Bookmark and Share
書誌情報 要約 特許請求の範囲 発明の詳細な説明

 書誌情報


《表紙》

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平8−283582
(43)【公開日】平成8年(1996)10月29日
(54)【発明の名称】高分子ブレンド材料
(51)【国際特許分類第6版】
C08L101/00 LSY
C08K 5/00 KAJ
7/22 KCL
C08L 33/20 LJL
LJM
【FI】

C08L101/00 LSY
C08K 5/00 KAJ
7/22 KCL
C08L 33/20 LJL
LJM
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願平7−85627
(22)【出願日】平成7年(1995)4月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【住所又は居所】東京都中央区京橋1丁目10番1号
(72)【発明者】
【氏名】今井 康
【住所又は居所】東京都小平市小川東町3−5−5−820
(72)【発明者】
【氏名】豊澤 真一
【住所又は居所】埼玉県所沢市荒幡1407−15


 要約


(57)【要約】
【目的】 従来より、弾性材は、家電、スポーツ用品、産業機器、精密機器など様々な分野に使用されているが、本発明は、剪断弾性率の低い低弾性材が要望され、また、低弾性特性だけでなく、高分子有機材料(媒体材料)と低分子材料とのそれぞれの特徴が有効に発揮された複合材料の要望も強いため、この要望を満足させ得る材料を見出すことを目的とする。
【構成】 媒体材料と低分子材料と中空フィラーを主成分とし、該媒体材料の含有割合が低分子材料の含有割合よりも少ない高分子ブレンド材料であって、該媒体材料が三次元連続の網状骨格構造を有する高分子ブレンド材料を用いて構成されてなること。そして、中空フィラーが主にアクリロニトリル系樹脂からなること。更に上記高分子ブレンド材料中の中空フィラーの体積分率が40〜80体積%である高分子ブレンド材料。


 特許請求の範囲


【特許請求の範囲】
【請求項1】 媒体材料と低分子材料と中空フィラーを主成分とし、該媒体材料の含有割合が低分子材料の含有割合よりも少ない高分子ブレンド材料であって、該媒体材料が三次元連続の網状骨格構造を有することを特徴とする高分子ブレンド材料。
【請求項2】 上記中空フィラーが主にアクリロニトリル系樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の高分子ブレンド材料。
【請求項3】 上記高分子ブレンド材料中の中空フィラーの体積分率が40〜80体積%であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の高分子ブレンド材料。


