書誌情報
要約
特許請求の範囲
発明の詳細な説明
図面の簡単な説明
図面
《表紙》
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平8−211871
(43)【公開日】平成8年(1996)8月20日
(54)【発明の名称】コーラス効果付与装置
(51)【国際特許分類第6版】
G10H 1/10 A
1/00 Z
G10K 15/04 302 D
E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願平7−16181
(22)【出願日】平成7年(1995)2月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
【住所又は居所】静岡県浜松市中沢町10番1号
(72)【発明者】
【氏名】吉田 祐生
【住所又は居所】静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】永田 祐一
【住所又は居所】静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 清人
【住所又は居所】静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智
【住所又は居所】静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】北野 幹夫
【住所又は居所】静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式会社内
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 研二 (外1名)
(57)【要約】
【目的】 心地よく、しかもバリエーションに富んだハモりを実現することができるコーラス効果付与装置を提供する。
【構成】 曲データに含まれるメインメロディデータとこれに対応するコーラスメロディデータとを取り込むMIDI入力部1と、装置各部を制御すると共に、MIDI入力部1より供給されるメインメロディデータとボーカルメロディデータに基づきメインメロディとボーカルメロディとの音高差に対応したピッチシフト量を算出するCPU3と、このピッチシフト量に応じてマイクMから収録したボーカル音をピッチシフトさせ、これを元のボーカル音に付与して出力するDSP8とを設けた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 楽曲の再生音に合わせて発生されたボーカル音を収録し、該ボーカル音に対応したコーラス音を生成してこれを前記ボーカル音に付与するコーラス効果付与装置において、
前記楽曲のメインメロディを示すメインメロディデータとともに、該メインメロディに対応したコーラスメロディを示すコーラスメロディデータを記憶する記憶手段と、
前記楽曲の再生と同期して前記記憶手段からメインメロディデータとコーラスメロディデータとを読み出し、両データに基づきメインメロディとコーラスメロディとの音高差を算出する音高差算出手段と、
前記音高差に対応して前記収録したボーカル音の音高をシフトさせ、これによってコーラス音を生成するコーラス音生成手段と、
前記生成されたコーラス音を前記収録されたボーカル音とともに再生する再生手段とを具備することを特徴とするコーラス効果付与装置。
【請求項2】 前記音高差算出手段によって算出した音高差に応じて前記生成したコーラス音の周波数特性を変化させるコーラス音制御手段を具備することを特徴とする請求項1記載のコーラス効果付与装置。
【請求項3】 前記音高差算出手段によって算出した音高差が大きくなるに従って前記生成したコーラス音の音量を低減する音量調整手段を具備することを特徴とする請求項1記載のコーラス効果付与装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば通信カラオケ等のカラオケシステムに用いて好適なコーラス効果付与装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、カラオケシステムの普及は目覚ましく、曲目数に対する利用者の要求も高まっていることから、膨大な曲目数の曲データを保持するホストコンピュータのデータベースよりカラオケボックス等の各店舗へ曲データを通信回線を介し供給する、いわゆる通信カラオケなども普及しつつある。
