽演奏信号と混合する第2の混合手段5とを設けた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 入力音声信号を、この音声信号の音程から所定ピッチだけ離れた音程に変換する音程変換手段と、
該音程変換手段で変換された音声信号を上記入力音声信号と混合する第1の混合手段と、
該第1の混合手段が出力する音声信号を音楽演奏信号と混合する第2の混合手段とを設けた音声信号処理装置。
【請求項2】 請求項1記載の音声信号処理装置において、
上記音楽演奏信号により構成される曲のジャンルに応じて、上記音程変換を行うピッチを変化させる制御手段を設けた音声信号処理装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カラオケと称される伴奏に合わせて歌った音声を処理するシステムに適用して好適な音声信号処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、コンパクトディスクやビデオディスクなどより再生した音楽演奏信号をスピーカより出力させ、この再生された演奏に合わせて歌った歌詞の音声信号をマイクで拾って音楽演奏信号に重畳してスピーカから出力させるカラオケシステムと称される音楽再生システムが各種開発されている。
【0003】このカラオケシステムの場合には、一般にエコーと称される残響処理装置が内蔵され、マイクで拾った音声信号に残響を付加して伴奏の信号に重畳することができるようにしてある。このエコーを付加する処理を施すことで、スピーカから再生される歌唱音声が、じょうずに歌ったように聞こえる効果を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これに対し、より高度な音響効果を付与できるようにすることが要請されているが、カラオケシステムの場合には、マイクが拾った音声信号をリアルタイムで処理してスピーカから出力させる必要があるため、従来はあまり高度な処理は行われてなかった。
【0005】本発明はかかる点に鑑み、高度な音響効果が簡単に付与できるカラオケシステムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、例えば図1に示すように、入力音声信号の音程を所定ピッチだけ離れた音程に変換する音程変換手段16と、この音程変換手段16で変換された音声信号を入力音声信号と混合する第1の混合手段15と、この第1の混合手段15が出力する音声信号を音楽演奏信号と混合する第2の混合手段5とを設けたものである。
【0007】また、この場合に音楽演奏信号により構成される曲のジャンルに応じて、音程変換を行うピッチを変化させる制御手段21を設けたものである。
【0008】
【作用】本発明によると、入力音声に所定ピッチだけ離れた音程の音声が付与されて、伴奏などの音楽信号に混合されるので、一人で歌うだけで複数の音程の歌声が再生されることになり、いわゆるユニゾン効果が付与された状態となり、複数人で歌っているような効果が得られる。
【0009】この場合、演奏される曲のジャンルに応じて、音程変換を行うピッチを変化させることで、演奏される曲に応じた最適な音程の音が付与され、効果的に音程変換された音が付与される。
【0010】
【実施例】以下、本発明の一実施例を、添付図面を参照して説明する。
【0011】図1は本例の音声信号処理装置を示す図で、本例においてはカラオケシステムと称される再生システムに適用したものである。図中1は再生装置を示し、コンパクトディスクなどのカラオケ用伴奏が記録された記録媒体を再生する装置で、再生して得た音声信号(オーディオ信号)をラインアンプ2に供給する。また、サブコードデータがオーディオ信号と共に記録媒体に記録されている場合には、このサブコードデータを出力する。
【0012】そして、ラインアンプ2に供給されるオーディオ信号を、増幅処理した後、アナログ/デジタル変換器3に供給し、デジタルオーディオ信号に変換する。そして、このデジタルオーディオ信号をイコライザ4に供給して所定のオーディオ処理を行った後、混合器5に供給する。
【0013】また、図中11はマイクロホンを示し、このマイクロホン11がマイクロホン接続端子12に接続させてあり、マイクロホン11が拾った音声信号をマイクアンプ13を介してアナログ/デジタル変換器14に供給する。このアナログ/デジタル変換器14で変換されたデジタルオーディオ信号を、混合器15と音程変換回路16と音量検出回路17に供給する。
【0014】ここで、音程変換回路16としては、供給されるデジタルオーディオ信号の音程を、所定ピッチだけ下がった音程のデジタルオーディオ信号に変換する。ここでは20centから50centの間で設定された値だけ下の音に変換する。この変換する値の選定は、この音声信号処理装置の各部を制御する中央制御装置(CPU)21の制御により行われる。この中央制御装置21で変換する値の選定処理については後述する。