 発明の詳細な説明


【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、家電、スポーツ用品、産業機器、精密機器、更に建築、土木、医療、レジャー用品など多くの分野にわたって使用される高分子ブレンド材料に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来より、弾性材は、家電、スポーツ用品、産業機器、精密機器など様々な分野に使用されているが、最近においては、剪断弾性率の低い低弾性材が要望されている。更に、このような低弾性特性だけでなく、高分子材料と低分子材料とのそれぞれの特徴が有効に発揮された複合材料の要望も強い。
【0003】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記要望に答えるべく鋭意検討を重ねた結果、下記手段によりこれを解決することに成功し本発明に至ったものである。すなわち、まず媒体材料と低分子材料及び中空フィラーを主成分とし、該媒体材料の含有割合が低分子材料の含有割合よりも少ない高分子ブレンド材料であって、該媒体材料が三次元連続の網状骨格構造を有することを特徴とする高分子ブレンド材料であり、更に、主成分の一つである中空フィラーが、主にアクリロニトリル系の樹脂からなるもので、上記高分子ブレンド材料中の中空フィラーの体積分率が40〜80体積%であることを特徴とする高分子ブレンド材料としたものである。
【0004】
【作用】本発明の高分子ブレンド材料は、中空フィラーを添加したことにより、密閉された系内に弾性体として利用した場合、外部から力が加えられると高分子ブレンド材料中の中空フィラーが変形することにより体積変形が可能となるため優れた衝撃吸収性を発現することができる。なお、従来の弾性体、例えばウレタンなどのフォーム体でも同様な体積変化は可能であるが、耐久性などに欠点があり、本願のような強度(圧縮永久歪など)を発現することが困難である。
【0005】
【実施例】以下に本発明を詳細に説明する。
【0006】まず、本発明の構成要素の一つである低分子材料としては、次のようなものが好ましい。
【0007】即ち、100℃における粘度が5×105 センチポイズ以下、特に1×105センチポイズ以下であることが好ましく、また、分子量の観点からは、低分子材料の数平均分子量は20,000以下、特に10,000以下、とりわけ5,000以下であることが好ましい。このような低分子材料としては、通常、室温で液体又は液体状の材料が好適に用いられる。また、親水性、疎水性のいずれの低分子材料も使用できる。低分子材料としては特に制限はないが、次のものが適している。
【0008】また、低分子材料は、その溶解度パラメーター値と後述の媒体材料の溶解度パラメーター値との差が3.0以下であることが好ましい。
【0009】低分子材料としては、前記の条件を満たすものであればすべて使用でき、特に制限されないが、具体的には次のような材料を挙げることができる。
【0010】軟化材: 鉱物油系、植物油系、合成系等の各種ゴム用或いは樹脂用軟化剤。鉱物油系としては、アロマティック系、ナフテン系、パラフィン系等のプロセス油等が挙げられる。植物油系としては、ひまし油、綿実油、あまみ油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、木ろう、パインオイル、オリーブ油等が挙げられる。
【0011】可塑剤: フタル酸エステル、フタル酸混基エステル、脂肪族二塩基酸エステル、グリコールエステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、ステアリン酸エステル等の各種エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、その他プラスチック用可塑剤又は、フタレート系、アジペート系、セバケート系、フォスフェート系、ポリエーテル系、ポリエステル系等のNBR用可塑剤。
【0012】粘着付与剤: クマロン樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェノールテルペン樹脂、石油系炭化水素、ロジン誘導体等の各種粘着付与剤(タッキファイヤー)。
【0013】オリゴマー: クラウンエーテル、含フッ素オリゴマー、ポリイソブチレン、キシレン樹脂、塩化ゴム、ポリエチレンワックス、石油樹脂、ロジンエステルゴム、ポリアルキレングリコールジアクリレート、液状ゴム(ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ポリクロロプレン等)、シリコーン系オリゴマー、ポリ−α−オレフィン等の各種オリゴマー。
【0014】滑剤: パラフィン、ワックス等の炭化水素系滑剤、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系滑剤、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル等のエステル系滑剤、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール等のアルコール系滑剤、金属石鹸、混合系滑剤等の各種滑剤。