【0003】また、従来のカラオケシステムにおいては、利用者の歌唱音声(以下、ボーカル音という)との間で協和音を構成する(いわゆる、ハモる)コーラス音を自動的にボーカル音に付与する機能を備えたものが知られている。この種のカラオケシステムでは、マイクより収録したボーカル音に対して一定の音高差、例えば3度だけシフトさせたコーラス音を生成して、これを元のボーカル音に付与することにより、いわゆるハモりを実現している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ある音に対して心地良いハモり方をする音は、例えばイ短調の場合とハ長調の場合とでは異なるなど、楽曲の調や音階によって相違する。また、場合によっては、短3度が適当であるとか、長3度が適当であるというように好適な調和度が変わることもある。さらに、一つの楽曲であっても、曲の進行中に高音側のハモりから低音側のハモりへ切り替えたりして、ハモりの態様にバリエーションをもたせる場合もある。したがって、従来のカラオケシステムのように、ボーカル音に対して固定的に一定音階をシフトさせただけでは、必ずしも心地良いハモりを実現できるとは限らず、また、ハモりの態様も単調になってしまう。
【0005】この発明は、このような背景の下になされたもので、単にボーカル音に対して一定音階シフトさせたコーラス音を付与するのではなく、楽曲の種類や曲の進行に応じてボーカル音との音高差が変化するコーラス音を付与し、心地良く、しかもバリエーションに富んだハモりを実現することができるコーラス効果付与装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するために、請求項1記載の発明は、楽曲の再生音に合わせて発生されたボーカル音を収録し、該ボーカル音に対応したコーラス音を生成してこれを前記ボーカル音に付与するコーラス効果付与装置において、前記楽曲のメインメロディを示すメインメロディデータとともに、該メインメロディに対応したコーラスメロディを示すコーラスメロディデータを記憶する記憶手段と、前記楽曲の再生と同期して前記記憶手段からメインメロディデータとコーラスメロディデータとを読み出し、両データに基づきメインメロディとコーラスメロディとの音高差を算出する音高差算出手段と、前記音高差に対応して前記収録したボーカル音の音高をシフトさせ、これによってコーラス音を生成するコーラス音生成手段と、前記生成されたコーラス音を前記収録されたボーカル音とともに再生する再生手段とを具備することを特徴としている。
【0007】また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記音高差算出手段によって算出した音高差に応じて前記生成したコーラス音の周波数特性を変化させるコーラス音制御手段を具備することを特徴としている。
【0008】また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記音高差算出手段によって算出した音高差が大きくなるに従って前記生成したコーラス音の音量を低減する音量調整手段を具備することを特徴としている。
【0009】
【作用】請求項1記載の発明によれば、記憶手段は、楽曲のメインメロディを示すメインメロディデータとともに、該メインメロディに対応したコーラスメロディを示すコーラスメロディデータを記憶し、音高差算出手段は、楽曲の再生と同期して記憶手段からメインメロディデータとコーラスメロディデータとを読み出し、両データに基づきメインメロディとコーラスメロディとの音高差を算出し、コーラス音生成手段は、この音高差に対応して上記収録したボーカル音の音高をシフトさせ、これによってコーラス音を生成し、再生手段は、この生成されたコーラス音を上記収録されたボーカル音とともに再生する。これにより、ボーカル音に対し、楽曲のメインメロディに対応するコーラスメロディに追従した音程を有するコーラス音が付与される。
【0010】また、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による作用に加え、ボーカル音とコーラス音との音程の開きに応じて付与すべきコーラス音の声質を変化させることができる。