【0015】そして、音程変換回路16で変換されたデジタルオーディオ信号を混合器15に供給し、音程変換されてないデジタルオーディオ信号と加算する処理を行う。そして、この混合器15で加算処理されたデジタルオーディオ信号を、イコライザ18に供給して所定のオーディオ処理を行った後、残響処理回路19でエコーと称される残響付加処理を行い、残響付加処理されたデジタルオーディオ信号を混合器5に供給する。
【0016】そして混合器5で、再生装置1で再生したカラオケ伴奏用オーディオ信号に、マイクロホン11が拾ったオーディオ信号を混合する処理を行い、混合されたデジタルオーディオ信号をデジタル/アナログ変換器6に供給し、アナログオーディオ信号に変換する。そして、変換されたアナログオーディオ信号を出力アンプ7により増幅処理した後、スピーカ8に供給し放音させる。
【0017】なお、再生装置1から再生されるオーディオ信号は左右2チャンネルのステレオオーディオ信号である場合が一般的で、この再生装置1からスピーカ8までの系は左右2チャンネル用意されている場合が多いが、ここでは説明を簡単にするために1チャンネル分だけを示してある。
【0018】ここで、中央制御装置21による音程変換回路16の制御について説明すると、この中央制御装置21には、音量検出回路17で検出したオーディオ信号レベルのデータが供給されると共に、再生装置1が出力するサブコードデータをサブコードデコーダ22でデコードしたデータが供給される。また、この装置の各種操作を指示する操作キー23が接続される。そして、この操作キー23の操作により、ユニゾン効果生成を指示したとき、音程変換回路16が変換されたオーディオ信号を出力するように制御する。そして、その変換処理の制御状態としては、予め設定された値だけ下の音に変換する固定モードと、マイクロフォン11が拾った音声信号レベルに応じた制御が行われる音量制御モードと、再生される曲のジャンルに応じた制御が行われるジャンル別制御モードとの3種類が設定される。
【0019】固定モードとしたときには、20centから50centの間で予め設定された値だけ下の音に変換する処理を、音程変換回路16で実行させる。従って、この固定モードとしたときには、マイクロフォン11が拾った音声信号に、絶えず所定周波数だけ下の音が付加されて伴奏音と共に再生されるようになり、一人で歌っていても二人で歌ったようなユニゾン効果が得られる。なお、変換する値は、例えば操作キー23の操作で設定できるようにしても良い。
【0020】そして、音量制御モードとしたときには、音量検出回路17で検出したオーディオ信号レベルに応じて、音程変換回路16での変換量を連続的に変化させる制御を行う。例えば、マイクロフォン11が拾った音声信号の波形が図2のAに示す状態であるとき、音量検出回路17ではこの波形のエンベロープに対応した音量検出を図2のBに示すように行い(実際にはデジタルデータであるのでビットデータより検出する)、この音量検出データに基づいて、図2のCに示すように音程変化量を変化させる。ここでは、音量が大きいとき50cent下の音に変換させ、音量が小さくなるに従って変換量を20centまで徐々に変化させて、音量に応じて50centから20centの間で連続的に変化させる。
【0021】従って、この音量制御モードとしたときには、マイクロフォン11が拾った音声信号の音量(即ち歌っている音声の音量)が小さいときには、わずかに下の周波数の音が付加されて伴奏音と共に再生され、音量が大きくなるに従って付加される音が元の歌声から離れた周波数となり、音量に応じた適切な処理が行われる。即ち、音量が小さいときには、付加される音が元の音と非常に近い周波数の音でも、聞き取ることが容易であり、本例の回路によるユニゾン効果がスピーカからの音で確かめられる。そして、音量が大きいときには、付加される音が元の音と周波数が近いと、元の音にマスキングされて聞き取り難くなってしまうが、このモードでは元の音から比較的大きく離れた音程の音になるので、元の音にマスキングされることなく容易に聞き取れるようになり、本例の回路によるユニゾン効果がスピーカからの音で確かめられる。このように音量制御モードとすることで、音量の大小にかかわらず良好に音程変換された音が付加される。
【0022】そして、ジャンル別制御モードとしたときには、サブコードデコーダ22でデコードしたデータに基づいて、再生装置1で再生する曲のジャンルに関するデータが得られるとき、このジャンルを中央制御装置21が判断して、音程変換回路16で変換させる変換量を20centから50centの間で適切な値に制御する。例えば、サブコードで再生される曲の種類が、演歌,ポップス,ロック,ジャズ,バラードと区別されるとき、演歌やバラードのように比較的静かな曲の場合には、変換量を20cent程度の比較的小さい値とし、ポップス,ロック,ジャズのように比較的騒がしい曲の場合には、変換量を50cent程度の比較的大きい値とする。このようにすることで、曲のジャンルに応じて適切に変換処理された音が付加されるようになる。