【0015】その他、ラテックス、エマルジョン、液晶、歴青組成物、粘土、天然のデンプン、糖、更に無機系のシリコンオイル、フォスファゼンなども低分子材料として適している。更に、炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系、アルコール系、フェノール系、エーテル系、アセタール系、ケトン系、脂肪酸系、エステル系、窒素化合物系、硫黄化合物系等の有機溶剤:あるいは、種々の薬効成分、土壌改質剤、肥料類、石油類、水、水溶液等も用いられる。
【0016】これらの低分子材料は1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いても良く、得られる高分子ブレンド材料の要求特性、制振材としての用途、また、本発明の他の成分である媒体材料との相溶性等を勘定して、最適なものが選択され、最適な量で使用される。
【0017】一方、本発明における媒体材料とは、上記低分子材料との媒体としての機能を有する材料であり、本発明の目的達成に重要な成分である。詳しくは、(多量の低分子材料と少量の媒体との均一な組成物を実現するために)多量の低分子材料と、媒体材料とを用いて、多量の低分子材料を保持した低分子材料保持複合物を得る。
【0018】本発明で使用する媒体材料は、前記したような機能を有する。即ち、多量の低分子材料を保持する低分子材料保持複合物を形成し得る材料であれば、すべて使用することができるが、通常、熱可塑性の高分子化合物またはこの高分子化合物を構成要素とすることができる。
【0019】媒体材料としては、数平均分子量が20,000以上、特に30,000以上、とりわけ40,000以上での熱可塑性媒体材料が好ましく、例えば、スチレン系(ブタジエンスチレン系、イソプレンスチレン系等)、塩化ビニル系、オレフィン系(ブタジエン系、イソプレン系、エチレンプロピレン系等)、エステル系、アミド系、ウレタン系などの各種熱可塑性エラストマー、並びに、それらの水添、その他による変性物、スチレン系、ABS系、オレフィン系(エチレン系、プロピレン系、エチレンプロピレン系、エチレンスチレン系、プロピレンスチレン系等)、アクリル酸エステル系(アクリル酸メチル系等)、塩化ビニル系、メタクリル酸エステル系(メタクリル酸メチル系等)、カーボネート系、アセタール系、ナイロン系、ハロゲン化ポリエーテル系(塩化ポリエーテル系等)、ハロゲン化オレフィン系(四フッ化エチレン系、フッ化−塩化エチレン系、フッ化エチレンプロピレン系等)、セルロース系(アセチルセルロース系、エチルセルロース系等)、ビニリデン系、ビニルブチラール系、アルキレンオキサイド系(プロピレンオキサイド系等)等の熱可塑性樹脂、及びこれらの樹脂のゴム変性物などが挙げられる。
【0020】熱可塑性高分子有機材料(媒体材料)としては、このうちで結晶構造、凝集構造などの硬質ブロックを形成しやすい部分と、アモルファス構造などの軟質ブロックとを一緒にもち合わせているものが特に好ましく、具体的には、下記(1)〜(4)が挙げられる。
【0021】(1)ポリブタジエンとブタジエン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重合体を水添して得られるポリエチレン/ブチレンとエチレン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重合体。
(2)ポリブタジエンとポリスチレンとのブロック共重合体、或いは、ポリブタジエン又はエチレン−ブタジエンランダム共重合体とポリスチレンとのブロック共重合体を水添して得られるポリエチレン/ブチレンとポリスチレンとのブロック共重合体。
(3)エチレン/ブチレン共重合体と、その片末端または両末端に結晶性エチレンブロックが連結したブロック共重合体。
(4)エチレン−プロピレンゴム(EPM)またはエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)。
なお、本発明に係る低分子材料、媒体材料及び低分子材料保持複合物に関しては、一部、特開平5−239256号公報及び特開平5−194763号公報に記載されている。媒体材料としては、これらの公報に開示された三次元連続の網状骨格構造を有するものが、本発明においても代表的なものとして好適に使用される。
【0022】本発明における媒体材料は、特に限定されないが、通常のバルク状、粒状、ゲル状、フォーム状、不織布状等の使用状態をとることができる。また、低分子材料を包含するカプセルを内蔵した形態でも用いることができる。これらの各種熱可塑性媒体材料は主に単独で用いられるが、2種以上をブレンドして用いても良い。
【0023】また、多量の低分子材料と媒体材料とを含む低分子材料保持複合物を得るに当たっては、前述の如く、用いる低分子材料と媒体材料の各々の溶解度パラメーター値の差が3.0以下、好ましくは2.5以下となるように両材料を選択する。この差が、3.0を超えると相溶性の点から、媒体材料が低分子材料を多量に保持しにくく、高分子ブレンド材料の低弾性率化の障害となり、また、低分子材料のブリードが発生し易くなるので好ましくない。