【0011】また、請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明による作用に加え、ボーカル音とコーラス音との音程の開きが大きくなるのに従ってコーラス音の音量を抑えることができる。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照して、この発明の実施例について説明する。
A:実施例の構成
図1はこの発明の一実施例によるコーラス効果付与装置の全体構成を示すブロック図である。この装置は、通信回線を介してホストコンピュータから供給されるMIDI(Musical Instrument Digital Interface)の曲データをハードディスクやCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)等に蓄え、これを読み出して楽曲を再生する通信カラオケシステムに適用されるものである。
【0013】図1において、この装置は、ハードディスク等の外部記憶媒体(図示略)からMIDIの曲データを取り込むMIDI入力部1、利用者による各種入力操作を受け付ける入力操作部2、装置各部を制御すると共に各種係数の演算処理を行うCPU(中央処理装置)3、各種係数テーブルが記憶されるROM(ReadOnly Memory)4,5、マイクMから入力される利用者のボーカル音を増幅するアンプ6、増幅されたボーカル音のアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D(アナログ/ディジタル)変換器7、ディジタル信号に変換されたボーカル音に各種信号処理を施すDSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ)8、および信号処理後のディジタル信号をアナログ信号に変換し外部のサウンドシステム(図示略)へ出力するD/A(ディジタル/アナログ)変換器9から構成されている。
【0014】ハードディスク等の外部記憶媒体には、曲のメインメロディや伴奏を示すデータ(以下、それぞれメインメロディデータ、伴奏データという)とともに、メインメロディに付ける一または複数のコーラスメロディを示すデータ(以下、コーラスメロディデータ)をホストコンピュータから受信し、これらを記憶している。また、各曲について、ポップス、ジャズ、バラード等の音楽ジャンルや、再生モード(すなわち、コーラスを伴うコーラスモードかコーラスを伴わないノーマルモードのいずれかのモード)を示すモード情報が予め作成され、各々の曲データに対応付けて記憶されている。
【0015】伴奏の再生は、従来と同じく音源に対して伴奏データを与えて再生しておき、それと同時にメインメロディデータ、コーラスメロディデータおよびモード情報をMIDI入力部1に与え、MIDI(電流)からTTL(電圧)に変換してCPU3へ出力する。
【0016】入力操作部2は、装置本体あるいはリモートコントローラ(リモコン)に備えられており、利用者による各種情報の入力操作を受け付け、この入力結果に対応した情報をCPU3へ出力する。利用者は、上述したモード情報の他、男か女かを示す性別情報、ボーカル音に付与すべき残響音を制御するディレイタイム、リピートゲイン等を入力操作部2より入力する。また、各人の好みや声質や大きさなどで変化させるべきパラメータ(例えば、モード情報、イコライザ、エコーレベル、残響時間(リピートゲイン)、ディレイ、コーラスレベルなど)の調整後、そのパラメータを個人差情報として記憶したり、読み出したりする操作も行う。ここで、モード情報をMIDI入力部1と入力操作部2の双方から入力するのは、「自動入力」と「手動入力」とを択一的に選択可能とするためである。すなわち、入力操作部2において、「自動入力」が選択された場合、MIDI入力部1から供給されるモード情報が採用され、「手動入力」が選択された場合、入力操作部2から供給されるモード情報が採用される。
【0017】CPU3は、所定の制御プログラムを実行することにより、以下の各処理部31〜36によって実現される機能を実現する。すなわち、ピッチシフト量作成部31は、メインメロディデータに含まれるピッチデータ(音高を示すデータ)とメインメロディに対応した各コーラスメロディデータに含まれるピッチデータとの差をとることにより各コーラスのピッチシフト量(音高差)を求め、これらの値をDSP8へ出力する。