【0023】なお、歌う音量に応じた音量制御モードの処理と、再生される曲のジャンルに応じたジャンル別制御モードの処理とを、同時に行うようにしても良い。例えば、ジャンルに応じて基本的な変換量を設定し、この基本的な変換量の値から音量に応じて10cent程度だけ変換量を変化させるようにしても良い。
【0024】このように本例の装置を使用してカラオケとしての再生を行うことで、自動的に歌った音に所定ピッチだけ離れた音が付加されるので、一人で歌った場合でも、二人で歌っているようなユニゾン効果が得られる。また、例えば歌唱者の音程が不安定な場合でも、再生される歌唱音が複数の音程になるので、伴奏に合った音程になる可能性が高く、伴奏に合った音程の心地よい歌唱が出力されるようになる。さらに、コーラス部分だけを伴奏と共に再生する場合のように、コーラスに歌う音程がつられることがなくなり、良好な歌唱音の再生が可能になる。
【0025】また本例の場合には、この所定ピッチだけ離れた音が付加された音に、残響処理回路19を残響音を付加するようにしたので、より効果的な心地よい音が再生されるようになる。
【0026】なお、上述実施例では、元の音より低い周波数の音に変換した音を付加するようにしたが、元の音より高い周波数の音に変換した音を付加するようにしても良い。
【0027】また、上述実施例では、単純に音程変換回路16で変換した音を付加するだけとしたが、例えば図3に示すように、混合器15で加算処理されたオーディオ信号を、スイッチ31とアンプ32を介して音程変換回路16の入力側に戻すようにして、スイッチ31を接続させたとき、ループ回路が構成されるようにして、音程変換された音に、さらに別の音程変換された音が順次付加されるようにし、アンプ32のゲインにより設定された帰還状態に応じて、音程変換された音が複数段付加されるようにしても良い。
【0028】また、音程変換回路を複数設けるようにしても良い。即ち、例えば図4に示すように、複数の音程変換回路16a,16b,‥‥を設けて、各音程変換回路16a,16b,‥‥で変換された音を、元の音と共に混合器15で加算するようにし、それぞれの音程変換回路16a,16b,‥‥での変換量を少しずつ変化させて、より効果的な再生ができるようにしても良い。各音程変換回路16a,16b,‥‥での変換量としては、例えば音程変換回路16aで20cent下の音に変換させ、以下音程変換回路16bで30cent下の音,音程変換回路16cで40cent下の音,音程変換回路16dで50cent下の音と言うように10centずつ下の音を付加させるようにすることが考えられる。このようにすることで、図1の例では二人で歌っているような効果が得られるのに対し、図4の例ではより多くの人で歌っているような効果が得られるようになる。
【0029】なお、この図4の例のように複数の音程変換回路を設ける場合、元の音に対し所定centだけ上の音に変換する音程変換回路と、元の音に対し所定centだけ下の音に変換する音程変換回路とを設けて、元の音に対し上と下の音を同時に付加するようにしても良い。
【0030】また、上述各実施例で示した音程変換量は一例を示したものであり、他の変換量を選択しても良いことは勿論である。
【0031】
【発明の効果】本発明によると、入力音声に所定ピッチだけ離れた音程の音声が付与されて、伴奏などの音楽信号に混合されるので、一人で歌うだけで複数の音程の歌声が再生されることになり、複数人で歌っているような効果が、特殊な操作をすることなく簡単に得られる。また、例えば歌唱者の音程が不安定な場合でも、再生される歌唱音が複数の音程になるので、伴奏に合った音程になる可能性が高く、伴奏に合った音程の心地よい歌唱が出力されるようになる。さらに、コーラス部分だけを伴奏と共に再生する場合のように、コーラスに歌う音程がつられることがなくなり、良好な歌唱音の再生が可能になる。
【0032】この場合、演奏される曲のジャンルに応じて、音程変換を行うピッチを変化させることで、演奏される曲に応じた最適な音程の音が付与され、効果的に音程変換された音が付与される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】一実施例の音程制御状態を示すタイミング図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 再生装置
11 マイクロホン
12 マイクロホン接続端子
16 音程変換回路
17 音量検出回路
21 中央制御装置(CPU)
22 サブコードデコーダ