【0024】本発明において、低分子材料と媒体材料との重量比は1.0以上とし、特に2.0以上、とりわけ3.0以上であることが好ましい。この重量比が1.0未満では、低弾性率の高分子ブレンド材料を得ることが困難となり、本発明の目的を達成することができない場合がある。
【0025】低分子材料と媒体材料を含む低分子材料保持複合物の製造方法は、用いる低分子材料及び媒体材料の種類、特性、混合割合等により、公知の方法を含む最適な方法を用いれば良く特に限定されない。前掲の特開平5−239256号公報に記載の方法も1つの方法である。
【0026】特に、好ましい方法としては、本出願人が先に提案した高剪断型特殊ミキサーを用いる方法、即ち、媒体材料である熱可塑性高分子材料と低分子材料とをローターの剪断速度5.0×102 (sec-1)以上の能力を有する高剪断型特殊ミキサーを用いて混練することにより、多量の低分子材料を均一に含み、かつ該低分子材料のブリードが少ない低分子材料保持複合物を得る方法(特願平5−316461号)が挙げられる。なお、中空フィラーの添加は特に限定されないが、作業性の点で上記低分子材料保持複合物を形成した後、未膨張又は一部或いは全体が膨張した状態で添加されることが好ましい。
【0027】本発明において、高分子ブレンド材料中に添加されている中空フィラーとしては、例えばガラスバルーン、シリカバルーン等の無機中空フィラー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン共重合物、アクリロニトリル樹脂等からなる有機中空フィラーを配合することにより、軽量化を図ることができる。また、特にこの中でも衝撃吸収性及び作業性の観点からアクリロニトリル系樹脂が好ましい。更に、本発明の高分子ブレンド材料組成物中の中空フィラーの体積分率は40〜80体積%が好ましく、40体積%未満であると充分な体積変形が出来ず、又、80体積%を超えると従来のフォーム体と同様に耐久性が低くなるため好ましくない。なお、軽量化等の各種物性の改善のために、各種発泡剤を混入することも可能であり、また、混合時等に機械的に気体を混ぜ込むことも可能である。
【0028】本発明の高分子ブレンド材料は、低弾性である等の特徴を有し、このため防振・制振・緩衝材として、シール材、パッキング、ガスケット、グロメット等の固定部材、マウント、ホルダー、インシュレーター等の支持部材、ストッパー、クッション、バンパー等の緩衝部材などに用いられる。具体的にはクーラー、洗濯機、冷蔵庫、扇風機、掃除機、ドライヤー、プリンター、送風機等の振動・音を発生する装置又は家電製品に好ましく用いられる。更に、衝撃吸収材として、グローブ、ミット、ゴルフクラブ、テニスラケット等のスポーツ用品、水道管等のハンマークッション防止材、靴中底用、各種玩具、オーディオ機器、電子・電気機器、或はベッド、椅子、特に長時間同じ姿勢を続ける医療用ベッド、理容用・美容用ベッド、観劇用椅子、振動を受ける車両用座席用材料、或は車両の衝突時に有効な内・外装材等の材料として好適に用いられる。又、義足、義手、ロボット、心電図測定用電極材、低周波治療器用電極材等の医療機器に用いられる他、超低硬度ゴムとしてOA機器用、免震ゴム、防振ゴム、レース用タイヤ等にも用いられる。なおまた、低硬度プラスチックとして各種の成形材料として好適であり、更に液状低分子有機物質の外部への放出のコントロールが可能であるため、芳香剤、医療用剤、機能材等の放出性を利用した各種徐放性材料にも用いられる。また更に、液状低分子有機物質を固体状として取り扱うことができるため、電解液膜、液晶膜、接着膜、塗料膜等の機能材料としても好適である。
【0029】以下に、本発明の一実施例を挙げてより具体的に説明する。
[実施例1〜2]下記表1に示す低分子材料と媒体材料を同表に示す割合で、表2に示す混練条件にて高剪断型特殊ミキサー(「T.K.オートホモミクサー」特殊機化工業(株)製)を用いて混練することにより低分子材保持複合物を得た。更に、この低分子材保持複合物に必須の中空フィラーを加えた高分子ブレンド材料の実施例1、2の場合の配合・特性、およびその混練り条件(ブラベンダー攪拌)をそれぞれ表3、4に示した。又これらの高分子ブレンド材料を電子顕微鏡で確認したところ、三次元連続の網状骨格構造を有し、その中に低分子材料を保持していることがわかった。
【0030】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【0031】以上のようにして得られた高分子ブレンド材料を、例えば水道管の防音機構(ウオーターハンマークッション用等)に取りつけたところ、水道管のウォーターハンマー音は解消され、また耐久性も優れていた。
【0032】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の高分子ブレンド材料は、中空フィラーを添加したことにより、密閉された系内に弾性体として利用した場合、外部から力が加えられると高分子ブレンド材料中の中空フィラーが変形することにより体積変形が可能となるため優れた衝撃吸収性を発現することができる。なお、従来の弾性体、例えばウレタンなどのフォーム体でも同様な体積変化は可能であるが、耐久性などに欠点があり、本願のような強度(圧縮永久歪など)を発現することが困難である。