【0018】EQ(イコライザ)係数作成部32は、モード情報に基づきROM4の係数テーブル4bから読み出した係数をDSP8内の入力イコライザ81(後述する)に設定し、また、EQ係数作成部33は、各種属性情報に基づきROM4の係数テーブル4aから読み出した係数をDSP8内のコーラス入力イコライザ82(後述する)コーラス出力レベル調整部87に設定する。さらに、残響制御係数作成部34は、モード情報およびディレイタイムとリピートゲインの入力値に基づきROM5の係数テーブルから読み出した係数をDSP8内の残響付与回路86(後述する)に設定する。
【0019】また、自動/手動切替部35は、入力操作部2にて「手動入力」が選択された場合、該入力操作部2からモード情報と属性情報とを取り込み、ROM4,5の対応するテーブルより係数データを取り込む。一方、「自動入力」が選択された場合、自動/手動切替部35は、MIDI入力部1から供給されるモード情報を取り込み、ROM4,5の対応するテーブルより係数データを取り込む。
【0020】また、モード切替部36は、入力操作部2にてコーラスモードの再生モードが選択された場合、オン状態となり、MIDI入力部1から供給されるメインメロディデータとコーラスメロディデータをピッチシフト量作成部31へ出力する。一方、ノーマルモードの再生モードが選択された場合、モード切替部36は、オフ状態となり、ピッチシフト量作成部31へのデータ出力を停止する。
【0021】ROM4には、上述したように、DSP8内の入力イコライザ81とコーラス入力イコライザ82に設定すべき係数を保持する係数テーブル4a,4bが記憶されている。係数テーブル4bには、性別情報や個人差情報等の各属性情報に対応して、イコライザ82に設定すべき係数、例えばフィルタのカットオフ周波数やイコライザの特性を決定する周波数、ゲインおよびQ値が、さらにコーラス出力レベル調整部87に設定すべきコーラス出力レベル値がセットされている。また、係数テーブル4bには、再生モードや音楽ジャンル等のモード情報に対応して、イコライザ81に設定すべき上記と同様の各種制御用係数がセットされている。
【0022】ROM5には、DSP8内の残響付与回路86に設定すべき係数を保持する係数テーブルが記憶されている。この係数テーブルには、上記モード情報に対応して、残響付与回路86に設定すべき係数、例えばエコーレベル、ディレイタイム、リピートゲイン等の係数がセットされている。
【0023】DSP8は、入力イコライザ81、コーラス入力イコライザ82、コーラス出力イコライザ83、ピッチシフタ84、コーラス出力レベル調整部87、モード切替スイッチ85および残響付与回路86から構成されている。
【0024】入力イコライザ81は、例えば2次のHPF(ハイパスフィルタ)、1次のLPF(ローパスフィルタ)および3段のイコライザユニットを直列接続して構成される。そして、HPFとLPFのカットオフ周波数、各イコライザユニットの係数(周波数、ゲインおよびQ値)は、上述したようにEQ係数作成部32によって設定される。
【0025】コーラス入力イコライザ82は、例えば2次のLSF(ローシェルビング)、2次のHSF(ハイシェルビング)および1つのイコライザユニットを直列接続して構成される。そして、LSFとHSFのカットオフ周波数およびゲイン、イコライザユニットの係数(周波数、ゲインおよびQ値)は、上述したようにEQ係数作成部33によって設定される。
【0026】ピッチシフタ84は、イコライザ82の出力を、ピッチシフト量作成部から供給されるメインメロディと各々のコーラスメロディの音高差に対応したピッチシフト量に対応してピッチシフトさせる。これにより、各々のコーラスメロディに対応したコーラス音が生成される。また、このピッチシフタ84の構成としては、例えば特開昭62−89095号に開示されているように、各音名毎にピッチシフト量に対応してシフト後の周波数情報を記憶しておくなど、周知のものを採用する。ただし、本実施例では、複数のコーラスメロディ1〜Nに対応すべく、N個の入出力を有する構成に拡張する必要がある。
【0027】コーラス出力イコライザ83は、上記ピッチシフタ84によるピッチシフト処理に伴って生じるノイズ等の不要な帯域の成分をコーラス音から除去する。コーラス出力レベル調整部87は、ボーカル音に対して加算するときのコーラス信号レベルを調整する。モード切替スイッチ85は、前述のCPU3内のモード切替部36と連動してオンオフ動作するスイッチであり、再生モードがコーラスモードである場合にはオンとなり、ノーマルモードである場合にはオフとなる。
【0028】残響付与回路86は、コーラス音の信号とボーカル音の信号とを加算した音声信号に対してリバーブ、エコー等の残響効果を付与する。この残響付与回路86の構成としては、例えば図2〜図6に示すいずれかが採用される。
【0029】図2に示す例では、入力音声信号を分岐してLPFを通した後、ディレイ回路によって遅延させてこれを元の音声信号に加算するが、このディレイ回路の出力をその入力側へ帰還させて繰り返し遅延させることにより、エコー効果を付与している。そして、この例では、エコーレベル(図2示EL)、リピートゲイン(図2示RG)およびディレイタイム(図2示DT)がモード情報に基づき制御される。
【0030】また、図3に示す例では、上記図2のエコー回路にリバーブ回路を直列に接続し、入力音声信号に対してエコー効果とリバーブ効果とを付与している。そして、この例では、図2のエコー回路内部(図3示EL)に加え、図3示EL1,EL2にてエコーレベルが制御される。
【0031】また、図4に示す例では、入力音声信号に対してディレイ効果とリバーブ効果とを並列に付与している。そして、この例では、ディレイタイム(図4示DT)と、リバーブ出力の左右チャネルについてエコーレベル(図4示EL1,EL2)が制御される。
【0032】また、図5に示す例では、入力音声信号に対してリバーブ効果のみを付与している。そして、この例では、入力音声信号とリバーブ出力の左右チャネルについてエコーレベルが制御される(図5示EL1〜EL3)。
【0033】さらに、図6に示す例では、入力音声信号に対して複数種のディレイタイムによるディレイ効果を付与するとともに、一部のディレイ出力を入力側へ帰還してエコー効果を付与している。そして、この例では、リピートゲイン(図6示RG)、各々のディレイタイム(図6示DT1〜DT3)、およびエコーレベル(図6示EL)が制御される。
【0034】B:実施例の動作
次に、このコーラス効果付与装置の動作を説明する。以下では、モード情報を入力操作部2から入力する手動入力モードと、モード情報をMIDIの曲データともに供給する自動入力モードに分けて説明する。
【0035】(1)手動入力モード
まず装置に電源が投入され、利用者が入力操作部2より「手動入力」を選択すると、この装置は手動入力モードとなる。この手動入力モードでは、利用者が、入力操作部2において再生モード(すなわちコーラスモードかノーマルモードか)を選択するとともに、該当する音楽ジャンルをも選択する。また、利用者は、入力操作部2より性別情報や個人差情報等の各種属性情報や、残響調整のためのディレイタイムおよびリピートゲインの値を入力する。
【0036】そして、入力操作部2よりカラオケの演奏開始が指示されると、再生すべき曲データが外部記憶媒体から読み出され、MIDI入力部1より装置内に取り込まれる。そして、曲データのうち伴奏データ等は図示しない伴奏出力系へ供給されるが、メインメロディデータ、一または複数のコーラスメロディデータおよびモード情報はCPU3へ供給される。
【0037】CPU3には、入力操作部2とMIDI入力部1の双方からモード情報が供給されるが、この場合手動入力モードであることから、自動/手動切替部35にて入力操作部2から供給されるモード情報が選択され、このモード情報に対応した係数がROM4,5から読み出される。また、各種属性情報に対応した係数はROM4 から読み出され、ディレイタイムとリピートゲインに対応した係数はROM5から読み出される。以下、入力操作部2にてコーラスモードが選択された場合とノーマルモードが選択された場合に分けて説明する。
【0038】(コーラスモードの動作)入力操作部2にてコーラスモードが選択される場合、モード切替部36がオンとなり、メインメロディデータとコーラスメロディデータがピッチシフト量作成部31へ供給される。ピッチシフト量作成部31では、メインメロディと各コーラスメロディとのピッチの差に応じたピッチシフト量が算出され、これらの値がDSP8内のピッチシフタ84へ供給される。
【0039】また、入力イコライザ81には、コーラスモードと当該音楽ジャンルに対応した係数が設定され、コーラス入力イコライザ82には、各種属性情報に対応した係数が設定される。さらに、残響付与回路86には、コーラスモードと当該音楽ジャンルに対応したディレイタイム、リピートゲインおよびエコーレベルの係数テーブルを選択し、入力されたディレイタイム、リピートゲインおよびエコーレベルに対応する係数をROM5より読み出して設定される。
【0040】一方、利用者のボーカル音は、マイクMより取り込まれ、アンプ6、A/D変換器7を介し、ディジタル信号としてDSP8に入力される。DSP8では、ボーカル音は、まず入力イコライザ81によってコーラスモードおよび当該音楽ジャンルに対応した声質(周波数特性)に変えられる。そして、このボーカル音は直接音系とコーラス音系とに分岐され、コーラス音系に分岐されたボーカル音は、さらにコーラス入力イコライザ82によって性別や個人差等の各種属性に対応した声質に変えられる。
【0041】次いで、上記イコライザ82の出力は、ピッチシフタ84によってメインメロディと各々のコーラスメロディとの音高差に応じたシフト量だけピッチシフトされ、これにより各々のコーラスメロディに対応したコーラス音が生成される。そして、これらコーラス音の信号は互いに加算され、コーラス出力イコライザ83によってノイズ等の余分な成分が除去される。また、この場合、コーラスモードであるからモード切替スイッチ85はオンになっているため、コーラス音の信号は上記直接音系のボーカル音の信号に加算される。
【0042】次いで、上記コーラス音が付与されたボーカル音は、残響付与回路86にてリバーブ、エコー等の残響音が付与される。ただし、この場合コーラス音が既に付与されていることから、過剰な残響が付与されるのを回避すべくエコーレベルは低減される。こうして、コーラス音と残響音とが付与されたボーカル音の信号は、DSP8から出力され、D/A 変換器9にてアナログ信号に変換された後、外部のサウンドシステムへ送られ、メロディ音および伴奏音とともにスピーカより放音される。
【0043】(ノーマルモードの動作)一方、入力操作部1にてノーマルモードが選択された場合、モード切替部36とモード切替スイッチ85がともにオフとなる。この結果、コーラス音の生成が停止され、マイクMより収録されたボーカル音が、入力イコライザ81によって当該音楽ジャンルに対応した声質に変えられ、残響付与回路86にてリバーブ、エコー等の残響音が付与されて、外部のサウンドシステムへ出力され、放音される。またこの場合、残響付与回路86では、コーラス音が付与されていないことから上述したコーラスモードの場合と比較して大きな残響音が付与され、長めの残長時間に設定される。
【0044】(2)自動入力モード
次に、自動入力モードの動作について説明する。入力操作部2より「自動入力」が選択されると、装置は自動入力モードとなる。この自動入力モードでは、自動/手動切替部35においてMIDI入力部1より供給されるモード情報が選択され、このモード情報に対応した係数がROM4,5から読み出される。したがってこの場合、利用者が入力操作部2より入力したモード情報は無視される。ただし、性別情報等の各種属性情報や残響調整のためのディレイタイムとリピートゲインについては利用者が入力操作部2より入力する。なお、モード情報の選択については、当該曲の間のみ入力操作部2からの入力を優先することも可能である。
【0045】以後は、MIDI入力部1より供給されるモード情報に基づきイコライザ81〜83の係数が設定されることを除けば、上述した手動動作モードの場合と同様に動作する。
【0046】C:まとめ
このように、本実施例によれば、楽曲のメインメロディに対して予め作成した一または複数のコーラスメロディに対応してボーカル音をピッチシフトし、各々のコーラスメロディに対応したコーラス音が生成されるので、楽曲の種類や曲の進行に応じて一または複数のコーラスを付与することが可能となる。また、音楽ジャンル等の楽曲の種類、性別、個人差等の各種属性に応じて声質を変化させることもできる。さらに、コーラスが付与される場合には残響効果を抑えることにより、ボーカル音に過剰な残響が付与されるのを回避できる。
【0047】D:変更例
なお、本発明は、上記実施例には限定されず、例えば以下のような変更を加えることも可能である。
(1)図7に示すように、ピッチシフタ84の各コーラスメロディに対応した出力にイコライザEQ1〜EQNを設け、各々のピッチシフト量に応じて周波数特性を制御するよう構成することが可能である。この場合、制御パラメータとなるピッチシフト量としてはピッチシフト量作成部33の出力を用いればよい。このような構成によれば、各々のコーラス音を、原音であるボーカル音と当該コーラス音との音高差に適した声質にすることができ、より心地良いハモりを実現できる。
【0048】(2)また、図8に示すように、ピッチシフタ84の各コーラスメロディに対応した出力に音量調整器V1〜VNを設け、各々のピッチシフト量に応じて音量を制御するよう構成することが可能である。この場合もピッチシフト量はピッチシフト量作成部31の出力を利用すればよい。このような構成によれば、原音であるボーカル音とコーラス音との音高差が大きい程、音量を下げることができ、原音との音高差が大きいコーラス音が目立ちすぎるのを防止できる。また、図7に示した構成と図8に示した構成とを組み合わせることも可能である。
【0049】(3)また、一曲が終了する毎にコーラスモードを自動的にノーマルモードに復帰させるよう構成することも可能である。すなわち、MIDIの曲データには曲の開始と終わりを示すコードが付与されているので、このコードに基づき一曲の終了を判断し、自動的にモードを切り替えるようにすることが可能である。このような構成によれば、各曲毎にモードを指定する必要がなくなり、特にコーラスモードの使用頻度が少ない場合に操作負担が軽減される。また、必要であれば、音楽ジャンル等その他のモードについても同様の自動切替が可能である。
【0050】(4)また、カラオケの原曲にコーラスが含まれている場合には、上記実施例装置のコーラスモードとノーマルモードの切替に連動して自動的に上記原曲のコーラスをオンオフ制御するよう構成することも可能である。このように構成すれば、原曲のコーラスと上記実施例装置のコーラスが重複するのを回避できる。
(5)また、上記実施例では、再生モード、音楽ジャンル等のモード情報によって入力イコライザ81を制御し、性別、個人差等の属性情報でコーラス入力イコライザ82とコーラス出力レベル調整部87を制御するようにしたが、このような態様に限らず、いずれのイコライザやコーラス出力レベル調整部87をどのモード情報あるいは属性情報で制御するかは任意に構成できる。
【0051】(6)また、上記実施例では、通信カラオケシステムへの適用を例として説明したが、本発明は、その他のカラオケシステムにももちろん適用可能であり、また、マイクより収録したボーカル音に限らす、楽曲の再生と同期して記録媒体等から読み出されるその他の楽音信号に対してコーラス音を付与することも可能である。
【0052】D:本発明の態様
上述した実施例および変更例に基づき、本発明は、請求項1乃至3に記載の発明の他、以下の発明の態様を含むものである。
【0053】(1) 所定の属性情報に対応してフィルタを制御する係数を保持する係数記憶手段を備え、指定された属性に応じて前記フィルタの係数を制御し、前記収録したボーカル音または前記生成したコーラス音の周波数特性と、該コーラス音の出力レベルとを変化させることを特徴とする請求項1記載のコーラス効果付与装置。
【0054】この発明の態様によれば、請求項1記載の発明による作用に加え、音楽ジャンル、男女の別、個人差等の属性に応じてボーカル音またはコーラス音の声質と、コーラス音の出力レベルとを制御して再生することができる。これにより、音楽ジャンル、男女の別、個人差等の属性に対応してさらにバリエーションに富んだハモりを楽しむことができる。
【0055】(2) 少なくとも前記収録したボーカル音に残響効果音を付与する残響効果付与手段と、指示に応じて、前記生成したコーラス音を付与するコーラスモードと該コーラス音を付与しないノーマルモードの何れかに再生モードを切り替えるモード切替手段とを備えた請求項1記載のコーラス効果付与装置において、前記再生モードがコーラスモードの場合、前記残響効果音の音量または残響時間を低減する残響効果抑制手段を具備することを特徴とするコーラス効果付与装置。
【0056】この発明の態様によれば、請求項1記載の発明による作用に加え、コーラス音が付与されるコーラスモードにおいては、ボーカル音に付与される残響効果音の音量または残響時間をノーマルモードの場合よりも低減することができる。これにより、コーラスモードにおいて過度な残響音が付与せれるのを回避でき、ハモりの心地良さが増す。
【0057】(3) 指示に応じて、前記生成したコーラス音を付与するコーラスモードと該コーラス音を付与しないノーマルモードの何れかに再生モードを切り替えるモード切替手段と、楽曲の曲データの先頭または終端に付加された識別子に基づき、直前に再生していた曲の再生終了を検出する検出手段と、前記コーラスモードで再生していた曲の再生終了が検出されると、前記モード切替手段にノーマルモードへの切り替えを指示する切替指示手段とを具備することを特徴とする請求項1記載のコーラス効果付与装置。
【0058】この発明の態様によれば、請求項1記載の発明による作用に加え、コーラスモードによって再生していた曲が終了すると、自動的にノーマルモードに再生モードを切り替えることができる。これにより、コーラスモードによって再生していた曲が終了すると、自動的にノーマルモードに再生モードを切り替えることができ、モード切替の操作負担が軽減される。
【0059】(4) 指示に応じて、前記生成したコーラス音を付与するコーラスモードと該コーラス音を付与しないノーマルモードの何れかに再生モードを切り替えるモード切替手段と、楽曲の曲データにコーラス成分が含まれている場合、前記モード切替手段にノーマルモードへの切り替えを指示し、楽曲の曲データにコーラス成分が含まれていない場合、前記モード切替手段にコーラスモードへの切り替えを指示する切替指示手段とを具備することを特徴とする請求項1記載のコーラス効果付与装置。
【0060】この発明の態様によれば、請求項1記載の発明による作用に加え、楽曲自体にコーラス成分が含まれている場合、ノーマルモードでボーカル音のみ再生し、楽曲にコーラス成分が含まれていない場合、コーラスモードでコーラス音を付与するよう自動的に再生モードを切り替えることができる。これにより、楽曲自体に含まれるコーラス成分との重複した再生を回避できる。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、ボーカル音に対し、楽曲のメインメロディに対応するコーラスメロディに追従した音程を有するコーラス音が付与されるので、利用者は、心地良く、しかもバリエーションに富んだハモりを楽しむことができる(請求項1乃至3)。また、請求項2記載の発明によれば、ボーカル音とコーラス音の音程の開きに合った声質のコーラス音を付与でき、ハモりの心地良さが増す。また、請求項3記載の発明によれば、ボーカル音とコーラス音の音程の開きが大きくなるのに従ってコーラス音の音量を抑えることができるので、コーラス音が目立ちすぎることがなくなり、ハモりの心地良さが増す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例によるコーラス効果付与装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】 同実施例による残響付与回路の構成例を示すブロック図である。
【図3】 同残響付与回路の他の構成例を示すブロック図である。
【図4】 同残響付与回路の他の構成例を示すブロック図である。
【図5】 同残響付与回路の他の構成例を示すブロック図である。
【図6】 同残響付与回路の他の構成例を示すブロック図である。
【図7】 同実施例によるピッチシフタの各コーラスメロディに対応した出力にイコライザを設けた変更例を示すブロック図である。
【図8】 同実施例によるピッチシフタの各コーラスメロディに対応した出力に音量調整器を設けた変更例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…MIDI入力部、2…入力操作部、3…CPU、4,5…ROM、6…アンプ、7…A/D変換器、8…DSP、9…D/A変換器、31…ピッチシフト量作成部、32,33…EQ係数作成部、34…残響制御係数作成部、35…自動/手動切替部、36…モード切替部、81…入力イコライザ、82…コーラス入力イコライザ、83…コーラス出力イコライザ、84…ピッチシフタ、85…モード切替スイッチ、86…残響付与回路、87…コーラス出力レベル調整部、M…マイク。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】
